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外コン・外銀出身者による座談会、全7回シリーズの5回目です。
◆守屋 智紀(もりや・ともき)
慶應義塾大学法学部法律学科卒、早稲田大学大学院経営管理研究科(MBA)修了。大学卒業後NTTドコモに入社、IR・経営企画等のコーポレート部門で全社戦略策定及びその対外コミュニケーションに従事。その後、戦略コンサルティングファームのベイン・アンド・カンパニーに入社。コンサルタントとして数多くの業界における全社・事業戦略策定、M&A関連、新規事業創出等の幅広いプロジェクトに従事、また新卒採用チーム・人材育成チームリーダーとしても活動、2020年シニアマネージャー。2020年2月よりエクサウィザーズに参画、経営企画部長として全社戦略策定、機関運営、資金調達、上場準備等をリード。学生を中心とした若者のキャリア形成支援のため、講演・講座の実施、記事執筆等も行う。
◆羽間 康至(はざま・こうじ)
京都大学工学部物理工学科卒、情報学研究科修了。教授・助教との研究室の立ち上げから参加。第一三共・新日鉄住金・SONY等の企業との共同研究を通じて、多変量解析・機械学習手法を用いた製造プロセスにおける品質予測・異常検知モデルの研究開発に従事。2015年にA.T.カーニー株式会社へ新卒入社し、製薬・医療機器・自動車・重工業・電子電機・消費財・総合商社などの業種にて、国内外の事業戦略立案と事業開発の協業、オペレーション改革、企業再生等に従事。その後、エクサウィザーズに入社し、医療ヘルスケア領域の事業責任者を担う。
コンサルではどのような観点で評価していますか?
守屋:
コンサルが面接でよく評価する観点は、大きく3つです。1つめが問題解決力、2つめがコミュニケーション、3つめがキャラクターです。問題解決力は、構造化などの論理的思考ができるか、構造化の筋が良いか、ラフに規模感を計算するための仮説思考などを見ています。コミュニケーションは話している内容の分かりやすさだったり、グループの中でのコミュニケーションなどです。キャラクターについては考えることがそもそも好きか、入社後に早く成長できそうか、人からのフィードバックをもとに進化できそうか、あとはファームごとのカルチャーフィットなども見ています。これらの観点を見るために、ESや筆記テスト、ケース面接をしてグループディスカッション、インターンというプロセスになっています。なのでケース面接だと問題解決力や1対1のコミュニケーション、それがグループディスカッションなどになると、チームでのコミュニケーションや成長の伸び幅などを見ている形ですね。
エクサウィザーズとコンサルで、採用における評価視点の違いはありますか?
羽間:
似ている部分とまったく違う部分があります。エクサウィザーズは法人向けのサービスを事業のコアとして行っているので、問題解決力は近しいものがあります。大きい産業の問題をどう解決するのかというのは我々も行っていて、ベースのスキルとして必要です。またコミュニケーションについても、企業の経営層とコミュニケーションができるかどうか、柔軟なキャッチボールができるかというのも見ています。カルチャーに関しては、スタートアップなのでその環境に飛び込んでこれるマインドセットがあるかどうかですね。エクサウィザーズには我々の行動指針や価値観を示すミッション・バリュー・クレドがあり、その観点でも見ていますね。例えば、バリューはEmpathy、Evolve、Executeの3つの柱があり、課題に対する共感力やその課題を解くために進化していけるか、その進化の加速度を高めていけるか、そして物事を最後までやり切れるかどうかという点です。クレドに関してはESにも書かれていますが、クレドに沿った行動がとれそうかというのも大切です。なのでスキルはもちろんですが、コンサルよりもよりカルチャーにフィットしてビジネスを作れるかどうかを基本見ていきますね。
守屋:
コンサルはプロジェクトにアサインされるのがベースケースですが、エクサウィザーズでは自分でどのような課題を解きたいのか、そしてその課題を解くために周りの人を巻き込んでいくというのが必要だと思います。
ケース面接やグループディスカッションなど実践的な選考はどのような形で進んでいきますか?
守屋:
一般的なケース面接の例として、とあるプロダクトの市場規模についてのフェルミ推定と、その売上向上の施策を考えるという課題を想定してみます。
フェルミ推定のファーストステップでは、そのプロダクトの市場をどのように分解するかというところを見ています。次に前提を置いて計算していくステップでは、皆さんが持つ世の中の相場感というものを見ています。そこがすごく偏った答えだと、市場をしっかり見れるのか不安に思ったりもしますね。
施策については、短い時間の中でどう考えられるか、どう思考のとっかかりを作っているかなどが最初のポイントになります。その中で見ているポイントは大きく3つです。1つめはMECEに考えられているか、2つめはそれが筋良く切られているか、3つめはフィードバックをふまえながらより良い答えに発展させられているかです。その業界をふまえ自分なりの解像度をもった施策を考えられるかということが重要ですね。それをどうやるのかだったり、本当にその市場にとってそれが大事な要素なのかということを考えられるかを見ていますね。
羽間:
いわゆる3C分析や4P分析といったことは、今の議論に全部含まれています。知識としてビジネスのフレームワークを知っておくのは大事なことですが、フレームワークをそのまま言ってしまうと全然考えていないと思われてしまう可能性があります。とにかく仮説から入り、抽象化しそこから広げていくという順番が大事ですね。
守屋:
フレームワークで分解するのではなく、仮説から1つ上の論理段階にあげた時にプロダクトの話をしているよね、だから横に価格やプロモーションがあってこの業界だとここが重要だよね、というような思考としてフレームワークを使うのは良いと思います。フレームワークから始めてしまうとそれが正しいフレームワークなのかという話になるので、仮説から始めるのが一番です。
羽間:
今の仮説思考はコンサルでも大事ですが、プロダクトや事業を立ち上げていく上でもとても大事です。すべてを網羅的に調べて意思決定をするのは基本的に不可能なので、いかに筋が良い仮説検証ができるか、速く仮説を立てられるかというのはすごく大事ですね。
ケース面接に向けてどのように準備すれば良いですか?
羽間:
個人的には、自分でやっていることや好きなことに対して同じようなケースを考えてみることがおすすめです。例えば部活だったら、その競技人口が世界に何人いるのか、その競技で日本が一番になるためにはどうすれば良いのか、自分の大学が日本一になるためにはどうすれば良いのかなどを考えてみることですね。お昼ご飯に食べたラーメン屋さんの売上と利益を予測するといったことも良いと思います。
守屋:
自分の好きじゃないことを意図的にやる機会を作るという意味では、広告がおすすめです。電車の中吊り広告やテレビCMなどなんでも良いのですが、自分で選べないことに対して考えると、分からない業界なので想像力を働かせて仮説を考えなくてはいけないですよね。またしっかりした広告であれば一定の仮説のもとに作られているので、どのようなターゲットに何を伝えようとしているか、それはなぜなのか、本当にそうなのかというように思考していくと引き出しが広がっていきます。
面接において、どのようにキャラクターをとらえようとしていますか?
羽間:
その人の持ち味を出せているかどうかや、コンサルに向いてる人かどうかですね。ただコンサルに全然向いていないと思った人に過去にあまり出会ったことはないので、そんなにクリティカルな要素ではないかなと思います。
守屋:
性格は皆違うので、自分の性格を上手く活かしたり、ネガティブになってしまう部分を防げたりするかどうかということが大事ですね。例えば外向的か内向的かという話について、グループワークで全然考えがまとまっていないのに良く喋るタイプの人も、逆に全然喋らないタイプの人もいますよね。その性格自体は全然良いのですが、ただ外向的であれば、考えをまとめないで喋るとグループにとって迷惑がかかるのでしっかり考えてから話すようにしたり、喋りにくい人も大事なところではしっかり話したりすることなどができるかが大事だと思います。
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