今や全国でもトップクラスの業績を収める、ある営業パーソン。でも実は昔から、「営業に向いてない」と周囲から言われていたのだそうです。営業としてのキャリアをスタートした当初、「恥ずかしながら何のノウハウも持っていなかった」という彼は、いったいどうやってブレイクスルーしたのでしょうか。
「キャリアの最初の頃は、経営者を対象に、調査データを販売するという仕事をしていました。相手は親の歳ほど年齢が離れた方ばかりで、みな人生の大先輩。まずはお時間をいただいたことに感謝し、背伸びすることなく色々なことを教わろうと考えました」。
会社への想い、それまでの苦労、自身のご趣味…さまざまな話題を出しては、相手の話を真剣にお聞きしたそうです。そこで大事だったのは、「最初の質問ではなく、2つ目3つ目の質問」なのだそうです。
「追加の質問で相手の話を深掘りするんです。こうすると、お客さまとの距離が一気に縮まります。多くの人の場合、おそらく一つ答えが返ってきた時点でやり取りが終わってしまうのではないでしょうか?もしくは、質問が尋問気味になったり、先方が話を続けようとしているところを無理に遮ったり、話題を変えたり・・・。大切なのは、相手の方に興味と関心を持つだけでなく、『価値観を理解すること』です。話したいところをぐっと我慢して、『話すこと』と『聞くこと』の比率を逆転させることで色々なことが見えてきます」
そうすることで彼は、「初対面の人にここまで腹を割って話したのは初めて」とまで先方に評していただけるようになったそうです。「2つ目、3つ目の質問にお答えいただくことで、実はお客さまが頭の中を整理したり、自分の本当の価値観、言葉にできていなかったご家族への愛情や感謝に気づくことができたりもするのです」
あなたの質問が、お客さまが会社経営の課題を見つける一助になる―――。
営業パーソンにとって、こんなに嬉しいことはありませんね。