2月13日〜15日韓国・ソウルで開催された、ホスピタリティ業界の展示とフォーラムを行うホテルフェア2019にて、COMPATHクリエイティブディレクターの中原典人が「UDSのホテルとそのデザインアプローチ」をお話ししました。
ホテルフェアは、ホテル業界の企業をはじめとしてデザイナー、メディア、投資家などが約7000人が来場する大型イベントで、会場はCOEX CENTER(日本で言う、ビックサイトのような大型の展示ホールです)で3日間に渡り開催されました。
UDSは昨年、中国に続く海外展開として韓国UDSを立ち上げました。韓国では、HOTEL CAPPUCCINOやPARK ROCHE、CLINK cafe&dinerなどの実績のほか、現在はさらに大型のホテルや商業施設などの企画や設計などを中心に次々と新しいプロジェクトを仕掛けています。
UDSのホテルとそのデザインアプローチ
ホテルフェアでは、毎日テーマを変えて韓国国内外のトップランナーを集めてのフォーラムが開催されます。1日目は「国内外のホテルトレンド」2日目は「投資・開発、ビッグデータ、ITトレンド」がテーマ。今回中原がお声がけをいただいた3日目のテーマは「ブランド戦略とインテリアデザイン」。最終日、40分間の講演を目がけて、会場は250人満員となりました。
ホテル カンラ 京都、ホテル アンテルーム 京都、MUJI HOTEL BEIJINGの事例を、コンセプトやデザインの考え方、さらに開業してからの運営のエピソードまでをお話しします。
「これからのホテルに必要なこと」を5つのポイントで紹介しました。
1.特徴・個性をつくること
2.地域性を意識すること
3.体験を提供すること
4.事業性・デザイン性・社会性のバランスを意識すること
5.既成概念を取り払うこと
いずれも、UDSがどのエリアで展開するときにも心がけているポイントです。
集まった参加者は若い世代を中心に、デザインやメディア関連の方々も。同時通訳を通して時折メモや写真を撮りながらみなさん熱心に聞き入っている様子。特に、アーティストとのコラボレーションや、地域性を生かしたデザインを紹介するスライドには多くのカメラが向けられていました。
参加者へ、魅力的なホテルをつくるヒントを提案
講演のおわりには、会場から中原へ直接率直な質問を投げかけます。その内容は魅力的なホテルづくりの具体的なノウハウや、UDSのビジネスモデルや仕組みに関心が集まりました。
どうやってホテルのコンセプトを決めていくのでしょうか?
マーケティングをきちんとしてから、社会性を出していきます。最初から万人受けするものは面白味がありません。たとえ7割の人が反対したとしても、そのハードルをとりのぞいて実現に辿り着くと、ユニークさが際立つと思っています。
企画・設計・運営一体で行うのは大変そうに見えますが、なぜそうするのでしょうか?
日本でも珍しいモデルですが、メリットの方が大きいんです。どの視点からでも「ゲストに喜んでほしい」と言うのが共通言語になっていて、一体でやることで、運営メンバーがそのホテルへの愛着が湧くということもあるし、設計にとっては開業後の推移を近くで見ることができます。口コミやゲストの反応をこまめにチェックしたりもしてるんですよ。そうやってお互いにフィードバックすることを循環させているので、ノウハウがたまっていくんです!
HOTEL LOCUSの世界観でUDSの企画・設計・運営を伝える
ホテルフェアには日本のUDSと韓国UDSが合同で展示ブースにも出展。200以上のブースが出展し、ホテル建材やインテリア、テキスタイ、アメニティ、IT、投資、F&Bなどホテルにまつわるあらゆるビジネスジャンルの展示会です。
UDSチームはプロダクト・建材を扱うsu+が中心となって、コンセプトストーリーや家具、オリジナルの備品などでHOTEL LOCUS(沖縄・宮古島)の世界観を再現しながら、まちづくりに繋がる企画・設計・運営一体のホテルを紹介しました。中には、昨年UDS中川が韓国で登壇した「ミレニアル世代と都市」の講演や、韓国語版も出版されたUDSの書籍「プロジェクト・デザイン・パターン」をきっかけに来場したという方も。
ブースを担当したのは、日本のUDSから駆けつけた韓国出身のリム アヨン(左)と、中国でのバックグラウンドをもつ中福亨迪(右) 。
ブースにはオープンから絶え間なく、お客様に訪れていただきました。昨年発売されたプロジェクト・デザイン・パターンの韓国語版も展示。(現在は英語版も発売されています)
講演後に訪れた中原に、セミナーでは聞ききれなかった質問を熱心に尋ねる人も。
韓国のトレンドとこれからの展開
韓国UDSに先月仲間入りした24歳のデザイナー・ナさんに、現在の韓国のトレンドを聞きました。「韓国人は元々、美容などをはじめ、美しいものへの感度が高い国民性。今の若い世代は、あまり多くは子供を持たなくなり、子育てや教育に充てていたお金を、より自分に使うようになってきているんです。そういった背景もあり、美しいもの、デザインやアートへの関心がより高まってます。また、本質的なこと、例えば『コミュニティ』や『まちづくり』というキーワードも若い世代では多く話題にのぼりますね。」
今回の展示ではスミさん(左)とスジンさん(右)の2名のインターンも大活躍!スジンさんは中国で8年間ホスピタリティの勉強をした経験し韓国へ帰国し、韓国UDSでインターンを。
今回のホテルフェアをきっかけに、UDSの活動を多くの韓国のホテル業界の方に知っていただくことができ、具体的な企画や設計の相談もいただくことができました。
韓国でも、日本や中国と同様に、まちづくりにつながるUDSらしいプロジェクトを続々と提案していきます!