はじめに
こんにちは、QAエンジニアの青柳です。
ウォンテッドリーの開発組織が最も大切にしているのは、「ユーザーの課題解決に向き合い、価値あるプロダクトを作り続けること」です。私たちは作って満足するのではなく、リリース後の効果計測と改善活動のサイクルを何より重視しています。
このように、リリース・計測・改善のサイクルを高速で回し、継続的な価値の最大化を目指すスピード感のある環境だからこそ、デリバリーの速度を落とさずに品質を担保する「全員参加型の品質保証」の仕組みが欠かせません。
そこで本記事では、直近1年で入社したメンバーを中心に、組織全体でこの「品質のWhy」を揃えるために実施した Dev Training (社内研修) の取り組みについてご紹介します。
目次
講義のゴールと全体像
本研修では、単なる不具合検出にとどまらず、プロダクトの信頼性を担保するためのテストの重要性を認識してもらうことを第一の目的としました。
そのうえで、QA の役割や提供価値を知ってもらい、テスト設計の現場で「QAがいつ・どのような情報を必要としているか」を共有しました。エンジニアと QA が思考の前提を揃え、初期段階からスムーズに手を取り合える関係性を築くことが、本研修の描くゴールです。
身近な例から考える、プロダクトへの「信頼」の作り方
講義の序盤では、「品質保証とは何か」という根本的な問いからスタートしました。
ウォンテッドリーにおける品質の定義は「安心・安全・信頼」です。ユーザーにとって「期待通りに動く (安心) 」「重大な不具合がない (安全) 」という当たり前を守り続けることこそが、長期的にはブランド全体の「信頼」へ繋がると考えています。単に不具合をゼロにするだけでなく、プロダクトが届ける体験そのものを支える意識を醸成する狙いがあります。
プロセス全体で品質を高める「攻めのQA」へ
開発の最終段階でテストを実施するだけの「受け身のQA」から、開発プロセス全体に関与して品質を向上させる「攻めのQA」へ。ユーザーへの価値提供と事業成長を加速させるため、デリバリーのスピードを落とさずに品質を最大化する仕掛けを増やすことが、私たちのミッションです。
研修では、顧客満足度と機能充足度の関係を分類するフレームワークである「狩野モデル」を用いて、「プロダクトの特性によって追求すべき品質がどう異なるか」を具体的なプロダクトを引き合いに出しながら解説しました。
- Wantedly / Engagement
ユーザーが日常的に触れ、体験価値そのものが満足度に直結するプロダクトです。基本機能の充足 (一元的品質) に加え、想定を超える使いやすさや驚き (魅力的品質) が利用継続を生みます。稼働の安定性はもちろん大切ですが、 UX の磨き込みや機能の進化が満足度向上の主軸となります。 - Hire
導入企業の業務を支えるシステムであり、稼働することは「当たり前」の前提です。システムが停止すれば顧客の業務に大きな損害を与えてしまうため、最重要視されるのは「稼働の安定性 (当たり前品質) 」の確保です。
このように、領域ごとに最適な品質バランスは異なります。画一的な品質基準を組織全体に一律で強制するのではなく、各チームのリーダーと対話し、領域ごとにプロセスや基準を共に設計していく「協働スタイル」の重要性を伝えています。
QAプロセスとスムーズに連携するためのベストプラクティス
開発チームと QA がスムーズに噛み合うよう、テスト計画から完了までのフローを可視化して提示しました。
特に重きを置いたのが、開発キックオフやプランニング、設計レビューといった「早期の段階」から QA を巻き込んでもらうことです。仕様書や issue のどのような情報をもとにテスト設計が行われるかを具体的に示すことで、エンジニアがどのようなインプットを渡せばよいかを理解し、最上流からの手戻りを防ぐ文化を作っています。
エンジニアのセルフチェックにも活きる「テスト技法」
講義の後半では、ソフトウェアテストの国際的な資格認定機関である ISTQB が定義する「テストの7つの基本理念」を取り上げました。同値分割、境界値分析、デシジョンテーブルといった代表的なテスト技法の概念と実践例を紹介しています。
これらを共有した理由は、単なる知識として覚えてもらうためではありません。エンジニア自身が実装の段階でテスト観点を取り入れ、自発的に品質を高められる状態を目指しているからです。
研修後の変化とこれからの展望
受講後のアンケートでは、単に「勉強になった」という感想にとどまらず、「日々の開発業務にどう落とし込むか」という前向きなアクションに関する気づきが多く寄せられました。
一方で、フィードバックを通じた気づきもあります。教科書的な説明にとどまらず、現場の課題に即した対話や演習を増やすことで、受講者がより一層「自分事化」できる体験へと昇華させられるという点です。一度研修を行って満足するのではなく、参加者の声やマネージャーからのアドバイスを取り入れながら、講義内容自体も継続的にアップデートしていきます。
おわりに : QAの役割は「テストする人」から「品質の仕組みを設計する人」へ
この講義を通じて最も伝えたいキーメッセージは、「QAはただテストをする人ではなく、品質を作り込む仕組みを設計する人である」ということです。
品質は QA だけで担保するものではなく、「チーム全員で満たしていくもの」にほかなりません。QA は単にテストをするのではなく、チームと一緒に品質基準を決め、それを支える仕組みづくりを担っていきます。
ウォンテッドリーでは、このような「攻めのQA」に共感し、プロダクトの信頼性を共に高めていく仲間を募集しています。少しでも興味を持っていただけた方は、ぜひ一度カジュアルにお話ししてみませんか?