CTOの三澤です
燈株式会社の共同創業者であり,CTOの三澤颯大と申します。東京大学工学部計数工学科を卒業した後,同大学大学院情報理工学系研究科にも在籍しています。燈では技術的な方向性の策定・開発インフラの整備を主に行なっています。
燈は特定の〇〇という技術に専門・特化したベンチャーではありません!
燈株式会社では,現在建設業をはじめとする「建物」に関する以下のような技術を扱っています。
- 画像認識
- 施工現場の画像解析には欠かせない技術
- 弊社のSaaSであるDigital Billderに用いられる文字認識・表認識
- 自然言語処理
- 建設では扱う様々な文書を解析・情報抽出を行う
- 点群処理
- 3次元の物体を認識するのに現代では不可欠な対象
- 物理シミュレーション・制御理論
- 建物の設計における様々なシミュレーションに対してソリューションを提供しています。
- 建設の様々な設計図の解析
- テキストと図面の集合体である設計図書を解析し,構造化する
これらそれぞれに専門チームがあり,そしてそれらそれぞれが単体の研究開発型ベンチャー並みの開発能力を有しています。ここに挙げたのはあくまで一部抜粋となっており,枚挙に暇がありません。個別に興味がある方は是非ともお話ししましょう。
以降では,なぜ燈は様々な技術を扱うのか,どのようにしてそれぞれを先進的なクオリティと圧倒的な速さで進められるのかについてお話ししようと思います。
バーティカルに技術を展開し,本当の価値をお客様へ
なぜ特定の技術にこだわらないのか - CEO野呂と立てた創業期唯一の仮説
上述した通り,燈では様々な技術を扱っていました。一方,ほとんどのAIスタートアップは強みとなる技術を掲げているように思います。技術をより絞るともっと磨かれるのではないか?という意見を持たれた方もいるかも知れません。しかし,自分はそう思っていません。
燈は,技術ではなく解く課題を絞ることによってとても精巧に問題を定式化でき,必然として同じ課題において周りが追随できない技術の練度・精度を可能にしているのです。
図1. バーティカルに尖ることが技術をより尖らせるという図
実は,東大発の研究開発色の強いベンチャーでありながらバーティカルに絞ることこそが逆説的に技術を抜きん立たせるというのが,創業期にCEO野呂と盲信した仮説でありました。
したがって,非常に高いクオリティとスピードで技術を社会実装することができるわけです。
知的好奇心に富んだエンジニアが存分にアウトプットできる機会
燈では様々な技術チームがありますが,それぞれが単体で研究開発ベンチャー並みの力を有していると話しました。それぞれのチームにはその分野を専門にしたエンジニアが在籍しています。
例えば,画像認識や自然言語処理などのチームでは情報理工学を背景に持つエンジニアが多い一方で,物理シミュレーションチームには東大の物理工学科を背景に持つエンジニアを中心に研究を進めています。このように様々なエンジニアが在籍する一方,彼ら・彼女らには共通点があります。それは,とてつもない知的好奇心です。途轍もない速さでインプットする人たちに,豊富なアウトプットの機会を与えていることが,燈の技術の洗練に寄与していると言えるでしょう。
白熱する輪読会
燈では週に一回輪読会を実施しています。それぞれの技術チームのメンバーが興味を持った論文を発表する会を創業期から営んでおり,その後の質疑応答は毎回白熱します。異なる分野のメンバー同士が疑問をぶつけ合うのがとても興味深く「自分の専門の分野の似た技術では〇〇という傾向があるのになぜこの分野ではそうなるのか?」といった学会のような質問が飛び交います。この異文化交流が時には新たな技術や精度向上を呼ぶこともあります。まるで燈の中で小さなアカデミアが営まれているような構図です。
一年中開催のアドベントカレンダー
これも他に見ない燈独自の風習です。各エンジニアが業務や趣味でインプットしたことをどんどんアウトプットしていくカレンダーになっています。このカレンダーの大きな意義は,知識の所在が明らかになることでしょう。機械学習分野では無数に論文が発表されるため,一人で全てをキャッチアップするのは困難です。このカレンダーは単純にはドキュメント文化ともとれる一方,写実的に表現するならば燈という組織を一つの知的生命体と捉え,それを利用して最先端技術の世界を如実に記録しようとしています。
このアドベントカレンダーという営みは2021年10月に開始しましたが,2022年11月16日現在で240本の記事が投稿されており,前述の機械学習の諸分野はもちろんソフトウェアエンジニアリング・建築学・ロボット工学などの記事があります。
開発環境に惜しみなく投資する
先日の弊社VPoE丸尾の転職エントリーにもあるように,燈では2022年11月からAMath(アマス)*1と呼ばれるクラウドとオンプレハイブリッドのGPUクラスタを運用しています。これはメンバーの取り組んでいる技術や会社の成長を考慮して初夏の段階でいち早くクラスタの投資の必要性を説き,全力で投資をしました。
スタートアップはAWSやGCP,AzureなどのクラウドのスタートアップチケットでGPU計算資源を使う選択肢がありますが,我々はそれを選びませんでした。理由は,実験をするたびに高額なGPUのクラウド料金がかかることで稟議承認が必要になってしまい技術の成長が遅くなることを懸念したからでした。技術者が興味を持ったときに興味を試せない環境でテックベンチャーを名乗っていいわけがないわけがありません。開発環境への投資が燈の競争力の根源の一つであると経営陣が理解していることも,燈のスピードを裏付ける一つの要因でしょう。
*1 私が各GPUノードに数学者の名前をつけて呼んでいたことから,AKARI Mathematiciansを略してAMathとなりました。
さいごに
燈が創業1年半という早さでどのようにして様々な技術を高いクオリティで社会実装してきましたが,まとめると次のような感じでしょうか。
- 課題をバーティカルに絞ることで問題がより精緻化され,技術の検証から社会実装までが早い。したがって高速なPDCAサイクルを回すことが可能
- 知的好奇心に長けたメンバーがアウトプット・議論をする機会があり,相互作用によってより良いものが生まれる
- 開発環境に積極的に投資を行い,検証したい・すべきことにすぐに取り掛かることができる
燈はエンジニアのチャレンジする精神・文化を大切にし重んじています。他では感じられないスピードで技術の社会実装がしたいという方を全力で歓迎しています。
ご興味のある方はカジュアル面談をお待ちしております。