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膨大なデータから、顧客体験向上の一手を導き出す。高級賃貸メディア「モダンスタンダード」を支える、データベースSEO担当者の働き方
(この記事は GA.MAGからの転載です)
BtoCサービス、BtoBサービス、そして社内基幹システムを含めると、自社で開発しているプロダクトが30を超えるGAグループ。そんな数あるプロダクトの企画・マーケティングを一手に担っているのが、Product Planning Division(以下、PPD)です。
そんなPPD特集の第3弾となる今回は、GAのグループ会社であるモダンスタンダードのSEOを担っているコンテンツマーケティング部のミッションや、データベースSEO担当者が担う役割などをお届けします。
最新情報はこちらのTwitterをチェックしてみてくださいね。
青木 哲郎
結婚式プロデュース会社、オンラインゲーム会社のマーケ担当を経て、2011年に株式会社ベーシックに入社。Webマーケティングメディアferretを立ち上げ、プロダクトオーナーとして業界No.1へ成長させたあと、2019年にGAテクノロジーズへ入社。オウンドメディアの改善を担当し、現在はコンテンツマーケティング部の部長として、SEOやCRM/MA周りを見ている。
熊谷 佳樹
2007年大日本印刷に新卒入社。クライアントのデジタルマーケやプロモーションに従事したのち、ジョンソン・エンド・ジョンソンでコンタクトレンズACUVUEのポイント会員プログラムの企画・立ち上げ・運営など各種消費者向けWEBサービスに従事。2018年にGAテクノロジーズに入社、現在はモダンスタンダードのSEOとグループ横断のCRM/MAをリード。
コンテンツマーケティング部のミッションと、データベースSEO
― まずは、お二人が所属しているコンテンツマーケティング部について教えてください。
青木:コンテンツマーケティング部の主な役割は、お客様とプロダクトの最初の接点となり、潜在層と顕在層のお客様を獲得してくることです。その役割を果たすために、コンテンツマーケティング部では担当領域別に、Content Creationチーム・DB & Content Optimizationチーム・CRM & Marketing Automationチームという3つのチームを組織しています。
それぞれの役割を説明していくと、Content Creationチームはお客様(潜在層・顕在層)からの資料請求獲得を目的としています。例えば、「投資には興味あるけど、不動産投資はよく分からなくて…」という人って結構いると思います。そのような人たちに対してRENOSY マガジンなど記事コンテンツを配信し、不動産投資に興味を持ってもらい、理解を深めてもらうこと。そして、自社のプロダクトを利用してもらうことがミッションです。
次に、CRM & Marketing Automationチームですが、このチームは来てくださった潜在層のお客様を顕在層に成長させるための施策。いわゆる、ナーチャリングと言われる部分を担っています。
そして、最後がDB & Content Optimizationチームです。主にグループ会社が提供しているモダンスタンダードというメディアのグロースとSEOの強化をミッションとしています。
隣にいる熊谷さんがCRM & Marketing AutomationチームとDB & Content Optimizationチームのマネージャーを務めています。
― DB & Content Optimizationチームの具体的な業務内容を教えてください。
熊谷:モダンスタンダードのSEO強化と、プロダクトの改善という2つの軸があります。
モダンスタンダードは都心の高級マンションに特化した賃貸メディアで、8,000件を超える高級マンションと、それに紐付く部屋の情報がデータベースに蓄積されています。それらの情報をGoogleの検索エンジンにとって理解しやすい構造に整理することが、1つ目の業務になります。この業務ではデータベースを土台とするSEO施策がメインとなるので、私たちはデータベースSEOと呼んでいます。
そして2つ目が、プロダクトの改善です。お客様が探している物件や、希望条件に最適なお部屋までスムーズに辿り着くためにはどのような機能をサイト上で提供すべきか。そういったプロダクトの機能や改善案を企画して、リリースまでのディレクションも行っています。
青木:モダンスタンダードを利用してくださっているお客様が求めている情報は、多岐にわたります。そのため、データベースに蓄積しているデータの中で、どの情報がお客様から求められているのかを正確に把握しなければいけません。なぜなら、そこが間違っていると、検索結果や物件のページに不必要な情報を表示したり、検索結果で最適なページを表示できないといった結果に繋がり、UXの低下を引き起こしてしまうからです。
したがって、私たちはSEOのことだけを考えるのではなく、プロダクトマネージャーやエンジニア、デザイナーと連携しながら、UXも考慮した総合的な提案を行っていくことが求められています。
足し算のコンテンツSEOと、掛け算のデータベースSEO
― 先ほど「データベースSEO」という単語が出てきましたが、データベースSEOと一般的なコンテンツSEOにはどのような違いがあるのでしょうか?
青木:自社で運営しているRENOSYマガジンはまさにそういう形なのですが、記事単位で改善すれば検索順位は上がることが多いです。そのため、足し算の施策だと考えています。
一方で、データベースSEOはそういったページ単位の施策ではなく、全体に俯瞰して施策を行うことが多いです。モダンスタンダードの建物詳細や一覧ページなど、同じフォーマットのページを改善すれば、そのフォーマットを使っているページ全体に適応されるため、1つの施策でも大幅な効果を得られます。当初は、私一人で行っていたのですが、今は熊谷さんが入ってくれて、徐々に改善が進んでいます。ただもっと進めるには、リソースが足りなくなってきたのが、今の状態です。
― データベースSEOとコンテンツSEOでは、求められるスキルも変わってくるのでしょうか?
青木:まず、ディレクション能力は必須です。エンジニア、デザイナーのメンバーと一緒にプロジェクトを進めることになるので、各関係者に対して「どういう施策をやりたいのか?」「なぜ、それをやる必要があるのか?」を説明していく必要があります。そのため、プロダクトマネージャーやプロジェクトマネージャーに求められるようなディレクション能力は、データベースSEOをやる上でも必要です。
そして、内部対策や外部対策、コンテンツ対策といったトータルなSEOの能力も必要となります。加えて、プロダクトの改善を進めていく上でUXに対する意識も必要となってくるので、SEOだけでなく、事業責任者やプロダクトマネージャーをやっていた人が向いていると思います。
熊谷:あとはターゲットにしているキーワード数の規模にも違いがあります。モダンスタンダードの場合、定点観測しているキーワードだけでも約3万5000弱にのぼります。
― なぜ、定点観測しているキーワードがそんなに多いのでしょうか?
熊谷:掛け合わせのキーワードが多いからです。
まず前提として、先ほどもお伝えした通り、8,000件を超える物件のデータベースがあります。そのため、例えば「アウルタワー」というように、物件を直接指名するキーワードだけでも8,000を超えます。
それに加えて、「アウルタワー 賃貸」「東京 タワーマンション」のように掛け合わせ系のキーワードを考慮した結果、定点観測すべきキーワードだけでも3万を超えています。したがって、それらのキーワードに対する「モダンスタンダード」の順位がどうなっているか、という全体感を見ながら仮説を立て、施策に落とし込むというスキルも求められると思います。
― 膨大なキーワードの全体感を見極めるだけでも結構大変なのではないかと思ったのですが、各キーワードを取りこぼしなく見ていくための工夫や施策は行っているのでしょうか?
熊谷:キーワードにランク付けをしたり、カテゴリー分けをしたりすることによって、現実的に定点観測可能な数の集団に切り分けています。また、検索ボリュームの多いキーワードは、ボリュームの少ないキーワードよりも詳細に見ていくといった判断基準を定めた上で観測や分析を行っています。
UXが新たなキーワードに。今後のSEOに求められることとは?
― ここまでのお話で「UX」が度々話題になっていますが、UXとSEOに関連性はあるのでしょうか?
熊谷:これまでは大きな関連性はなく、UXとSEOを分けて考えることが一般的でした。しかし、2021年からデザインやユーザー満足度を検索ランクを決める指標にする、とGoogleから発表がありました。
そのため、今後はSEO担当者もUXを意識していく必要がありますし、デザイナーもSEOを意識しなければいけない時代になると思っています。
青木:UXとSEOを分けて考えないといけないのは、私たちSEO担当者にとってはジレンマでした。「デザイン変えたいけど、検索エンジンからは評価されないよね。」とか「SEO的にはこうした方がいいけど、それってお客様からしたら使いづらいよね。」というケースを何度も経験する中で、UXとSEOを両立することの難しさを感じていました。
ただ、今後はUXとSEOの境目がなくなり、UXの高いサイトを構築することが検索エンジンの評価にも直結するようになると思います。
熊谷:だから、来年以降のSEO領域はかなり変わりますよね。
青木:そうですね。内部対策・外部対策・コンテンツ対策の3つが大きな柱だったSEO領域にUXが加わり、SEO担当者の業務範囲も広がりますし、よりチームプレーになっていくと思います。
これまでもエンジニアやデザイナーとの連携はしっかりと取ってきましたが、来年以降はGoogleの新しい評価指標を理解し、プロジェクトメンバー内で共有した上で、より良い連携体制が組めるようにしていきたいですね。
モダンスタンダードを高級賃貸No.1のメディアへ
― データベースSEOのやりがいや面白さを教えてください。
熊谷:モダンスタンダードは都心の高級賃貸メディアとしては先駆けで、早くから高級賃貸に目を付けて市場を切り開いてきました。そういったメディアに携われる機会はなかなか無いと思うので、そこ自体にやりがいを感じています。
データベースSEOの面白さでいうと、先ほど青木さんが言っていたようにデータベースSEOはチームプレーです。エンジニアやデザイナーの協力なしには成り立ちません。そういった人たちと一緒に膨大な数のキーワードの全体感を見つつ、必要な施策を導き出して、仕様に落とし込み、世の中にリリースしていくことはとても面白いですね。
― 青木さんはいかがでしょうか?
青木:大きく分けて3つあります。
1つ目が、多くのお客様に対して、私たちが改善を重ねたプロダクトを届けられることです。モダンスタンダードは高級賃貸メディアとしては先駆けなので、知名度は高く、既に利用してくださっているお客様も沢山いらっしゃいます。そうした多くのお客様に、私たちの施策を反映したプロダクトを利用してもらえることはやりがいに繋がっています。
2つ目は、事業やメディアの成長を身をもって感じる点です。私たちがモダンスタンダードのウェブサイトやSEOの改善に取り組めるのようになったのは今年の2月から。まだまだ改善に取り組み始めたばかりなので、出来ることは非常に多いです。思いつく限りの施策に対して優先度を付け、着実に一つひとつの施策を実行しているのですが、適切な施策を実施できていると、キーワード順位や売上にしっかりと反映されます。その成長を数字から実感できることも、非常に大きいです。
最後が、モダンスタンダードのポテンシャルです。モダンスタンダードのお客様には、年収1,000万円を超える高所得者層や富裕層と呼ばれる方々がいらっしゃいます。その中には、不動産投資や居住用物件の購入、所有物件の売却に興味を持っている方も多く、RENOSY(※1)とのクロスセルによる会社に対するインパクトは相当に大きいと感じています。そんなポテンシャルを秘めたプロダクトに携われていることに単純にワクワクしていますし、その成長を自分たちが牽引していけることにもやりがいに感じています。
(※1)GAテクノロジーズグループが運営する不動産テック総合ブランド。https://www.renosy.com/
― ありがとうございます。最後に、今後の目標や取り組んでいくことについて教えてください。
青木:モダンスタンダードを高級賃貸の領域でナンバーワンのメディアにしていきたいです。
あとは、DB & Content Optimizationチームを強化していくことですね。今後もプロダクトの数は増えていくと思います。そうしたプロダクトのグロースを目指す中でSEOは必須なので、私たちのチームが強くなることにより、事業やプロダクトが成長しやすい環境を整えたいと思っています。
熊谷:そうですね。DB & Content Optimizationチームは自分一人しかいないので、早く良いメンバーを採用して、より強力なチームを作っていきたいと考えています。
※本記事は作成時点での情報を参考にしております。最新の情報と異なる場合がございますので、ご了承ください。
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