今回社員インタビューということで取材したのは、入社2年目(2020年)農産課の井上洋之さんです。
以前は、農業機械関連のお仕事をされていた井上さん。以前の仕事の経験を活かしながら、大好きな自然の中で仕事も生活ももっともっと充実させたいと思い、「こと京都」に入社されました。
入社後は農産課の九条ねぎの収穫チームの一員として、九条ねぎの収穫から、工場間の原材料の搬送、農機のメンテナンスなどを担当。現在は、静岡に誕生したばかりの「藤枝農場」へ移り、今度は九条ねぎではなく、長ねぎ(白ねぎ)と向き合う毎日を送っています。
早くも、入社してもう1年。農家さんとのお付き合いがあったものの、農場での仕事は未経験という井上さんは、なぜ「こと京都」に入社されたのでしょうか。今回は、農業界に入ったきっかけや、「こと京都」に入社してどんなお仕事をされているか、実際どうだったか、などを取材しました。
農業界に入ったきっかけ
こと京都(株)農産課・藤枝農場の井上洋之さん(2019年入社)。熊本生まれ、関西育ち。幼稚園児の頃、すれ違う車を一瞬見ただけで車の名前を言い当てる特技があった、というくらいの車好き。真面目で優しすぎるゆえ、道端で困っているお婆さんがいると迷わず助けにいく姿が何度か目撃されている。
―農業に興味を持ったきっかけは何ですか?
実は、車が好きなこともあって、最初は車のディーラーで販売員を目指していました。あるとき、合同説明会のようなところにいったとき、農業機械の販売員を募集しているところがあったんです。何となくのぞいてみようと思って話を聞く中で、スーツを着ないでセールスができるとか、新規開拓ではなくて、固定客をまわり地元の農家の方とコミュニケーションをとっていける仕事というのに目新しさを感じました。車のディーラーも何社か受けていたのですが、それを機に「こっちの方が面白い」と、急な方向転換をしていったんです。
だから、最初は農業界に入るという感覚は全然なくて、サラリーマンというか、機械のセールスという感覚でしたね。
部署は営業部門、修理(サービス)部門、販売促進部門と分かれていて、最初は営業部門でした。ただ、販売といっても、農機の修理をすることも。元々、木材を加工して何かをつくったり、プラモデルをつくったりすることが好きだったので、少しずつ農機のメンテナンスも覚えて、面白いなと感じるようになっていました。また、販売促進の部門へいって、年に何回かの大きな展示会で農機の説明をしたり、いろいろな農家さんのところへ行って悩みを聞いたり、といったこともしていました。
―こと京都に入社されたきっかけは?
その後、農機の会社から運送会社に転職。ですが、収入の問題でアルバイトしようかなって思ったんです。そんなとき、休みの日に京都を車で走っていたら、畑で収穫作業をしている人が目に飛び込んできました。それで、アルバイト先として農業のお仕事を探したところ「こと京都」を見つけたんです。
見てみると興味深いし、農機の知識も活かせる。待遇もなかなか良かったので、「これは、アルバイトどころではないな。真剣に考えよう」と思って応募させてもらいました。
あと、面接のときにも言ったんですけど、やはりスーツを着る仕事じゃないのも自分に合っているのかなって。もともと、汗っかきなんですが、面接のときも汗がひどくて、スーツの上着を脱がせてもらったほどでした(笑)
実際に入社してみて
―入社後は何を担当されましたか?
入社して半年は、農産課の九条ねぎの収穫チームを担当。そのほか、時々、農機が故障することがあるのですが「農機屋さんを呼ぶほどではないかも?」というものは修理をしたり、工場へのねぎの運搬を担当したりもしました。
私が入社した8月頃は、「かやぶきの里」で有名な美山での収穫がメインでした。朝早くから京都市内の向島工場に集まり、チームメンバーと収穫の準備。朝礼後、高速道路にトラックを連ね、美山へと移動します。収穫では、九条ねぎを葉の良し悪しを見極めて刈り取ったり、加工しやすい寸法を考えて刈り取る高さを調整。かごに詰め、どんどんと保冷トラックへと運び込んでいきます。
山間地域とはいえ、夏は肌が焦げてしまいそうな炎天下の中、足元からは地熱で湿気がある中での農作業。正直なところ何度もダウンしそうになりました。でも、10人近くいる仲間が頑張っているのを見て、弱音を吐いていられないと、とにかく必死に収穫する毎日でしたね。
秋になり、冬が近くなると、収穫エリアは美山から亀岡に、そして京都市内へ南下していきます。秋には、葱の畑にも、トンボや鹿の姿が。普通は春に入社しますが、私の場合は一番暑くて大変な夏に入社し、秋・冬を迎えました。だから、この頃は体が楽になるとともに、収穫の喜びや自然の中での発見も感じられて楽しくなっていきました。
この時期になると、収穫作業以外にも、九条ねぎの生産チームや加工チームの現場を手伝うことも。生産チームでは、草刈り、台風・霜対策などの圃場管理の作業。また、加工チームでは袋詰めや出荷の作業など。このように、九条ねぎの生産や加工チームの作業を体験しながら、いつも収穫している九条ねぎがどのように生産され、加工・出荷されるのか、というのも知ることができました。
静岡で白ねぎの生産チームへ
―現在担当されているお仕事は何ですか?
半年で収穫の現場をメインに、生産管理チームや加工チームの手伝いをする中で、マネジメントも経験してみたいという思いがありました。そんな折、異動の話をいただき、5月から静岡県に新しく誕生した「藤枝農場」へ。現在、サブリーダーとして3名の社員と6名の技能実習生のメンバーで4haの白ねぎ圃場を担当しています。
長ねぎ(白ねぎ)の種を植え、苗を育てるところから、追肥、草刈り、土寄せなどの管理、収穫までを担当。長ねぎは植えてから収穫まで6~8か月かかるので、私自身はそれぞれの作業を覚えていきながら、全ての畑の状況を把握し、仕事を割り振ったりしています。その中で、「みんなにやってもらうにはどうしたらよいか」といったチームマネジメントも、徐々に農場長の真似をしながらやっている感じですね。
始まってまだ2年目の農場のため、栽培については畑の特徴が違ったり、品種を比較したり、畑によって植える幅を変えたり、…と探り探りの状態。加工チームとの連携もとても重要な仕事なのですが、工場も2020年3月に竣工したばかり。
メンバーも増え、規模も拡大し、新しいやり方を考えていかないと…というところで、正直、焦りと焦ったらあかんなという気持ちがあります(笑)でも、新しく始まるお取引にむけて準備をしたり、みんなが安全に仕事ができるように基準やルールをつくったりと、新しい組織を立ち上げる中で今までの経験が活かせることも多いです。
ー実際に入社してみて感じた、難しさはありますか?
健康な状態のねぎを維持しながら、マニュアルを作成したり、仕事を割り振ったり、進行中のものと、止まって考えないといけないものがあって、すごく難しい仕事だなって思います。機械の修理だったら、ためておいても後で一気に終わらせることができるんですけど、これは生きもの相手。今日やることは今日やっておかないと枯れてしまうとか、虫に食べつくされてしまうとか、予定通り収穫できなくなる、といったことがあります。
―これからやってみたいこと、野望はありますか?
今は自分たちのつくったねぎは「静岡県産白ねぎ」という名前で関東へ送られているのですが、今いる藤枝農場の白ねぎとして、「こと京都・藤枝農場」とでかでかと書かれた商品が全国へ送られていくのが目標ですね。
それと、機械の知識を使って、身体的な負担や危険を減らしながら、効率的に作業できる方法を考えていきたいと思っています。
農業界全体では若い世代が多く頑張っています。若い方が入ってくれるのは喜ばしいことですが、体をはってばかりいると体力的にいつか限界が来てしまいますし、業界としてもあまり発展がありません。
農場で教わったとおりにするのではなく、効率や利益を追求しながらも、もっと体が楽になる方法があると思います。資金の問題もあり、機械が導入できないといった農家さんも多いかもしれませんが、小さな工夫の積み重ねでもきっと可能になるはず。だから、少しずつ答えを見つけ、共有できるネットワークを築いていきたいですね。
そんな私はこんな方と一緒に仕事がしたい
ー今いる農産チームにはどんな方が向いていますか?
農産チームは、思ったことが言える環境です。朝礼や一日の終わり、定期ミーティングで話をしたり、ChatworkやGambaといったツールを使ったりしているので、何なら夜でも提案や相談をすることができます。
だから、新しいことを試してみたいと思える方にぜひ来ていただきたいですかね。
決まったやり方ってあるようでなくて、みんな試行錯誤しながらやっています。教わったとおりのやり方をずっとするのではなく、さらに良い方法を考えよう、思いついたことを試してみよう、っていう方。異業種から転職されて、農業経験が全くなかったとしても、活かせることっていっぱいあると思います。
だから、農産チームの仕事が気になる方は、ぜひ一度来てみてください。
「来て」、それから「見て」ってところが大事ですね。やっぱり農作業は見ないと始まりません。説明会や面接で聞いてイメージしても、当日行ってみたら暑くてダウンしたとかもあります(笑)。実際来てみて、「暑いけど、終わってからの充実感が良かったな」と感じられたら、前向きに次のことを考えていけると思うんです。
充実感とか、収穫したときの喜びとか、しゅんとしていたねぎが元気になったりとか、そういうのを実際に見て感じてほしいですね。
― 農場の仕事は奥深いのですね。取材させていただき、ありがとうございました。
「井上さんって謎が多いよね」「ものすごく頼りがいがあるけれど、どうして入社されたんだろう」って声があり、今回の取材に至りました。農場の仕事についても、転職組ならではの視点でした。
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