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新メンバー!取締役「長尾雅詞さん」へのインタビュー

ナマステ〜 みなさんこんにちわ。
ここ数カ月、iTipsでは、現地インドでの日本式ものづくり学校の開設、そして日本最大級のスタートアップ支援拠点へ入居審査合格など、様々な進展がありました。

特に人事面では、2月に新たな取締役として「大型新人!!」が就任しました。今回は、そんな大型新人!取締役「長尾雅詞さん」へのインタビュー記事となります。

長尾さんは、今年3月に約40年間勤務された三菱重工及びその関連会社(MHIパワーエンジニアリング(株):三菱重工100%出資のグループ会社、以下MHIP)を役員退職され、iTipsに取締役として参画されました。

今回のインタビューでは、過去数年分の手帳に記したご自身の記録を元に、豊富なエピソードやiTipsへの思い、今後担う役割についてユーモアを交えお話いただきました。

今回はロングインタビューです。それではスタート!

自己紹介と、ラトネッシュとの出会い

小西:
私が、長尾さんにお会いするのは、三回目と記憶しております。
初めは、2023年4月iTipsのキックオフミーティング。二回目は、同年年末の建築DX展の振り返りミーティング、今回は三回目ですね!今回、取締役に就任された長尾さんにインタビューさせていただくのを嬉しく思います。

まずは自己紹介をお願いいたします。

長尾:
1960年生まれ、現在63歳になります。iTips、そしてラトネッシュと同じ、愛知県名古屋の出身です。(奇遇なことにラトネッシュとは同じ高校出身です)
今年の6月でMHIPを役員退職し、今は同会社のSEとiTipsの取締役業務を兼務しております。

履歴を申し上げますと、1983年東京大学機械工学科バチェラー卒業後、三菱重工に就職。三菱重工では本社から始まり、長崎造船所、フィリピン、そしてiTipsのあるインドバンガロール。2021年3月に帰国しその後は横浜で勤務しておりました。
専門は一言でまとめるのは難しいですが、主に火力発電所の設計事業がメインとなります。

小西:
つい数か月前まで、MHIPの代表取締役として重責を担う立場におられたのですね。そして休む間もなく、iTipsの取締役に就任!!
おそらく、ラトネッシュさんは、iTips立ち上げ時から手ぐすね引いて長尾さんの参加を期待されていたかと推測します。

ところで、ラトネッシュさんとは、出身、さらには高校が同じということで強い運命を感じますが、出会いはインド バンガロールだったのでしょうか?

長尾:
ラトネッシュに初めて会ったのは、手帳の記録によると2018年バンガロールでの、千種会(出身高校の集まり)が最初ですね。

私はインドバンガロールの日本人会の会長を務めていましたが、デリーやムンバイの大都市と異なりバンガロール日本人会の規模感は程よく、公私ともにメンバーとは深いつながりを築いていました。

(キャプション)新型コロナによるインド全土ロックダウンの1週間前に開催した千種会@バンガロール

その頃のラトネッシュは、バンガロールで日系建設会社のインド現地法人の社長をしており、その頃から「インドの若者に日本の技術を学ぶ機会を創りたい」という野望を持っていましたね。

そんな彼の将来の目標やアイデアを、毎週のように聞いていました。
特にコロナ禍、ラトネッシュは家族を日本に残していたので、毎週末私の家に泊まりに来てましたね~
気づいたら大変深い仲になっていました!

(キャプション)長尾さんの手帳には「ラト泊まり」の記録が。それにしても、長尾さん、きれいに記録を残されていて、丁寧な人柄がうかがえます。

小西:
コロナ禍のインドと言えば、厳格なロックダウンが敷かれていたと記憶しています。日本への帰国を希望する方も多かったと思うのですが、日本人会の会長として長尾さんは大変なご苦労があったかと推測します。当時の状況はいかがでしたか?

長尾:
大都市デリー・ムンバイでは、日本への直行便が就航していたのですが、バンガロールは就航しておらず我々は取り残される形になりました。
ということで日本に帰る手段がなく、またインドは医療が脆弱でしたしみんなの不安は募っていましたね・・
そこで私は、JALのバンガロール支店長、そして日本大使館に毎日のように掛け合いなんとか3日間だけ臨時の直行便を飛ばしてもらうことができました。希望する駐在員とその家族を無事に帰国させることができたときは、心底ホッとしました・・

(キャプション)左は初めてバンガロール空港に来たJAL機、右は搭乗したラトネッシュ。何重もマスクを重ね防備しています。

小西:
あの頃は本当に大変な毎日でしたが、バンガロールの日本人会会長として、凄まじいご経験をされたのですね。無事帰国することができ心身ともに救われた方が多かったとお察しします。

ところで、長尾さんは、コロナ終息後2021年3月に帰国され、インドにいるラトネッシュさんとの仲は遠くはなれてしまったと思うのですが、その後のご関係はどうでしたか?

長尾:
距離的には離れた二人でしたが、運命は途切れていませんでした!私の妻とラトネッシュの奥様のご実家が同じ長崎県ということで(これまた奇遇!)家族ぐるみの付き合いがありました。
そんな中、ラトネッシュは、前述した日系企業の仕事を終え、次の挑戦の準備を始めていました。

小西:
いよいよラトネッシュさん、iTips事業創設に舵を切ったのですね。

長尾:
私はエンジェル投資家として彼をサポート。もちろん、投資といっても金銭面での期待よりiTipsの掲げるミッションに強く共鳴したのがサポートの大きな動機です。彼自身も初回の資金調達で「本当に信頼している人にしか声掛けしていない」という言葉も嬉しかったですね。

小西:
長尾さんは、フィリピンとインドに駐在されていましたが、その時、目にして感じたことがミッションの共鳴に繋がったのでしょうか?

長尾:
そうですね、インド駐在時、会社のCSR活動で支援先の地元の学校を訪問する機会が複数回あり、多くの子供達が教育さえ満足に受けられない現状を目にしました。
自分が目の当たりにしたインドの社会問題を自分たちの力で解決する、そして、それが日本の人材不足解決にも繋がる。大企業ではダイレクトに感じることのできないミッションドリブンな企業の一員として事業に参加したいというのも、取締役を引き受けた一因です。

小西:
「すべての意思決定がミッションに基づいている」これは確かに、スタートアップ企業の醍醐味だと感じます。

長尾:
さらに、フィリピン・インド駐在時に、現地のエンジニアを日本側で雇用する業務に携わっておりました。現地で採用していたのはITに精通したいわゆるホワイトカラーの人材でして、iTips訓練校の生徒とは境遇は異なります。
ただ、自国から離れ遠い日本で働く人々をたくさん見てきましたし、それに関わる知見もあります。アドバイスできることはたくさんあると思います。

長尾さんから見たiTipsの評価

小西:
長尾さんは、国内外の企業で長年にわたり社長という立場でお仕事をされてきたと思うのですが、社長の視点から、iTipsの事業はどのように評価されますか?

長尾:
スタートアップ企業が生き残る割合は、設立して3年で65%、10年で6.3%、20年で0.39%。ミッションに賛同する優れた人材がいたとしても安定継続するのは容易ではない、といわれています。
iTipsにおいては、私の見立てでは、向こう3-4年で軌道に乗ると考えております。
将来性があり未来が明るいと判断する理由は、「規模を追求するのではなく、理念を追求していく」という明確な企業ポリシーがあるからです。

小西:
確かに、私たちは「我々は人材紹介ブローカーではない」という立場を大切にしています。我々が育てた人材が入社する企業とは、対等な関係でありたいと思っています。

人材マッチングにおける規模拡大を目指すと、訓練校の運営者であるiTipsと、生徒(求職者)、そして求人企業との間で対等な関係が成り立たず、適切なマッチングが行われないと考えています。
巷で「奴隷制度」と揶揄される「技能実習制度」には、ここに明確な課題があります。

ミッションは「利益追求」ではなく、あくまで「すべてのがんばる人に、幸せを」。
長尾さんは、そのミッションに賛同いただく企業が増えていけば、自ずと事業が推進されるというお考えなのですね。
では、iTipsの事業はどのように周知され、企業の賛同に繋がるとお考えですか?

長尾:
認知拡大のキーは、ずばり「口コミ」だと思います。
それは、日本・インド双方において当てはまります。iTips訓練校で教育を受けた卒業生の日本企業での頑張りにより、iTipsの取り組みは業界で広まっていくでしょう。我々のミッションに賛同いただく企業様とイーブンな関係が構築できることを望んでいます。

小西:
日本の建築業界は想像するに、横のつながりが強いと推測します。「口コミ」の拡散性を考えると人材のケアにも注力が必要ですね。
さて、ではインド側での生徒募集においても同様に「口コミ」が重要な認知拡大の手段となりますか?

長尾:
その通りですね。インドは口コミ文化といわれています。
インドにおいても、正しい口コミが広まるために、訓練校生徒を丁寧に教育し、学校運営を確立していくことが大切だと考えています。

iTips訓練校「教育」について

小西:
学校運営のお話が出ましたが、ここからはiTips訓練校についてのお考えをお聞かせください。
長尾さんのインド駐在のご経験から、インド人に対する教育について何を重視すべきだと思いますか

長尾:
最も大切なのは、日本人が当たり前とする「礼儀」そして建築業界の基本「5S」の徹底ですね。

小西:
5Sとは「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」ですね。

長尾:
ただ、気を引き締めないといけないのは、日本人が当たり前とするその「基礎」が、インドと日本では認識に差があることです。
例えば「原状復帰」への意識一つとっても、インドと日本では考えが異なります。
インドでは、カーストの影響もあり、それぞれが、「自分の担当の仕事をすれば良い」という思想が強く、後片付けや原状復帰の思想はありません。例えば、インド駐在時の我が家のお手伝いさんは部屋の掃除をして机や椅子を移動したり、カーペットがめくれたとしてもそのままにして帰ります。最初は驚きましたが、これがインドの常識なのです。

小西:
そのインドの常識・思想を引き継いだまま日本で働くとどうでしょう・・?

長尾:
それは、働く側にとっても雇用する側にとっても不幸な結果が明らかです。時間感覚に関しても想像される通り、全然違いますよ。iTipsでは生活面における「日本式」も訓練校生徒に伝えています。

iTips訓練校、「運営」について

小西:
「教育」という点で、重視すべきことを教えていただきました。次に、iTips訓練校の「運営」についてもお聞かせください。
昨今の訓練校の生徒数の拡大に伴い、「教える側のリソース」を増やす必要があると思います。

立ち上げから1年の間に、日本から浅野さん、小刀根さんなどの職人の方々に来印いただき、訓練校生徒を直接指導してもらいました。こうした日本の技術者の直接指導は大変貴重ですが、実現するのは容易なことではありません。
こうした協力者の発掘にあたっては、ラトネッシュさんが3年以上かけて日本各地を周り、人的ネットワークを地道に築いてきました。しかし、残念ながらまだ十分な人員を確保できているとはいえません。

「教える側のリソース」についてはどのようにお考えですか?

長尾:
一つは訓練校の卒業生が指導者になる
二つ目に、日本の契約企業から講師として人材を派遣いただく
というアイデアがあります。

前者については実際現在、卒業生2名が講師として訓練校生徒を教えています。

(キャプション)ヴィノスさん、カルディさんは10月の卒業生

また、後者については、将来的にインド進出に関心のある企業であれば、インドの現場を知ることができますし、日本に迎えるインド人材への指導経験を積む機会にもなると考えます。

小西:
それはとてもいいアイデアですね。日本人、特に同世代の講師と訓練校生徒の直接のコミュニケーションは、双方の距離が一気に縮まりそうです!

長尾:
そうですね、授業における交流だけではなく、生活面・文化面での交流はとても大切だと思います。今 iTipsの訓練校には、マンガコーナーがあり「NARUTO」が並んでいます。

「NARUTO」はチームプレーの大切さがテーマの一つになっているので、「日本で働いてみたい」という動機付けになると思います。

ちなみに、iTips代表ラトネッシュのバイブルマンガは「名門!第三野球部」
ザ・スポ根マンガです(笑)

(キャプション)スポ根マンガ「名門!第三野球」を読む生徒たち

日本拠点立ち上げにむけ

小西:
では、ここからは、日本における長尾さんの役割についてお聞かせください。

長尾:
私の重要な役割の一つは、今年10月の日本拠点の本格立ち上げになります。これまでリモートワークが中心であった職場環境を変えて、ソフトバンクが愛知県と組んで名古屋にオープンする日本最大のスタートアップ支援拠点「STATION Aiに本社事務所を構えます。
今後、事務所の開設、機能の整備、人材募集など立ち上げ業務を推進して参ります。

小西:
国内外から注目されるイノベーション拠点での本社事務所立ち上げ!想像しただけでも魅力的な役割ですね!施設も素敵です!(詳細はこちら

人材募集においては営業から管理業務まで様々な職種が必要になりますが、現段階で職種について具体的なイメージはありますか?

長尾:
営業については、契約を増やすためのプッシュ営業は必要ないと思っています。
前述したように「口コミ」により我々の活動が広がると思いますし、先日契約いただいた坪井利三郎商店様のように新しい感覚を持つ若い経営者が建築業界で増えれば、多様な人材の採用ニーズが増えていくと感じています。

従って、採用希望企業に向けた「インド人材に関する丁寧な説明」と、入社したインド人材に向けた「日本での活躍支援」といった「カスタマーサポート」が想定する主なフロント業務になります。

また、「透明性が高く、責任ある一気通貫型のマッチング」というiTipsのアプローチを、日本国内できちんと認知してもらうブランディング業務も大切です。

そして、コーポレート部門に関しては、大小さまざまな業務を社長のラトネッシュが抱えている現状を終えて、組織として1つ上のステージに進むために、経理・総務・人事などの業務を整備します。

小西:
今秋には、実際に卒業生第一号が坪井利三郎商店で勤務を開始します。
数か月後には、日本事務所の実働開始になりますね。ここからの新たなステージ、ワクワクしてきます!

(キャプション)建設中の日本最大のスタートアップ支援拠点「STATION Ai」

長尾:
まずは、日本拠点の機能を盤石なものにする。
そして、将来的には、私が責任者となる日本拠点が、日本で働くiTips訓練校の卒業生を将来にわたりサポートできる場所になればと考えています。
私たちの事業に決意を持って参加し、厳しい訓練に耐え、苦楽を共にした訓練校生徒には、明るい未来を歩んでもらいたい。
日本に残るのか?インドに戻るか?様々な選択肢が今後出てくると思いますが、どの道を選んでも、彼らの人生をサポートしていきたい、その責任がiTipsにはあると考えています。

小西:
最後にこの記事を読んでいただいた皆様へメッセージをお願いします。

長尾:
今秋の日本拠点立ち上げに向け、メンバーを積極的に募集いたします。
私たちのミッション実現に向けチャレンジしたいという意欲をお持ちの皆さま。今後の募集をチェックいただければと思います。

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