第2回目となるバルス社員インタビューは、CCO(Chief Creative Officer)の萩原猛の登場です。バルスにはエンジニアや3DCGクリエイター、動画編集、イベントディレクターなどあらゆる職種のメンバーが働いていますが、萩原はバルスのコンテンツ開発プロセスにおいて、CCOとしてどのような役割を果たしているのかを聞いてみました。
プロデューサーと編集者の違い、その役割とは?
ーー萩原さんがCCOとして従事している業務について詳しく教えてください。
バルスが創り出すコンテンツの、企画立案から立ち上げまでが主な業務になりますね。
特にキャラクターについては、その外見的な特徴はもちろん、来歴や現状、将来の目的といった「ドラマ」を設定し、それに合わせたキャラクターデザインを制作するまでを担当します。
もちろん私がひとりで作るわけではなく、作家やイラストレーターなど、多くのクリエイターさんと一緒に作り上げていくものになります。
長年の経験から、エンタメはプロデューサーが頭で考えた理屈だけでは分解できないし、理屈だけで作っても面白いものにならないと感じています。いいエンタメを作るためには、やはりクリエイターの感性という、理屈なき「ゆらぎ」が必要なのだと思うのです。
どのキャラクターも、ある日突然イラストが描かれたから生まれたわけじゃなくて、どういう経緯で生まれて、どういう活動をしていて、将来どこを目指しているのか?というストーリーであったり、顔立ちなどのビジュアルひとつひとつにも意味があって、それはアニメであっても小説であってもゲームであってもバーチャルキャラクターであっても、それらの重要性は同じです。
ーーつまりそれはプロデューサーの役割のようなものでしょうか?
もともと私は出版社で小説などの編集者を15年位やっていて、今でも自分の役割は”編集者”だと考えています。
これはあくまで自分の定義なんですが、エンタメにおける”プロデューサー”の役割は、お客さんと向き合い、彼らに届けるために企画からプロモーションまでのすべてを取り仕切るのが仕事だと思っています。
一方、”編集者”が最初に向き合うのは、作家などのクリエイターになります。彼らが作りたいアイデアを汲み取り、調整し、形にするお手伝いをするのが仕事ですね。
もちろん、その作品をお客さんにどうやって届けるのか、という部分まで考えることも多いですが、そういう現場は”プロデューサー”と”編集者”を兼務しているのだと考えるようにしています。
バーチャルキャラクターの可能性に見出した作家たちの未来
ーーそんな編集者としてのスタンスを大事にしている萩原さんが、長年勤めた出版社を離れてバルスに参画した背景について教えてください。
前職で担当していたライトノベル作品がヒットタイトルとなり、コミックやTVアニメなどさまざまなメディアミックスをしたことで、本だけでは届かない規模の方々に作品が届くようになりました。特にそのタイトルは、アニメのシリーズ構成や脚本、コミック版の原作といったメディアミックスの重要なパートに原作者のクリエイターが積極的に携わっていまして、それが成功の一つの要因となりました。
こうした作品に関わる中で、作家さんの紡ぐ物語のスケールを本だけにとどめるのはもったいない、最初からメディアミックス前提で企画を動かすことで、もっと大きな舞台に作家を引っ張り出せるのではないか、そう考えました。ですが、「出版社の社員」という枠の中でそれを実現するのは困難だったのです。
率直に言ってしまうと、才能ある作家さんであっても、なかなか本だけで食べていくのは難しい時代です。彼らの活躍場所を開拓したい、そして、もっと多くの人に彼らの才能を知らしめたかったんです。
ただ、そうしてアニメやゲームといった、本以外のジャンルのストーリー制作に携わるようになってくると、それぞれに新しい表現手法があった一方で、逆に硬直している部分や制約のある部分も見えてきました。
そんな時期に、バルスが手がけるバーチャルキャラクターやxRと出会いました。いや、本当に衝撃を受けましたよ。
しかも、実は親交ある作家さんの中には私よりも早くこのジャンルに可能性を見出し、「自分も機会があれば関わってみたい」と思っている方が多くいたんです。
彼らの持っているアイデアや経験と、この新しいテクノロジーを組み合わせることで、既存のアニメフォーマットでは難しい、インタラクティブなゲーム要素やリアルタイム性などアニメに加えられるかもしれない。新しいアニメ……もっと言えば、新しいエンタメが作れるかもしれない。そうした期待から、バルスへの参画を決めました。
ジャンルとしてしっかりと作り上げるターンにきた
ーー立ち上げや運営に携わる中で、この領域ならではの難しさや醍醐味は何でしょうか?
難しさは明確で、この領域が「ジャンル」として未成熟なことです。
それはつまり、バーチャルキャラクターという活動の基本フォーマットやお金の稼ぎ方が、はっきりと定まっていないということでもあります。書籍であれば、作家さんの原稿が出版社によって書籍の形になり、取次さんや書店さんといった方々の手を経て読者に届けられる。こうしたフォーマットが、硬直化している部分があるのは事実ですが、今もしっかり機能しています。だからこそ、ビジネス足りうるわけです。バーチャルキャラクターのジャンルには、まだこれが確立されていません。
だけど2019年に入って、ようやくジャンルとしてしっかり作り上げるターンがきたように感じています。バルスでも、日々いろいろなアイデアを試していますが、その中に実を結ぶものも出てきました。こういう、毎日新しい何かがポップアップするような状況で仕事ができるのは、本当に楽しいですね。
ーー萩原さんがバルスで実現したいことや目標について教えてください。
これから10年、20年と続く新しいエンタメの形を作りたいですね。いや、自分が作らなくても、それが誕生する瞬間を間近でみていたいです。それが、バルスという会社の中から出てくるのであれば、最前列で見られるわけですので、もう最高ですよね。
バルスは在籍するメンバーの世代も若いし、経歴や好きなエンタメの角度もそれぞれに違う。私もそうあらねばと思っていますが、特に若いメンバーは既存エンタメの常識に囚われていない。だから発想が自由なんです。そんなバルスのメンバーと、まだ道なき道を進みながら新しいルールを作ろうとする仕事は、凄く刺激的です。願わくば、もっと多くの人にバルスに来てもらい、この興奮を一緒に感じて欲しいです。
こんなワクワクするタイミングに立ち会える機会、そうそうないですよ!
というわけで、今回はCCOの萩原のインタビューをお届けしました。xRテックカンパニー、バルスでは様々なポジションでメンバーを募集しています。バルスでの仕事に興味を持っていただいた方はぜひご連絡お待ちしております!