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金属加工の受発注プラットフォームを展開するキャディで、バックオフィスを担当する柿澤仁。彼は、銀行、監査法人でキャリアを積み、フィンテック業界では“ブロックチェーン会計士”として知られる存在でもあります。
「役員ポストのオファーを断って、条件が決して良いとは言えなかったキャディを選びました」と言い放った柿澤を魅了した、キャディのポテンシャルとはいったい?
これまでの経歴や、現在取り組んでいることを聞きました。
挑む課題の大きさと解像度の高さ、そして何よりも心揺さぶる情熱が圧倒的だった
――柿澤さんは、もともと金融業界のご経歴が長かったですよね。
そうですね。新卒でみずほ銀行、次に有限責任監査法人トーマツ、次にデロイトトーマツベンチャーサポート株式会社、その後にOmise Japan株式会社を経て、キャディに入社しました。
――歴史ある金融業界から徐々にフィンテックへ移っていったのですね。どんなきっかけがあったんですか?
トーマツ時代の業務は、上場準備中の会社の支援をしていました。3年で15社のIPO準備を担当し、社内でもトップレベルの案件数でした。
ちょうどその頃、ブロックチェーン技術に出会ったんです。「この技術は、世界を変える」と思い、いても立ってもいられなくなって本を読み漁ったり、その業界で働く人に会って話を聞いたり、情報発信したりしていました。監査法人の業務のかたわら、ブロックチェーン会計士と勝手に名乗ってとにかく動き回っていました。
上記でやっていたことが認められて、デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社のFinTechチームに異動に。そのあとはOmiseGOというブロックチェーンベンチャーでエンタープライズ向けの営業を含む事業立ち上げを1年半ほど担当し、合計で4年以上ブロックチェーンに携わっていました。
この頃には、ブロックチェーン業界でも広いコネクションができ、数社でアドバイザー的な関わり方も経験。運よく役員・事業責任者レベルのオファーもいくつかいただいていました。
――ブロックチェーンをきっかけに大企業からスタートアップへ移り、その後キャディへジョインしたと。引く手あまただったと思うのですが、ブロックチェーン業界を離れて未経験の製造業に飛び込んだのはなぜでしょうか?
「課題ドリブン」で働きたい、社会的なインパクトが大きいことをしたいという気持ちが強くなったからです。ブロックチェーン業界って、どうしても「技術ドリブン」になってしまいがちですし、私自身もそうなってたんですよね。本当に良いサービスを作るには、手法から考えるのではなく、どんな課題を解決するかから考えていくしかないと思っています。そのため、一度「課題ドリブン」な方向に振り切る必要があると考え、現状から脱するために会社を辞め、起業準備をしていたんです。フィンテック領域でのビジネスを考えていました。いろんなところで相談させていただいて、50人くらいの投資家やその事業の関係者・起業家等の方々に会い、「いけそうだな」という感触はつかめていました。でも、社会に大きなインパクトを生み出せる予感はしていなかったんです。「なぜ、自分がその事業をやるべきなのか」という理由も、見出せていませんでした。
そんな折に知人を通じてキャディのことを知りました。キャディの存在は私にとってはブロックチェーン以来の衝撃で、体中に電撃が走るような感じでした。
――キャディは、ブロックチェーン会計士にどんな衝撃を与えられたんでしょう??
こんなに大きく解像度が高い課題に取り組んでいるところは、なかなかないんですよ!
今までに200社以上のピッチを聞いて、勢いのあるベンチャー企業にも何社もハンズオンで携わってきましたが、キャディが解決しようとしている課題は桁違いに大きく、かつ具体的です。国内で120兆円の市場がある製造業の調達という分野で、製造業の受発注を中心としたプラットフォーマーを目指す。挑む課題は大きく、非常に難しい。けれど、そこに挑むことは正しい行いだと強く感じたんです。
――会社としてチャレンジする「課題の大きさ」に、魅力を感じたということですね。働くメンバーや社風にはどういう印象を持ちましたか?
経営陣が、柔軟でピュアだなと思いました。CEOの加藤はマッキンゼー出身なので、最初私は勝手に「プライドが高い人かな」と思っていたのですが、それは見当違いで。
人の意見を大切にしながら、柔軟にものごとを進めていく人だと思いました。
また、ミッションはもちろんのこと、「卓越」や「至誠」などのバリューも、従業員のみんなが社内のSNSで日常使いしているほど浸透しています。スタートアップ企業は未知のことをやっているので、判断をするファクトが十分にそろっていない状況で事業を進めざるをえません。ですから施策を間違えるのは仕方なくて、それを高速で軌道修正できるかが生命線なのです。キャディには、チームで同じ方向を目指しながらPDCAを柔軟かつ迅速にまわせる環境があります。
それに、代表の加藤が青臭く、人間臭く、良い意味でずうずうしい人間であるという点も魅力でした(笑)。入社前の打ち合わせで、「経理もやって、労務も、法務もお願いしたいな。柿澤さんできると思うので採用もお願いします。」っていう、無茶振りをしてくるくらい(笑)。挑む課題も私のミッションも圧倒的にチャレンジングで、かつ、加藤の人間味に心を揺さぶられてしまい、キャディに決めたんです。
キャディは、発注者も町工場もWin-Winな受発注プラットフォーム
――転職理由の「課題ドリブン」って、キャディは体現できていますか?ジョインしてみて、解決できていると思うことがあれば教えてください。
製造業の見積もり発注フローって、発注者にとっても町工場にとってもとても非効率なんです。現在の金属加工業界が抱えている問題がよくわかるエピソードをひとつご紹介します。
例えば、電車を作ろうとするとですね……ドアや座席などにおよそ1万点ぐらいの板金加工品が必要になります。そうするとメーカーの部品を調達(購買)する担当者は一人あたり1日400~500枚もの図面をさばかなければならないんです。
一点一点が特注品なので、本来であればその部品ごとに最適な加工工場を見つけられたら良いのですが、数が膨大なのでじっくり検討している時間はありません。ですから、馴染みの町工場に相見積もりを4、5社まとめてドンと依頼して、そこからさらに値段交渉をして発注します。これは、その担当者が置かれた状況下では「合理的」な行動ですが、最適な発注ではありませんよね。
品質・価格・納期において最適な町工場を選定し発注をすると、価格が1/2~1/4になるにもかからず、そうする時間も術もないわけです。見積もりを出す町工場側も、たくさんくる見積もり依頼に対して社長の工数の半分くらいを費やしてようやく対応してるんですが、最終的にはその8割は失注してしまうんですよ。
その上、町工場は売上の多くを1社に依存しているケースがほとんどで立場的に弱いため、赤字であっても受注せざるをえないケースもあるという状況です。結果この30年で約半数の町工場が廃業に追いやられていると言われています。
――キャディはどういうアプローチで、課題を解決していると思いますか?
発注者はCADDiに3D図面データをアップロードするだけで約7秒で見積もりを取得、そのまま発注までできます。実はその裏側では、最先端のテクノロジーと独自に蓄積したデータを使って、図面データを材料と製造工程に分解して最適なQCD(コスト・品質・納期)で製作できる町工場を選定しています。そして町工場側は黒字保証された案件を、相見積もりされることなく確定発注というかたちで受注できます。
今まで町工場の担当者が長時間時間を割かなければならなかった見積もり作成作業の手間がなくなりますし、自社の得意とする加工案件がくるため自社が強みをもつ領域にフォーカスできるのです。
キャディのサービスはまだまだ広げていける余地があります。将来的にはプラットフォームに蓄積されたデータを活かしてファイナンス支援も考えています。業界の常識にとらわれずに、新しいサービスをつくっていきたいですね。
非連続的な仕組みづくりで、組織を飛躍させる
――現在キャディでは、経理、労務、法務、総務、採用などのバックオフィス全般を担当してますよね。めちゃくちゃ幅広い!
そうですね(笑)。
お客さん側の請求書の発行、仕入れ先への支払い、給与・経費の支払い、試算表、決算書作成などの経理業務の傍ら、それらのプロセスの改善もおこなっています。
法務に関する業務は、知財関係や取引関係の契約書類チェック、コンプライアンス体制の整備などです。クリティカルなところは先回りして弁護士とやりとりをしながら進めています。
労務関連は1番作業が多いですね。雇用契約、秘密保持、社会保障関係の資料のやりとり、給料口座の情報、定期代、家族の保険証、など。キャディはいま内定者含め約40人ですが、今年の年末には100人を超える見込みです。月間7~8人ずつのペースで増え、アルバイトの雇用や既存の従業員の契約更新もある。そう考えると月々10件以上の作業が発生します。いまは、『スマートHR』を使ってその効率化を進めています。採用に関しても、多くの一次面談を引き受けています。
一般論として、管理系は守りの傾向にありますが、スタートアップは規模、人も急速に変化し成長していくので、常によりよい方向に改善していくのが私の仕事だと思っています。
――いままさに大きく変化しながら成長しているキャディですが、その中で感じている課題はありますか?
事業が急速にスケールしているので、それに対応して業務改善はもちろん、抜本的に改革する仕組みづくりが必要です。キャディは「3年で売上300億、従業員数500人」を目指しているので、このスピードと規模に対応するには「がんばって作業をする、連続的な改善をする」というレベルでは不可能です。例えば、振込の件数にしてもすごい勢いで増えていくので、既存のやり方の延長ではなく、飛躍する仕組み作りをしていかなければなりません。
より効率化していき「キャディのバックオフィスがスタートアップのベストプラクティスだ」と言われるようになったら嬉しいです。
――では最後に、どんな人と一緒に働きたいですか?
これまでのバックオフィスの概念にとらわれない人に来ていただきたいですね。マルチロールにやれる方がありがたいです。
先のキャリアはバックオフィスをベースにして、ファイナンスに行ってもいいし、セールスに進むのもあり。もちろん、バックオフィスを極めてもいいです。そういう環境で柔軟に挑める人、バックオフィスを超えて会社・モノづくり産業の未来のための仕組みづくりができる人と一緒に仕事がしたいです。お待ちしております!