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駿台、AIで教材進化 東大系と提携 習熟度に応じ出題
大手予備校で、IT(情報技術)で教育を高度化する「エドテック」が進んできた。駿河台学園(東京・千代田)は日本データサイエンス研究所(同・文京)と業務提携すると発表した。習熟度ごとに自習できる教材を開発する。集団授業を強みとしてきた大手が、一人ひとりに合わせる個別化教育にかじを切る。
日本データサイエンス研は東京大学発のスタートアップ企業。人工知能(AI)を使い、難関大学志望者向けに復習用の教材を駿台と共同開発する。国公立大2次試験や私大の入試対策として、2020年度中にも物理・化学用の教材から提供を始める。英語や数学、生物も順次開発する。
学習にはタブレット端末を使い、生徒の解答などをAIが瞬時に分析。間違った解答をした場合は少し易しい問題を出題したり、間違え方に応じて適切な解説を提供したりと、生徒一人ひとりに合わせて内容を変える。
大手予備校ではこれまで、同じ講座を受講する生徒は同じ紙の教材を使うのが一般的だった。生徒は授業の後、宿題として指定された問題を解いたり、自分のペースで教材を復習したりして学力の向上を図ってきた。
少子化で生徒数の減少に歯止めがかからず、細やかなケアを売り物に業績も好調な個別指導塾と大手予備校の明暗が分かれ始めている。人気講師を集め、競争意識を高める集団授業を強みとしていた大手予備校陣営の退潮は鮮明だ。代々木ゼミナールは15年、校舎の大量閉鎖に追い込まれた。
大手が培ってきた指導ノウハウには定評があるため、かゆいところに手が届くシステムを用意できれば、適切なレベルで細かい指導を提供できるとの見方がある。
駿台は18年、グループ会社を通じて「スマホ家庭教師」サービスのスタートアップ、マナボ(同・港)を買収した。約4400人のチューターに小中高生がアプリを通して質問できる。マナボの遠隔配信システムを活用した新サービスの開発も進む。
駿台、代ゼミと並ぶ3大予備校の河合塾(名古屋市)も、AI開発のコンパス(同・品川)と業務提携した。AIが分析した学生の理解度に応じ、学ぶ内容を変えたり問題の難易度を調整したりする教材を開発している。通信教育「Z会」の増進会ホールディングス(静岡県三島市)は、勉強内容などを記録できるサービスを提供するスタディプラス(東京・千代田)と提携した。
AIやビッグデータを駆使して教育を高度化するエドテックの関連市場は22年に世界で400億ドル(4兆4千億円)に達するとみられる。大手が高いIT技術を持つスタートアップと需要を掘り起こす動きが今後も続きそうだ。