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会社経営の根幹部分の整備や新規事業の創出を担う、取締役・上級デジタルアーキビストの寳德(ほうとく)さん。地域データサイエンスによる「まちづくり人材」教育事業の構築とそれに伴う経営企画・産学連携コーディネート・代表講師などを担当しています。
上記の文字だけを見ると、一見デジタルアーカイブとは無縁だと思われがちですが、最後まで話を聞いてみると、実はこれらの仕事がデジタルアーカイブ業界の発展において必要なことだとわかります。
また広報(中の人)の感想ですが、正直最初は「お堅い人なのかな」と思いました。でも寳德さんと頻繁に連絡のやり取りをしていると、 今は「寳德さん=スーパーロジカルな人」でもあるけど「誰よりもデジタルアーカイブ愛がある人」 という印象があります。
一貫性と情に厚い人間味溢れる寳德さんは、話してみると案外気さくで明るい方です!
今回の記事では、そんな寳德さんに
「現在の仕事内容・仕事にかける思い」
「仕事において意識・大事にしていること」
「これから何をしていくのか」
について伺いました!
名前:寳德 真大(ほうとく まさひろ)
入社時期:2022年〜
最終学歴:大学院修士課程修了
学部:農学部 / 大学院(研究科):文化科学研究科(計量経済学系)
資格:上級デジタルアーキビスト、E資格(AI・機械学習の資格)
出身地:兵庫県
趣味:ランニング
-- 現在の仕事内容は?
社長室室長として、主に2つの仕事を行っています。
1つ目は「RESAS・産業連関表の産学への普及」です。
現在は2023年6月5日にリリース予定(記事公開時点)の「まちづくりの誠勝」サービスの開発に取り組んでいます。特に学芸員・司書課程をもつ大学に向けた産学連携での課題解決型(PBL型)研修の開発や、企業の経営企画担当者向けのサステナビリティ定量化研修の開発に、力を入れて取り組んでいます。
2つ目は「社史とAI・機械学習を活用した新規事業シーズの開発」です。
具体的には、テキスト化した社史データにAI・機械学習と数量経済史によるデータエンジニアリング技術を適用した「企業把握度を出力するフレームワーク」を独自開発し、特許出願するに至りました(特願2022-212913)。これらは企業の従業員、特に後継者教育において、企業の潜在的課題を指摘する能力を、AI・機械学習と数量経済史のエンジニアリング技術により定量的に測定できるシーズとなっています。
-- なぜそれらの仕事に取り組むことになったのでしょうか?
きっかけはここ最近の社会情勢の変化です。
2023年4月1日に約70年ぶりに改正された博物館法が施行され、主に自治体や公益法人等が運営する「登録博物館」や、大学博物館などの「博物館相当施設」には施行から5年以内の変化を迫られています。
そして改正法においては、研究・教育を通じた地域活性化への取り組みが目玉の一つとなっています。そのため博物館の将来を担う学芸員課程の大学生・大学院生にとって、地域活性化に対する知見はますます重要度が増してくる状況になりました。
また2023年3月期の有価証券報告書から、上場企業のサステナビリティ情報や後継者教育を含む人的資本情報開示など、民間企業も社会的な貢献を意識する必要が出てきています。
そうした中で自治体の政策評価などにも使用されるRESAS・産業連関表は、これから学芸員を目指す大学生にとって地域課題を考えるデータにもなり、また民間企業にとっても社会的インパクトを測る格好のオープンデータになるでしょう。さらに企業・団体が周年記念などのタイミングで編纂する社史についても、地域・顧客など民間企業のステークホルダーとの歴史的な関わりを評価する教材になると考えています。
現状、こうした地域のビッグデータや自社の歴史的資料が、一般的に十分に活用されているとは言えません。そのため民間企業やこれから社会に出ていく大学生の方々に対して普及していく必要があると感じました。
こうした社会的な課題解決方法やインパクトの評価はまだ完全に答えがなく、現状ではチャレンジングな取組にはなりますが挑み続けたいと思います。
-- なぜ「デジタルアーカイブの会社」である誠勝で取り組もうと思ったのですか?
社会的な課題解決方法やインパクトの評価には、「時間軸」の視点が必要だと感じたからです。
私はこれまでRESASや産業連関表を使用した研究なども行ってきましたが、こうしたデータは国や地域といったマクロの対象を全体俯瞰的に観て地域政策・施策を評価することに使用できます。しかしその結果に「歴史的価値」が十分に反映されているかと言われれば、はっきり言って「否」です。
地域がもつ図書館にも、博物館にも、民間企業にも、多くの歴史的資産が詰まっています。しかしそれらの資産が多くの人に触れて価値をもたらし、地域の価値・企業の価値に反映されている状況ではないことを、自分自身がRESASや産業連関表の研究を通じて痛感しました。
実際に誠勝に入ってからもお客様から、
「貴重な資料を保存する大切さはとてもわかる。でもそれは何の役に立つの?」
と言われたことがあります。おそらく世間一般的な声として、こうした意見が大勢なのではないでしょうか?
いわば「有意義だとは思うが、有用ではない」状態を抜け出し、あらゆる団体・企業が持つ歴史的価値を多くの人に広げ、それが団体・企業の価値としてしっかりと還元される「自律循環的な社会」を作ることーまさに誠勝のミッションである「"文化を継承するアメーバ"を創る。」を、今後も追究していきたいと思っています。
-- ここからは仕事に対する考え方について教えてください。普段の仕事で意識していることはありますか。
もともと不器用な性格なので、仕事をする上で意識していることは結構あるのですが、特に3つあります。
【1.会社と市場の動向に常にアンテナを張り、自ら仕事を提案し、情報の起点となる】
私は仕事のほとんどをテレワークで行っているのですが、テレワークでは「待ちの姿勢」が命取りになります。よくテレワークで生産性が落ちたというニュースを聞いた人も多いと思いますが、これは自分の仕事を誰かに管理されていることが原因だと思っていて、「自分が仕事の起点になれない」「テレワークですぐに上司に聞けない」という環境では生産性が落ちて当たり前です。
逆に自ら仕事の起点となり、動いている場合は集中できる環境が必要となりなすので、出勤時間や周りに人がいる環境を極力減らす必要があります。
私は会社からテレワークでの仕事を拝命していますので、「自分で考えて仕事の起点になれ」と言われているようなものですが、これは自分の入社動機と合致していて、とても働きやすい環境だと思っています。
【2.「仲良しと信頼関係は違う」という考え方】
仕事において必要とされるのは「社会・市場・お客様に価値を創出するための思考とコミュニケーション」であり、ただ横のつながりを作ったり、飲み会で同僚と仲良くなったりすることではありません。むしろ「嫌われたくない」などの余計な人間感情を仕事に持ち込むことになり、必要な時に必要なことが言えないなどの弊害が生じてしまいます。
また「協調」と「同調」を混同してはいけないと思っていて、皆が「同調」し始めた瞬間に組織も個人も停滞すると思います。一人一人が仕事をする中で、自分の頭で考えて目的意識を培い、時には激論しつつも共通の目的を見出して前に進んでいけるような、ある意味ドライな「協調」関係こそが、本当の信頼関係だと思っています。
正直20代の時はあまりよくわかっていなかったのですが、この考え方に立ってから仕事が上手く回るようになってきたので恐らく間違っていないはずです。
【3.「情報共有=リスク共有」という考え方】
この辺りは意見が分かれる点かもしれませんが、情報共有は莫大な労力とコストがかかると思っていて、同じ目的意識をもって聞いている人でないと何度伝えても情報は共有できませんし、かえって予期せぬ情報漏洩が発生します。
社内外問わず、今情報を共有しようとしている目の前の人は、リスクを共有できる人かどうかを見極めるくらいの慎重さがあってよいと私は考えています。
因みに今までリスクを共有できると感じた人は、得てして自ら考えて仕事をしている人が多い印象です。結局1つ目の考え方とリンクするのかもしれませんね。
-- 寳德さんにとって、仕事のやりがいとは?
自分の意見を忖度抜きにぶつけ合って、新しい仕事の創出に向かって物事が進展した時ですね。
社内政治があったりするとこういうことって難しいのですが、誠勝にはそういう雰囲気がないので、すごく仕事がしやすいです。
また「やりがい」ではないですが、時間を忘れて集中しているときに一番エネルギーが湧いていますね。自分は割と繊細な作業や接客などのきめ細かな仕事は不得手で、リサーチや専門的な仕事に没頭する方が得意ですが、今の仕事は得意分野に集中できる環境なので、とても有難いと思っています。
-- 今後、どんなことに挑戦していきたい、やっていきたいですか?
繰り返しになってしまいますが、やはりあらゆる団体・企業が持つ歴史的価値を多くの人に広げ、それが団体・企業の価値としてしっかりと還元される「自律循環的な社会」を作ることですね。もうこれは先のない挑戦になりそうですし、1企業がどこまでできるかどうかは本当にわからないですが、そもそも動き出さないと実現可能性はゼロなので、考えて動いてを繰り返しながら、何としてでも実現したいと思っています。
-- 最後に一言お願いします!
昨年誠勝は10年の節目を迎えて新たなステージに入り、また最初に述べたように社会も大きく転換期を迎えています。
社内外の人と「協調」しながら、誠勝のミッションである「"文化を継承するアメーバ"を創る。」の実現へと、引き続き邁進していきたいと思います。
一皮むけた誠勝、一皮むけたデジタルアーカイブの新産業・新時代を築いていきたいと思います!