スクール事業のリーダーとして、日々、クラス運営に邁進しているのが田口峻平だ。
新卒でグリー株式会社に入社し、ソーシャルゲームプランナーとして従事した後、2015年4月にライフイズテックにジョインした。どんな時でも子どもたちの可能性を信じて疑わない田口。その熱い思いや優しい人柄から、中高生や大学生メンターからの絶大な信頼と人気を得ている。
(ライター:林由美子)
ーー現在はライフイズテックでどのような仕事をしているのでしょうか?
プログラミングスクールのクラスマネージャーをやっています。
学校で言うところの担任の先生みたいな感じですね。だいたい60〜70人の子どもたちがいる中で、どうしたら楽しくクラス運営ができるかを常に考えています。
ーー仕事のやりがいはどんなところですか?
一番は中高生と仲良くなれることです!
3年、4年と通ってくれる子も多く、子どもたちの成長をずっと見守ることができるんですよ。プログラミングのサポートももちろんですけど、受験や進路、学校での友達関係の相談もたくさん受けます。例えば、「この大学に行きたいんだけど、学校では反対されていて…。」だとか。
ーー学校でもない、家庭でもない、サードプレイスとしての役割ですね。
そうかもしれません。
ある例をお話すると、学校にはずっと行けていないんだけれども、ゲームだけは好きで夢中になってやっている子がいたんですよ。それで、お母さんが、「ゲームが好きだからプログラミングに向いているんじゃないか?」ってその子を連れてきたんです。
最初は誰とも全くしゃべらなかったんですけど、次第に僕やスタッフと話すようになって。人とのコミュニケーションが全くできなかった子が、「こういうの作りました!」って自分から話すようになり、ついには自分の作品をプレゼンテーションするまでになりました。だんだん自信をつけて、次は大会に行ったり、作品を世の中に出したりして。
その姿を見たお母さんが泣きながら言ったんです。
「15年間生きてきて、この子がこんなに楽しそうに輝いているのは見たことがないです。Life is Tech ! で友だちができて、プログラミングができるようになってすごく変わりました。」と。
その子はその後、高校受験もして、学校にも行けるようになったんですよ。
ーーLife is Tech ! という環境が、その子の人生が変わるきっかけを作ったわけですね。
僕らは、「プログラミングはツールでしかない」と思っています。プログラミングができるようになることが目的ではなくて、プログラミングを使って自分の好きなものをつくったり、世の中の困っていることを助けたり、誰かを喜ばせたりすることが大事だと思うんです。
作ったものを世の中に出せば必ず反響がきます。誰かに「ありがとう!」とか「すごいね!」とか言われることで、「じゃあ、次はあれをやってみよう!」という気持ちになり、その子自身がどんどん成長していくんですよ。
自分の好きなことだったり、個性だったり、自分が抱えている課題だったりをプログラミングと掛け合わせることで自分なりに物事を解決していって、それが自信につながるんだと思います。
僕は、環境によって人は変わるものだと思っていて。僕たちが置かれる環境と言うと、学校や家庭に重きが置かれがちですが、実は学校では学べないこともたくさんあるし、僕自身、学校以外の場所でおもしろいことにたくさん出会ってきました!
ーー田口さんご自身もそういう経験をされてきたのですね。実際、どんな中高時代だったのですか?
実は僕、小さい頃はプロ野球選手になりたかったんですよ。でも、中学あたりで自分にはその才能がないことに気づいて諦めてしまったんです。そしたら、そこからは好きなことがなくなっちゃって…。
一方で、世間では「好きなことを見つけなきゃいけない」っていう風潮があったから、好きなことを見つけられない自分にコンプレックスを感じていました。中学時代は、勉強もあまり好きではなく、友達関係もうまくいかず、野球を諦めたことで好きだった運動もダメになってしまったので、あまりいい思い出がありません。
ところが、高校時代はとても楽しかったんです!高校に入ってから、いろんなアルバイトをして、学校でも家でもない場所で様々な年齢の人と関わる機会ができて、こっちではダメって言われたことでもあっちでは受け入れてもらえるとか、こっちで楽しかったことはあっちでやってもやっぱり楽しいとか、そういう経験ができたのが大きかったなと、今振り返るとそう思います。
ーー多様な環境に身を置くことで、コンプレックスから解放されたのですね。
そうですね。あと、自分が好きなことを見つけられずに悩む中で一つ気づいたのは、全力でやったり、いろんな環境に飛び込んでいるうちに見つかることも多いということです。目標を定めて山を登る方法もありますが、とにかくがむしゃらに登っていったら目指すべき場所にたどり着いている場合もあると思います。だからこそ、学校で学べないことや、自分の個性に合ったものを学べる場所を創っていきたいという思いがずっとあります。
ーーLife is Tech ! の川藤先生(漫画「ROOKIES」の熱血教師)と言われているそうですが(笑)、その熱い思いや人への思いやりはどこからくるのでしょう?
いやいや(笑)でも、基本的に人が困っていたり、辛かったりする状況が嫌で、笑顔の方がいいなって。
中高時代って本当に大事だと思うんですよね。その頃って何にだってなれるし、可能性に溢れているじゃないですか。なのに、やりたいことを見つけられていないっていうだけで色々諦めちゃうのはもったいない!
僕自身も、今になってみたら「もっと美術もやってみたかったな」とかいろいろあるんですよ。でも、その時は自分では気づけなくて。だから、「◯◯も向いてそうだから、やってみたらどう?」と背中を押してあげて、一人ひとりがもっと輝けるように携わっていきたいという思いがあります。
自分のやりたいことを見つけた時の子どもたちってすごく真っすぐで生き生きしているんですよ。それを応援したいというのがモチベーションになっています。
ーー一方で、仕事の難しさはありますか?
実は、あまりないんです(笑)
そうは言っても、どうしても夢中になれない子に対してどう接するか?っていうのはありますね。「勉強しなさい!」と一方的にやらせるのは格好良くないですから。こういうのって唯一の正解はなくて、その子によってスタイルが変わってくるので、一緒にクラスを作っているメンターと常に試行錯誤しています。でも、それがやりがいでもあります!
ーーご自身も学生時代にはメンターとして関わっていたそうですね。
当時、IT企業に勢いや魅力を感じて、ソーシャルゲームの会社に就職を決めました。
僕は、大学時代にプログラミングにおもしろさを感じることができなくて、プログラミングとは違う道で大学院に進んだんです。けど、ゲーム会社に決まって、あらためてプログラミングが大事だってことに気づいて、「なんでプログラミングを学ばなかったんだろう?」って後悔しました。
でも、ここでふと「それは、僕のせいじゃないのかもしれない。」って思って。これは環境のせいと言うか、もっと楽しくプログラミングを教えてくれていれば好きになっていたかもしれない、と思ったんですよ。
もっと言うと、僕は大学で初めてプログラミングを学んだんですが、大学よりもっと前に楽しくプログラミングをやった経験があれば、嫌いにならずにすんだかもしれないなって。
そこで、中高生に楽しくプログラミングを教えられる場所はないかなと調べていくうちにLife is Tech !を知ったんです。「僕がやりたかったのはこれだ!」と思い、就職前の1年間、メンターとしてかかわらせてもらいました。
ーーソーシャルゲーム会社に就職されましたが、その後ライフイズテックに戻るという選択をされますよね?それはどういう意思決定だったのでしょう?
学生時代、メンターとしてキャンプに入らせてもらっていたのですが、そこで衝撃的な光景に出会いました。
5日間のキャンプを終えた中高生が、「人生でこんなに楽しかったことはない!!」って、泣くんですよ。思春期の中高生が泣くくらい夢中になれる場所を『教育』という領域で作れるんだ!と思って、本当に衝撃でした。
だから、「いつかここに戻ってきたい!」と思って。実は、水野さん(代表取締役CEO)からは「このまま社員にならないか?」と声をかけてもらったんですが、その時、自分にはまだ自信がなかったんです。それで、「自分の強みを作ってから、必ず戻ってきます!」と言って、決まっていた会社に就職しました。
自分の中では、前職の会社で2年、その後バックパッカーで世界を旅行して視野を広げて、トータル5年くらいでライフイズテック に戻りたいと思っていました。でも、2年というタイミングでちょうどライフイズテックの業務拡大ステージが重なったこともあり、そこでジョインしました。
ーー田口さんが考える「未来の教育の姿」「こんな子どもたちを育てたい」というのを教えてください。
一番は、一人ひとりにあった教育をしたいということです。人によって、絵が得意な子もいれば、運動が得意な子もいるし、勉強が得意な子もいる。個性だってぜんぜん違う。だから、その個性を伸ばせるような教育をしたいです。
その子を計る尺度も、これまでの「勉強」や「運動」だけではなく、例えば「コミュニケーション」だったり、もっといろいろあっていいと思うんです。
「勉強」にしても、要素をもっと細かく分解してみるとか。例えば、「君の好きな音楽と◯◯を組み合わせると、もっと可能性が広がるよ!」というふうに伝えてあげることで、プログラミングに限らず、子どもの可能性を伸ばしていきたいです。
それによって、Facebookやメルカリみたいな、世界をあっと驚かせるようなサービスを生み出せる起業家が生まれたり、どんな分野でもいいので、世界を変えるような子が出てきてくれたら嬉しいですね!
<インタビューを終えて>
一貫して感じたのは、「環境によって人は変わる」という、決してブレることのない田口の信念です。実際に中高生が変わっていく姿を間近で見てきた田口にとって、「環境×可能性」の化学反応こそがワクワクの源泉になっているのだと思いました。そんな田口もまた、環境によって人生を変えてきたひとり。ライフイズテックという環境の中で、これから彼自身がどんな進化を遂げていくのか楽しみでしかたありません!
田口と一緒に中高生の可能性を伸ばす仕事をしたい方は以下よりエントリーお待ちしています!