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新卒社員の上長に聞く、若手への期待 ~チームマネージャー編~

新卒社員はどのように業務を覚えていき、成長していくのでしょうか。本シリーズでは新卒社員による、自身の所属グループの上長2名へのインタビューを、前後編でお送りします。どちらもコンセントの新卒社員への期待と歓迎の熱量を感じていただける一幕となりました。本記事では、グループマネージャー髙橋裕子、チームマネージャー大鹿純平、2022年入社の安藤和佳がお話しします。


/登場人物:株式会社コンセント|クリエイティブディレクター、アートディレクター 髙橋裕子
京都工芸繊維大学大学院修了。雑誌などの出版物のデザインをはじめ、企業・大学の広報物などでは企画面からの提案にも携わる。2012年から8年間、雑誌「オレンジページ」のアートディレクションを担当。現在は、ビジョン形成・ウェブ・映像・店舗のツールデザインなど、領域問わずコミュニケーションデザインに関わる。安藤が初めて配属されたグループのマネージャーを担当していた。
/登場人物:株式会社コンセント|コミュニケーションデザイナー 大鹿純平
広告をはじめ雑誌、書籍などのアートディレクションを行う。ダイナミックなタイポグラフィと、ビジュアル起点のコンセプト立案、編集観点からのレイアウトが得意。主な担当プロジェクトはトヨタ自動車株式会社「社内報『トヨタイムズmagazine』編集アドバイザリー/デザイン」。安藤が初めて配属されたチームのマネージャーを担当していた。
/登場人物:株式会社コンセント|デザイナー 安藤和佳
多摩美術大学でテキスタイルを学ぶ。より多くの媒体のデザインに触れたいと思い2022年に新卒でコンセントに入社。コンテンツデザイナーを目指し働いている。

インタビューの前に「コンセントの組織について」

コンセントのグループは、複数のチームから構成され、各チームには数名のメンバーが所属しています。安藤は新卒入社して大鹿がチームマネージャー(以下、TM)を務める大鹿チームに所属しました。TMは、一般的な直属の上司にあたります。髙橋はグループを統括するグループマネージャー(以下、GM)を担当しています。

チームマネージャー(TM)の役割とは

安藤:あらためて大鹿さんの略歴を教えてください。

大鹿:僕はグラフィックデザイナーになりたくて、ポスターがつくりたくてデザインの世界に入りたかった人です。グラフィック全般の経験はほとんどやってきたと思います。
2社目で制作に特化した広告のプロダクションに入り、そこで9年くらい経験を積みました。ところがあるとき「これはデザインじゃないかもな」と漠然と何かに気づいて、グラフィックデザインって何だろうということをもう一回考え直したときに、「もしかしたら本なのかもしれない」というところを出発に転職して、3社目で初めてエディトリアルデザインに出会いました。そこはとても忙しい会社だったのと、子どもが産まれたことでまた人生観が変わって、生き方を取り戻しながらデザインと一緒にどうやったら自分の生き方を考えられるかと思って、2018年頃にたどり着いたのがコンセントです。
これからはブランディングだったりサービスデザインだったり本当に広い意味でのデザイナーになりたいなと最近思っています。

安藤:TMとはどういう役割なのでしょうか?

大鹿:相談所じゃないかな。やっぱり新しく入ってきた方は新卒・中途問わず、はじめの一歩目をどのように踏み出して良いものかと考えすぎちゃうんですよね。だからそのはじめの一歩目なんて「あなた次第でいいんだよ」ということをコンセントなりの言葉に変えて伝えるっていうのが僕の仕事かなと思っています。
もう少し具体的に言えば、アサインや目標の設定など、どういうふうに自分が成長していくのかというビジョンを相談しながら、具体的に何をやってどういうメンタリティーで物事に向かうことができればどういったものが得られるのかということを、つまり僕の経験則だったり実地を踏まえたアドバイスを伝えるのが役目かなというふうに思っています。

安藤:コンセントではTM像っていうのが人によっていろいろあるかなと思っていて、それぞれの価値観や自身の信じるTM像を体現しているようなイメージがあります。大鹿さんは大鹿さんであって、今は別のTMのチームに所属していてその人はその人であって、「TM=上司」という感覚があまりないです。

大鹿:たぶん髙橋さんのTMの選定基準にも由来すると思います。「大鹿さんなりの人生観とか経験で生きてきたものを提供してもらいたい」というように伝えられて、チームを形成する上でのコンセプトとかもTMにゆだねてくれているのかなと。
だから安藤さんにも最初に伝えたのは「上司だしTMだけど、対等です」ということでした。「僕が僕の立場で言うことの価値と、安藤さんが安藤さんの立場で言うことの価値は同等だから自信をもって伝えてほしいし、僕もこれが正しいかどうか分からないけど勇気をもって伝えるよ」みたいなことを最初に話しました。
相手の情報がないうちに肩書きで必要以上に敬ってしまったり恐れてしまったりすると、学ぶ上でハードルになっちゃう経験が僕にはあったから、まずはその精神的な壁みたいなものを取り払って、対等であるマインドを大事にしてほしいなと思っていました。

安藤:たしかに大鹿さんだからこれを聞こうって思うわけで「TMだから」で接しているわけじゃないなと思います。だから、私にとってTMってどういう人かを尋ねられると答えが難しいですね。

安心を醸成する会話の場

髙橋:2人の間では「わかい」という会があったと聞いています。どんな会だったのでしょうか?

大鹿:安藤さんの名前から「和佳」+「会」で「わかい」です。
新卒社員をチームに迎えると毎日会話の場をもつという活動をしています。もともと他のチームでもやっていたもので、特にリモートワークの環境になったらなおさら必要なものとして取り入れました。
とにかくはじめは一歩一歩が怖いし未知だし、次の行動をしようとするたび疑問が出てくるのを、この会で聞いてしまってもいい。それをグッとこらえて踏ん張って自分なりに考えようと思っていることを共有するでもいい。何を考えているか分からないという状況がいちばん辛くて、そういった場を設けないとお互い苦しくなっちゃうと思います。
お互いがどういう人で、どういうことを考えているのかというコミュニケーションができていないと、最適な回答も出してあげられないから、安藤さんにとってどういったアドバイスが最適かを計るための会と僕は位置づけていました。
だけど実際の「わかい」の内容はすっごいつまんない話しかしてないよね?(笑)

安藤:5割ぐらいは雑談でした(笑) 時々私がその一日の中で悩みが発生して相談したりもしましたし、私が何か言う前に私が悩んでいることをキャッチしてくださっていて「いま、辛くない?」って聞いてくださるときもありました。とにかく毎日話して、相談のハードルがすごく下がったなと思います。

大鹿:あの映画見た?とか、くだらない思考の交換だったりとか、仕事の話もしてみたりとか。要は、家に帰ってきて「おかえり」っていう場が欲しかった。会話の場をもつことで安心できたら、この会は成功だなと思ってやっていましたね。
さすがに毎日やっているとネタが無くなってくるんですけど(笑)
だから気まぐれでいろんなゲストを呼んでやっていました。同じチームの先輩や安藤さんの同期の子たちにも来てもらいました。そうやって安藤さんと僕の関係を通してさまざまな人物とコミュニケーションをとることで安藤さんの人格のさまざまな側面が見えてくる。そんなふうに互いを理解していく場を自分でつくることができればどんな仕事も楽になる。それがまさに仕事の基礎づくりですよね。
当然僕にも気づきがあって、先輩や同期もそのコミュニティの中で同時に成長していけたら、みんなが幸せになるのかなというのはやっていて分かりました。

「隣の席に座る」をつくる

髙橋:昔だったら相談役となっている人が新しく来た人の隣に座ることにしていたんですよね。声をかけやすい雰囲気づくりをしていたのですが、今はやっぱりリモートワークが多いからそれができなくなっていると思っていて。「わかい」は意図的に「隣の席に座る」状況をつくっていたんじゃないかなと見ていました。

大鹿:その通りですね。ですが、僕が若手の頃って、先輩が隣にいてとんでもないキラキラした技術を炸裂させるわけですよ。それを一方的に見せられるともう尊敬しかしなくなっちゃって遠い存在に思えて会話できなくなっちゃうということもあると思うんですよね。
でも今この現代のスピード感だと、その圧倒的実力差を体感して、咀嚼して、あの技術はこういうものなんだって理解するにはあまりにも時間が足りない。だから、もう僕がもっているものは答えも必殺技も攻略法も全部渡してあげたい。それらをフランクに話せる場がなにより必要だと思っています。

安藤:たしかに「わかい」がなかったら、こんなすごい人にこんなこと聞いて良いのかなとか、こんな相談していいのかなって躊躇していたと思います。


髙橋: お二人は実際のプロジェクトでも関わっていましたね

大鹿:はい、トヨタさんのお仕事でインターナルメディア、いわゆる社内報を制作するプロジェクトをやっていたときに、そこに安藤さんにも入ってもらいました。

トヨタ自動車 社内報『トヨタイムズmagazine』編集アドバイザリー/デザインhttps://www.concentinc.jp/works/toyotimesmagazine_202206/

仕事って、「点」で行われていなくて「線」で行われているから、この「点」に至ったまでの前後を理解していることが僕は大事だと思っていて、それはより近い関係であればあるほどつぶさに見ていられるから、僕がアートディレクターをやって、安藤さんにはデザイナーを担当してもらいました。僕がどういうふうにお客さんと会話しているのかを一番近くで見てもらうことで、まず事の全容を理解してもらえて、スピード感も出せるかたちの関係性でした。

安藤:私は本当に「無の状態」で大鹿チームに入ってお仕事を担当したので、仕事のやり方や大事にしないといけないことを全部そこで培いました。

大鹿:よく言っていたのは、「先輩だろうが同期だろうが後輩だろうが、仕事ぶりに点数をつけなさい」ということです。あの人が〇点だったら、自分は〇点だっていうことが見えてくるのでその差分をどうやって捉えるのかを考えていけばレベルアップが早くなるよとか。

安藤:点数をつけたら、あの人が月にいて、自分が地べたにいるってことが分かるから頑張れると思っていたのを思い出しました(笑)いまでもこれは心の中でやったりします。

大鹿:この話のように、実務的なことよりかは、取り組み方に対するメンタリティーだったりとか、会社から要求されていることと自分の生き方とをどうリンクさせるかという頭のパーテーションの切り方とか、言い換えると生きていく知恵みたいなものを伝えていたと思います。
僕のやり方を安藤さんがやる必要はまったくないんです。ただこの人がやっていることがヒントになって私のやり方に合うかもしれないという判断がちゃんとできるようなれば、どんな人と仕事をしていても反発し合うことなく吸収できるようになると思っていて。
いろんな人のことを「嫌いにならない方法」を見つけなさいとよく言いました。例えば、尊敬している人とある面では折り合いがつかないとなったときに、その技術を吸収することも諦めるかといったらそれは諦めたくはない。だから人間的な折り合いをつけられるようになれば良いところだけとっていけるよみたいな話をしました。

安藤:マインドの話がたしかに多かったなと思います。「こういうことがあったんだけど、自分はどう考えていいか分からなくて悩んでしまったときにこういうスタンスでいたらいいよ」というような。

「らしさ」に合わせて声をかける

大鹿:仕事中であればもちろんデザインの基礎的なアドバイスをしていますが、たとえばショートカットキーの話だったら、「どうして僕はこのショートカットキーをつくったか」というのってマインドの話なんですよね。だから、僕の行動立脚を伝えていたっていう感じです。

安藤:私の作業進捗がピンチだったときに、なぜか大鹿さんが気づいてくださって呼び出されたことがありました。「いまこう思っているだろう、これでしんどいだろう」と言語化してくださって、自分がいま「こうだから辛いんだな」とか、「こう考えていけばいいんだな」とかが分かって救われたこともありました。

大鹿:僕の中ではとにかく「やってみないことには進まないぜ」というマインドをもっていて、とにかくやってみたらいいんだよと思っているんですが、ある時安藤さんのレスポンスがすごく遅くて、頭を使って考え始めたんだろうなと思った瞬間があったので、そういう時には必ず声をかけました。「仕事が押し寄せて現状の整理が難しいと思っているならその整理術は伝えられるよ、そうしたら安藤さんらしさがでてくるよ」と。「安藤さんの良さは考えることだけじゃなく、手を動かすことで発見していくことなんじゃないかな?」と。

安藤:「安藤らしさ」はどうやって掴んだのですか?

大鹿:仕事をお願いしたらとにかく手が早い。やっぱり漠然としたイメージをとにかく手を動かすことで形にする能力が長けていると思いました。ただその瞬間には精度を度外視するところもあるから、僕はそこに精度を加えればいいだけだったんです。スピードがあるということは、そこで縮められた差分で成果物をより良くするための会話を重ねられるというアドバンテージを生むことができるので、これが何よりも安藤さんの良さだと僕は感じました。

安藤:私はすぐに「やります」って言って進めてしまうタイプなのは分かっていましたが、それがデザインでよい方向に動いたことがありませんでした。学生時代はせっかちで怒られたこともあるくらいなので、それを良さだと思ってくださるんだっていうのは今知りました。あとは仕事を始めてから「素直だね」って言われて、それっていいことなんだというのも初めて分かりました。

安藤:大鹿さんは他者と接することについてどう考えていますか?

大鹿:僕自身が強烈に「弱い生き物」なので、他人に言われたことですぐに苦しくなっちゃう。これまで自問自答を繰り返して、僕の理想とする才能が僕にないことに気づいて、それでも頑張らなきゃいけないっていう経験を積んできたので、そういう経験から、苦労している人の表情とか言葉選びが分かると思っています。
そのときに僕が欲しかったのは「孤独じゃないよ」って伝えてもらう何かだったし、「間違ってないよ」とか「信じてごらん」って言われたら僕の力は2倍3倍になるのに、と思って生きてきた。
だから他人が苦しんでいるのを感じたら、その人の力が2倍3倍になるように向き合って話そうとしています。
僕のチームに入る人には、僕は全力で好きになりたいし、好きになってもらいたいと思います。そのためには僕は一生懸命「好き」を伝えなきゃいけないし、その気持ちを届けたいという一心です。
そして、その関係性の構築こそがデザインだと思っていて、何かものをつくってまた次の動きが生まれればそれがデザインの営みだし、他者を理解するとか自分を理解してもらうっていうコミュニケーションがデザインの根幹だと強く思っています。

これまでに築いた関係値の中に迎える

安藤:これから新卒社員が入ってきたらどんなことに気にかけたいと考えていますか?

大鹿:新卒社員に比べて僕のほうがコンセントないし、業界においての知識が今のところ多いから、それを惜しみなく渡したいっていうスタンスは変わらないです。
毎年自分が新卒社員の皆さんに対して同じ熱量をもって対峙できるのかなという不安は常にあるので、だからまた新卒社員が大鹿チームに来てくれるんだったら、そのときはたくさん安藤さんを頼りたいなと思っています。
1年経てば僕も1歳上がるから、その時の感覚をピュアに維持できるかどうかが課題だと思っています。今回は僕と安藤さんの関係がとてもうまくいっていると信じているのですが、それが全員すべからく通用するかって言ったらまったくそうでもないとも思っています。コミュニケーションにおいてその怖さがある。だからこれまでに築いた関係値のある人たちをたくさん頼りたいと思いました。
その課題にちゃんと向き合うことが新卒社員に対しての礼儀であって、対等にやりとりしてもらうための準備かなと思っています。ひとりずつの関係を大事にしていきたいですね。



カバーデザイン・図版/坂本理絵


前編記事「新卒社員の上長に聞く、若手への期待 ~グループマネージャー編~」

新卒社員の上長に聞く、若手への期待 ~グループマネージャー編~ | 株式会社コンセント
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