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何かを犠牲にして働いていると、必ずどこかで“ひずみ”が生じる~正社員という枠から外れた男性二人のホンネ〜

「未来を自分で選択できる社会をつくる」をビジョンに掲げ、働き方の選択肢を増やしていこうと取り組んでいる株式会社ニット。そのためにおこなっている事業の一つが、オンラインチームによる業務サポートサービスのHELP YOUです。

HELP YOUで活躍しているメンバーは、フリーランスという形態でリモートワークで働いているのですが、その多くは育児や家事などをしながら、場所や時間に縛られない働き方をしたいと考えている女性たちです。しかし最近では、男性のメンバーも増えつつあります。まだ「男性は正社員として働くもの」という社会意識が強い中で、男性にも、正社員という形に縛られず、自分に合った働き方を選択していただきたいというのがニットの想いです。

そこで、正社員という枠から外れ、HELP YOUで働くことを選択した男性二人に、現在の働き方やそこに至るまでのプロセスなどについてうかがい、自分らしく働くヒントを探ってみました。

《目次》
・正社員という働き方では、将来の幸せを思い描けなかった
・正社員という枠から外れて見えたもの
・自分の人生をカスタマイズしていく

【インタビュイー】
●髙橋隆司(たかはし・りゅうじ)さん
1980年生まれ。福島県で奥様と二人暮らし。自動車部品の製造工場で総務人事を10年間経験した後、労働組合の業務を担当することになり2年間、東京に出向。帰任後、元の業務に加えて業務改善なども担当。40歳に近づくにつれ人生観について考えるようになり、働き方を変えたいと思い退職。2019年2月にHELP YOUのディレクターとなり、翌年2月からマネージャーに。

●佐藤慶宏(さとう・よしひろ)さん
1988年生まれ。秋田県出身(現在、実家は埼玉)。2019年12月から山梨県に移住、シェアハウス暮らし。大学卒業後、東京で就職し、経理をはじめとしたバックオフィス業務を4年半担当。田舎に住みたい願望から退職し、千葉の房総半島に移住。田舎生活や東京との二拠点生活、複業生活などを3年間経験し、千葉を離れる。日本や海外など各地を1年間、転々とした後、リモートワークでの働き方を求めて2019年11月からHELP YOUにジョイン。翌年2月にディレクターに。

正社員という働き方では、将来の幸せを思い描けなかった

−お二人の現在のワークスタイル、ライフスタイルについて教えてください。

髙橋普段は自宅や近所のカフェでHELP YOUの仕事をしていて、その合間に、妻の仕事の送り迎えや近所に住む両親のところに行って家の手伝いをしたり、スーパーに買い物に行ったり夕飯の支度をしたりしています。野菜を切るなど料理の下ごしらえをしながら、チャットの対応をするとか。今は、外で働いている妻よりも、私のほうが家事をしているかもしれないですね。

それから夜に時々、日本で働く外国人技能実習生に、オンラインで日本語を教える仕事もしています。これは、仕事というより趣味に近いかもしれないですね。私は海外旅行が好きで、将来、旅をしながらリモートワークできたらいいなと考えています。それに向けて、日本にいながら海外の人と触れ合う方法はないかと探していたとき、この仕事を見つけました。

佐藤2019年12月に山梨に移住して、実家のある埼玉と山梨との“二拠点生活”をしています。月末と月初は、埼玉県の実家から東京にある会社に出勤して経理の仕事を、それ以外の日は山梨で暮らしながら、HELP YOUの仕事をしています。

僕は山梨で、「アウトドア×コーヒー×暮らし」をテーマに、自分の好きなことをしながら理想のライフスタイルを追究しているところです。まだ、アウトドアもコーヒーを淹れることも趣味ですが、いずれは仕事にしたいと思っていて勉強中です。地域コミュニティや地域の人との関わりを大切にしたくて、それが山梨に移住した理由の一つでもあるので、自分が楽しみながらできることで、地域の人たちの役に立てたらと思っています。

将来的には、山の麓に自分の拠点をもち、カフェやコワーキングスペース、宿泊施設など、複数の機能をもった場所をつくりたいと考えていて、それに向けて今、リサーチなどもしています。

−髙橋さんも佐藤さんも、前は正社員として働いていたそうですね。どうして現在のようにフリーランスとして働く道を選択したんですか?

髙橋:朝早く出勤して夜遅く帰宅するような日々を送るなかで、40歳に近づくにつれて、会社に縛られて出世や報酬アップを目指すことよりも、会社という枠から外れて、自分がやりたいことにトライしながら生きていくほうが、この先の自分の人生にとっていいと考えるようになったからですね。

定年退職するまでそこで働き続けたとして、その先に何があるのか。そう考えたとき、自分の幸せな人生を思い描くことができなかったんです。大事なのはお金じゃなくて、今ある時間を充実させることだと強く感じるようになりました。長年勤めた会社を辞めることは、安定など失うものも大きいことですが、それ以上に、得るもののほうが絶対に大きいと確信し、フリーランスとして働く道を選びました。

佐藤:僕は、フリーランスとして働いていきたいという思いが先にあったというよりは、自分らしい生き方を追究して自分なりに行動してみた結果、今に至っているといった感じですね。

大学卒業後に入社した会社で経理の仕事をしていましたが、残業が多く、休日出勤もめずらしくありませんでした。僕はもともと田舎暮らしに憧れがあり、地方に移住したいとずっと思っていたので、その会社に4年半勤めたのちに退職し、移住支援のプロジェクトに参加して、千葉の房総に移住しました。

房総では、商業施設にあるレストランのウェイターの仕事を週3日と、週2〜3日、東京にある会社に出勤して経理の仕事をして、一部房総でリモートワークでも引き受けていました。その後、その商業施設から経理として働いてみないかと声をかけていただき、1年半ほど正社員として経理を担当しました。結果的に房総で約3年暮らし、ほかの移住者とも交流しながら充実した生活を送ることができ、そこで経験できることはだいたいできたと思ったので、房総での生活に一区切りつけることにしました。

それからは、長野の標高3,000メートルを超える山にある山小屋やスキー場で働いてみたり、フィリピンのセブやニュージーランドを旅してみたりと、1年くらい場所を転々としながら生活しました。そうしているうちに、自分がやりたいことが絞られてきて、自分の拠点というか、定住する場所を見つけたいと思うようになりました。その結果、今住んでいる山梨にたどり着き、最初にお話ししたような働き方をするようになったという流れです。

正社員という枠から外れて見えたもの

−社会的には「男性は正社員として働くのが当たり前」という意識が強いように思いますが、現在の働き方を選択してみて、まわりの反応はどうですか?

髙橋:私は地方に住んでいることもあり、周囲の「男性は正社員で、定年まで働き続けることが当たり前」という意識が強いように感じています。妻は私のやりたいことを応援してくれていますが、両親からは、「会社に行かないで、そんな働き方をしていて本当に大丈夫なの?」と心配されますね。

それから、カフェに行ってパソコンを出して仕事をしていると、常連のおじちゃんから「そんな楽な働き方はダメだよ」と言われたりします(笑)。会社に出社しない働き方をする自分は“変わり者”だと思われているみたいです。でも、そう思われても悪い気はしないかも(笑)。

佐藤:僕のまわりにはフリーランスが多いので、自分のような働き方に対して疑問をもつ人はあまりいないですね。日常的にも、個人で働くにはどうしたらいいかなど、友人たちと話す機会も多いです。

−現在の働き方を選択して、よかったことや実感していることは?

佐藤:正社員は働く時間が決まっていて、毎月決まった日に給料が振り込まれるのが当たり前ですが、フリーランスとして働き始めたとき、それが当たり前ではないことを痛感しました。それから、社会保険料を自分で払わなければならないので、そこからお金の使い方や運用の仕方が変わりました。日常生活でも、モノの選び方や時間の使い方など、一つひとつを自分の意思で選択している実感があります。いろいろと大変ではありますが、それが、フリーランスとして働くようになって特によかったと思うことですね。

それから、近所づき合いをしながら生活することで、幸福度が上がりました。こういう生き方もありなんだなあと、実感しています。

髙橋働く時間、自分の時間、家族との時間を、自分で組み立てられるようになって、生活の充実度が上がりましたね。それから、両親と過ごす時間を大事にしたいと思っていたので、実家にちょくちょく顔を出せるようになって、とてもよかったです。

自分の人生をカスタマイズしていく

では、お二人にとって「自分らしい生き方」とは?

髙橋やりたいことを犠牲にしないことですかね。何かを犠牲にするような生き方はしたくないですね。

佐藤何かを犠牲にしている人や自分に合わない働き方をしている人は、それが長年蓄積されて、必ずどこかで“ひずみ”が生じるんじゃないですかね。

僕にとっての「自分らしい生き方」は、自分を大切にする生き方、自分の良さを生かしてあげる生き方です。どのように働くのか、どのように時間を使うのか、自分が好きなことを継続できるかということを考えながら、自分で人生をカスタマイズできることだと思います。

自分らしい働き方や生き方をしたいと考えている人に、アドバイスするとしたら?

髙橋自分が何を優先したいのか、どんな人生を送りたいのかを明確にすることが大事だと思います。それがはっきりしているのなら、世間の目を気にせずに自分を信じて、やりたいことにチャレンジするといいと思います。

佐藤:ただ、数カ月くらい収入がなくても生活できるように貯金をしてから行動することや、スキルを磨いておくことも大事だと思います。というのは、僕は個人で働くようになったばかりのとき、依頼された仕事がキャンセルになったりして思い通りに仕事が運ばず、お金の面ですごく不安を感じたので。幸い、僕には経理のスキルがあり、HELP YOUのように、バックオフィス業務をオンラインでおこなう仕組みがつくられてきたという時代の後押しもあって、生活が回るようになってきました。

髙橋:そうですね。ある程度、先の生活の目処を立ててから行動することも大事です。そのうえで、実現したい人生を組み立てていくのがいいですね。

〈ライター後記〉
「男性は正社員として働くもの」「男性は結婚したら、一家の大黒柱として家族を養わなくてはならない」といった社会意識がある中で、多くの男性にとって、正社員のレールから外れることは簡単ではないと思います。ですが、人生100年時代にあって、この先の幸せな人生を思い描けない、または無理をしながら働いている人は、今回お話を伺ったお二人のように一歩踏み出してみるほうが、将来的にはいい人生を送れるのではないでしょうか。

HELP YOUライター 小笠原綾子

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