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100倍返し

ある時、社外の会場で会議が行われる日、役員のIさんが「救急箱、ない〜?」とやってきました。あいにく、“会議”なので怪我人が出ることを想定しておらず、救急箱は携帯しておりませんでした。「どうされましたか?体調不良ですか?」と尋ねると。「靴擦れ。絆創膏が欲しい。」とのこと。

な〜んだ、そんなことか…と思い、「絆創膏なら、私、持っていますよ」と1〜2枚お渡ししました。

暫くして、Iさんとすれ違うと「さっきはありがとうございました。お礼にクッキー買いました。」とのこと。席に戻ると、私のPCの前に、隣のカフェで買ってきた焼き菓子が、一言メッセージとともに置いてあったのです。100枚100円くらいで買ったであろう絆創膏が、オシャレな焼き菓子になって返ってきたので「何倍返し!?」とビックリしました笑

たった数枚の絆創膏でIさんの靴擦れが劇的に緩和されたとは思えません。もしかしたら、まったく効果がなかったのでは、とさえ疑っています。それでも、わざわざお菓子を買ってくれるほど、その絆創膏に意味を見出してくれたと思うと、嬉しくなりました。

誰かに恩を売るために携帯していたわけでも、お返しを期待して渡したわけでもない、たまたま持っていた絆創膏。そんな些細なモノ、出来事でも、「ほんの少し、誰かの役に立てた。」そう思うことができたのです。

おまけ話ですが、この一件ではIさんだけではなく、私の所属部署を所管する役員のOさんの言葉にも心和みました。

私が「絆創膏なら、私、持っていますよ。」と言うのとほぼ同時に、Oさんも隣で「絆創膏なら、僕、持っているよ。」と言っていたのです。いつも鞄を持たない身軽な格好で出社しているOさんが、絆創膏を携帯している!?なんとなく、ほっこりしました。

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