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「役員という鎧を脱ぎ捨て、裸で社員と接する」代表取締役と取締役兼人事責任者がカルチャーづくりで意識していること

ありがたいことにユウマペイントは「スタッフと良好な関係が築けている会社」「理念やビジョンが浸透している会社」といったイメージを持っていただけるようになりました。また「どうすればそのような会社が作れるの?」と質問をいただくこともあります。

そこで今回は、佐々木代表と、妻でもあり取締役兼 採用責任者の佐々木亜沙美さんのお二人に「ユウマペイントのカルチャー」について伺いました。どのような想いを持って、どのように文化を醸成しているのか、意識していることや具体的な施策まで紹介していきます。

佐々木拓朗 / 代表取締役

16歳のときに不良の先輩の言われるがまま、塗装業界に入る。22歳のときに独立し、株式会社ユウマペイントを設立。設立13年を迎えた2020年では、千葉県柏市で7年連続No.1の施工実績を誇るまでに成長。2021年8月、東京都江戸川区に「外壁塗装のZERO」の第1店舗目をオープン。

佐々木 亜沙美 / 取締役 兼 人事責任者

高校時代からアルバイトとして働いていたエステサロンに入社後、代表の佐々木との結婚、出産を経て、2008年7月会社設立当初からユウマペイントにジョイン。人事・経営企画をはじめ、財務や労務など幅広い業務を担当している。

ユウマペイントらしさは、実は「問題解決能力が高いこと」

ーーお二人が感じているユウマペイントらしさはどのようなものでしょうか?

佐々木代表:

問題解決能力が高いことです。ユウマペイントの仕事は「暮らしを守る」ことで、そのためにはお客様の抱える問題を解決しなければいけません。それで必然的に問題解決能力が高くなっているのだと思います。

佐々木亜沙美さん:

社長と一緒ですが、やはり問題解決能力が高いことです。私たちはお客様からご指摘いただいたことはもちろん、暮らしを守る上での課題やメンバーから言われた改善点など、言われた問題は絶対にそのままにしません。これがやはりうちの一番の文化だと思います。

ーーお二人とも一緒なんですね。

佐々木代表:

問題を解決しない仕事はありませんからね。

例えば、携帯電話を作り出した人は「家でしか電話ができない」という問題を解決しようと思ったはずです。ユウマペイントは「安心・安全に暮らせない」という問題を解決して、暮らしを守ることで、誰かの役に立とうと仕事に取り組んでいます。

もがきながらですがみんなの足並みを揃えて、一致団結してひとつの目標に必死で向かっているため、周りから「ユウマ軍団」と呼ばれることもあるんです。恐らく、ユウマペイントらしさを周りの方が思い浮かべると「仲の良さ」「家族感」「楽しそう」などが出てくると思いますが、問題解決能力、ひいては問題に対してのコミット具合から、一致団結感が生まれ、そのようなイメージを持たれているのだと思います。

佐々木亜沙美さん:

入社して間もないメンバーに「前職ではクレームに対応するのが遅かったり、そのままにしていたりすることもあったけど、ユウマペイントはクレームに対応するのが早くて、安心して働けます」と言われたこともあります。

私も経験として、いま賃貸で住んでいる家の管理会社に「ものが壊れたので直してください」と伝えたのに、直すのに一ヶ月以上かかり、その間連絡すら返してもらえないときがありました。社長も言っていましたが、仕事の本質は問題解決です。お客様の問題を解決するためにサービスを提案したり、工事をしたりしていますが、私たちの対応が悪くて新たな問題が生まれてしまったら意味がありません。

そのためお客様からご指摘をもらったときは、とにかくその日のうちにアクションを起こす、もしくは連絡することは徹底しようとみんなに伝えています。

「福利厚生はあくまで手段」仲間を守るという想いを形に

ーーお客様だけではなく、スタッフを守る意識も非常に強いように感じています。

佐々木社長:

お客様の役に立ちたいという思いと同じくらい、仲間を守るという意識も創業当時から強くあります。創業期は仲間を守るという意識が強すぎて、間違った方向に向かっていました。会社を存続できないと仲間を守れないからといって、多少無理な働かせ方を強要してしまっていたんです。

「なんでお客様の暮らしを守れないんだ。守るためにもっと必死に働かないとダメだろ。そうじゃないと、お前らの暮らしも守れないよ」と強く言ってしまうこともありました。それでチームがバラバラに分解し始めてしまったんですよね。いまは方向転換をして、まずはメンバーが働きやすい環境を意識して作っています。

佐々木亜沙美さん:

メンバーと関わる機会が多いですし、働いているメンバーが気持ちよく働けていないとお客様の役に立つことはできないと考えているので、私も仲間を守ることは強く意識しています。ユウマペイントに入る前に、エステサロンで働いていたのですが、経営者が色々と考えて行っていることにギャップを感じていたことがあって。それで経営者と現場で働く人との差異をどう埋めるのかもよく考えていると思います。

ーー仲間を守るために、具体的にはどのような取り組みをされていますか?

佐々木社長:

一言で言えば、「福利厚生」ですね。とはいえ、当たり前のことを整えているだけだと思います。「休める日は休む」「残業を減らす」「残業したとしても残業代を出す」「賞与を出せるようにする」など多くの会社が取り組んでいることをきちんと実現できる会社にしようと努めてきました。

本質的には福利厚生が大事なのではなく、「仲間を守る」ことが大事です。福利厚生を整えることが目的ではなく、「仲間を守る」ために必要なことを導入してきました。福利厚生は会社の業績がよく、利益に余裕があるのなら、どれだけあってもいいと思うんです。メンバーが望むものは全部導入してあげたいですが、やはり全ては実現できないので、そのもどかしさはあります。でも「仲間を守る」という思いを形にしていることはメンバーに伝わっていると思います。みんなで知恵を出し合って、よりよい会社に変わってきている実感はあります。

「役員という鎧を脱ぎ、社員と同じ立場で働く」かっこいい生き方よりダサくない生き方を

ーー社員のみなさんと接する上で、意識されていることはありますか?

佐々木亜沙美さん:

意識していることは、アドバイスをするのではなく対話をとにかく重ねて、相手がどのような考えで、どのような思いを抱いているのかを聴くようにしています。メンバーはアドバイスをほしいときには「どうしたらいいですか?」「やり方を教えてください」ときちんと言ってくるので。

そうではないときは「ただ話を聴いてほしい」という場合が多いんです。それを対話をする中で判断して、相手が求めていることに合わせた対応を心がけています。

ーー確かに!部下に対してはついついアドバイスをしてしまいがちですよね、、、

佐々木亜沙美さん:

このようなことを意識し始めたのは、社長と関わることが多かったからです。

昔の社長は、何を話しても上からアドバイスをしてくる感じでした。「アドバイスは求めていないのにな」と思うことがよくあったんです。それで人は状況に応じてかけてもらいたい言葉が違うことに気づいて、意識するようになりました。

佐々木社長:

確かに昔はそういう一面もありましたね。(笑)自分で勝手に作り出した「理想の社長像」みたいな鎧を着ていたんです。

理想の社長像になるために努力はしましたが、それになりきれない自分とのギャップに苦しんでいました。無理をしていたのだと思います。それが伝染するような形で、メンバーに無理をさせていたのかもしれません。そのため最近はその鎧を脱ぐようにしました。裸で付き合えるように意識したら、社員との関係性もよくなっていったと思います。

佐々木亜沙美さん:

社長と一緒で、私も「役員だぞ」とはそれほど思っていません。メンバーと対話をするためには、話しかけやすい雰囲気でいることが重要なので。また役員である私の正しさを押し付けて、頭ごなしに怒ったり、否定をしてしまったりしないように気をつけています。

メンバーとなるべく同じ目線で仕事をしたいんです。もちろん役員として責任を負ったり、重要な判断をくだすこともありますが、それ以外のときにはメンバーに近い存在でいれるよう意識しています。

ーー「役員」という肩書き抜きに接してらっしゃるんですね。

佐々木亜沙美さん:

そうですね。そういう肩書を外すとメンバーの本音が聴けるんですよ。例えば、お客様とのトラブルがあったときでも包み隠さず話してもらえます。本音を話してもらえないと、きちんとした対応ができずにお客様にさらに迷惑をかけてしまいます。

そうならないためにも、近い立場でいることは心がけています。

佐々木社長:

要するにカッコつけなくなりましたね。「社長だから」とか「役員だから」とか、変に着飾ってカッコつけようとすると、逆にダサいんですよ。だからダサくならないようにしようと決めました。

ーーダサくない?

佐々木社長:

能力が足りないのにカッコつけようとすると、それは虚勢を張っていることになるので、ダサいんです。それだったらカッコつけようとせずに、ありのままの自分でいるほうがいい。もちろん理想に近づくための努力はします。ただ実態とかけ離れている虚像はつくらないようにしています。

ユウマペイントは、「失敗を許容する文化がある」と言われることもあるのですが、それはみんながダサくないように生きているからです。「挑戦すること」はダサくありません。失敗しないようにとカッコつけて、挑戦しないほうがダサいんです。必死に努力して、挑戦しているんだったら、それはむしろカッコいいと思います。

ーー佐々木亜沙美はこの「失敗を許容する文化」についてはどのようにお考えでしょうか?

佐々木亜沙美さん:

人間関係の悩みが少ないからこそ生まれている文化だなと思います。

本音で語り合える仲でないと、やりたいことがあっても言い出せませんし、挑戦できません。それに仲が悪いと、怒られてしまうのではないかと失敗を恐れるようになります。人間関係が良好であるからこそ、挑戦できるし、失敗も気軽に共有できるような組織になっているのだと思います。

また私はみんなが挑戦しやすいように、テレビやネットでインプットした他社の事例などを積極的に共有するようにしています。「こういうことをやっている会社があったんだけど、ユウマペイントで真似してみるのはどうだろう」とみんなによく聞くんです。そういうことをしていたら、みんなからも「こういうのがありました」「これよくないですか」と提案してもらえることが増えてきました。

良い提案があれば採用して、会社にそれを実際に取り入れます。自分が提案したことが本当に会社の制度になることがあるので、みんな挑戦してみようという気持ちが湧いていると思います。

会社の文化はやっぱり社長や私などの役が就いているメンバーから浸透していくものなんですよね。

「仕組みだけで暮らしを守ることはできない」みんなが同じ方向を向きつつ、あえて属人化を目指す!


ーーなるほど。お二人の言葉や行動が会社の文化の土台を作っているということですよね。そのような意味で会社に浸透させたくない、お二人がやらないと決めていることは何かありますか?

佐々木亜沙美さん:

これはメンバーやお客様、他社さんに対してもそうですが、絶対に悪口や不満を社内で言わないようにしています。私がそういう話をしてしまうと、他のメンバーも多分言い出すはずなので。

悪口や不満が社内で飛び交うようになると、「自分ももしかして悪口を言われているかも」と不安になって、自分のことばかり考えてしまいます。それではいい仕事はできません。常にお客様のことを考えて仕事をしていたいので、悪口や不満は絶対に言わないようにしています。

佐々木社長:

これは会社の経営方針と言えるかもしれませんが、属人"しすぎない"ことです。

仕事が円滑に進むように、オペレーションに関しては脱属人していけばいいと思います。ユウマペイントでもIT化は進めていますから。ただそれ以外の部分は、属人でいいんですよ。理念やミッション、ビジョンがきちんと共有できていて、みんなが同じ方向を向いているのであれば、他は属人の極みでいいと思っています。

ーー社員一人ひとりの個性を潰さないようにしているということでしょうか?

佐々木社長:

そうです。結局ぼくらは「暮らしを守る」ことをしているわけで、それは仕組みで解決できることではありません。「お客様のために、どうすれば問題を解決できるだろう」と一人ひとりが考えることが重要です。

「問題解決能力が高いことがユウマペイントらしさ」と言いましたが、それは「誰かの役に立ちたい」という思いの強さでもあります。その思いさえもっていれば、能力は上げていけるはずです。

一人ひとりが「これはお客様のためになるのでは?」と考えて、どんどん挑戦してほしいと思います。

佐々木亜沙美さん:

同じ方向を向きつつ、個性をつぶさないために行っている施策がいくつかあります。

ひとつは、会社の理念やビジョン、沿革、事業計画、塗装の歴史などが書かれている「コーポレートスタンダード」という冊子をメンバーに配っています。「コーポレートスタンダード」は、半年ぐらいかけて会社独自で作成したものです。メンバーに配るときには「周知会」というものを行って、メンバーからの意見や質問に答えました。そのおかげで、メンバーはこれからユウマペイントがどこに向かって、何にとりくんでいくのか、全て把握できていると思います。

もうひとつは、社内SNSの活用です。日報やちょっとした気づき、仕事とは全く関係のない雑談などざっくばらんに投稿してもらっています。

社内SNSのいいところは、投稿内容からメンバーの精神状態や性格などがわかることです。例えば、日報をほとんどあげていない人がいれば、当たり前のことをすることが苦手な性格なのかなと思ったり、いつもは日報をあげている人が急に投稿しなくなったら、精神面で何かあったのかなと心配になって声をかけたり。

今後ユウマペイントは新店舗をどんどん出店していく予定なので、リアルなコミュニケーションが取りづらくなっていきます。そのため、社内SNSを通じてコミュニケーションがとれるのはありがたいですね。

佐々木社長:

あさみさんに、このような仕組みの部分は任せているんだよね。

昔は「社長も考えて」と向き合うように促されて、取り組もうとしていたこともありましたが、やっぱり辛かったんです。社長という鎧を脱いでからは、「よろしくね」と信頼して任せるようになりました。

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