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アフターコロナを見据えた取り組みの方向性――「収束から再成長に向け、新しいワークスタイルの追求へ」

こんにちは。株式会社ギャプライズの齋藤と申します。取締役として、主に人事や総務、経理、法務などのバックオフィスを担当しています。

今回は、新型コロナウイルスが与えた影響や気づかされたこと、また、ギャプライズとしてのウィズコロナ、アフターコロナ時代に向けたワークスタイルへの方針や取り組みを簡単に書かせていただきます。この記事を読まれる皆様の参考に少しでもなれば幸いです。

■はじめに

当社に限らず、新型コロナウイルスがすべてのビジネスパーソンの働き方に大きな影響を及ぼしたのは紛れもない事実だと思います。新型コロナウイルスの影響によりリモートワークが推進された結果、ビジネスパーソンひとりひとりのパフォーマンスに対する自己責任感が増し、自身の志向性やスキルを世の中にどのように還元していくのか、働くことの意義をどこに求めるのか、大なり小なり向き合わざるを得なくなったと考えています。この事実だけでも大きな影響、また大きな変革が起こったと言えます。

ただ、このタイミングでリモートワークを推進できたということは、本来は新型コロナウイルスの影響有無に関係なくできたということなんです。残念ながらこの大きな変革は、我々が自発的に起こしたものではなく、新型コロナウイルスという外的要因によって引き起こされたものであったということ。更に言えば、もっと早く切り替えられていれば我々はもっと早く働き方や環境に変化を起こせていましたし、引いては生産性の向上に繋がっていたはずです。ビジネスにおいてオフラインと同等以上のことがオンラインでできる企業であれば、新型コロナウイルスによる規制のない市場に対して積極的なテクノロジーの活用やオペレーションモデルの根本的な見直し、戦略の再策定をおこなうことができます。だからこそ与えられた好機とはいえ、アフターコロナ時代に向けた働き方を追求していかなければならないと今は非常に強く感じています。

■新型コロナウイルスに気づかされたこと

リモートワーク環境になったからこそ、「オフィス」というメンバーが集まる物理的な空間って良いなぁ、まだまだ活用できる余地はたくさんあるなぁと改めて気づかされましたね。もちろんオンラインでもコミュニケーションは取れていますが、オフラインでのコミュニケーションは表情や感情から互いの想いや考えを捉えることができますし、空間や空気を共有することで得られる情報量が圧倒的に多くなると思います。また、相手に対する心理的安全性を確保することにも繋がっていますので、新しいオフィスの在り方はここに重要なヒントがあるのではと感じています。

これまではオフィス空間を考えるとき、執務スペースはどうあるべきかが優先事項の上位でしたが、もはやそれは上位では無くなっていきます。集中して業務をおこなう場合、オンライン環境さえ整備されていれば自宅で業務をしても生産性は変わらないので、自宅でやればいい。通勤時間という無駄な時間が省けるので時間短縮にもなりますし、通勤の準備をして、駅まで歩いて、電車に乗るという精神的なストレスからも解放される。人によっては満員電車もありますしね。

これからのオフィスは、オフラインコミュニケーションの活性化やセミナー環境整備などによるコーポレートブランディングの向上、またメンバーの憩いの場とすることを求めていきたいです。当然、上記に伴う専有面積と賃料の適正基準の見直しやロケーションの見直しをする必要もあると思っています。

■ここまでリモートワークを実施してきた結果

2月末に当社のリモートワーク方針を固め、3月2日より実施、3月の2週目以降は出勤率を6~7%に抑えられた結果こそありますが、それよりも組織や事業運営上の課題の明確化から取り組み内容の洗い出し、それを実施するというサイクルを即時でおこなえたこと、社内の連携やコミュニケーション、経営の意思決定がスムーズに取れたことに一定の達成感を持っています。

重要だったのは判断材料をどのように集めるかということ。前例の無い事態だったからこそ、判断材料を集めることが意思決定の速さに直結したと感じています。インターネット接続環境、勤怠管理、在籍確認、口頭コミュニケーション、会議ルールの構築、オフライン前提での経費や請求ルールの整理、臨時休校などに伴う特別休暇制度の導入、自宅においてのリモートワーク環境整備に伴う費用補助などをわずか2日で構築できたのは、課題や実態の共有がスムーズかつ明確であったからこそだと思います。また、各種のルールを適宜ブラッシュアップし続けたことも出勤率を抑えられた大きな要因となりましたね。

■今後はどのような取り組みをおこなっていくのか

これまでもそうでしたが、アフターコロナ時代における新しいワークスタイルを追求していくうえで絶対に見失ってはいけない前提要件が3つあると考えます。それは「事業生産性の向上」「質の高いコミュニケーションを生み出す環境の構築」「情報の開示量と透明性の向上」です。

「事業生産性の向上」

まず販管費(主に固定費)の算出基準を見直す必要があると考えています。

これまで地代家賃や人件費といった固定費は、売上高や売上総利益の増減に関係なく発生する費用として捉えていましたが、売上高や売上総利益の増減に比例して可変させるような契約の見直しや切り替えが必要になってきます。単純に固定費を減らそうということではなく、生産性向上に導くための変動費に転換させるということです。

地代家賃は、従来よりオフィス選定において「一人あたりの床面積」に一定の概念がありましたが、執務スペースの縮小や共用スペースの充実化に伴い、適正な床面積においての契約を締結し直す必要があると考えています。オフィス空間を企業のブランドやカルチャーを示すための場にするのか、社内のオフラインコミュニケーションの場とするのかによって床面積の需要は当然に変わってきますから、改めて目的を明確にしたうえで適正な立地と面積を導き出し、新たにデザインしていくことが今後のリモートワーク時代のオフィスの在り方になると思います。

また人件費については、冒頭でもお話したとおり多くのビジネスパーソンが働くことへの意義を見つめ直すことにより、これまで以上に汎用性の高い労働契約形態が求められるようになると考えています。一定の経済性を確保しながら、自立性やフレキシビリティが担保されるような業務委託契約などのニーズが高まることが想定されます。業務委託契約であれば、労働時間に縛られることなく毎月定額や成果報酬型の契約も可能となるため、個々のニーズに汎用的に対応できるうえ、モチベーションの維持やそれに伴う成果へのコミットメントも求めやすくなるでしょう。これまでの日本では見られなかったジョブディスクリプションを詳細に定義した「アメリカ型の労働契約」も登場し、結果として、人件費の算出は単純に人数に乗じるものではなくなっていくと思います。

一方、従来の雇用契約を継続する場合でも、フレックスタイム制の導入や時間単位での有給休暇取得に加えて、一定期間内の総労働時間を担保することで1日の就業時間を弾力的に変更する制度も、今後需要が高まるのではないかと想定しています。当社ではまだ制度として確立していませんが、企業として事業シナジーを創出をすることで社会貢献をしていく使命があると考えていますので、ビジネスパーソンひとりひとりが持つ能力やスキルを当社だけに限らず発揮してもらう「副業」も制度化へ検討する必要があると考えています。

「質の高いコミュニケーションを生み出す環境の構築」

オンラインとオフラインの特性を踏まえたうえでそれぞれを使い分けること、またどちらかに限らずコミュニケーション機会を増やしていくことが重要だと考えています。実際にオンラインでの会議でファシリテーションをしていて感じていることは、細かい表情の変化や反応が見えづらいため、参加者同士の対話を促進することや合意形成の取得をすることが非常に難しいということ。そのため、意思決定やコミットメントをおこなう会議や、参加者全員の参加意欲を醸成する場合などはオフラインでの開催をしたいと思っています。特に、四半期ごとのキックオフミーティングなどは多少の費用や工数がかかったとしてもオフラインで開催し、情報量と熱量を互いに共有しあうことが重要なのではと考えています。また、リモートワーク環境下で会議などをおこなっていくうえでは準備の重要性がより高まっていくと思いますので、目的・ゴール・アジェンダ・資料の事前共有や、会議中の反応やマナー、議事録の展開、ファシリテーターの役割といったルールを構築するのも重要なポイントですね。

そして、コミュニケーションを生み出す環境に対して一定の投資をかけていくことも検討しています。社内SNSの導入や、クロスファンクションイベントの飲食費用補助、各組織単位のオフサイトミーティング費用補助、オフィス内カフェの設置など、社内からの要望も踏まえて、柔軟な対応をしていきたいです。クローズドのコミュニケーションに対して会社が支援をすることに不安があるという声もあるかもしれませんが、それはそもそも信頼関係が成り立っていないということであり、信頼関係を醸成していくためにも会社はソフトコミュニケーションに対して積極的に支援、補助をおこなっていく必要があると考えています。おこなった取り組み内容や成果を全社で共有する機会を設けることも、コミュニケーション機会として有用だと思います。

「情報の開示量と透明性の向上」

実は「事業生産性の向上」「質の高いコミュニケーションを生み出す環境の構築」を生み出すためのファーストステップとして最も重要なのは「情報の開示量と透明性の向上」です。

決定した情報の開示だけでなく、決定までの経緯についても開示する。つまり、これまでは社内のメンバーに公開することのなかった情報も公開していくということです。例えば、一般的にメンバーに公開する財務諸表は損益計算書がメインになるかと思いますが、今後の経済状況を踏まえて、キャッシュフロー計算書も公開していくことも検討しています。長短期の借入や返済計画など財務キャッシュフローを公開することで会社の実情をより理解してもらい、安心感と危機感の両方を持ってもらいたいと思っています。また、取締役会や経営会議などの重要な意思決定をおこなう会議においても、どのような協議プロセスを経て結論に至ったのかを公開することを目的に、メンバーが傍聴可能にしていくことを検討しています。

メンバーそれぞれが得た情報により意識が変わり、意識が変わることで行動が変わるのであれば、情報を開示、透明化するリスクやデメリットよりもメリットのほうがはるかに大きくなると考えています。リモートワークが推進されていけば、日常の行動に対する自己責任も増していくので、情報収集への要望は強くなるでしょうし。その他業界動向、自社他社問わずの成功事例、事業戦略、各事業ラインごとの具体的な戦術、メンバーに何を求めているかなど情報の幅に際限はありませんし、会社からの情報量や情報透明性を向上させることはナレッジマネジメントの負荷を軽減させることにもなりますので、会社の方針を明示する大事な取り組みだと認識しています。

■最後に

昔、私が師と仰ぐ方に言われた「総論楽観、各論悲観」という言葉があります。日本人は技術の応用には長けた人種なので、マテリアルな課題に対してそれほど悲観的になる必要はないと考えていますし、知恵を結集すれば道は必ず拓けると思っています。

会社によって様々な事情はありますが、良い面も悪い面も含め、事実を広い目で捉えて、良い面に着目しながらやれることやれないことを仕分けし、やれることを優先順位付けてやっていくしかないのではないかと思います。

今回は現時点で考えている取り組みを先にお話しましたが、数ヶ月後にはまったく異なる取り組みをしているかもしれません。新たな事象が発生すれば、当然に取り組むことも変わりますし、企業経営をおこなううえで欠かせない存在であるステークホルダーの動向によっても、取り組む内容や優先順位は変わっていきますから。

結果として、ギャプライズのワークスタイルが近未来の働き方の指標になれば、とても嬉しく思います。

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