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コウダプロが掲げる「新しい昭和」とは

福岡で街を歩けば何かと出くわす長身金髪のお兄さん。その名も「きむ兄」こと木村公洋さん。

私が初めてきむ兄に会ったのは某八百屋での日本酒パーティでした。初めてと言ってもSNSではお見かけしていたので、(あっ、ホンモノだ)と思ったのが本当のところ。それから「広報マンとしていろいろ勉強させてください!」という名目のもと、お茶したり飲みに行ったりという仲になりました。

コウダプロにも興味を持ってくださっているきむ兄。「”社会の標準”から良い意味で外れている」こともあり、ウチの考え方を理解してくださっている稀有な方です。

それで今回、「第三者視点でコウダプロを紹介してもらう企画」を考えているときに、「これはきむ兄に書いてもらうしかない!」と思い依頼したところ、二つ返事で受けてくださいました。

「昭和」を切り口に書いていただいた、弊社代表・幸田へのインタビュー記事。広報担当の私でもなかなか文章化が難しいテーマですが、原稿を拝読してみるとさすがはプロ。「そうそう!それそれ!幸田が言いたいのはそういうことなんです!」と、ヘドバンが止まりませんでした。

原稿の確認中には、
「6000字ぐらいになっちゃったけど大丈夫…?」
「大丈夫です。めんどくさい人たちはこれを読み込むのでww」
「この長さを読めるのかも一種のリトマス紙やねw」
なんてやり取りも。

これ以降、「バカ撲滅」「昭和文化の団結力」「愛社精神」「資本主義との戦い」「若い世代は騙されている」など怪しいワード満載ですので、くれぐれもお気を付けくださいませ!

コウダプロが掲げる「新しい昭和」とは


バカ撲滅のために提唱した「新しい昭和」

木村:僕がコウダプロを語る上で外せないのは「圧倒的な昭和」なんです。noteに書かれているテーマの殆どが昭和文化で、「おいおい、暴走族って死語やん」とゲラゲラ笑いながらnoteを拝見しております。新卒・既卒問わず若い社員を募集しているコウダプロですけど、令和と真逆を行く「昭和文化」に全振りした背景を知りたいです。創業当初から「新しい昭和」に全振りしていたんですか?

幸田:会社を経営していく中で徐々に言語化をしていった感じです。創業当初はそれこそ食べていくのに必死でしたが、徐々に会社がうまく回り始めてきたときに組織の在り方やコミュニケーションなど仕事の本質を考えていくうちに「昭和」にたどり着いた感じですね。「コウダプロ憲法」や、毎週月曜日の午前中に行っている3時間の朝礼もそうですね。

木村:昭和時代の文化って、若い人たちには馴染まなそうというイメージがありますが、なぜこの時代に昭和文化に目をつけたんですか?

幸田:語弊を恐れずに言いますけど「バカ撲滅」です。社内会議をするための資料作成に疲弊していると聞いて、なんと生産性がないんだと。世の中がバカなことで溢れているなら、バカなことを減らしていくだけでもビジネス競争力をつけられるんじゃないかと思ったんです。

近年の大きなバカでいうと、働き方改革ですよ。「副業を解禁しましょう」「ジョブ型雇用を促進しましょう」「会社との関係を見直して、もっとライフワークバランスを意識しよう」。「これが人生を充実させる」と国も企業も打ち出している。これに違和感を覚えたんです。

木村:どんな違和感ですか?

幸田:日本という国は歴史的に、日本人が団結することが最大の資源だと思っています。組織なりチームなりで団結することで生まれる日本人のパワーはものすごいのに、国や組織がそれを剥がしてしまうのは、戦後からの奇跡の復活という成功要因を排除するのと同じことです。

これは「昭和の排除」と同じ意味として捉えられるなと思ったんです。

昭和文化の団結力こそ、今の組織に必要

木村:僕は昭和53年生まれなので、昭和の肌感覚は何となくわかります。あの頃は会社と個人がガッチリ手を取り合って、「会社が全部面倒見るぞ」的な文化もありましたね。社内結婚も今より多かったし、なんなら女性へのアプローチが苦手な口下手の男性社員のお見合い相手を上司が探す光景もありましたね。令和だったらきっと「パワハラだ」と言われるでしょうけど、口下手な社員が家庭を持てたのはこうしたお節介があったからですよね。これは昭和の良い部分だと思います。

幸田:昭和のダメな部分を排除し、強みとして残さなければいけなかった「昭和」は何なのか。これが「新しい昭和」の概念です。団結力は圧倒的な強みなので、残さなければいけない。

サッカーのワールドカップの代表チームなんて昭和の塊じゃないですか。「俺たちはチームのために戦う。エゴイストにはならない」。世界的なスター選手は、みんな国のために戦っている。国を代表するチームがこれなんだから、会社もそう在るべきなんです。

木村:スポーツの大会だと、チームや選手に感情移入する形で団結ができますね。ところが会社での団結は、今の日本人は「ダサい・かっこ悪い」という風潮はまだまだ根強いです。会社組織に「新しい昭和」を取り入れるのは難しそうな感じもしますが、どうなんでしょうか?

幸田:「新しい昭和」を取り入れるときに「排除すべき昭和」というのが「非合理性」です。

例えば会議の場で、上司の言葉は絶対で口答えは許さん、質問もダメ、先輩の言うことは絶対イエスみたいな。これは昭和の悪しき文化で、全然合理性がない。

「私はこっちの案がいいと思うんですけど、部長はなぜそっちの案なんですか?」というやり取りがあったとします。これは部長に反抗しているわけでなく、クオリティを高めるためのディスカッションの一場面に過ぎません。もし部下の指摘が「なるほど、これは見落としていた。最もだな」と感じたら、部長はすぐに案を変える。こうした合理性を求めていくべきなんです。

その上で、組織に入れるべきは「愛社精神」です。戦後の昭和文化の象徴でもあった愛社精神を「新しい昭和」に取り入れていくべきです。社員ひとりひとりが意思を持って会社貢献の意識を持って働く。それがひいては社会貢献につながっていくと思います。


■「新しい昭和」をひっさげてのビジネス展開■

いずれは資本主義を進化させていく

木村:「新しい昭和」の概念および組織文化に浸透させていく考えはわかりました。では、これをコウダプロのビジネスにどう落とし込んでいくのでしょうか?

幸田:これはちょっと言うのは恥ずかしいので社外にあまり話さないんですが、「新しい昭和」を通じて我々がビジネスに参入し、ビジネスが成長した先に何があるのかを考えた時、戦う相手は旧態依然とした資本主義だと思っています。

「資本主義と戦う」と言うと、多くの人は資本主義のカウンターに走りがちです。例えば現代文明社会が便利になったことで温暖化問題が生じている。それを解決するために山に引っ込み、自給自足のコミュニティを作ってしまう。でも、それよりもクリーンエネルギーの開発や、水素で動く車のような大気汚染ゼロの技術を開発する方が多くの人が喜ぶし、理にかなっているわけです。単に資本主義を否定するのではなく、原則として、人間社会を進化させるという意味で資本主義は正しい考え方だと思います。

ただ、昭和の時代を全面的に肯定できないのと同様に、過去には労働法規が存在しない「蟹工船」の世界のような、資本家が労働者を搾取する関係が成り立っていました。これによって多くの悲惨な事態を生み出したことも事実です。

​​だけど、資本主義の原則は起業家が資本家からお金を集めて企業を経営し、拡大再生産を進めていくことです。資本家が富を作り、社会がどんどん便利に豊かになることに貢献している。これが資本主義の本質です。

その上で、「資本主義と戦う」とは、自給自足などのカウンターに走るのではなく、資本主義を進化させることだと思っています。今の労働基準法が守る労働者の概念は、昔の蟹工船の時代を想定しているわけです。

でも、今はスマートフォンとパソコンがあれば誰でも起業できる時代になり、子どもがもらうお年玉くらいの金額で誰でも資本家になれる社会なんです。そんな社会に対し、現在の労働法規や資本主義の仕組みは明治時代のような考え方のままで、全く対応していないですよね。歪みを感じます。

資本主義の進化は「権利の分配」

木村:幸田社長にとって、資本主義の進化とはどんなイメージなんですか?

幸田:資本家の権利が労働者に分配されていくイメージですね。

コウダプロがこのまま成長を成し遂げていくと、人類的に考えても現在の資本主義の究極形を取り入れた会社ができると思っています。

コウダプロは多様なビジネスを生み出す会社で、ホールディングカンパニーとしての役割が増えてくると思いますが、株主は分散させない方が良いと考えています。上場もするつもりはありません。この中で新しいビジネスを立ち上げる人たちがいれば、それを全て別会社として扱おうと思っています。

例えばある社員が新規ビジネスをたちあげるとして、資本金500万円で会社を作ろうとなったとき「コウダプロホールディングス」が80%を出資します。残り20%のうち、会社を立ち上げる社員が10%を出資し、残り10%は社員の公募で集めます。

この会社が数年頑張って売り上げが伸びて仮に1億年の企業価値を持つまでになったとすると、500万が1億円になったわけです。1億のうち10%は社員が出資しているから、1000万円がコウダプロの給与とは別に手に入るわけです。会社の給料をもらいながら資本家的な報酬をもらう。資本家と労働者の中間的な働き方です。

この仕組みがうまく回れば、世界中の企業がベンチマークしてくると思います。この仕組みができることをコウダプロは証明したい。その中で昭和の全てが正しかったわけじゃないけど、昭和の核心部分は日本人の強みなんだと伝えていきたいですね。


■コウダプロが求める若い世代の理想像■

若い世代は社会と大人に「騙されている」

木村:今の若い世代を、幸田社長はどう見ていますか?

幸田:「完全に騙されているぞ」という目で見ています。どういうことかというと、社会や大人は若い世代に対し、モデルケースの掲示ができなくなっているんです。昔はいい大学に行けばいい会社に入れる。

いい会社に入れば、世の中的に羨ましがられる待遇があり、郊外に一戸建てを建てて暮らすのがバブル時代までの幸せのモデルケースだった。このモデルケースに代わるものを、国も企業もいまだに提唱できていない。社会や大人の側は「これが正解」というものを持っていません。

社会や大人がモデルケースを提示できないから答えがない。だから「こうなりたい」ではなく、「こうなりたくない」という意識が強まっています。その中で多くの情報が出回り、何が正しくて何が間違っているのか、若い世代には理解できない。

結果的に騙されてしまっている状態になるんです。

木村:若い世代の中には「昭和時代の日本のほうが良かった」という声も聞かれますね。

幸田:「それは違う」と声を大にして言いたいですね。確かに今の高齢世代は年金もたくさんもらって、「僕らは年金もらえないんでしょ」と悲観的な声を上げる若い世代もいる。

でも、昭和がどんな時代だったか、彼らはきちんと理解していない。生きることに必死で、あす食べるものもままならない日もあって、そこから頑張って所得も上がってようやく生活が安定した。それこそ、今で言うブラック企業なんて、日本中の殆どだったんじゃないかと思うくらい。それに比べたら、この時代は本当に豊かな世界だと思いますよ。

会社で働く人に必要なのは「充実感」

木村:コウダプロは若い世代の採用を進めています。令和の豊かな時代に敢えて「新しい昭和」を提示する中でどんな人と一緒に働きたいですか?

幸田:僕が就活生や求職者と話すときに、こんな話をするんです。

フリーランスや個人で商売している方に「仕事をして何が欲しいですか?」と聞くと、多くの人は「お金」とは答えない。もちろんお金はあればあるだけいいんだけど、答えるのは「ありがとうと言われたいから」「お客さんの喜ぶ顔が見たい」「良好な人間関係」と答えるんです。

こうした方々と交流しながら、気づいたんです。会社で働く人が真に求めているもの、すなわちその人が会社で働き、幸せになるために絶対に必要なものは「充実感」なんです。充実感は感謝されること、良好な人間関係、会社からの適正な評価、こうした要素を全て満たされて初めて得られます。

じゃあ、社員が充実感を得るために持っているといいのが愛社精神なんです。愛社精神があれば、会社やチームに貢献したり、逆に貢献してもらったりすることができる。愛社精神は充実感を得るための相当重要なファクターになると思います。

お金や経済的な豊かさが当然重要なのは言うまでもないことですが、それは充実感を得るためには十分条件ではありません。

木村:「愛社精神」って一歩間違えると、若い世代に誤解を与えかねませんよね。

幸田:僕が若い世代にこの話をしたときの受け止め方は両極端なんです。「目から鱗です!」と感動するパターンと、ドン引きするパターン。ドン引きした人の中には「批判されている」と感じて目に涙を浮かべて帰る人もいる。もちろん個人攻撃はしていませんが、それほど反応は分かれますね。

木村:でも、コウダプロに入る前にこれくらい言っておかないと、入社した後にミスマッチが起きたらお互い不幸になりますよね。

幸田:口幅ったい言い方なんですけど、コウダプロのやり方は一種の社会実験だと思っていいます。会社のコンセプトを口酸っぱく伝えて、仕事の本質や社会や自分への向き合い方といった思想を伝えていく。その思想を理解してくれれば、スポーツでいうところの戦術を理解してくれた状態になると思うんです。

戦術理解が組織全体でカチッと揃えば、奇跡の生産性が生まれるんじゃないか。そんなことを考えた上で社会実験を行っている感じですね。

私のマイルールは「決めつけない」こと

木村:その社会実験である「新しい昭和」を実践する中で、社員とのコミュニケーションで幸田社長が意識していることはありますか?

幸田:「決めつけない」ことです。なぜなら、僕は決めつけと猜疑心の強い人間なので、逆にルールとして「決めつけない」と決めています。

極端な例として、ある場所で悲鳴が聞こえてきて、何があったのかと思って悲鳴が聞こえたほうを見たら血だらけの人が倒れていた。私が倒れている人の方向に歩いたら、返り血を浴びて焦っている人とすれ違った。

この状況だと「犯人を見た」と思いがちです。だけど、私が目撃したのは血だらけで倒れてる人と、焦って走り去る人を見ただけで、犯人かどうか分からない。こんな思想的態度を取り続けることができるかどうか。そういう面倒くさい挑戦をしています(笑)。

木村:確かに面倒くさいですね(笑)

幸田:「お前には素直さがない」と言われたとしましょう。普通は「素直さが足りない」という結論になりがちですが、コウダプロでは「素直さって何だっけ?」という面倒くさい状態に突っ込みます(笑)。

例えば、ある社員が「社長はこの点を直した方がいい」とアドバイスしてきた時、私にとって不本意だったとします。ここで「いや、きみはわかってないよ」と返さない。かといって、僕が「はい。直します」と答えるのは、素直ではありません。これは思考停止です。

我々の定義する素直さとは、その背景や理由を理解しようとする姿勢です。「どうしてそう思うのか?」という質問をすることで、相手の意見や背景を深く理解しようとするんです。このように面倒くさいコミュニケーションですが、結果的に真の生産性向上につながると思っています。

コウダプロの社員は一つ一つの言葉や事例に疑問を持ち、自分の頭で考える重要性を重視します。自分の頭で考えることの第一歩は、批判精神や疑問を持つことなので、疑問を持ちつつも、全てのことを「本当かな?」と考えることが大切なんです。

木村:お話をうかがっていると、心理学や哲学の側面も組織内コミュニケーションに取り入れている感じがしますね。その結果、コウダプロの社員ひとりひとりが自律の精神を持って仕事に取り組んでいる。

幸田まさに他責じゃない人をどう育成していくかみたいなところが、「新しい昭和」を掲げたコウダプロという会社に求められていると思っています。将来的にはコウダプロみたいな会社が全国各地に生まれればいいですよね。

木村:そうなれば真の意味で日本は復活を遂げていくでしょうね。

コラムニスト・PR戦略プランナー
木村公洋
プロフィール
1978年生まれ。北海道生まれの東京育ち。
高校時代に始めたバンドの影響で大学には行かず、高校卒業後はフリーターになり、バンドでのメジャーデビューを夢見て活動。しかし、10年ほど活動するも全く目が出ず方針転換。

2005年、放送作家になるためNSC(吉本総合芸能学院)東京の構成作家コースに入学、2006年、放送作家としての活動をスタート。主にテレビ・ラジオの報道・情報番組で15年ほど活動したのち、2020年秋に放送作家を辞めて福岡市に移住。

プロレスファン歴は30年以上。観戦歴は約100回。


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