※本インタビューは、2019年6月に公開しました。小林は、2020年3月に常務取締役VPoEに就任しています。
こんにちは、エンゲージメントデザイン部で広報を担当している森田です。
先日から連載でお届けしている「エンジニアインタビュー」をお読みいただいた方から、「CTOの小林さんはどんな人なの?」「小林さんの現在を教えて」などのご意見をいただいたので、今回は、その質問にお答えすべくインタビューをしました。今回は、組織づくりにフォーカスして、話を聞いています。
プロフィール
小林 一樹(こばやし かずしげ)
1976年生。愛知県出身。名古屋工業大学、北陸先端科学技術大学院大学を卒業。2001年にヤフー株式会社の新卒一期生として入社し、チャットやゲームなどのコミュニティサービスの開発に従事。2006年にグリー株式会社に入社。執行役員メディア開発本部長として、創業期から開発部門のマネジメントを行う。2013年にエイチーム株式会社に入社。株式会社エイチームライフスタイルの事業戦略部長として、新規事業立ち上げなどを行う。
2016年8月にスタメンに参画。取締役CTOとして、TUNAGの開発とプロダクト部のマネジメントを担う。柔らかく、温かい雰囲気を持つ反面、仕事に対しては揺るぎない熱い信念を持っている。通称コバさん。コバさんに会うと誰もがファンになる、そんな魅力の持ち主。
まずは、スタメンの創業当時に書いたこちらの記事をご覧ください。
▼CTO小林が「スタメンの取締役CTO」になるまで ▼
この記事を書かれてから間もなく3年ですね。エンジニアチームの人数も随分と増えましたが、今後はどのような組織を目指していきたいと考えていますか?
現在、エンジニアが在籍するプロダクト部は、アルバイトメンバーを含めて13人となりました。
スタメンという社名は、「Star Members」の略で、会社の力の源泉であるメンバーの一人ひとりがスターとなって光り輝く「組織」を目指しています。プロダクト部に所属するエンジニアやデザイナーも同じで、一人ひとりが光り輝くチームでありたいです。
活躍するエンジニアの人たちが、自分たちの仕事に誇りを持ち、それが世の中に評価されて、かつ自分自身も楽しんで成長し続けていける、そんな良い循環が回る組織にしていきたいと思っています。そして、エンジニアチームのものづくり力が、スタメンを支える強みとなることを目指しています。
そのために、着手している取り組みや施策などがあれば教えてください。
チーム運営という面では、直近は「育成」に注力しています。
スタメンの開発拠点がある名古屋は、東京に比べてIT企業が少ないこともあり、経験者採用が難しいという課題があります。一方で、製造業が盛んなこともあり、情報工学を含む理工系大学生が多く、ソフトウェアエンジニアとしてのポテンシャルの高い若手が多いという特徴があります。
こういった状況を踏まえて、スタメンでは成長意欲とポテンシャルの高い若手を「ベンチャーという成長できる環境の中でしっかり育成していく」ことに注力しています。
スタメンの創業事業である TUNAG は、SNSとしての一通りの機能を備え、データ量やトラフィックも急拡大しているサービスで、開発・運営には、高い技術力が求められます。ですから、TUNAG の開発に関わり、新規機能開発や負荷対策等をしていく中で、エンジニアとして濃密な経験が積め、成長していける環境があるんです。
そういった環境を活かすためにも、各自の課題や伸びしろを意識して開発タスクをアサインしていくことで、開発プロジェクトを進める中で、常に「チャレンジ」と「学び」が継続するようにしています。例えるなら、トレーニングにおいて、筋力の増大に合わせて、負荷を増やして、適度な「筋肉痛」が続くような形をイメージしています。
今後も拡大していくチームを育てていく上で、エンジニアメンバーのキャリアのために考えていることはなんですか?
意識的に行っていることは、「席の配置と1on1」です。チームメンバー間の相互理解と密なコミュニケーションを重視したチーム運営をしています。
席の配置については、メンバー間で自然な連携や意思疎通ができるように、プロダクト部全員で一つの机を囲み、自席に座りながら会話できる距離感を大事にしています。
誰がどこに座るかまで細かく考えて行っており、入社歴や開発経験が長い社員で、入社直後や若手メンバーを挟むようにしています。若手はベテランを目標にし、ベテランは若手の成長に刺激を受けるということが日常的に起きるようにしています。席替えを意図的かつ戦略的に行っているので、新しいメンバーが入ると、その度に必ず席替えしていますね。
チームビルディングと各自の成長を実現するためには、こういった環境作りが大事です。席替えによってチーム状況に合わせた最適なコミュニケーション環境を作りながら、先ほど言ったような業務アサインによって各自が一番伸びるルートを考えています。
1on1では、ランチやおやつを食べながら気軽な雰囲気で、お互いの人生観やキャリアプラン、現在のモチベーションなどの気持ちを聞いています。また、会社やプロダクト、チームの中長期の方針など、ざっくばらんに様々なことを話題にし、相互理解を促しています。
1on1の頻度は人それぞれですが、入社直後は意図的に高頻度で行いますし、目標がしっかり定まって巡航運転しているメンバーは、頻度を減らしたりしています。最近は、会社も大きくなって新しくマネージャーを任せることが増えており、新任のマネージャーとは毎週1on1を行うことで、組織運営のコツや中長期のビジョン・課題のすり合わせを行っています。
1on1を通して、皆さんの目指す方向性や価値観、課題意識など様々な考えや心境を相互理解することで、会社の進む方向性と皆さんの進みたい方向性が一致し、迷いなく全力疾走できるように努めています。
エンジニアチームの行動指針 "Star Code" の「ユーザー目線で考える」を実現するために行なっていることはありますか?
TUNAGは、BtoBのサービスです。スタメンの社内でもTUNAGを使っていますが、多くの顧客企業とスタメンでは、規模や業態、経営課題や社員のITリテラシーなど多くの点が異なり、全てのユーザーの声を代弁している訳ではありません。
こういった部分が、業界や規模を問わない様々な企業に利用いただく BtoB サービスにおける開発の難しさだと思いますが、限られた範囲の認識でユーザーを理解した気にならないように、とメンバーに伝えています。
そのため、各プロジェクトのキックオフMTGでは、解決すべき課題、対象ユーザー、成功した場合のイメージ、KPIなどを箇条書きすることで、曖昧なままスタートしないようにしています。また、常に伴走しているカスタマーサクセス部(以下CS部)との連携を大事にし、日常的にCS部のメンバーと話すことで、ユーザーの課題や要望を把握するようにしています。
ここでも席配置が関係してくるのですが、本社の執務スペースでは、すぐ話せるようにCS部とエンジニアチームがワンフロアの中で向かい合わせになるように座っています。何かあれば都度都度、その場で話せるようにしています。
あと、もう1点大事なのは、「現象」と「原因」を分けることです。
ユーザーからの要望や課題を知ったとしても、それらの多くは、表層的な「現象」を知ったに過ぎず、背景にある「原因」を認識していないことがよくあります。機能改善などの施策を実施するにしても「原因」を把握し、根本にフォーカスしないと、課題が解決できないばかりか、新たな問題を生んでしまうこともあります。
ユーザーの声を反映することだけがユーザー目線ではない。根本の原因(課題)を解決することが重要だよ、ということをチームでよく話しています。
自身で考える「CTOとしての強み」はどんな部分ですか?
そうですね・・・。
世の中には色々な強みを持つCTOがいると思うのですが、私の場合は「技術・事業・組織」の三要素を満遍なくやれるということが強みだと思っています。創業直後はメンバーがいない中、エンジニアとして一人でTUNAGを創っていました。
途中からは、エンジニアチームの部長として採用、育成などのチームづくりに注力し、メンバーが増えてきた最近では、開発の実務は成長したメンバーに任せ、組織強化とプロダクトマネージャーとして事業寄りな役割を増やしています。このように、会社やプロダクトのフェーズに応じて役割を変えています。
スタメンが名古屋という地で、ゼロから約3年で、今のチームの規模とメンバー、そして TUNAG を事業として立ち上げられたのは、私が強みとしている部分をうまく活かせたことが大きいのかなと感じています。
「暇があったら何していますか?」という質問に人の本質的な興味や強さが現れると思っています。私の周囲では3通りに分かれると思います。
暇さえあれば事業のことを考えている、これは代表の加藤ですね。暇さえあればコードを書いている人、これはテックリードの松谷さんです。暇さえあれば誰かと話したり1on1をしている、これが私です。だから、私のタイプは、CTO というより、チームビルダーとしての VPoE の方が近いのだと思います。過去のキャリアでもVPoE 的な役割が一番キャリアが長いんです。
暇さえあればコードを書いている人の方が技術力があるでしょうし、暇さえあればプロダクトのことを考えている人は良いプロダクトオーナーになるでしょう。各自の強みを活かしてアサインすることで成長の機会を作り、組み合わせることで強いチームを作る。
今のスタメンでは、事業の成長と共にすごいスピードでみんなが育っています。各メンバーの相互理解と連携を促すことで強いチームを作り、メンバーのみなさんにしっかり実務を任せ、抜擢による成長と、事業の拡大を両立していく。結果として、エンジニアリングが強く、みんなが星のように輝いている会社にする。それが今後の私のミッションであり、やりたいことですね。
コバさん、ありがとうございました!!
スタメンのエンジニアチームを知っていただくには、「コバさん」自身を知っていただくことが近道ではないかと感じています。それは、迷うことなくエンジニアチームが正しい方向に、最短で向かっていけるように導いているのがコバさんだからです。このインタビューを通して、コバさんの人柄や考えが少しでも伝われば幸いです。
エンジニアチームや、コバさんに興味を持ってくれた方がいらっしゃったら、ぜひ気軽に話を聞きに来てください。あなたにお会いできるのを楽しみにしています!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。