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「経済的な理由でチャレンジを諦めなくていい社会を作りたい」新卒でメガバンクへ就職した彼女が、カタリバを選んだわけ

「子どもたちに、経済的な理由でチャレンジをあきらめてほしくない」、そんな想いを胸に新卒でメガバンクへ入行し、現在は、カタリバで全国の経済的に困難を抱える家庭へオンラインによる伴走と学びのプログラム「キッカケプログラム」を担当する中島典子(なかしま のりこ)。

メガバンクで新卒を過ごした彼女が、なぜカタリバを次のキャリアに選んだのか、彼女のターニングポイントに迫ります。

ー新卒で銀行を選んだ理由

幼い頃、親としては苦労している姿を見せたくない気持ちは強かったと思いますが、「お金がない」という印象を感じながら生活していました。中学時代はずっとバレーボールに打ち込んでいたのですが、高校入試は金銭的な事情で志望校を受けられなかったこともあり、「お金がないと挑戦する機会すら得られないのか」と痛感しました。

同時に、経済的に自立することの重要性も身をもって実感しました。そういう経緯があり銀行へ入行。やりたいことがあったというよりも、「ファイナンスに関する知識を身に付けないと世の中ではやっていけない」と思い新卒では銀行を選びました。

ー銀行ではどのような業務をされていましたか?

中小企業の経営者に向けた融資を担当していました。泥臭い仕事で忙しかったけど、仕事を通じて普通に生活していたら会えないような人に会えたし、世の中の仕組みも学べたので、ものすごく充実した日々でした。

ー充実した生活の中で退職の決断。出産が背景にあったと伺いました。

融資担当からM&Aの部署へ異動して楽しく働いていたのですが、とにかく激務で。妊娠がわかってからも怒涛の毎日を過ごしていたので、いつの間にか出産を迎えたような気分でした。

出産を機に追いかけるものがなくなり、自分自身と向き合う時間が増えました。そのときに自分が銀行に復職したあとのキャリアがうまく描けませんでした。育休中に、同期はキャリアを積み出世していると思うと、将来にものすごく不安を感じました。ただ、自分の中でやりたいことが明確にあるわけではなかったので、自分を見つめ直す意味で、子育て中のママに関わるボランティアへ参加しました。

ーボランティアの経験の中での心境の変化はありましたか?

ボランティアに参加して、やりたいことをやりたいときにどんどんチャレンジしているみなさんの姿を目の当たりにして、「決断に必要なのは、能力ではないのかもしれない」と実感しました。そして、それが銀行を退職する決め手となりました。


ー復職から1年後に退職された時、次に「やりたいこと」はありましたか?

いえ、まだ自分の中で模索していた最中でした。退職後は、紹介してもらったITベンチャーへ転職しました。「方向性を決めるために、ベンチャーで視野を広げたい」というわがままを聞き入れてくれて「とりあえず、おいでよ」と……感謝で胸がいっぱいになりました。

ーその後、いかにしてキャリアの方向性は定まったのでしょうか?

会社の事業にさまざまな角度から携わるなかで、株式会社だとどうしても利益を追求しなければならないことを実感し、どこか心の内でモヤモヤを感じるようになっていた時期がありました。

そんなとき新型コロナウィルスが世の中に蔓延。私には15歳年下の弟がおり、経済的な理由で夢をあきらめてほしくないという想いで支援をしていました。しかし、新型コロナウィルスの影響で家にひとりでいる期間が数ヶ月続くと、弟が今まで頑張ってきたことへの意欲を失い、打ち込んできた野球も休みがちになってしまったんです。

「経済的な豊かさこそがチャレンジするためには必要」と思っていましたが、「もしかしたらお金はそんなに関係なくて、寄り添うことの方が大事なんじゃないか」と思うように。その瞬間「あ、自分がやるべきは“教育”だ」と方向性が決まりました。

ー一般企業を含め教育に携わる場所は沢山あるかと思います。なぜカタリバを選んだのですか?

知り合いに教えてもらったことがきっかけです。漠然と「教育に携わってみたい」と話したときに「カタリバは?」と。名前は聞いたことはありましたが、自分の価値観が定まったタイミングで知り合いに教えてもらったことは直感的にグッときました。

特に惹かれたのは「伴走」という考え方です。何かを教えたり、サービスを届けたりすることも「教育」ですが、カタリバの場合は泥臭くひとりに寄り添い、その子の成長や夢に向かって一緒に歩んでいくことを重要視している印象を受けました。



ー全くの異業種からの入職。どのあたりが期待されているポイントだと感じていますか?

正直、自分が役に立てるのか分からなかったので、不安な気持ちは強かったです。でも、「内定をもらえたということはきっと役に立つことがあるはず」と前向きに捉えました。関わっていく中で、自分にできることを積み重ねていくことにしました。

ー現在はどのような業務を担当されていますか?

経済的に困難を抱えている家庭に対してオンラインの学びや伴走支援を届ける「キッカケプログラム」を担当しています。それぞれの家庭にパソコンとWi-FIを無償で提供し、オンライン面談をして学習意欲を育むことや、学習機会を提供するプログラムです。

キッカケプログラムの最終的なゴールは「非認知能力(※)の向上」。プログラムを通じて、勉強ができる力だけではなく、生きていく上で大切な自己肯定感やあきらめずにやりぬく力などを身につけてほしいと思っています。また、きっかけプロジェクトでは、週1回オンラインでメンターと呼ばれる子どもや保護者の伴走役を担うスタッフとの面談を設けて、コミュニケーションをとるようにしており、小さな成功体験もすごく大切にしています。

※非認知能力…意欲、協調性、粘り強さ、忍耐力、計画性、自制心、創造性、コミュニケーション能力といった、測定できない個人の特性による能力のこと。

ーキッカケプログラムに携わる中で、どんな時に楽しさを感じますか?

基本的に利用者はキッカケプログラムを必要としている人たちなので、事業を通じて世の中の役に立っている手応えや、やりがいを感じます。また、カタリバとしては世の中で起きた課題に対して、スピード感を持って動ける点が大きな魅力ですね。

逆に難しいのは、成果を実感しづらい点だと感じています。銀行での仕事のように成果が数字で見えるものではないし、自分のやっていることが正しいかも分からない。そもそも正解があるものでもないので、試行錯誤を繰り返す日々ですね。


ーありがとうございます。最後に中島さんの今後の目標を教えてください。

キッカケプログラムを、まだまだリーチできていないエリアに届けていくことが今後の目標です。必要としている子どもは、全国にまだ何万人といるはずなので。そのためにもメンターの仲間たちと協力していきたいし、さらにその仲間を増やしていきたいですね。


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