次々に起こる怪奇事件に振り回される女学生日下部栞奈、それを冷静に解決していく中禅寺先生。
小説「百鬼夜行シリーズ」(京極夏彦)の公式スピンオフ漫画『中禅寺先生物怪講義録 先生が謎を解いてしまうから。』(漫画:志水アキ 脚本:田村半蔵 Founder:京極夏彦)がついにこの春、TV放送開始となります。
現在本作の制作真っ只中である制作チーム大山さん(100studio Osaka)、金子さん・木村さん(100studio Tokyo)に日々の業務の進め方や作品の魅力を聞いてきました。
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Q.それぞれの役割を教えてください。
大山さん(以下:大山):現状の報告やスケジュール調整など、製作委員会などの外部の方とのやりとりをメインにやらせてもらっています。なんだか偉い人のような言い方になってしまうのであまり好きではないのですが、みんなに「こうしてね」と言うスタート時点のところにいるのではないかな。あと、何かあったら謝るから大丈夫だよっていう係の人だと思っています。
金子さん(以下:金子):私はそれをもう少し各担当者に振り分けるパートを担っています。協力会社と現場の間に立って制作現場を俯瞰で見るような感じでしょうか。
金子さん「全体で200人くらいの関係者がいるでしょうか」
木村さん(以下:木村):僕は受けとったスケジュールに沿うように作画さんたちに声掛けし、上がってきた素材を次の工程の作監さんや演出さんに回して進行していきます。少しでもスケジュールに沿わないな、と思うことがあればすぐに金子さんに相談しフィードバックをもらい、そのフィードバックにまた沿うように軌道修正していきます。
普段は大阪スタジオに勤める大山さん(取材時は東京出張中)は、東京にいる金子さん、木村さんと遠隔でやりとりしながら作品作りに励んでいます。すっかり打ち合わせの相棒となったWeb会議システムやチャットツールを使ってやりとりしていますが、業務の進め方や遠隔で進めていく上での工夫についても聞いてみました。
大山:定例会議はもちろんのこと、僕が大阪にいるときに直接話すのは基本的に金子さんになるので、金子さんとは何かあれば電話で話しています。木村さんと直接話すことが業務構造上なかなかないので、こんなふうに直接会う機会はとても貴重ですね。今後は1-2ヶ月に1回くらいはスタジオに来る機会を作り、業務に関係ないメッセージを気軽にやりとりできるくらいの関係性を構築していきたいです。
「今回の出張で少しはみんなと仲良くなれたかな〜」と大山さん
Q.業務を進めて行く中で大変なことや心掛けていることを教えてください。
木村:何かあったらすぐに大山さんや金子さんに報告相談することを心掛けています。
金子:何かあったらすぐに相談するよう私自身も木村さんにお願いしています。先輩としての立ち回りで、今まであった経験値からくる状況判断を私がしていますね。スケジュールの調整が必要な案件に関しては私の方でまとめて大山さんにお伝えしています。
大山:金子さんも木村さんも立場は少しずつ違えと、予算とスケジュールをどう天秤にかけるかという大枠の業務はみんな同じなのかなと思っています。委員会と現場とでは全く違う視点でモノづくりをしているので、「もう1日待ってくれたら最高にいいもの持ってきます」という現場の想いと、その1日がズレたことによって発生する全体への影響のギャップを最大限埋めていくことを日々考えていますが、現場の希望をあまり叶えてあげられなかったときは自分の力不足を感じます。
Q.もうすぐTVアニメ放送開始となりますが、本作の見どころを教えてください。
大山:原作コミックス自体とても面白いので、原作コミックスの面白さをそのままに、可能な限り良いものに仕上げて視聴者にお届けできたらと思っています。
木村:原作コミックスとの違いとして、はっちゃけるところははっちゃけて真面目なところは真面目にというメリハリをつけた作品に熊野監督が仕上げているので、そういった空気感を感じとっていただければ嬉しいです。
「放送中にリアルタイムに流れるSNSでいい反応があった時はやっぱり嬉しいです!」と木村さん
金子: 熊野監督が手掛けてたアニメーション作品が、原作コミックスのファンの方はもちろん、「百鬼夜行シリーズ」のファンの方にも満足して頂ける作品になっていると思っています。題材の通り、中禅寺先生がきちんと講義しています。春から始まるこの作品の放送を見てくれた人が喜んでくれることが現場の一番の報酬となりますので、ぜひ楽しみにしていてください!
実際にお紅茶を飲みながら…というわけにはいきませんでしたが、終始和気あいあいとした中で進む本インタビュー。私もすごく楽しませてもらいました。
皆立場は違えど「良い作品を世に出したい」という想いは同じ。
放送開始まであとわずか!それぞれの想いをのせた『中禅寺先生物怪講義録 先生が謎を解いてしまうから。』をお楽しみに。