2020年5月に代表取締役COOを退任したちゃっきー(茶木知孝)に、プロジェクトアドベンチャージャパン(PAJ)での5年半をききました。
いつまでいるの?
PAJに入ったばかりの頃、社内の人に2つのことをよくきかれていました。1つ目は「いつまでいるの?」、2つ目は「こんなPAJでイヤにならないの?辞めたくならないの?」と心配されていました。
僕はPAJがうまく回っていなさそうだから入ったわけです。「こんなPAJでイヤにならない?」という質問は不思議でした。「こんなPAJ」だから入ったわけで、うまく回っている会社ならそもそも入りません。面白くないですからね。もし最初から居心地がよいところなら、すぐいなくなっていたと思います。
環境を整える
PAJには5年半いましたが、最後の方はうまく回っていたのではと思います。でも結局、回すのは僕ではなく、みんなが回しているんです。「仕事を通して、何かを成す」ということをみんながやりやすい環境をつくる5年半だったかなと思います。
この5年半で一番PAJの中で変わったのは「人」だと思います。全体で見れば、人に恵まれたのが本当に大きかったと思います。事業自体はいろいろありましたが、総じてハッピーでした。
人を信じる
この5年半で、僕自身も大きく変わった気がします。みんながそれぞれ、「変なことをしないで、普通に良識ある行動を取る」という前提を持てるようになりました。
子育てでも、企業経営でも、ベースには性悪説がよくある気がしていました。僕自身が性悪説を信じているとは思っていませんが、自然と刷り込まれていた気がします。
そこがこの5年半の中で、割と人を信じていられるようになったと思います。採用や働く環境づくり、経営そのものについて、自分が戦略を考えて何か実行する際に、まず人を信じるということがベースになってきたように思います。
僕自身はもともと、性悪説や信賞必罰をベースにしたさまざまな仕組みを好きではありませんでしたが、自分が経営者になってみて、人を信じきれていなかったと思うことが、あとあとになってわかることもありました。
理想と現実
先日、「モチベーション3.0」(ダニエル・ピンク)を10年ぶりくらいに読み返しました。読めば読むほど、僕はPAJでも外発的動機づけに頼っていたなと改めて感じます。
2010年に、「モチベーション3.0」や「経営の未来」(ゲイリー・ハメル)を読んで、いつかこういう経営をしたいと思っていました。
PAJで実際にやってみたら、最後の1年くらいはそういう傾向が強まりましたが、本に書いてあることと実際に自分がやることはだいぶ違うと感じました。
近年「ティール組織」(フレデリック・ラルー)が話題になりました。組織は一気にティールにはならず、ピラミッド構造の組織を経て進化すると書いてあります。
僕がティール組織の本を読んだときには、すでにその本を見て何かしようという考えはありませんでしたが、PAJでやってきたことは、評価システムなどをつくり、またそれをある意味なくしていくという、ティール組織の色を仮にざっと体験していったという風にも考えられる5年半でした。
PAJで僕の価値を最大限発揮できるステージは終わると思ったので、昨年5月に、1年後の任期満了で退任することを決めました。僕がいなくても、まあいいんじゃないかと。
そう思ったのは、人が揃ったり、育ったりしてきたからです。これから事業の規模を拡大したり、PANZAを増やすことについては、あとはやるだけなので、いまいる人達ができると思います。
(後編に続く)
以前のインタビューはこちら:
スタッフインタビューvol.78 「変化し続ける組織」(前編) (後編)
スタッフインタビューvol. 25 (前編「組織を編み直す」)(後編「自分たちで価値をつくり出す」)
スタッフインタビュー vol. 5 「共に働き、成長できる場作りを」(前編) (後編)