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電力事業のDXを実現したい。最初の一歩として立ち上げた「BridgeLAB DR」とは?|インフォメティス・ビジネス開発部・渡邉弘樹

今回は、ビジネス開発部の渡邉弘樹さんにお話を伺いました。


ビジネス開発部 渡邉弘樹(わたなべ ひろき)
2021年入社
複数の新電力にて電力事業の立ち上げや法人営業、制度対応、需給管理業務を経験。ソフトバンクで「おうちでんき」や「自然でんき」に携わり、楽天で「楽天でんき」の立ち上げに従事。2021年に電力事業に対する新しい挑戦を求めインフォメティスに入社。現在、クラウド型デマンドレスポンス支援サービス「BridgeLAB DR」の立ち上げに取り組む。

電力業界のDXを推進したい。小売電気事業からインフォメティスに転職。

ーーまず、これまでの経歴や仕事内容を教えてください。

新卒では大手の自動車部品メーカーに就職し法人営業を担当していましたが、東日本大震災をきっかけに、エネルギーの重要性に気付き電力業界に転職をしました。

電力業界では複数社を経験し、法人営業から需給管理業務のようなオペレーション業務、制度対応、電気料金メニューの立ち上げなど幅広い業務を経験しました。中でも、ソフトバンクでは「ソフトバンクでんき」のリニューアルに携わり、その後、楽天でそれまでのキャリアの集大成として、楽天でんきの立ち上げを経験しました。小売電気事業をひと通り経験したときに、ITの力で電力業界をより良くしたいという想いからインフォメティスに入社しました。

ーーなぜ、インフォメティスに入社したのでしょうか?

電力業界で事業者のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進したいと思ったからです。小売電気事業者は数多くありますが、電気料金メニューは昔からほとんど同じ方法で料金を設定しています。電気を使う側も、電気を売る側も、もっと自由なメニューがあっていいと思いました。そのためには、小売電気事業者のDX化やデータを取り扱う基盤を整える必要があり、それは小売電気事業者の中にいたままでは難しいと感じ、インフォメティスに入社しました。

また、インフォメティスの強みである「機器分離推定技術」を知っていたこともあり、技術を活かせるのではないかと考えたことも1つの理由です。家庭内の生活行動データは取得が難しいデータです。将来的に、私たちの技術が広く普及した際には、その活用の用途は多岐に渡ると具体的にイメージできました。

それから、ベンチャー企業でありながら、出資元が大手企業だったり、東京電力パワーグリッドと合弁会社を作っていたりしたことも後押しになりました。電力業界をはじめインフラ業界では新しい技術を導入していくのに、市場の大きなプレイヤーと協業していくのは1つの正攻法だと考えています。技術やサービスが素晴らしいのに世の中に普及しない、という環境ではなく価値が認められれば社会全体に広がる環境だと思いました。

ーー現在はどのような業務をしているのでしょうか?

現在は、小売電気事業者のDX化の一歩として、クラウド型デマンドレスポンス支援サービス「BridgeLAB DR」の立ち上げを行っています。DR(デマンドレスポンス)とは、需要側(電気を使う側)に依頼をして、特定の時間に電気を使わないようにしてもらったり、逆に使ってもらったりすることです。

2021年冬季にJEPX(日本卸電力取引所)の市場価格高騰が起きて小売電気事業者は電気を売買する際に大きな損失を被りました。そのような背景から仕入価格が高い時間に電力使用を抑えてもらうDRが注目されています。「電力需給が逼迫する時期にまた市場価格高騰が起こるかもしれない」という危機感を市場機会と捉え、この事業を立ち上げました。

サービス開発にあたって、これまでお付き合いのあった小売電気事業者の方々の生の声をたくさん集め、現在直面している課題を精査し、開発チームや運用チームと議論を重ねています。2021年7月にプレサービスを開始し、2021年12月に本サービスとしてローンチしました。現在も、制度情報や顧客の声を集めながら日々サービスのアップデートを行っています。自分自身が小売電気事業のプレイヤーだった経験もあり、最低限提供するべき本質的な価値のイメージがあったので、スピーディーに事業の立ち上げができました。

JEPXの市場価格高騰を踏まえ、デマンドレスポンスに注目。メルマガ配信のように簡単に節電依頼。

――「BridgeLAB DR」とはどういうサービスなのでしょうか?

需要家(電気を使う人や企業)にメールマガジンを配信するように節電を依頼することができるサービスです。従来のデマンドレスポンスは特定の需要家に連絡をして節電を依頼していましたが、手軽に広範囲に節電を依頼することができるようになります。直接依頼するDRに比べて、確実に節電を実行していただけるわけではありませんが、より多くの需要家に配信することで、削減の総量を高める狙いです。

また、SaaS型のサービスなので、既に導入している需給管理システムや顧客管理システムに関わらず簡単に始められることも大きな特徴の1つです。小売電気事業者は基本的に需給管理を行うシステムや顧客管理を行うシステムを導入しています。新しいことを始める際に、既存のシステム改修が必須だと大きなハードルになってしまいます。「大きな初期費用をかけずにとにかくやってみたい」という事業者にはオススメのサービスです。

――特に渡邉さんの推しポイントを教えてください!

とにかくスピード感を持ってDRをやってみることができる、という点です。小売電気事業者でプレイヤーだった経験から、昨冬のJEPXの市場価格高騰は、今後手を打っていく必要のあるリスクだと認識しています。しかし、その対策に大きな投資が必要だと対策が打ちづらいことも想像できます。

DRはリスクに対する備えなので、保険のように何も起こらなければ価値を感じにくいと思います。そのような状況の中で大きな投資をするのではなく、お守りのように持っておき、いざという時に対応できる体制があれば十分ではないでしょうか。まずは2週間などお試しいただいて、その結果、運用できるかなど判断してもらえたらいいな、と思います。

――今後の「BridgeLAB DR」の成長の目標を教えてください。

まずは、手軽にDRを実施できる今の「BridgeLAB DR」をたくさんの小売電気事業者に知ってもらい、試していただくことです。小工数で効率的にDRを発動できるので「まずやってみる」そして「一定の成果を感じていただく」ことを目標にしたいです。

メールマガジン方式のDRは広範囲の需要家に依頼することができますが、確実性には限界があります。なので、次のステップとして、需要家により確実に節電をしていただける仕組みづくりに取り組みたいと考えています。例えば、私たちは自社で開発している電力センサーがあります。需要家で大きな電力を消費している需要地点や設備機器を特定すれば、大きな節電効果を狙うことができます。測定し、分析し、無理なく節電するための選択肢を持てる仕組みを作りたいです。

また、需給調整を短い間隔でできるところまでサービスを昇華させたいです。メールマガジン方式の特性上、事前に節電の意思確認をするなど、発動までに1日~2日程度要します。この時間間隔を短くしていくことでタイムリーな需給調整に貢献できるようにしたいと考えています。

電力業界のDXをきっかけに、電力データを活用しさまざまな業種の課題を解決したい

――今後、どんなことにチャレンジしていきたいですか?

電力データを扱って、さまざまな事業者の課題を解決したいです。現在、小売電気事業のDX化の一歩目として、「BridgeLAB DR」を始めました。これも電力データを用いて小売電気事業の課題を解決するサービスです。しかし、小売電気事業を営んでいる企業は、eコマースや通信、住宅など、他に本業を持っている場合も多いです。そうした企業の本業にも電力データを活用することで、課題を解決できるような価値を提供したいと思っています。

また、私は小売電気事業者に自分のキャリアを育ててもらったと思っているので、恩返ししたいという想いがあります。今後も小売電気事業者と手を取り合いながら、サービス開発を通じて、まずは小売電気事業のあるべき事業運営を支えられたらいいなと思います。

――ありがとうございました!

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