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元厚労省職員の私がなぜフローレンスへ?~政策提言スペシャリスト・米田有希の挑戦~


今年4月、「こども家庭庁」が発足しました。「こどもまんなか社会」の実現に向けて、子どもの福祉や家庭への支援が拡充することが期待されています。また、少子化問題が深刻化していることを受けて、岸田内閣が「次元の異なる少子化対策」試案を打ち出しました。

実は、政府の少子化対策には、フローレンスが独自に事業として実践し、政策提言を重ねてきた政策が、いくつも取り上げられているのです。

・「こども誰でも通園制度(仮称)」

・「妊娠期からの伴走型支援と産前・産後ケアの拡充」

・「社会的養護、障害児、医療的ケア児等の支援基盤の充実とひとり親家庭の自立支援」

・「保育園の75年ぶりの配置基準改善と更なる処遇改善」

特に、「こども誰でも通園制度(仮称)」については、保育園や幼稚園に通っていない未就園児、いわゆる「無園児」家庭が置かれている過酷な状況がメディアでもたびたびクローズアップされ、世間の注目を浴びています。

しかし、今から1年半前、フローレンスがこの課題を国に訴えたとき、全く響きませんでした。誰も知らなかった課題を、いかにして政策で取り上げられるまでに推し進めてきたのか。今回は、フローレンスの「社会を変える」をリードする代表室メンバーをご紹介します。

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みなさん、こんにちは。代表室の米田です。私は、人が生まれてから死ぬまでの人生全般に関わる仕事ができることに魅力を感じて厚生労働省に入省しました。日々大量の業務に追われる日々でしたが、「制度をこう改善した方が助かる人が増えるのではないか?」と思ったら上司に提案して、改善する取り組みをしていました。

ただ、職員が激務に追われる職場では、余裕がなく、何かを改善することにパワーをかけることをよしとしてもらえないこともしばしばでした。その一方で、外部の企業・団体からの提言があれば、制度が改善されやすいということは実感していました。

厚生労働省の仕事は学びが多く、やり甲斐もありましたが、子どもを出産後、仕事と育児の両立が困難で、心身ともに疲弊してしまいました。周りが夜遅くまで働いている中、部署で自分だけが定時で仕事を終わらせて帰るのはどうしても無理がありました。

そんなとき、フローレンスに出会ったんです。

最大限のパフォーマンスを引き出す職場環境

私の今の働いている姿を見て、夫が「楽しそうだね」というんです。

在宅勤務が増えて、途中で抜けて子どもの保護者会に出るといったこともできるので、子育てしやすい環境になったということもありますが、精神的なものが大きいです。

とにかく、みんなが優しい。何かしたら「ありがとう助かったよ」と言ってもらえるし、困ったら周りが競うように助けてくれる。家族優先、が共通認識にあって「みんなで子育てをする」を、フローレンスは職場でも実践している。心理的安全性が保たれているからこそ、一人ひとりが最大限にパフォーマンスを出せているのだと思います。

仕事がとにかく楽しい。成果が出たときに、仕事の仲間と「ウェーイ!」ってなること、普通はなかなかないですよね(笑)

培ってきた経験が、フローレンスの強みに

公務員として働いていたときには、自分は他で役立つスキルが何もないと感じていたので、公務員の経験が外にでたらこんなに活かせるものだったということに、自分でも驚いています。

私は今、政策提言、事業開発、経営企画の3つのチームのマネージャーを務めています。とくに、政策提言では、官僚や政治家にどんな資料でどう伝えたらわかりやすいのか、提言を予算に反映させるにはどのタイミングで誰に要望するのが効果的なのかを考えて動いています。また、厚生労働省時代に培ったノウハウを最大限に活かして、社内で勉強会を開くといったこともしています。

1年前は相手にされなかった「無園児」の課題

「骨太の方針2022」に、フローレンスの提言が4つ入りました。骨太の方針は、日本の経済財政にかかわる基本方針で、国が重点的に行っていく政策が記載されています。そこに載るということは、予算もつきやすくなり、実現にむけて動き出していくことを意味しています。制度化が一気に進む、という点で、とても重要なんです。

たとえば、「みんなの保育園」構想。

専業主婦世帯など、就労しておらず保育の必要性認定のない家庭は、どこにも子どもを預けられず孤独な育児をしていて、ときに虐待につながってしまうという課題があります。週1~2回でも定期的に保育園に預けられるようにすることで、孤独な育児ではなくなります。それに、乳幼児期から保育士やお友達と関わることは、子どもの発達にもプラスの効果があります。

この「みんなの保育園」構想は、今でこそ「こども誰でも通園制度(仮称)」として国が進めるメイン制度になっていますが、1年半前に提言を始めたときは全く響きませんでした。

国会議員からは、「専業主婦世帯にそんなニーズがあるのか?」「予算はどうするのか?」と言われ、全く動いてもらえませんでした。

提言の根拠となるデータが足りなかったのです。

そこで、株式会社日本総合研究所と組んで全国調査を実施し、「無園児家庭は、より孤独感を感じており、多くに定期保育のニーズがあること」「少子化する中、そんなに膨大な追加予算はかからないこと」を数字で出したのです。さらに、記者会見を開いて、孤育てでギリギリまで追い詰められている無園児家庭の現状を、生の声で訴えました。

そうすると、必要性が認識され、応援してくれる政治家が現れたのです。

しっかりとした裏付けとなるデータの重要性について、改めて認識させられました。

社会で声をあげることが、政治を変える一歩になる

実は、「骨太の方針」に入っただけでは社会はすぐに変わりません。でも、世の中に騒がれると、政治家は動かざるをえなくなる。一人ひとりが声をあげて、政治を動かしていくことが大事なんです。

2022年9月に、通園バスでの幼児置き去り死事件が起きたとき、あれほど短期間に安全装置設置を義務化できたのは、署名活動などを通じて寄付者の皆さんをはじめ、多くの方が賛同して声をあげてくれたおかげです。

次の世代に手渡したい、新しい「あたりまえ」

私は、今の子どもたちが大人になったときに、今の私たちが苦労していることを残したくないと強く思っています。

教育格差、体験格差など貧困による格差が叫ばれて久しいですが、生まれた家庭によって子どもの将来が決まってしまうようなことはなくなって欲しいし、長時間労働を強いられる男性の働き方も絶対に変えなくてはいけません。男性が仕事で女性が育児といったカルチャーを変えて、女性が犠牲になって家事育児を一人で背負わされている孤独な育児もなくしたいと思っています。

寄付者の皆さんの力を必要としています

政策提言チームは、コスト部門です。政治家に受け入れてもらい、制度化できて社会がよくなっても、フローレンスがお金をもらえるわけではありません。

未来を根本的に変えるには、政策提言をしていくことは必須だと思います。けれど、エビデンスを作るための調査にはまとまった費用が必要ですし、私たちの活動にもお金が必要です。子どもたちにより良い未来を渡したい、そう応援してくれる皆さんからの寄付があるからこそ、継続した活動ができているのだと、とても感謝しています。

私たちは、将来の子どもたちが生きやすい社会を、間違いなく創っていきます。ぜひ引き続き寄付で応援してください。

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▼寄付についてはこちら

https://florence.or.jp/donate/

今回ご紹介した米田がマネージャーを務める代表室では、事業開発分野のプロジェクトマネージャーを募集しています。

一緒に社会を変えたい!と思ってくださった方は、ぜひ「話を聞きに行きたい」ボタンからエントリーいただけますと幸いです!

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