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「顧客の成功こそが、自社の成長・成功の鍵である」という概念を体現する。それこそがカスタマーサクセスが担うミッション。取締役CCO 鈴木奨平(全3回中編)

前回の鈴木奨平さんインタビュー前編では、カラクリにjoinした理由やカスタマーサクセスという仕事に情熱を注ぐに至った原体験などを、奨平さんのキャリアを紐解きながらお伝えさせていただきました。

今回の中編では、カスタマーサクセスが世の中でどんな存在として位置づけられているのか、現在カラクリで担当されている業務内容と共に、その魅力を伺います。

カスタマーサクセスの2つの概念

ー 「カスタマーサクセス」とは、具体的にどう定義されているのでしょうか?

そうですね。広義では、カスタマーサクセスそのものの”概念”や”組織文化”、また狭義では、”役割”としての意味が挙げられると思います。

前者は、一言で言うと「”顧客の成功こそが、自社の成長・成功の鍵である”という考え方」ですかね。もう少し詳しく言えば「”自社のサービスを顧客に活用してもらうことを通じ、顧客の様々な課題の解消を継続的に支援すると共に、顧客が理想とするゴールに向けて一緒に走り続けること。また、その過程で自社サービスのクオリティを向上させることで、顧客の期待に応え続け良い関係性を築き上げていくこと。それが結果的に自社のビジネスも成功に繋がる(=対価を得る)”という考え方」でしょうか。

また後者は、これらを組織の中で具体的に実践するチーム、特に契約してからの後工程のサポートに携わるチームや業務そのものを指す場合が多いです。具体的な業務例として、自社サービスを利用している顧客に対し初期の導入を支援したり、サービスの利用状況に応じて活用を促進するために、対面や電話、チャット、メール、コンテンツ提供などの形で支援を行ったりすることが挙げられます。

職種としてのカスタマーサクセスは「カスタマーサクセスマネージャー(CSM)」と言いますね。

ビジネスモデルの変化?

ー 日本でもカスタマーサクセスが盛り上がってきていますが、その理由をどう分析しますか?

様々な要因があると思いますが、僕が考える一番大きな要因は、世の中のサービスのビジネスモデルが「サブスクリプション(=継続課金)型」に移行してきているからだと思います。これはBtoB、BtoCサービス両方に当てはまることです。BtoBだと、従来は買い切り型だったAdobeやMicrosoftのソフトウェアがサブスクリプション化しているのがわかりやすい例です。BtoCだと動画・音楽配信サービスなどの台頭がまさにそうで、DVD、CDを購入・レンタルしている人は減ってきていますね。

買い切り型の場合、購入してもらって終わりだったのが、サブスクリプション型だと購入してもらってからがスタートで、継続的にサービスを利用していただかないとビジネスモデルとして成り立ちません。そのような背景もあり、カスタマーサクセスへの注目が集まりつつあるのです。詳しいことは、少し古い情報ですが僕が過去にセミナーでお話しした資料を掲載していますので、もしご興味があれば、ご参照いただければと思います。

サブスクリプション型の浸透で気付いた、カスタマーサクセスの本質と魅力

ー なるほど、確かに様々なサービスのビジネスモデルが変化してきていますね。では、奨平さんが思うカスタマーサクセスの魅力について教えていただけますか?

そうですね。まず、先程もお伝えしたサブスクリプション型のサービスというのは、顧客(消費者)にとって、サービス購入時のハードルが下がる、購入後も定期的なアップデートが受けられる、また気に入らなかったら別のサービスに乗り換えできるなど、メリットが大きいのが特徴です。今までのような買い切り型だと、特にBtoBの場合は多額の投資が必要になったりして、導入を躊躇するケースも多々あったと思いますが、今では少額から気軽に始められるようになったのが良いですよね。一方でサービス提供者としては、顧客に満足している状態で継続的に利用してもらわないと収益が出ないため、必死で頑張らないといけません。

僕はそこでカスタマーサクセスの魅力に気が付きました。一言でいえば、「サービス提供者(企業)が正直者になるところ」です。

今までの買い切り型は購入してもらった時点で利益が出るので、購入後のサポートはできる限り効率よくやりたいというのが企業側の実情だったと思います。しかし先程述べたとおり、サブスクリプション型のサービスは、満足した状態で使い続けてもらわないことにはビジネスが成り立ちません。だからこそ、顧客側も企業側も「顧客がサービスを利用して満足している状態」を追求し続けるため、双方のベクトルが揃い、利害が一致するわけです。

企業側においては、従来は売上のためなどといった企業都合でのサービス提供も多々あったかと思いますが、サブスクリプション型の場合、そんなことをしたら顧客がすぐに気付いて離れていってしまいます。よって、企業側も「顧客に満足してもらうために、あるべき価値をどう提供していけばいいか」を追求し続ければいいので、より健全な仕事に繋がっていくのです。この追求の姿勢こそが「カスタマーサクセス」であり、その対価として僕たちはお金をいただいているんだ、という価値観に変わってきているのだと思います。

ー いずれも、前回伺った奨平さんの原体験に強く紐づいた「本物の顧客志向を追求したい」という思いと重なりますね。他にも魅力に感じている部分はありますか?

もう一つ挙げるならば、こちらは狭義の”役割”としてのカスタマーサクセスの内容になりますが、従来でいうところの様々な職種の業務内容を経験できることですね。カスタマーサクセスに携わることによってキャリアの幅が広がるとも言えます。例えば僕らのカスタマーサクセスチームでも、日々以下のような業務に取り組んでいます。

※()内は従来の職種

・顧客の成功のためのサポート・コンサルティングの提供(コンサルティング・法人営業 ※既存顧客向け)

・データをもとにした「KARAKURIの活用状況の分析と施策の検討」(マーケティング)

・顧客のニーズを踏まえた「KARAKURIの機能・サービス改善や新サービスの企画」(サービス企画)

・サービス、マーケティング、セールスなどへ、顧客からの問い合わせで参考になる情報をフィードバック(カスタマーサポート)

・顧客に「KARAKURIをより良く使っていただく」ためのコンテンツの提供(カスタマーサポート)

・データドリブンを実行する仕組みの実装や、生産性向上のための業務オペレーション構築&改善(業務企画、社内SE)

・短期間で即戦力として育てあげるための人材育成プログラムの整備(人材開発)

こんな風に、様々な職種に通ずる業務に溢れています。そのため、これらの職務経験者がカスタマーサクセスマネージャー(CSM)に転身するケースもありますね。事実、僕がこれまで経験してきた領域は、マーケティング、サービス企画、コンサルティングです。

逆に、CSMを経験することでいろんな職種に転身することも可能になると考えることが出来ます。このロールモデルは今後増えていくだろうなと思っています。

そしてもちろん、CSMという職種自体も日本ではまだまだ黎明期と考えられるため、あらゆる可能性がある。例えば、一歩進んでいるアメリカではLinkedInの「最も有望な仕事(2018年版)」ランキングの3位に入ったようで、求人情報の給与条件も、他職種に負けず劣らずの好待遇とのこと。日本でも求人をよく見かけるようになりましたが、今後はアメリカの市場に近づいていくと予想されていますね。

続く

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