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こんにちは!広報Kidoです。JDSCの組織の形作っているCXOを紹介することで、よりJDSCを知っていただこう、と始まった『CXOインタビュー数珠繋ぎ』。4回目となる本日は、ビジネスデベロップメント部門長の中村さんを紹介します!
ビジネスデベロップメント部門は、顧客・作業が抱える課題に対し、JDSCが保有するAIソリューションの提案・導入だけでなく、まだ解決されていない産業共通課題の解決に向けて、データサイエンティストとエンジニアと共に新たなプロダクト開発を行っており、いわばJDSCと外の世界(顧客、大学、自治体など含め産業そのもの)をつなぐ役割をしています。その部門長である中村さんは、コンサルファームと投資銀行でプロ経営者となり、事業再生の経験を経て、現在は新規事業開発の鬼となっています。これまでのキャリアを振り返り、なぜ新規事業開発に行きついたのか、探ってみたいと思います。
20代は修行期間。経営のプロフェッショナルになるために、コンサルティングファームと投資銀行で学ぶ。
Kido: まず初めに、マッキンゼーでキャリアスタートした理由を教えてください。
一言で言うと、「経営のプロフェッショナル」になりたいと思ったから、コンサルという職を選びました。実は、これは私が大学生の頃の悔しさから来ています。当時、父が脱サラをして自営業を始めまして、中華料理屋なんですけど、私も出前などを手伝い始めました。もちろん始めは楽しかったのですが、商いを成立させることは難しく、だんだん赤字になって、最終的に潰れてしまいました・・。「自営業が潰れる」ということは、家族に対するダメージは大きく、泣くほど悔しい思いをしました。
ちょうどその頃、コンサルタントという職業があると知りました。人様の会社を立て直したり、伸ばしたりしていくことができる仕事だと聞いて、自分もコンサルタントになりたいと思ったのがきっかけです。そこで、たまたま縁があったのがマッキンゼーでした。
Kido: 実際に「経営のプロ」になるための学びが得られましたか?
そうですね。私は「20代は2社のプロフェッショナルファームで修行をした」と思っていて、1社はマッキンゼーですが、もう1社は、次の転職先のモルガンスタンレーです。経営のプロとしては、ビジネス側を理解するというのだけでなく、コーポレートファイナンスの理解も必要だと思いました。
会社が潰れるというのは、当然お金が無くなるわけで、借り入れの問題やキャッシュフローの問題などをよりリアルに理解したかったのと、コーポレートファイナンスの理論を身に付けたいと思って転職しました。
その結果、自分自身で財務モデリングができるようにもなりました。PL、BSとキャッシュフロー計算書を自分で再構成して、企業価値算定もしていたため、頭の中で、「ビジネス側の動きを理解し、それが数字となり、PLからBSを通じて企業価値に繋がっていく」という一連の流れが出来上がりました。
この経験は、今でも役立っていますし、良い学びになったと思っています。
ここまできて、「いよいよ実践で力を試したい」と思うようになりました。
実家は救えなかったけれど、「人様の事業を助ける」ということをしたい
Kido: 修行期間が終わって、次に進んだ先はどこですか?
ちょうどその頃、リーマンショックがあり、破綻する会社が増え、再生のニーズが世の中的に大きくなっていました。プロ経営者になりたいという気持ちから、もう一歩進んで、実家は救えなかったけれど、「人様の事業を助ける」ということをしたいと思い、再生の世界に飛び込みました。
企業再生支援機構に転職し、中堅企業の再生を担当しました。その中で、運が良いことに、書籍「V字回復の経営」の著者である三枝さんと、著書の中で再生企業を再建された方に直接学ぶ機会が得られました。私の担当企業を立て直すプロセスを一緒に学ばせてもらい、実践力が身につきました。この頃私は30代前半でしたが、50代~60代のマネジメントの方々と、会社をどう立て直すのかというプランを立て、それを実行するところまででき、実際に業績回復ができました。
ただ、企業再生の仕事は、やりがいもあり感謝もしてもらったのですが、短期的に立て直すというのは言ってみればカンフル剤だと感じました。破綻の危機に瀕したということは、裏を返せばそれまでに着手できていなかった課題が沢山残っているので、外部から来たプロフェッショナルが手を入れていけば業績は回復できます。一方で、二次破綻(一度再生できたが、その後に再度破綻してしまうこと)するという会社も多くて、「何が会社の生き残りを決する要因なのだろうか?」と問題意識を抱くようになりました。
Kido: 企業再生の過程で、その答えになるような経験をしたのですよね?
はい。撤退予定の、ある事業を担当させてもらった時のことです。データ解析をしたのですが、データを見ていると、事業全体としては利益率が低いものの、案件ごとにブレイクダウンすると儲かっている部分が残っていました。そこで、過去の見積データと、実際どれぐらいのコストがかかったのかの実績データを比較して、会計のプロにも入ってもらって管理会計の仕組みを作って頂きました。そして、そこに溜まったデータを活用して、案件ごとの見積精度を向上することに成功しました。その結果、受注してはいけない案件や、普段より値引きしてでも取りにいくべき案件などを区別できるようになりました。これを半年ほど続けた結果、その事業の売上が1.5倍に伸び、粗利もそれ以上に伸びました。撤退予定の事業だったのに。
その時思ったのは「データの活用が大事だ。」ということです。活用してなかったことで撤退しようという判断になってしまい、データ活用することで蘇ったわけです。「常に新しい視点で事業をとらえる」ことが大事で、今まで通り続けるのではなく「既存事業を抜本的に見直す」とか、「新しい市場に切り込んでいく」とか、新しい視点をもってチャレンジしないと、会社は腐っていくのではないかと思いました。この経験から、新規事業やデータを使って既存事業をテコ入れするということに興味関心を持つようになったのです。
そして、企業の継続のためには、新規事業をどんどん成功させていくことが大事だと考えるようになりました。一度死んだ事業は社会からのニーズがなくなっているのもあるので、再生しようとしても手遅れになる場合があるので、そうなる前に、新しい価値を創っていくことが大事なのだと考えました。
「0→1」の仕事をやり続けたい。新しいソリューションをどんどん作っていきたい。
Kido: それで次は新規事業開発の世界へと入っていったのですね。
それまでは外部人材として経営者をサポートする立場でしたが、次は自分自身がプロ経営者として入っていく形で、実際にマネジメントしながら、新規事業開発をさせてもらうことになりました。具体的には、医療・ヘルスケアデータ企業へ入社し、副社長としてその企業が持っているデータの新しい活用ができないかを探りました。その企業では、元々はBtoBのビジネスを行っていたのですが、それだけに閉じずにBtoBtoCの事業開発ができるのではないかと考え、ヘルスケアアプリの事業を立ち上げました。
初めは、頭に浮かんできたものをさっと企画書として1枚書いて、経営陣に見てもらいました。その案に対して「いいじゃん!」というポジティブな意見を頂いたので、子会社を作って、友人のリクルート出身者とその知り合いに参加してもらい、最初は狭い会議室をオフィスとして数名のチームで事業開発に取り組みました。アプリ開発をしながら、ペーパープロトタイプで営業して、最初の顧客から受注できたときの喜びは今でも覚えています。採用してもらえる顧客がどんどん増えて・・ジェットコースターのような体験で、めちゃめちゃ楽しかったです。紙一枚だったものが、形になっていく、売れていく、それが楽しかったです。
事業開発のフェーズは何段階かに分かれていて、何が課題かわからない、どこに客がいるかわらかない、何を届ければいいかもわからない状態から答えを見つけていく「0→1」から始まり、実際に商売として売上を創っていく「1→10」、事業の骨格ができて組織化して拡大していく「10→100」までのフェーズが主にありますが、私はその前半部分、「0→1」と「1→10」のところが楽しいので、そこばかりやりたいと思いました。なので、「0→10」の段階をチャレンジし続けたいと思い、独立することにしたのです。様々な案件でPOCを実施しました。事業成立までたどり着かないものも多かったですが、立ち上げのチャレンジを無数にやれたので、楽しかったです。
Kido: となると、十分楽しく働いていたようなのですが、JDSCに入社しようと思ったのはなぜですか?
きっかけとしてはJDSC代表の加藤が元々の知り合いで、いくつか共同プロジェクトをやっていた流れで誘ってもらいました。JDSCは若い人が多いので、仲間がいる中でわいわいしながら仕事をするのって楽しいな、と感じました。
加藤とご飯を食べている時に、「何やりたいの?」と聞かれて、「事業開発やりたくて、新しいソリューションどんどん作っていきたい」と答えたら、「いいじゃん!JDSCでやろうよ!」と言われ、目線が合っていたので、参加を決めました。
ビジネスとテクノロジー、具体と抽象の間を行き来して、ソリューションを創り出す
Kido: 現在、JDSCではどういったことをしていますか?
ビジネスデベロップメント部門の責任者と、小売・製造業向けソリューションのオーナーをしています。ビジネスとテクノロジーを行き来きしながら、ソリューションを進化させていくAIソリューションの開発が特に楽しいです。
私が前職でいた時は(2015年頃)、日本でAIが流行りだした初期で、ディープラーニングという技術そのものに希少性があり、画像認識や言語解析などの分野で次々とAIソリューションが生まれました。この頃は、テクノロジー主導でソリューション開発が成り立ったとも言えます。
ですが、そういった時期は一巡しました。今は、「AI・機械学習さえ入っていれば付加価値がある」という幻想はなくなりつつあり、クライアント企業はより厳しい目線でAIソリューションの価値を見極めようとしています。
ここで重要なのは、2つの能力だと私は考えています。一つは、顧客課題とテクノロジー理解を横断できる能力です。顧客課題を深く洞察し、何が本当に解決に値する課題なのかを見極め、その上で、解決方法としてテクノロジーがどう活用できるかを設計し、実際の顧客を目の前にしながら仮説検証を繰り返していくのが重要です。そして、このビジネスとテクノロジーの行き来は、知的作業としてとてもエキサイティングで楽しい部分です。
もう一つ重要なのは、目の前の特定のクライアント企業の課題を深堀しつつも、それが個社独自の課題なのか、それとも同じ業界・業種に共通する課題なのかを層別化していく能力です。これは目の前の具体的な課題から、「たぶん同じような課題を持っている顧客がこの辺にいるのではないか」と抽象化して考える必要があります。これは、JDSCのミッションである「Upgrade Japan」、産業共通課題を解決するという目的のためにも重要な発想方法です。
後の質問にもつながってきますが、目の前の課題を定義しなおす、具体と抽象をいったりきたりする、という考え方はコンサルティングファームで働いていた人は得意なことで、向いていると思いますね。
話を戻すと、私としては、今のソリューションが形になってきているので、将来的には新しい別のテーマで事業開発にチャレンジしていきたいと思っています。AIソリューションを作っていくプロセスを体系化して、JDSCがポコポコソリューションを作っていけるようになったら、自分としては成功だと思っています。新しいソリューションを作る際は、毎回手探りですが、「そっちの方向に行ったらNGだよ」といったことは経験から分かるので、それを他の人にも伝授して、皆ができるようなったら、おもしろいと思っています。
Kido: 事業開発という希望通りの仕事ができていることは分かりましたので、仕事内容とは別で、JDSCに入社して良かったことや嬉しかったことはありますか?
半年に1度の360度フィードバックが、すごくいい制度だと思いました。自分の頑張りを周りのメンバーが見てくれて、応援してくれていることが分かったのが嬉しかったです。ソリューションの立ち上げ時期は暗中模索なので、きっと周りからは「何をやっているのか分からない」と思われていると思っていました。でも、フィードバックをもらったことで、一歩一歩進めている部分を見てくれている、ということに気づかされました。
例えば、ひとつのプロジェクトをエンジニア、データサイエンティスト、ビジネスデベロップメントの三位一体でやっていくのですが、もちろん共通言語も違うし、利害関係が合わなくなることも有ります。そこで、関係構築のために対面で話し合うきっかけを積極的に作ったりしていたのですが、360度フィードバックで「あの時のあの中村さんの動きが良かった。そのおかげで成功できました」と書いてくれたのです。
今のは私の例ですが、360度フィードバックなので、全社員が360度でフィードバックし合っていて、つまりは社員の頑張りを賞賛しあえる文化ができていて、すばらしいと思いました。
また、逆に、自分の足りないところも客観的にコメントをもらえて、改善しないといけないな、と素直に受け取れました。ベテランになってくると周りも言いずらくなって、言ってくれなくなるので、客観的な指摘をもらえるのは良いきっかけになります。
Kido: 日々気を付けていることはありますか?
インプットを絶やさないことですね。経験が増えると、新しい状況でも、「昔やったことと似たような風景」となって、落とし穴が見えるし道筋が立てられるので、良いことではあるのですが、広がりが持てないので、引退する時の自分が見えてしまいます。テクノロジーの勉強はもちろん、事業開発の勉強をし直すとか、フレッシュなインプットを絶やさないようにしています。人材として陳腐化しないようにして、週末も脳みその刺激として勉強をしていて、これは進化している実感が持てるので楽しいです。
JDSCの人は勉強が好きな人が多いですが、私の場合は、「勉強が好き」というより「頭を切り替えるための息抜き」に近いです。新しい知識が入ってくることが楽しいですが、知識なら何でもいいというわけではないです。プロジェクトで使っている技術で学びたい、という時もあれば、プロダクトマネジメントの手法をいくつか知りたい、AIを使ったプロダクト開発はそうでないプロダクト開発と何が違うのかなど、実務に関わる部分での情報のインプットをすることが好きですね。先人達が言語化してくれた考えに触れることで、もやもやしていたものが分かり、目の前の課題の解像度が上がっていくのが楽しいです。
Kido: 最後に、中村さんにとっての、JDSCの魅力ポイントと採用メッセージをお願いします!
JDSCの仕事を例えると、総合格闘技みたいなものです。ビジネスもテクノロジーもわかっていないといけない。テクノロジーと一言で言っても、データサイエンスとシステムエンジニアリングの違いも分かっていないといけない。顧客の課題も千差万別で、毎回毎回、答えが何か分からない状態で、自分なりに課題を組み立てて答えを出す道筋を立てないといけない。複雑なパズルみたいなものです。全く飽きなくて、そういう仕事ばかりをやれる会社であることが魅力です。
大きなファームだと分業になっていて、戦略だけやる部隊、開発だけやる部隊、などになってしまいますが、JDSCは良いサイズ感だと思います。一つのチームで解決して実装するまでが求められているので、「これだけやればいいですよ」という仕事の幅の制限がかけられていないのがおもしろいと思います。なので、下記のような方には向いていると思います。
当てはまる方は、ぜひ、話を聞きに来てください。
● テクノロジー思考を身につけたい、事業会社、コンサルティングファーム出身者
● 作って終わり、ではなく最後までインパクトを出したい方
● 常に新しいテーマの事業開発にチャレンジしたい方