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100坪オフィスに孤独のテント泊、警備員の寝起きドッキリ。ヒトカラメディアの過酷な創業期

2013年に創業したヒトカラメディアは今では4期目に入り、秋にはメンバーも20人ほどとなります。『「働く場」と「働き方」からいきいきとした組織と個人を増やす』をビジョンに掲げ、主にスタートアップ/ベンチャーのオフィス仲介、内装プロデュースというサービスを通じて『働き方づくり』を行なっています。
そんな仕事環境をテーマとして扱っているヒトカラメディアですが、自身の創業期を振り返るとなかなか凄まじい仕事環境でした。そんな、創業期のお話をちょっとだけさせていただきます。

1人で100坪という孤独でしかない環境で創業期を過ごしました

まずは銀座のレンタルオフィスで登記をあげ、本格的にやっていくか!というタイミングで渋谷に移転をしました。その渋谷オフィスの広さがなんと100坪!
オフィス移転のお手伝いをする時、「次のオフィスの大きさは2坪/人ほどを目安にしてください」とお伝えしています。これくらいの広さがあれば、比較的ゆとりを持った環境が作れるわけです。つまり、100坪というと50人がゆったり働ける広さ。そこで実質1人で働くという衝撃の展開だったのです(笑)。

きっかけは、仲の良いビルオーナーさんとの会食。「オフィス探してるんですが良いとこありませんか?」とお話したところ、ビルオーナーさんから「渋谷警察署近くの六本木通り沿いの建て壊しの決まっているビルで、建て壊しまで4ヶ月しかないけど1フロア空いてるから使う?」というありがたいお言葉をもらい、ご厚意に甘えさせてもらったことがきっかけでした。

「10坪もあれば十分です」とお伝えしたのですが、「区切れないから自由に使って良いよ」ということで破格な条件で貸して頂けることになりました。そうして、100坪の区画を1人で使うという孤独でしかない環境で事業作りと寂しさとの戦いがスタートしたのです。



寂しさで弱ってくる

写真を見てもらえると分かるのですが、内装は何もありません。知り合いづてで譲り受けたデスクやチェアをポツリポツリと並べ、とりあえず業務ができるような状態にはなっていますが、なんでしょう、ちょっとシュールというか、じわりじわりと人間性が破壊されていきそうな心理実験の部屋のようにも見受けられます。

ここで深夜まで1人で連日働いていると、普通にめちゃくちゃ寂しいんですね。内装がないので、革靴で歩く音もカップ麺をすする音もやたらと響きます。孤独を体験してみて痛感しました。広すぎるオフィスは、人をじわじわと弱らせます(笑)。


光熱費がめちゃくちゃかかる

これも盲点でした。借りていた4ヵ月はちょうど秋から冬にかけて。当然、暖房が必要なのですが、少し古いビルだったので空調が2系統しかないのです。つまりボタン一つで25人分を暖める50坪分の暖房が効き始めるのです。

2系統に分かれているとはいえ間仕切りもないので、実質100坪を暖めないといけません。自分ひとりしかいないのに、50名分の光熱費。結果、家賃額の半分以上もの光熱費がかかるという珍事態が起こっていました(笑)。



警備員さんからの寝起きドッキリ

当時、住んでいた場所からドアtoドアで1時間。連日深夜まで働いていると、今度は通勤にかかる時間が惜しくなってきます。というわけで、広大なフィールドが余っているわけなので、テントを設営して近くの銭湯に通い、寝泊まりをしていました(※オーナーさまの理解を得て設営していました。一般的には宿泊を故意に繰り返すのは怒られますので、決して真似をしないでください)。

ビルの向かい側にある、クロスタワーにオフィスを構えるビズリーチの知り合いからは「高井さんのいるビル、テント張ってるフロアあるんですけど?」という連絡もありました。それ僕ですと(笑)。


現場です(笑)


そんなこんなでサバイバル生活にも小慣れてきた頃、事件は起こりました。いつも警備の方が日に何度か室内を見回りにくるのですが、朝7:45ごろ、テントで安眠していると足音が近付いてきました。おいおいおいと寝ぼけながら必死に起きようとしていると、急にテントの窓が開き、警備員さんが顔を覗かせ、「おはようございます」と挨拶してくれました。安否確認をしっかりしてくださったわけです。
さすがに毎朝、寝起きの顔を確認されるのは気まずいので、その日を境に、朝7:30には渋谷警察署隣のカフェドクリエに行き、9:00過ぎに戻ってくるというワークスタイルに切り替えました。


ビジネスモデル構築に試行錯誤の日々

実はこの時期、ヒトカラメディアとして明確に事業を固めているわけではありませんでした。社名の由来にも関わりますが、「人」に関するテーマでやるぞ、とは決めていたものの、どんなビジネスモデルを展開するかはまだ不透明な時期です。

かつ少ない自己資金からのスタートであったため、悠長に考えている暇もありません。まずはキャッシュが尽きないように自分が得意とする領域で日銭を稼ぎつつ、試行錯誤を繰り返す日々。はじめは「暮らし方」領域から入ろうかとtoC向けサービスも検討しましたが、そこから繋がるビジネスインパクトが薄くて発展性に欠けたりなど、なかなか突破口が見えない日々が続きました。



夜な夜な手伝いにきてくれた現取締役

そんな中、また一つ運命的な出会いがありました。現取締役の田久保です。当時、総合情報サイト『All About』を運営する株式会社オールアバウトの最年少マネージャーとして大活躍中だった彼を、知人が二人とも絶対気が合うと思うからとのことで紹介してくれました。

蓋を開けてみると、いままで触れてきた業界などは全然違うにも関わらず、見ている方角が驚くほどドンピシャですぐに打ち解けました。ただ性格はぜんぜん違うため、もしかすると学生時代に会っていたら友だちになっていなかったかもしれません(笑)。

僕がリアル方面からよりソフトな領域への展開を考えていたのに対して、彼はウェブ方面から何かリアルな事業を展開できないかと考えており、お互いの強みを活かしつつどんな風に進めていくと良いのかと夜な夜な考えていました。ヒントを探しに軽井沢に行ったり(このきっかけが、実は今ヒトカラメディアでやっている軽井沢事業につながります)、今のミッション・ビジョン設定や、ビジネスモデルの考え方に行き着くための種を彼と一緒に考えるようになりました。



ジョインを決めてくれた歩道橋の上

田久保と一緒に仕事ができたらヒトカラメディアとしてやりたいことに実現にグッと近づくと確信していました。ただその時の会社には何も形になっているものはなく、なんならキャッシュも全然なく、想いしかありませんでした。そして彼がオールアバウトにすごく思い入れがあり、期待されている身でもあることも知っていましたが、もうここはストレートに「一緒に仕事をしよう!」と誘いました(今考えるともうちょいマシな口説き方あった気がしますが……笑)。ただその時はスパっとした返答はもらえず、その後も仕事を手伝ってもらっていました。

そして忘れもしない2013年12月の冬の夜、その日も彼に手伝いに来てもらっており終電ということで一緒に駅に向かう帰り道、渋谷警察署側の246号線にかかる歩道橋を渡っている最中、田久保から「決めたよ」という言葉をもらい、ついに一緒にやることになりました。この時、めちゃくちゃ嬉しかったのを未だに覚えてます。しっかりと考えて覚悟を決めてきてくれたことに本当に感謝してます。


ついに1人孤独な100坪ビルからの移転

こうしてようやく心強いメンバーのジョインも決まり(引継ぎの話もあり結局そこから入社までには6ヶ月もかかったのですが……)、その次のビルもまたこれもご縁でたまたま、とあるビルオーナーの息子さんと仲良くなり、そのビルの居抜き区画を貸していただくという幸運に恵まれ費用を抑えての移転ができることとなりました。

100坪ビルの最終日前夜、田久保と二人で「オフィスでテント泊なんて体験、もうしないだろうし最終日は泊まっていきますか!」と盛り上がり、仕事に区切りをつけてから池尻大橋の銭湯に行き、お世話になったテントの前で二人飲み明かしました。男二人で怪しすぎますが、ここから、今のヒトカラメディアが生まれています。改めて振り返ってみると感慨深い。
新オフィス(現時点で入居しているオフィス)に移って早々にも大きなドラマがありました……が、それはまた別の機会に書きます。



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