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自治体を働きがいのある職場にランクインさせる!元公務員がkintoneで目指す自治体改革とは!?

kintone はいま、自治体の業務を改善して「住みやすく、働きやすい街づくり」を支えるシステムとしても注目されています。

2020年には大阪府とサイボウズが連携して「新型コロナウイルス対応状況管理システム」を作成。このシステムはテンプレート化され、要望のあった他の自治体へも随時提供しています。ほかにも神戸市千葉県市川市など、各地の自治体の業務改革や住民サービス向上に貢献しています。

営業戦略部・公共グループの蒲原大輔さんは公務員として働いた後にサイボウズへ転職し、こうしたプロジェクトを担ってきました。現在ではサイボウズの業務だけにとどまらず、自治体で働く人がほかの自治体でも価値を発揮するための「地方公務員カタリスト事業」を立ち上げています。

「ゆくゆくは自治体が『働きがいのある企業ランキング』などで上位に入る世の中を実現したい」

そう話す蒲原さんに、公共グループの仕事の魅力や、会社の枠を超えてやりたいことを実現している秘訣を聞きました。

(話を聞いた人)
蒲原 大輔(かんばら・だいすけ)さん。2011年に新卒で品川区入庁。2016年にサイボウズへ転職し、民間企業向けの営業を経て、2018年からは自治体・官公庁向けの営業を担当。同年には鎌倉市役所の働き方改革フェローも経験。自治体で働く人が「週1日」「リモート勤務」など多様な形で他自治体で働けるようにする「地方公務員カタリスト事業」の立ち上げに取り組む。

●Twitter https://twitter.com/daisukekambara

●note https://note.com/canbara


「終電が当たり前」の業務を「定時上がり」に改善した公務員時代

――まずは、蒲原さんが新卒で公務員になった理由を教えてください。

きっかけは大学時代に行政学を学んだことです。当時は地方分権が声高に叫ばれ、今後の地方自治体は独自の政策を打ち出して地域を良くしていく存在になることが求められていると知りました。僕は「公務員として働くなら中央省庁より自治体のほうが面白そうだぞ」と考え、就職活動でも志望先は地方自治体に絞っていました。結果、ご縁があって品川区で働くことになりました。


――品川区ではどのような仕事を担当していたのですか?

約5年半勤務したうちの4年間は人事課に所属し、非常勤職員の社会保険手続きや職員寮のリフォームなど職員の福利厚生に関する業務を担当しました。特に印象に残っているのは給与計算業務です。従来、給与計算の日は終電まで残業をするのが当たり前だったんですね。そこで業務改善のために Access でシステムを作り、それを活用することで定時に帰れるようになりました。


――「終電から定時」への変化は大きいですね! もともとITには詳しかったのでしょうか?

いえ、決してそういうわけではなく、詳しい先輩に教わりながら少しずつ Access に慣れていきました。

もともと、興味を持ったら何でもやってみないと気が済まない性分なんです。「コンサル」の4文字にあこがれて中小企業診断士の資格を取ったり、「AI」が気になって大学院へ通ったり。いろいろと動いてみた結果、転職を考えるようになりました。




kintone の活用を提案すれば、もっともっと自治体の業務改善に関われる

――公務員を離れることに抵抗はありませんでしたか?

新卒で公務員になった立場としては、「民間企業は怖い」という気持ちも正直ありました。でも、自治体で働いているだけでは自分の市場価値やスキルを高められないかもしれないと思ったんです。

自治体の人事では、数年に一度のペースで異動が発生します。僕は在籍中に人事と産業振興の部署を経験しました。ほかにも子育てや税金、防災などさまざまな領域で働ける可能性がありますが、「40歳になった自分は一体どんなことができるようになっているんだろう」という漠然とした不安が消えませんでした。それなら一度、民間企業の仕事に挑戦してみるべきではないかと思いました。


――転職先としてサイボウズを選んだ理由は?

kintone というプロダクトがあったからです。

Access で作った給与計算のシステムは、僕が人事を離れてからは誰もメンテナンスできなくなってしまいました。「これでは自治体の働き方を変えられない」と思ったんですよね。

そんなときに品川区の仕事で徳島県を視察する機会があり、kintone を使って業務改善につなげている場面に出会いました。kintone の活用を提案する立場になれば、自分の力でもっともっと自治体の業務改善に関われるのではないかと感じました。

実際にサイボウズへ入社し、民間企業向けの営業を経て公共営業チームに配属されてからは、Garoon やkintone を活用して非効率な業務を改善する提案を行っています。


「クラウドサービスが使えない」。kintone 活用の壁となったネットワーク問題

――なぜ自治体では、蒲原さんが以前に経験したような非効率な業務が増えてしまうのでしょうか。

自治体はそもそも、一般企業と比べてニッチな業務が多いです。一つの役所の中に100を超える部署があることも珍しくありません。そのため業務に特化したパッケージソフト自体が少なく、あったとしても高価で導入しづらいということもあります。

一方ではネットワークの問題もあります。自治体は高度なセキュリティを確保するために、LGWAN(Local Government Wide Area Network:総合行政ネットワーク)というインターネットから切り離された行政専用のネットワークを使っています。


――便利なクラウドサービスがあっても活用できないということですね。

はい。僕がその現状を知ったのは、2018年に働き方改革フェローとして鎌倉市役所へ派遣されたときでした。kintone で改善できそうな業務はたくさんあるのですが、情報システム部門の方に聞いてみると「LGWANがあるからクラウドサービスの導入は難しいんです……」と。

そこで、自治体向けの情報サービス提供を手がける両備システムズさんと連携し、kintone を LGWAN 上で使用できる状態にしました。この結果、たとえば千葉県市川市では Web フォームと kintone を連携させてあらゆる手続きをオンラインで行うことができる「来なくてすむ市役所」プロジェクトが立ち上がりました。



自治体でも「アジャイル開発」。kintone を深く活用してもらうための取り組み

――自治体で kintone 活用が進んでいるのは、そうした壁を乗り越えてきたからこそなんですね。2020年に新型コロナウイルスの感染が拡大する中では、大阪府とサイボウズが連携して作った「新型コロナウイルス対応状況管理システム」が話題となりました。

大阪府の職員さんは、約1週間でスピーディーにさまざまなアプリを構築し、医療機関や住民と効率的につながる状態を作っていきました。そうしたアプリはテンプレート化して他自治体でも活用できるようにし、吉村洋文知事がTwitterでリツイートしてくれたこともあって、一気に広がっていきました。


――kintone はテンプレートを使えるだけではなく、独自のアプリを作って活用できることも魅力ですよね。自治体で kintone を深く活用してもらうために、どのような工夫を行っているのでしょうか。

たとえば神戸市では、サイボウズとの共催で業務改善を進めるためのワークショップを開いています。ここに多くの職員さんが参加してくださり、今では500人を超える方々が kintone を活用しています。

また、大阪府堺市も kintone を高度に使いこなしてくださっている自治体の一つです。堺市ではサイボウズのパートナー企業である大塚商会さんとタッグを組み、市の職員と大塚商会さんのSEが対面やオンラインで打ち合わせをしながら互いの画面を見て一緒に開発していく「対面開発」を行っています。

自治体で新しいシステムを導入する際、従来はテキストで仕様書を作って公募をかけるのが常識でした。システムが完成し、導入してみるまでは、職員さんが使いこなせるかどうか分からないという面もありました。しかし対面開発であれば、自治体もアジャイル(※)にシステムを作っていくことができます。このスキームはさまざまな自治体に応用できそうだと感じています。

※短時間でプロトタイプを作成し、現場の声を迅速に反映しながら、自社業務に合わせてシステムを構築していく開発手法


人的リソースが潤沢ではない小規模自治体でも活用してもらえるように

――改めて、蒲原さんは公共営業のやりがいをどのように感じていますか?

自治体の職員さんは「住民のために」という熱い思いを持って働いている人が多いんです。そうした方々と一緒に「住みやすく働きやすい街づくり」を進めていけるこの仕事には、モノ売りだけではないやりがいがあると思っています。

それを実感したのは、自治体の職員さんが参加する kintone コミュニティでした。ここには約80の自治体・160人の方々が参加していて、テキストのコミュニケーションだけでなく、「こんなアプリを作りました」というテンプレートの共有も行われています。「 kintone で業務を効率化し、空いた時間で住民のために動こう」というメッセージも交わされていて、本当にうれしい気持ちになりました。


――公共営業グループでは、どんな人と一緒に働きたいですか?

やはり、自治体職員の方々と同じ方向を見て働くことに情熱を持てる人ですね。僕たちの仕事は営業ですが、「 kintone で生み出す価値を最大化して自治体市場で使っていただく」という長期的な視点で活動できます。だからこそ自社と顧客という立場を超えて、パートナーとして一緒に志を追いかけていけるんです。


――あえて今後の課題を挙げていただくとしたら?

僕たちが事例として発信させていただいている自治体は、政令指定都市など大規模なところが中心です。でも日本の自治体には、町役場や村役場など小規模なところが圧倒的に多い。大きな自治体では情シス部門に数十人を抱えているケースもありますが、小さな町役場などでは1人しかいないこともあります。

そうした、人的リソースが潤沢ではない自治体でも kintone を活用していただけるよう、仕組みの構築やプロモーションをさらに進めていきたいと考えています。




やりたいことがあれば意思表明する。発信すれば仲間が増えていく

――蒲原さん個人の活動についても教えてください。蒲原さんは、自治体で働く人が他の自治体でも「週1回」「リモート」などの柔軟な形で働けるようにする「地方公務員カタリスト事業」を立ち上げています。

自治体は自分の古巣であり、働く人がもっとワクワクできる環境になってほしいと思っています。人事や組織風土を改善していく余地はまだまだあります。そこに踏み込んでいくために地方公務員カタリスト事業を立ち上げました。

自治体で働く人が所属元でのナレッジを他自治体に展開できれば、業務改善が加速的に進んでいくと思います。また、自治体間だけでなく、公務員と民間の境目をなくして人材が行き来する状況を作りたいとも考えています。ゆくゆくは自治体が「働きがいのある企業ランキング」などで上位に入る世の中を実現したいんですよね。


――会社の枠を超えてやりたいことを実現していくために、蒲原さんはどんなことを意識していますか?

興味を持ったことにはとにかく挑戦し、早く失敗経験を積み上げていくことでしょうか。

20代のころには「20代でどれだけ失敗できるかによって30代が変わる」と考えていました。32歳になった今は、「30代でどれだけチャレンジできるかによって40代が変わる」と思っています。

また、やりたいと思うことがあればとりあえず発信してみるようにしています。「地方公務員カタリスト事業をやりたい」とnoteに書いたら、共感してくれた人がどんどん仲間になってくれました。1人ではできないことも、チームなら実現できます。協力者を増やしていくために、まずは意思表明することが大切なのではないでしょうか。


――最後にサイボウズ営業に興味を持っている方へのメッセージをお願いします!

私は異業種からITの知識も営業の経験もない中でサイボウズに転職したので、同じ境遇の方に向けて。

振り返ると初めの1年くらいはとにかく周りに追いつこうと必死でした。地道にできる出来ることを増やしていった先で、今は入社前からやりたかった「自治体に kintone を広める」ということが仕事になっています。

鎌倉市への派遣や kintone の LGWAN 対応などの企画は入社2年目に企画したもので、上司の後押しもあって実現することができました。もちろん企画自体を良質なものにする努力が前提ですが、社歴に関係なく個人の「チャレンジしたい気持ち」に向き合う雰囲気がサイボウズにはあると感じています。そして、オープンに情報共有がされていてチームとして仕事ができる点も働きがいに繋がっていますね。

学び続ける姿勢がある方や建設的な思考・議論ができる方、そしてあわよくば自治体や省庁を変えていきたいという思いがある方と一緒にお仕事ができたらとても嬉しいです。エントリーお待ちしております。


企画:サイボウズ営業人材開発部/取材・執筆:多田慎介

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