仕事の用件で電話をかけてきたベテランライフプランナーのTさん。とても元気な調子で「どうしましょう。ここ最近、元気が出なくて。色々悩んでしまって。」と、話が始まり、戸惑いました。
「どうしました?何に悩むんですか?」と聞くと、「私のやっている仕事とか、色々な活動が、果たして本当に美しいんだろうかと…」と、奥が深そうな、しかし、とても漠然とした答えが返ってきました。
私がTさんの仕事や活動の内容を評価することはできません。悩みに対して的確なアドバイスをする自信もありません。ですが咄嗟に、「間違いなく、美しいです」と言っていました。このような悩みを抱えている時点で、すでに美しいと思ったのです。
ベテランになれば知識や経験は増えるもの。人から指摘される機会が減り、“慣れ”が生じると、自らを省みることも減ってしまうかもしれません。しかし、Tさんは自身を振り返り、悩んでいました。それも、知識やスキルについてではなく“在り方”について。そして、特別なきっかけがあったわけではなく、ありふれた日常の中で。
さて、その後のTさんとの話は天才的な展開でした。
「入社したての女性ライフプランナーに『元気ないように見えます』と言われたので、色々話をしたらスッキリしまして!」
「良かったじゃないですか!」
「こりゃ良いと思って、別の若手にも電話して色々話したら更にスッキリしまして!」
「さすがですね。じゃあ、今はもう悩んでないんですね?」
「今はもう元気はつらつでございます!!今話をしてもっと元気になりました!!!」
この最後の一言に、私は大笑いするしかありませんでした。
「誰かのために」と意識した仕事や活動だけではなく、自分自身の悩みでさえも、周囲にたくさんの元気と気づきを振りまく種にしてしまう。Tさんの存在感と影響力の大きさを感じました。