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複数のステークホルダーと連携し、プロダクト開発を推進。「クイックマート」を支える企画職

この記事は2024年11月6日にエンジニアブログに掲載した内容を転載しております。

株式会社出前館(以下、出前館) とLINEヤフー株式会社(以下、LINEヤフー)は、生鮮食品や日用品などを最短30分で届ける「Yahoo!クイックマート」(以下、「クイックマート」)の提供を2024年8月より開始しました。出前館のラストワンマイルの配達網とLINEヤフーの顧客基盤・集客力を組み合わせ、ユーザーに新たな価値を提供します。

「クイックマート」の開発プロジェクトにおいては、企画職のメンバーたちが高い価値を発揮しました。出前館の企画職は、各ステークホルダーと連携しつつ、課題抽出や新機能・機能改善のための企画立案、要件定義、仕様策定などの業務を担当します。

プロジェクトでの取り組みについて、小売り事業者向けプロダクトの企画リードである森本厚志とプロダクトディレクターのJang YunSeong(ニックネーム:LOGI)に聞きました。

目次

  • 出前館とLINEヤフーの強みを組み合わせ、価値を創出する
  • フードデリバリーとは異なる要件に対応するため、新システムを構築
  • 日韓間でのコミュニケーションを円滑に進めるために
  • 他社ではなく、出前館の企画職として働く魅力はどのような点にありますか?
  • 最後に、企画職への応募を考えている方にメッセージをお願いします。

出前館とLINEヤフーの強みを組み合わせ、価値を創出する

「クイックマート」のプロジェクトが発足した経緯からお聞きします。

LOGI:現在、グローバルにおけるコマース市場の潮流には2つのテーマがあります。ひとつは、海外の複数の国へ商品を販売するクロスボーダーEC。もうひとつは、食品や日用品などの商品を、短時間で消費者に即時配達するクイックコマースです。

この後者を実施する方針になり、私は過去に韓国の代表的なe-コマース企業COUPANGでのグローバル新事業のサプライチェーン統括やNAVERにおけるコマース新事業の立ち上げ経験があったことから、プロジェクトに合流しました。

森本:私はもともとLINEヤフーで「Yahoo!ショッピング」の企画職のマネージャーを担っていたのですが、食分野のライフインフラである出前館の仕事に興味があって出向してきました。「Yahoo!ショッピング」の知見を活かし、「クイックマート」のプロジェクトに参画することになったのです。

「クイックマート」は出前館における事業の中核となるくらいに、売り上げを伸ばすことを目指しています。企画職はこのプロジェクトにおいて必要な機能を検討し、さまざまな職種のメンバーたちと連携しながら実現していきます。

LOGI:プロジェクトの初期フェーズでは、競合他社の特徴や私たちが持つ優位性などを調査し、サービスの方向性について考えました。その結果、出前館とLINEヤフーの強みを組み合わせたサービスを作ろうということになりました。

出前館はフードデリバリーで築いた配達網があり、日本全国どこでも配達ができます。一方、LINEヤフーは複数のサービスの顧客基盤・集客力があり、すでに「Yahoo!ショッピング」で数多くの商品を扱っています。それら両方の要素を組み合わせて、日本のライフインフラになるようなサービスを目指しました。

フードデリバリーとは異なる要件に対応するため、新システムを構築

プロジェクトにおいて、印象に残っている事例はありますか?

LOGI:ひとつピックアップすると、アーキテクチャ構築です。設計方針についてエンジニアとともに検討した結果、フードデリバリーのサービスとは全く異なるシステムが必要だという結論が出ました。

理由は複数あるのですが、ここでは一部キャンセルという機能についてお話しします。これは、注文が入った際に特定の商品が品切れになっていた時に、その商品の注文だけをキャンセルにするというものです。たとえば、コンビニでビールとスルメを頼んだ場合、スルメがその店舗になかったならばビールだけを配達します。

この機能は、フードデリバリーにおいてはほとんど必要ありません。なぜなら、飲食店で特定の料理だけ提供できない状況というのは、めったに起こらないからです。しかしクイックコマースの場合を考えてみますと、自分の注文と同じタイミングで他の顧客が店舗に足を運んでその商品を購入したり、他のデリバリーサービスから注文されたりして、急に店舗の在庫がなくなってしまうことはよくあります。実際に、クイックコマースでは20%くらいの割合で一部キャンセルが発生します。

従来のシステムはこうした機能を想定しておらず、システムを修正するとしたら多大な工数がかかります。このプロジェクトはスケジュールもかなりタイトだったため、新しいアーキテクチャを構築して開発速度を向上させるべきだと考えました。この事例において、私は複数のステークホルダーに対して、なぜアーキテクチャを新規構築する必要があるのかを説明し、プロジェクトを推進する役割を担いました。

既存のアーキテクチャは各種の機能が密結合になっているモノリシックなアーキテクチャだったのですが、新しいアーキテクチャは機能単位でシステムを分割するマイクロサービスアーキテクチャになっています。

そのアーキテクチャにしたことで、どのようなプラスの影響がありましたか?

LOGI:システム修正のスピードがかなり速くなりました。具体例としては、サービスのローンチ後に改善すべき点が見つかり、いくつか機能を急いで修正する必要に迫られたことがありました。もし従来のアーキテクチャのままならば、さまざまなコンポーネントが密に関係し合っているため、修正に数カ月はかかっていたはずです。しかし、新しいアーキテクチャではそれらの機能修正を1週間や2週間、最短数日で終えることができます。 それ以外にも、システムが別々に動作する構造であるため、障害が発生した場合、全体の影響度が小さくなる効果もあります。

日韓間でのコミュニケーションを円滑に進めるために

森本さんからも、事例についてお聞きします。

森本:複数のステークホルダーとのコミュニケーションを活性化した事例についてお話します。「クイックマート」は、リテール領域の経験が豊富にあるLOGIさんに加えて、初期フェーズでは韓国の企画職やエンジニアが中心になって推進し、後に日本側も力を合わせて実現をしたプロジェクトです。日韓を合わせると、最も多い時期にはプロジェクトの関係者が100人ほどいました。2024年8月にリリースすることはトップダウンで決まっていたので、スピード感を持ちつつも品質を保証して開発を行うのが重要でした。

私が参画したタイミングでは、画面の外部設計で似たような機能の仕様を各担当者がバラバラに定義しているとか、日韓間でのコンセンサスがうまく取れていないといった課題が見受けられました。そこで、状況を改善するため早急に手を打つことにしたのです。

まず、日韓合同で議論を行う場を毎日設定しました。通訳も確保し、決まった時間に韓国と日本の企画職やエンジニアが一堂に会して、特定のテーマについてディスカッションして方針を決めるというやり方をしました。Slack上でのやりとりの場合、ニュアンスがよくわからなかったり、サービスを作るうえでの熱量が伝わりにくかったりするので、対面に勝るコミュニケーション手段はないと考えたためです。

また、仕様書の執筆ルールを定めたり、画面の似たような機能については共通仕様の定義のための専用のドキュメントに記載するルールを設けたりしました。認識のズレや仕様のズレを極力排除しつつ、開発を円滑に進めることを意識しました。他にも、社内のシステム運用担当者に具体的な画面イメージと出力されるデータを見せながらシステムの説明をして、サービスインの前に運用のイメージをつけてもらいました。

この事例が典型的な例なのですが、企画職のメンバーは他の職種や複数の国をまたいだコミュニケーションの機会がかなり多いです。それぞれの人の意見や考え、各種の施策の利点・欠点などをうまく整理しながら、ものづくりを進めていく職種です。

規模の大きさとスピード・裁量の両方がそろっている

他社ではなく、出前館の企画職として働く魅力はどのような点にありますか?

森本:出前館は「地域の人々の幸せをつなぐライフインフラ」というビジョンを掲げています。電気やガス、水道のように、世の中にとってなくてはならない存在を目指しています。出前館には、このビジョンに対する思いを強く持っている人が多いです。

行動指針のなかにも「熱を通わせる。」というフレーズがあるのですが、そのくらい情熱のあるメンバーたちとプロダクト開発に関われるのが、出前館で働く楽しさだと思います。また、先ほど述べたように多種多様なステークホルダーと難易度の高いプロジェクトを進めるので、課題解決力もかなり鍛えられます。

LOGI:出前館の企画職として働くうえで思いつく魅力は2つあり、まずはサービスの規模です。フードデリバリー領域において、出前館のサービス規模は日本で1位・2位を争うほどです。さらに、「クイックマート」は「Yahoo!ショッピング」まで関わってきますので、これほどの規模のサービスに携われる会社は日本でもほとんどありません。

もうひとつの魅力は裁量やスピードです。出前館は扱っているサービスの規模が大きいにもかかわらず、スピーディに意思決定して行動する文化があります。そして、個々人にかなりの裁量が与えられます。

基本的に、スタートアップ企業は動きがダイナミックですが、サービスの規模はそれほど大きくはなく経営リスクもあります。大企業は規模が大きく安定的ですが、意思決定に個人が関われる部分がそれほどありません。この2つの良い部分をどちらも経験できるのが出前館、そして「クイックマート」のプロジェクトだと感じます。

さらに、グローバルな開発体制であり、多様な人々に出会うことができます。私自身もいろいろなメンバーと対話するなかで、みんなが違った考え方や強みを持っているのだなと、強く感じます。余談ですが、私がキャリアのなかで最も成長したのは、COUPANGで働いていたときでした。

韓国の会社なのですが、アメリカで上場しており、かつ経営方針をAmazonに倣っていて社員の半分くらいが外国籍の方でした。異なる国籍や文化の人々と働くというのは大変な部分もありますが、その経験を通じてたくさんの学びを得られたように思います。同じような経験を、出前館ならば積めるはずです。

最後に、企画職への応募を考えている方にメッセージをお願いします。

森本:「クイックマート」は立ち上がったばかりですので、まだまだ伸びしろややりたいことがたくさんあります。自分の企画でサービスを成長させているという実感を持てるので、関わっていて楽しいです。

グローバルな環境ですので、韓国と日本でコミュニケーションを取りつつプロジェクトを推進する経験もできます。私はLOGIさんと毎日会話をしていますが、優秀ですし一緒に働いていて楽しい方です。ソフトウェア開発についての知識や多くの人をディレクションするスキルがあるに越したことはないのですが、何か特定のスキルが不足していたとしても、「ライフインフラを作りたい」という熱意があるならば、ぜひ応募してほしいです。

LOGI:インタビューを受けるにあたって「私は転職をする際に、何を重視するだろう」と自分なりに考えてみました。企業文化や業務内容、収入なども非常に大事なのですが、キャリアを積み重ねるうえでより大切にしたいのは、良い同僚と働けることです。一緒に働く仲間たちの影響力というのは、人生で複利のように積み重なって、その結果として新しいキャリアが開けてきます。

この記事を読んで「果たして、自分は良い同僚たちと一緒に働けるくらい立派な人間だろうか?」と不安になる人もいるかもしれませんが、これまでの職場で一生懸命働いて結果を出してきたのならば、「何も気にしなくていいですよ」と伝えたいです。

それぞれのメンバーが持っている専門性というのは、点に過ぎません。みんなが集まってプロジェクトに取り組んだときに、それが組み合わさって線や面になっていきます。仕事に対する信念があるならば、ぜひ私たちと一緒に働きましょう。出前館に応募することは、自分がより広い世界に踏み出すためのきっかけになるはずです。

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