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元経営者のセカンドキャリア。リユース経営のキャリアを活かして挑むは「世界80カ国以上に輸出する中古農機具事業」
「自分のできることがどんどん増えていく感覚を、40歳を超えて味わえることってなかなかない」
そう語るのは前職で常務取締役として経営に携わったあと、マーケットエンタープライズ(ME)に転職した有馬。実はこれまでに転職経験がなかったと言います。元経営者の転職は間口も狭く、定着も難しいと言われるが、彼はどのようにしてMEと出会い、活躍できる場所を掴んでいったのでしょう。
また彼がMEに転職した理由とは何か。リユースの経営経験はあったが農機具の知見はなかったところから、4ヶ月でグループ会社取締役に就任した経緯と新しい事業でのやりがいはどんなところにあったのか ―― これまでのキャリアから今後の展望について有馬が語りました。
大きな舞台で事業を展開する上場企業ではどういったマネジメント、経営をしているのかを知りたかった
―― MEが初めての転職と伺いました。前職でのキャリアについて教えて下さい。
前職でもリユース事業を展開している企業に勤めていました。そこはネット型リユースのMEと違って、リアル店舗型のリユース事業を展開していて、私は事業の立ち上げから多店舗展開までを担当してきました。
また、リユース事業以外にもリラクゼーション事業なども展開していて、そうした新規事業のテコ入れであったり、20〜30名ほどの新卒採用を自分でやっていたりと、事業成長に関わることを幅広くやっていました。そして最終的には常務取締役として経営にも携わっていました。
ファーストキャリアから十数年その企業で務めていたわけですが、店舗展開、複数事業の成長、組織マネジメントや採用など、さまざまな経験を通じて、一社員から経営ポジションまで駆け上がっていったキャリアでした。
―― 前職では経営をされていたなかで、MEに転職しようと思った経緯を教えて下さい。
転職を考え始めたのは、38歳のときでした。ゼロイチで何かをつくっていくことが好きでしたし、リアル店舗を通じて地域の方々に喜んでいただけることにとても満足していたのですが、それまで一度も転職をしたことがなく、その会社の経営しか知らなかったんですね。
常務取締役として経営にも携わっていましたが、「大きなマーケットで複数の事業を展開している上場企業では、どういったマネジメントや経営を行なっているのか」ということを知らずして、ビジネス人生を終わらせたくないという思いがずっとあり、転職を決意しました。
―― 転職先として、MEを選んだ決め手はなんでしたか?
リユース領域に限らず、「自分が活躍できそうな会社はないだろうか」と考えていたのですが、とにかく転職したことがなかったので、どうやって転職活動を行えばいいかわからなかったんですね(笑)。
ただ前から気になっていた会社があって、それがMEでした。当時、オンラインでも集客をするため自分でサイトを制作していたのですが、いつも検索上位に表示されていたのがMEで。また、MEはネット型リユースで成長して上場した会社です。同業種を経営する私にとって、急速に発展した企業の運営・経営はどうやっているんだろうと、気になっていました。
そこで、同じ大学法学部の友人がたまたまMEで内部監査室長をしていたので、彼に「MEってどんな会社?」と相談したんです。そうしたら、MEの経営陣とも面談をする機会をもらえて。いろいろと話しをするうちにMEに興味が湧き、気づけば選考に進んでいました。
もちろんME以外の企業も選択肢としてあったのですが、決め手となったのはMEの掲げている理念、そして代表である小林の存在が大きかったです。
もう3年近くも前のことですが、いまだに覚えているのが「コングロマリット企業で1,000億円企業を目指すんだ」と小林が話していて、素直にすごいなと。スケールの大きさはもちろん、そこに辿り着くまでの道筋が小林には見えているような気がして、次元が違う世界を垣間見た感覚でした。
しかも、小林は「ついてこい」という感じではなくて、手を差し伸べて、そして手を握って「一緒に行こう」といったスタンスで、こんな創業社長はなかなかいないと感じたんですね。
そこで直感的に「この人の助けになりたい」と思いましたし、「1,000億円を目指すなら、そのうちの3割は私が築きますよ」と言えるような人物になりたいと思い、MEに入社することを決意しました。
「この人事スピードはMEでは当たり前」入社4ヶ月で取締役に、入社1年半後には執行役員に就任した経緯とは
―― 入社して4ヶ月目で、グループ会社であるMEトレーディングの取締役に就任されましたが、その経緯と当時の心境を教えて下さい。
入社時は、MEという会社や事業について理解してほしいということで、まずリユース事業に配属されました。事業の把握がミッションだったので、マネジメント部分や人材育成がどのようになされているのか、物流の現実現場で体感させてもらいました。
具体的にはインサイドセールスの仕組みや、商品をどのようなロジスティックスで管理しているのかであったり、複数の販売チャネルで在庫連動をしながらどうやって在庫回転率を高くしているのか、裏側を見ました。また、顧客の接点であるフィールドセールスの現場にもさまざまなメンバーと同行させてもらって出張買取もしていました。
そんな中、突然小林に呼ばれまして、「鳥取にある農機具のリユース事業を展開する企業をM&Aしようと思っていて、任せたいのだが」と打診されて。もちろんチャレンジをするためにMEに入っていますし、前職でもスクラップ&ビルドで事業を成長させ、経営に携わってきた経験もありますから、二つ返事で引き受けました。
農機具のリユースに関しては全くの未経験でしたし、知識も何もありませんでしたが、小林が選ぶところに間違いはないだろうと思っていて、むしろどんな展開が待っているのだろうかとワクワクしていました。
―― 取締役として意識されたことや苦労したことがあれば、教えて下さい。
MEトレーディングは、別の企業の事業を譲り受ける形でスタートした会社です。企業文化や風土が違う、MEの理念や考え方を知らない会社にいた人たちが、突然MEグループとして一緒にやっていくということで、メンバーは不安しかなかったと思います。
そこで、いかにメンバーをひとつにまとめ、MEとしての考え方も浸透させていくかということにはじめは苦労しました。
特にネット型リユースのMEと違い、MEトレーディングはもともとリアルで中古農機具の買取・販売・海外輸出をやっていた会社。そのため、仕事の進め方から考え方までいろいろと違うことが多く、一時期は衝突するようなシチュエーションもありました。
しかし、中古農機具の買取・販売に関するインターネットプラットフォームを展開する『UMM』や農機具に特化した査定・買取サービスである『農機具高く売れるドットコム』など、MEグループが展開する農機具リユース事業を包括して、ひとつのマシナリー事業部(農機具リユース事業)として進めていこうと旗振りしていったことがターニングポイントとなり、ひとつにまとまることができました。
―― さらに入社1年半後には、MEトレーディングの社長、そしてMEの執行役員に就任されましたが、そのときの心境を教えて下さい。
そのときは、さすがに驚きましたね(笑)。当時はまだ大きな結果も出せておらず、MEの役員陣に自分の力量を示せていませんでしたから、本当にびっくりしました。抜擢された理由も詳しく教えてもらえなかったのですが、やり抜く姿勢を評価してもらったのかなと自分では思っています。
MEトレーディングを任されたときも、中古農機具に関するリユースの知見も経験もない状態から、業績を上げながら人を成長させて、さらにMEの目指す方向性へ導くというのは非常に難しいことだと経験しました。正直なところやりがいや権限は非常に大きいですが、それ相応のストレスのかかるポジションです。
しかも、自分自身が新卒入社でMEに入ったわけでもなく、転職して間もない人間がそれをやるというのは、より難易度が高いこと。しかし、私はストレス耐性があるタイプだと思っていますし、過去にもいろいろな事業をやってきた経験を活かせたからこそ、乗り越えることができました。
―― MEのそういった人事のスピード感については、どのように捉えられていますか?
入社してわずか1年半でそういった役職に就かせてもらえるというのは、MEでは珍しいことではないだろうなと。むしろ役員陣からの「追いついてきて」というメッセージだと思っています。
そしてMEに入って驚いたのは、役員陣が近い距離で高みへと導いてくれるということ。自分の持っているスキルをよりバージョンアップしてくれるような環境なんですよね。自分のできることがどんどん増えていく感覚を、40歳で味わえることってなかなかないと思います。
また、コングロマリット企業で1,000億円企業を目指していくMEとしては、いろいろな事業を展開してくために、もっと経営人材を増やしていく方針です。当然ながら事業をスケールさせていくには利益を出し続けることが求められますが、そのためには市場環境の変化に応じて事業構造を改革していくことや、事業推進する組織運営、コスト感などさまざまな知見が必要になります。
それは知識として知っているであったり、ある業種で成功したといった体験だけではなく、いろいろな業種や組織で実践された見識があるかが重要だと思っています。だからこそ、私が抜擢されたと思っていますし、そういった経験がある人には多くのチャンスが巡ってくる環境です。そのため、この人事スピードはMEでは当たり前だと思っています。
「手作業で働く農家も海外では珍しくない」農機具リユースはビジネス価値だけでなく、社会貢献性の高い事業
―― あらためてMEのマシナリー事業部がどういったことをしているのか教えて下さい。
マシナリー事業部では、日本国内で使われなくなったトラクターなどの農機具を買取り、修理&メンテナンスをして国内で流通する他、現在80カ国を超える国へEC販売による中古農機具の輸出を行なっています。
海外で農機具がどう扱われているのかについて、イメージを持たれていない方も多いかもしれませんが、まだまだ海外では手作業で働かれている農家も珍しくありません。そのため、日本国内ではニーズがあまりない低性能の農機具でも、海外では非常にニーズが高く、そうした農機具を家族同然に大切に扱われているんですね。
過去には使われなくなった農機具をスクラップにしてしまう時代もありましたが、そうしたまだ使える農機具が海外では大切に扱われているというのは、ビジネス的な価値だけでなく、非常に社会貢献性の高い事業だと感じています。
(実際にベトナムのお客様を訪問した時の様子)
―― 農機具という商材を扱うからこその難しさは何かありましたか?
私たちは農家さんたちからだけでなく、農機具店やJA、またメーカーの販売会社などとも取引があり、日本全国から農機具を集めています。ただ、買取や輸出に関しては、一般的なビジネスの常識が通用しないことも多くあります。
たとえば買取に関しても、トラクターをMEが「30万円で買います」と提示しても、農家さんは20万円で提示しているいつもメンテナンスを依頼している業者さんに売ってしまうことがあったりと、高い買取金額を提示するだけでは農機具が集まりません。
農家や農機具店などの方々にとって、上場企業だろうが関係なく、まったく相手にしてもらえないんです。大切なのは世の中的な信頼度などではなく、農家さんにとって信頼してもらえる存在になれているかなんです。
そして信頼関係を構築していくには、かしこまった話しよりも、人間としての距離感を縮めることが営業としても求められます。分かりやすい例で言えば、農家さんに持っていくのはプレゼン資料じゃなくて、缶コーヒーなんです(笑)。缶コーヒーを飲んでいる間だけは話を聞いてもらえるだろうと、地道に泥臭く営業をしていくことが重要だったりします。
また、海外に売る際も、どういった農作物を扱っているかによって求められる農機具は違うため、 “農機具” というジャンルで捉えるのではなく、各地域にあった農機具をしっかりと見極めないといけません。まだ買取も販売も洗練されていないことばかりで、そうした状況に対してどうスケールさせていくかが難しく、面白い部分でもあります。
(MEトレーディングが保管してる中古農機具)
―― 2022年4月には、DMMのグループ会社である中古農機具の買取・販売事業を展開するファーマリー社が新たに加わりましたが、どのような狙いがあったのでしょうか?
MEの農機具リユースは、もともとWEB経由で依頼をいただき、出張買取を行ってネットオークションで販売するといった事業からスタートしました。
その後、MEトレーディング含め、グループ会社が増えていき、買取ルートや販売ルートが増えていったのですが、メーカーの販社との取引が多いファーマリー社が加わったことで、よりtoBの販路を拡大していくことが狙いでした。実際に前年比ですでに取引量は2倍以上となっています。
今後はさらに拡大していくため、私たちのサービスの認知度向上を図って行きたいですし、仕入れにおいては国内の農家さんはもちろん、いろいろなメーカーさんや販売会社さんからの仕入れも強化していきたいと思っています。販路については、新規就農者の方や、海外への輸出先として欧州・東南アジア・その他の国々をはじめ、地域や国への貢献性が高い輸出先はどこかなど、同時に考えないといけません。
そうした様々なことを展開していくためには人材が足りていないと思っています。現在80ヶ国以上との取引がありますが、全世界に販路を拡大していくとなると、海外向けの営業人材も求められますし、国内の拠点を増やしていくとなると、拠点のマネジメント人材も必要です。
まだまだ成長過程で、事業を加速させていくフェーズにあるのが、いまのマシナリー事業部です。
MEの事業は、多くの方々に感謝していただける。農機具リユースを通じて世界中の農家さんを幸せにしたい
―― これまでを振り返り、あらためて有馬さんが考えるMEの魅力を教えて下さい。
まず入社して驚いたのが、一般社員にまで理念が浸透しているということでした。代表である小林が発している言葉を現場の社員も同じように使っていますし、みな理念をしっかり理解しているので、主体性を持って働く人たちばかりです。
そのため、個々が自分なりの働きがいを見出せる環境というのは、MEで働く魅力だと感じています。
また、農機具に限らず、リユースというのは非常に社会貢献性の高い事業で、国内のみならず海外のお客様から「ありがとう」と感謝のお言葉をいただくことも多いです。時には外国の大使館の方が弊社に訪問してくださったり、各種メディアに取り上げられることも増えてきています。
大小問わず、私たちの事業を通じて喜んでいただけているという実感を得られるのは、とても嬉しいですし、やりがいに感じられる点です。
(アルジェリア大使館が北関東リユースセンターに来訪)
―― 最後に、有馬さん自身の今後の展望をお聞かせください。
まずは農機具リユース事業を通じて、世界中の農家さんを幸せにすることが私のミッションだと捉えています。
そして日本のものを海外に輸出する企業は多くありますが、海外に輸出していくということに関しては、MEにしかできないことも多くあると思っています。そこで将来的には農機具の事業だけでなく、船外機や船舶などでも同じような課題があると思いますので、マシナリー事業として領域を広げていけたらいいと思います。
持続可能な社会を実現するためには、まだまだ解決すべき課題が日本には多くあります。そんな課題の解決に向けても、果敢にチャレンジしていきたいなと思っています。
また、私自身はMEの社員として主体的に働けていて楽しい日々を過ごせていますが、人によっては楽しい日もあれば、悩むタイミングもあると思います。そこで、もっと他の社員を巻き込んでいき、一人ひとりが自分の仕事の意義をふと思い出せたり、主体的に働くことの楽しさを再認識してもらえるような存在になりたいと思っています。