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SaaSにおけるProduct led Growthモデルと組織体制について考えてみた

こんにちは。 Ptmindの安藤(社内ではAndyと呼ばれています)です。

私たちの会社はWebサイトの運営を分析から最適化までを支援するPtengineというサービスをSaaSとして提供しています。マーケティング支援領域のプロダクトになるわけですが、この手のサービスは日々進化も激しく様々なサービスやトレンドが乱立しており、日々新しい情報をキャッチアップしながら製品作りをしなければならないことや、そもそも使うエンドユーザー側もあふれるツール群の中からどれをつかえばいいのかわからないという状態です。

下の図はchiefmartech.comというマーケティングで有名なメディアが提供しているマーケティングツールの分布を示した有名なカオスマップというものですが、もはや数が多すぎて何がなんだかわからない状態です。(この図の中には8000のソリューションが分布しており、年々増加しています)

(ただ、ひたすらに多くめまいがする図です)

私たちは中国と日本というアジア領域で展開しているマーケティングテック(Martech)なのですが、日本のBtoB SaaSは最近は非常に伸びている業界であり資金調達やIPOなどの話題も連日のようにニュースで入ってきています。

一方でこれだけSaaSが流行ってきているなかでも先ほどのカオスマップが示している通り、競争は激しくどこで差別化していけばマーケットに対して影響力を持てるかという点はSaaS事業者にとっては常に悩みになるポイントなのではないでしょうか。

そんな中、SaaSのGo to Market戦略として注目されているのが製品主導型の市場戦略であるProduct led Growth(略してPLG)です。このストーリーではSaaS事業者として私自身関心が高いPLGという戦略について組織運営の観点から考えてみます。

Product led Growthってなんですか? SLGとの違い

Product led Growthについては、すでに日本でも解説記事が出てきています。

【解説】SaaSの新戦略。Product-Led Growthの全貌

従来は顧客獲得のチャネルにおいてはマーケティングがリードを獲得し、それをセールスがクローズするというセールス活動が中心となっていました。(こちらをSales led Growth,略してSLGと呼びます。)ただ、大々的なPRだけではもはや差別化が難しくなってきているのも事実です。また、BtoBでも今までは意思決定者をいかにおさえるかが重要でしたが、サービス選定の主権は徐々にエンドユーザー、つまりは使い手側に移ってきています。

このような流れの中でzoomやhubspot,slackに代表されるようなサービスが無料や無料トライアルのモデルを中心に製品を通じてお客様を獲得していくメカニズムを実現させて拡大させています。つまり、製品自体が今までのマーケティングやセールス活動を行っていく形に近いGo to Market戦略をとることをPLGと呼んでいます。

SLGは、Sales sells product :セールスがプロダクトを売る
PLGは、Product sells itself :プロダクトがプロダクトを売る

PLGのモデルと相性が良いのは製品をすぐに使ってすぐに価値を感じてもらうことができるフリーあるいはフリートライアルのサービスになります。

(UB Venturesが作成した図を参照としてあげます)

PLGモデルにおける組織体制の違いや特徴

ここまではPLGそのものについて簡単に説明をしていきましたが、実際には戦略は非常に組織力と紐づきます。理論上のモデルができていたとしてもそれを支える組織体制がともなって初めて力が発揮されるものです。

最近までSLGの代表格であるthe MODELはあれだけ美しい分業主義によって成り立っているけど、PLGは分業で成り立つ組織運用は難しいだろうと感じていたのですが、Hubspotの元CRO Mark Roberge氏が書いたこちらの記事で組織運用に関しても言及があったため勉強になりました。

The Product-Led-Growth (PLG) Playbook for B2B Startups

ここで指摘されている最も大きな組織運営におけるコメントは以下です。

PLGを推進するB2Bスタートアップ企業の多くは、Go-to-Marketのリソースを製品やエンジニアリングのリソースから分けており、最適な実行ができていない。

つまり、製品が主役のPLGであるにもかかわらず多くの企業がビジネスサイド(マーケット)の推進部と製品部のリソースを分けて運用してしまっているということです。この問題を解決するための組織運用としてMark氏が推奨するのは1)マーケティングではなく、プロダクトへのレポートを中心とした部門横断のチーム(Growth Team)の組成2)目標の共通化です。

サイロ化された組織設計により、下の左の図のように多くの企業で市場攻略のためのリソースはユーザー獲得と収益化のタスクに、製品とエンジニアリングはユーザー維持のタスクに制限されます。しかし、市場攻略のリソースはユーザー維持に、プロダクトとエンジニアリングはユーザー獲得とマネタイズに貢献することができるはずです。これらのリソースを部門横断に組織し、共通の目標を持たせていくことで、すべてのリソースを最重要な指標に集中させていくことができます。


The Product-Led-Growth (PLG) Playbook for B2B Startups を元に図を作成

これは、初めからプロジェクトの進行や物事の進め方を部門横断で構築している前提で行う必要があることを意味していると考えます。たいていの運用が各チームがもっている目標達成に向けて各チームがまず最適化して物事を進める形でプロジェクトが発足しますが、PLGを前提にした組織運営では部門横断のGrowthとしてチームが組成され、最重要目標を共通で持ち、製品と市場サイドが横断した形で仕事を進めます。

独自のPLGと組織体制構築の可能性も大いにあり

PLGにおける組織体制について話をしてきましたが、まだまだ普及して成功しているモデルとしては少ないので、ここにあげたような事業/組織運営以外の強みを出せるのではないかな、と考えています。PLGは大きな意味では製品から始まるGo to Market戦略です。初期のHotmailが送信時に自社ブランドのリンクが入っているメールで普及したこともPLGの一つですが、今後、製品を入り口として今までのマーケティング戦略が組み合わされることで独自性と競争優位のあるPLGモデルができるのではと個人的には感じています。発明は常に今までになかった既存の組み合わせなので、時代とテクノロジーが進む先には常に既存の概念が拡張されていく運命なのかなと思ったりします。企業とそのサービスの持つユニークさをいかに製品と融合させられるかにかかっているので、この手の成功例のバリエーションが増えていくと面白そうだなと感じているのでさらにウォッチしていきたいと思います。語れる人はぜひ声かけてください。

ーーーおわりにーーー

私たちは、常に新しいモデルにチャレンジや探究をしてきたい人たちを求めています。 アジアのMartech領域、新しいSaaSビジネスモデルの構築などを一緒に推進していける方はぜひ話を一緒にしましょう。新しいパートナービジネス、エコシステムの構築やセールス、カスタマーサクセス、コンテンツやデザイナー、サポートスペシャリストなど幅広く募集をしていますので、興味がありましたら気軽に話を聞きにきてください。いつでもお待ちしております。


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