ソフトバンクは「Beyond Carrier」戦略を掲げ、多様なアセット広範な基盤を生かして新規事業の創出育成に注力しています。その中で経営の羅針盤として各事業部門と連携して事業計画を作成し、事業のを推進と、企業価値の向上を目指すのが経営企画本部。今回は、2019年1月にキャリア入社した宮﨑 泰に、経営企画本部が担うミッションやそこで得られるキャリアの価値について聞きました。ぜひご覧ください。
ドメインに縛られない多角的な事業展開に魅かれて
私が新卒で入社したのは、宇宙から重電分野まで幅広いインフラを支えている総合電機メーカーでした。
というのも、私が就職活動をしていたのはちょうどリーマンショックの後。経済学部だった私は、本来であれば金融という側面から世界経済を盛り上げていく存在である投資銀行が破綻した現実にとても驚きました。そういった体験から、「結局、経済の根幹は何か」と考え、さまざまな業種について調査し、その末に出た結論が「インフラ」だったため、興味を持ち入社に至りました。
このような経緯で入社した総合電機メーカーで私が最初に担当したのは、衛星通信システムの事業企画でした。具体的には売上計画の立案や事業全体、また個別プロジェクトのコスト管理、計画達成のための戦略策定と実行、さらには新規事業の計画立案まで幅広い業務に約6年間携わりました。
その後、ヨーロッパ・アフリカ・中東地域を担当する販売拠点の本社で1年間、経営企画業務を担当しました。ここでは担当地域各国にある支店の予算管理や担当地域の政治・経済動向の本邦への報告、GDPR(EU一般データ保護規則)施行対応に向けた社内プロジェクトのPMOなどを担当しました。日本に帰国後は、商用人工衛星の海外への営業を経験後、ソフトバンクに転職して現在に至ります。
なぜ総合電機メーカーからの転職を考えたのかというと、「特定の事業ドメインに捉われず、よりエンドユーザーに近い最先端のマーケットやビジネスに関わりたい」という思いが湧いてきたからです。
総合電機メーカーが担う製造業は、モノを作ることが事業の根幹です。そこから、自社でソリューション・サービス化していくことは、事業ドメイン外と判断されることが多く、モノが溢れている現代社会では、事業の成長の限界を感じることが多くありました。また、モノを作っても、メーカーはエンドユーザーに直接対峙することが少ないため、ビジネスの主導権を握れないことが多いと感じていました。例えばですが、メーカーがスマホアプリを開発したとしても、あくまでそのメーカーはひとつのパートナーであり、Go-To-Marketを考えて実際にそのサービスをスケールさせる立場ではありません。 これからは事業ドメインを超えて新しい事業にチャレンジしていかないと勝ち残れない。そう考えるようになりました。
そんな中でソフトバンクグループは群戦略を掲げ、世界中のさまざまな会社に投資をして、パートナーシップを組んでいます。ソフトバンクグループで国内事業の中心的な役割を担うソフトバンクは、そのパートナーたちと協力し、通信キャリアという事業ドメインに捉われず、さらなるシナジーを生み出しながら新規事業や既存事業の拡大に挑戦している――その点に魅力を感じ、入社を決めました。
意思決定のスピード感に圧倒される日々
2019年3月期 決算説明会資料から引用
ソフトバンクに転職してからは経営企画本部の法人事業管理部という部署で、M&A関連業務、子会社・関連会社の業績管理、国際事業の収益管理の3つを主に担当しています。
M&A関連業務では、主に事業の主管部所と共に、ソフトバンクとしての事業計画作成を行っています。ソフトバンクは事業会社であり、投資会社ではありません。従って、バリュエーションやデューデリジェンスの結果はもちろん重要ですが、ソフトバンクとして出資する意義があるか、出資をすることで事業シナジーが生まれるか、という観点を重要視しています。出資によるシナジー効果を最大限にするために、ビジネスモデルの構築から出資先との商業条件の検討、財務モデリングまで、幅広くプロジェクトに関っています。
そして、一部その延長線上にもなりますが、ソフトバンクの子会社・関連会社の業績管理やソフトバンク自体の事業収益管理も、ミッションになります。出資する会社はスタートアップの企業も多く、必ずしも経営が計画通りに上手くいくわけではありません。また、ソフトバンクとの事業シナジーも目論見通りにいかない場合もあります。そこで、それぞれの事業の実績・実体を分析し原因を突き止め、施策を考え計画を立て直す、このようなPDCAを実務者と伴走して回していくことも非常に重要な業務になります。
働いていて思うのは、ソフトバンクは大企業でありながら、数多くの企業と組んで、次々に新たな事業を立ち上げているため、意思決定や業務スピードの速さは圧倒的だということです。なおかつ、経営企画本部という立場でもありますので経営陣とも距離が近く、自身の業務が会社経営に直接影響を与えていることを如実に感じますし、経営・事業の深い部分を知ることができます。それゆえ、さまざまな分野でナレッジが蓄積されていると感じています。
さらに、案件数が膨大で1人ひとりの裁量が大きいことも特徴です。中途入社して二週間で、会社のことをよく知らない私が海外出張をすることになった時は正直驚きましたが、同時にそのスピード感と裁量、挑戦を後押しする風土はソフトバンクならではだと思いました。
経済の根幹を担うもの。それがソフトバンク
新規事業やJVの立ち上げで私たちのパートナーとなるのは、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資する世界のユニコーン企業から、日本で確固たる地位を築く大企業までさまざまです。各社ともに成功体験や経営哲学を有していて、交渉は一筋縄でいかないことも多々あります。
加えて、どれだけ入念な事業計画を立てたとしても、全て計画通りに進むことはありません。特にソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資しているユニコーン企業が持つ、世界最先端と言われるテクノロジーやビジネスモデルを日本市場向けに展開する時は、誰も試みたことがないチャレンジになりますので、PoCの結果、想定通りいかない、パートナーとなる企業の期待値に届かないということも往往にして起こりえます。
どう計画を修正していくかが重要となり、上手くいっていない時だからこそ会社の方向性と合致させつつ上手く舵取りをしていきます。そこで経営企画本部のバリューが発揮されると思います。
事業の立ち上げや構築にはパワーが必要ですが、だからこそ面白く、次々と事業戦略策定に関われる環境は、ソフトバンクならではです。また、孫会長が「あらゆる産業を再定義する」と発言していますが、まさにその言葉通りで、私たちは産業が再定義され、時代が変わる瞬間に立ち会うことができます。ある意味、経済の根幹を担っていくのがソフトバンクとも言えます。
CFO、そしてゆくゆくはCEOを目指したい
ソフトバンクの経営企画はファイナンス色が強い組織です。組織の目標として、続々と立ち上がる子会社・関連会社のガバナンス強化のために「CFOを100人輩出する」ことを掲げています。
組織としての目標に合致するという意味合いもありますが、私自身もまず経営を数値面から判断できるCFOを目指していきたい。ロールモデルの一人になることを目指しています。
しかし、そのためには学ぶべきことがたくさんあります。私は前職では事業をつくる側の立場でしたので、ファイナンスの知識はまだまだ。知識はあくまで手段なので、業務外でのインプットと実務でのアウトプットを繰り返し、あらゆるケースに対応できる応用力を早く身に付けたいですね。
また、その先のキャリアとして、前職の経験とソフトバンクでの経験を生かして、CEOを目指していきたい。事業の舵取りをしながらファイナンスも含め全体をマネジメントするような、守備範囲の広い人間になりたいです。