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競合関係だった旧JapanTaxiと旧DeNAオートモーティブが事業統合して誕生した「Mobility Technologies(MoT)」。2020年4月に統合してから半年ほどかけて作り上げたMission/Vision/Value(以降、MVV)について、どのように生まれて、どう活用されていくのか?
代表取締役社長の中島宏に、MVVに込めた想いを聞きました。今回は後編としてValueについて聞いていきます。(前編はこちら)
クルマを支える4つの車輪のように、MoTをのせて走る4つのValue
ーーMoTにとってValueはどういう位置づけのものになりますか?大切に思っているポイントはなんでしょうか。
Valueを全員が意識することで働きやすい環境になったり、ビジョン・ミッションにまっすぐ向かえる組織文化になっていくと思っていて、まず本質的にそういったものになることを大切にしたいと考えています。その上で、行動規範として日々の業務での判断や評価など、幅広く使っていきます。
使われるものであることが大切なので、一回決めたからといって変えないということではなく、使われなければ短期で見直し、変えていってもいい。事業も組織としても日々進化しているので、どこかのタイミングでバージョンアップはしていくことになると思います。
ーーValueの4項目を車輪に例えたのはタクシーを意識したものですか?
いえ、4輪のものに限定するようなイメージはなく、どちらかというと記憶しやすさを優先したものです。最終的に4~6つぐらいの項目に絞り込むにあたって、覚えやすさと自動車関連の事業であるということからこういった表現にしています。
実は社内でも「4輪の事業に絞るという意図なのか」という質問を受けたので同じ説明をしたのですが、そうやって「4輪に限らないですよね」ということを確認しあえるカルチャーが重要だと考えています。
ーー両立しにくい概念の項目もあるようにも見えますが、相反する項目が出てきた場合、どのように捉えればよいでしょうか。
部分的に重なりのある概念や表現になってはいますが、ただちに相反する項目はないと考えています。どちらを優先すべきか悩む場面はあるかもしれないですが、その場合もどちらかではなくどちらも両立させる気概で追っていきたいし、そういうカルチャーにしていきたいですね。
40名を越える社員が議論に参加して生まれた「MoT 4WHEELS」
ーーValueの策定にはどんな形で社員が参加したのでしょうか?
希望者を募ったところ40名超の手が挙がり、7つのグループに分かれてワークショップでの議論を重ねました。また議論のファシリテーションとして、Mission・Visionの策定を推進してきた6名に加え、希望者10名程度を加えたワーキンググループを立ち上げ、策定に向けて推進してもらいました。
ーーかなり大規模なワークショップだったのですね。
ValueはMVVの中で一番日々の業務に近い存在なので、議論の段階から多くのメンバーに参加してもらうことで、より納得感のある実行性のあるもにしたいという意図がありました。
最終的に「MoT 4WHEELS」という形にまとめるにあたってはコピーライターに力を借りましたが、盛り込む要素についてはワークショップの議論で出てきたものを取り入れて決めていきました。
「三方良し」「コトに向かう」はMoTでも大事にしたい概念
ーー「全方良しを考える。」はJapanTaxi社が掲げていた「Sanpo-yoshi(三方良し)」に、「コトに向かって走れ。」はDeNAの「コトに向かう」に似た表現ですが、これは踏襲するという意図でしょうか。
社員にアンケートを取ったところ、JapanTaxi社の「Sanpo-yoshi(三方良し)」とDeNAの「コトに向かう」が最も人気が高く、「今後も大事にしたい」と考える人が多いという結果でした。ですからワークショップの議論でもそういった要素が残ってきたのだと思います。
ただ、そのまま使うのではなくMoTらしい表現にしたいと考える中で、「全方良しを考える。」については、「三方」だけではなくなってきていて、その定義もつけづらい中でより広く「全方」としました。「コトに向かって走れ。」に関しては、”コトに向かう”は非常にいい表現なのですが、それに”走れ"を加えることで、4WHEELSとも相まってMoTらしさやスピード感を表現しています。
ーー「全方良しを考える。」は総花的な表現にも見えます。「すべてに対して良しを目指すべき」というのは理想論にも思えますが、いかがでしょうか。
Visionを達成するにはMoTの事業がサステイナブルであることが重要です。そのためには、どちらか一方を突き詰めてどちらかを捨てるということは簡単にはできません。それこそ”針の穴に糸を通す”ような難しい判断を繰り返していかなければならない。例えば、ユーザーのニーズが「できるだけ低価格でタクシーに乗車できること」だったとして、もしそれだけを実現したら乗務員にしわ寄せがいってしまい、乗務員の生活がままならないということになってしまうかもしれない。それではサステイナブルにはならないので、いかにして「乗務員も事業者もMoTもサステイナブルな状態で、低価格でタクシーに乗車できる状態」を作るのかを考えぬける組織でありたいと考えています。「最大公約数を求めてください」ということではないのです。
ーー「コトに向かって走れ。」に添えられた文章を読むと、「セクショナリズム」という言葉が出てきます。出身会社によるものなど、そういった問題が実際に起こっているのでしょうか。
まずMission・Visionを達成するためには純粋に「コトに向かう」ということや、スピード感を持ってそれに取り組むということが大変重要です。一方で、急に二つの組織が一緒になって、しかもコロナでコミュニケーションが取りずらい環境で新会社が始まるという厳しい状況の中で、一部の部門ではギクシャクしてしまうような場面がありました。
今あるそういった組織の課題も、経営陣の中に隠すのではなく、オープンにしてきちんと向き合っていきたいと考えており、あえて盛り込みました。これからMoTに入ろうと考える方が聞くと警戒されてしまうかもしれませんが、組織の問題は多かれ少なかれどんなチームにもあるもの。むしろそういったこともこうして棚卸しして向き合っていくことを前向きに受け止めていただければと思います。決して、出身会社の違いで二つに分かれてギスギスしているということではありません。あくまで部分的に起こった問題です。
「共闘」「利益」……引っかかりのある表現が盛り込まれたわけ
ーー「共闘が一番燃える。」も、二つのカルチャーが一つになったことを強く意識した表現だと思いました。
「戦う」という表現は良くないんじゃないかとか、「敵同士」「共闘」というワードは入れるべきなのかどうかとか、かなり悩みました。ただ、社外の方から見ると「敵同士が合併して、カルチャーや雰囲気は大丈夫なんですか?」という疑問があるのは事実。実際は、出身会社による緊張関係みたいなことは現在は解消していますが、先ほどお話しした新たな問題は時々目にするので、今度は部門を横断して共闘するということを意識したいし、社員にも意識してほしいと考えました。あえてちょっと引っかかりのある表現にしています。
社内でも、「JapanTaxiとMOVはライバルではあったが敵だとは思っていなかった」「社外の方も目にするValueの中であえて対立関係があるような表現は避けるべき」という意見もありました。でも先ほども申し上げた通り、社外の方が気になるポイントであることは間違いないですし、それに対してどう考えているかをオープンにして、きちんと向き合うことが大切だと考えています。
ーー「挑戦と利益がエンジン。」も思い切った表現のように感じましたが、どういった経緯で決まったのでしょうか。
経営陣で議論した結果、いまのMoTにとって「コスト意識を高く持つ=利益を出して黒字化を目指す」というのは重要な要素であると考えました。資金調達がうまくいっているのは大変ありがたく、良いことではあるものの、働くメンバーにとって「潤沢にお金がある状態」が出発点になってはいけない。そういった意味で、Valueにも入れて常に意識する環境を作りたいと考えました。これに関しては社員の議論からは出てこなかった要素ですが、経営陣の意志として追加しています。
ただし、利益を追い求めるためにチャレンジをしないということではない。Visionを実現させるためには当然利益も必要ではありますが、チャレンジもあきらめず、同時に追って実現したいというのが背景にある想いです。ロマンとそろばんで、それらは両立していかないといけない。それが我々らしさだと思いますし、そうありたいと考えています。
ーー最後に、これからMoTに入る、新しく仲間になってくれる方へのメッセージをお願いします。
コロナで生活が大きく変わったり、技術的にも様々な新しいものが出てくる激動な時代のなかで、今MoTに入社するということは、「20~30代の数年をMoTで過ごす」という「人生の一部を使う」重要な決断です。上手くいくことばかりではないですし、様々な困難が次々に現れるようなこともあると思います。そんな時にVisionの実現に向かってMoT 4WHEELSを体現できるのは、「Missionに共感している人」だと思っています。
ぜひ、Missionに深く共感いただける方に仲間になっていただいて、実現に向けて一緒にがんばっていきたいですね。
※掲載内容は2021年1月時点の情報です。