「日本にはもっとポテンシャルがあると感じます。それが埋もれているのはもったいない。日本全体の生産性を引き上げていかないといけない。仕組みを変えていくことが必要です。それがやりたくて私はキャディにいます。」
キャディのチーム紹介シリーズ企画もいよいよ第4弾。今回は、サプライパートナーが生産する製品に関してカスタマーに向けた品質や納期の担保・改善を担う「クオリティ&デリバリー(Q&D)推進グループ」の土生 広倫のインタビューをお送りします。
▼ 土生のプロフィール
非鉄金属専門商社で9年営業を担当し製造ラインの立ち上げにも関わった後、株式会社ミスミにて事業開発職として4年従事。製造から販売まで一気通貫に見てきた経験を基に現在はキャディ株式会社にて生産管理・品質保証責任者を担当。
顧客視点に立ってサプライパートナーに向き合う
── Q&D推進グループではどういった取り組みをされているんですか?
カスタマーとサプライパートナー双方のニーズや意向を踏まえながら、キャディとしてのあるべき品質基準を定義し、それを担保するプロセスを策定する活動をしています。
また、この基準をカスタマーやサプライパートナーの開拓、最終的な受発注といったそれぞれの戦略に反映させていっています。
実は、このQ&D推進グループは2019年4月にサプライパートナーサクセス本部内で立ち上げたばかりで、まだ私一人の体制です。そのため、サプライパートナーディベロップメントグループなど他グループとの組織横断的な協力が何より重要になります。
相互に現状数値や詳細な状況をチェックして、サプライパートナーの対応力、得意な技術・設備、キャパシティなど多角的に話し合って、優先順位をつけながら改善施策を進めています。
── 土生さんが入られてからQ&Dが立ち上がったんですね。
そうなんです。最初はカスタマー側のグループに入ろうかという話をしていたのですが、そこまで厳密には決まっていなかったんですね。
そこでカスタマーサクセスという観点で大きなプラットフォームになるまでの課題を洗い出してみると、最高レベルの良品率や納期順守率にするという部分はまだ壁がある状態でした。カスタマーの開拓やサービス品質の改善も重要だけど、製品品質の改善余地が結構あるね、ということで、「じゃあ私やります!」っていう流れで(笑)。
── とはいえ、専門知識もかなり必要ですよね?製造に関わられたご経験もある土生さんならではでしょうか。
以前の職場では、中国で量産品の立ち上げをやったりしていました。良品率を上げるために工程の組み替えなどの取り組みに入ることもありました。前職のミスミでも良品率の引き上げに関連する業務を担っていたことがあります。こういった経験があったからすぐ着手できたのは確かですね。
品質保証だけをやってきたわけではないのが良かったように思います。先ほど話した通り、もともとはカスタマーへの価値提供という観点から考えていました。なので、「顧客視点をもったうえで品質・納期を見ること」をすごく重視しています。
一方で、「サプライパートナーのポテンシャルを解放すること」も大事なミッションです。この両立のためには全体最適を考えないといけないので。
── 全体最適というと、具体的にはどういう観点が大事ですか?
サプライパートナーへの支援と程よいブレーキの両方が必要かなと思っています。たとえば、キャパシティに余裕があるサプライパートナーさんに発注して稼働率を上げるというのは大事な支援のひとつですが、とはいえ、設備や生産体制、カスタマーの求める品質水準を考慮せずにガンガン発注しちゃったらリスキーですよね。
キャディの取り扱う製品は個々に求められるものが結構違うので、その中でリスクが高そうとなれば、カスタマーのことも考えて時にブレーキをかけることも必要です。
── カスタマーとサプライパートナーを結びつけるプラットフォームとして欠かせない視点ですね。
その通りです。私の場合、1社目の商社で「買い」と「売り」双方の営業を経験して国内外で製造ラインの立ち上げまで行ってきたこと、その後ミスミで事業開発者として「創って・作って・売る」という考え方をもとに企画~製造~販売まで一気通貫に手掛けてきたことが、常にマーケットを意識し、顧客視点から見た結果を出すということに活きていると思っています。
キャディの仕事すべてに言えますが、品質や納期などの改善においても私1人だけで実現できることではありません。100を超えるサプライパートナーの声に耳を傾け、3,000を超えるカスタマーの声に耳を傾け、また社内の各グループと相談しながら立ち上げていますので、双方の視点を持って進めていくことって、とても大切な観点だと思っています。
Q&Dは信頼のキャディブランド構築の牽引役
── 足元の目標はどういったものですか?
アカウントセールスグループの話でもあったように、現在カスタマー側では特定のターゲットにかなりフォーカスしています。これに呼応する形で、カスタマーの求める水準やキャディとして定めたサービス水準を満たせるように、ターゲットカスタマーにフィットするサプライパートナーを中心に品質や納期を改善することや、それによって基準を満たせるサプライパートナーを増やすことが、Q&D推進グループの足元の目標です。
キャディでは継続的にブランディングにも力を入れています。カスタマーやサプライパートナーから、キャディのQCD*についてもっと厚い信頼を寄せていただけるようになっていきたいんですよ。
* QCD = 品質 Quality / コスト Cost / 納期 Delivery
もちろんブランド構築は、広報やマーケティング、デザイン、セールスやCSなど全社で担っていくものですが、Q&D推進グループは、まさにこの牽引役だと自負しています。
── Q&Dとブランディングとの繋がりを是非もう少し教えてください。
まず製造業において、Webで展開している新興企業と思われてしまうと、カスタマーからは厳しく見られることもあるんですね。製造業の会社で一定の操業実績があれば、多少バラつきはあっても最低限の水準は満たしているだろうという期待値から話ができますが、キャディの場合は必ずしもそうではありません。
業界の体質が古いとか、何かが良い悪いと言いたいわけではなくて、品質や納期に問題があるとカスタマーやその先のエンドユーザーが多大な損害を被る可能性があるので、これは製造業を営むうえで必要な視点なんですね。程度の問題はあれど、健全な猜疑心というか。
製造業にいた私もそうですし、マッキンゼーで製造業に深く入り込んで課題解決に取り組んでいたCEOの加藤、Apple社でハードウェアの設計・開発に関わっていたCTOの小橋、町工場で修行した経験のあるサプライパートナーサクセス本部長の幸松をはじめ、キャディのメンバーは、製造業の皆さんがこういう視点をお持ちというのは重々理解しています。
だからこそ、品質・納期の面で着実に実績を重ねて、また私たちがどういう姿勢や基準で取り組んでいるかをしっかりお伝えして、信頼を得ていくことが不可欠です。
そのため、キャディでは普通より厳しい基準で良品率を計測しています。一般的には、発注の製品ごとに良品率を計測しているので、仮に100件の発注案件があって、その中に1,000種類の製品があって、5つの案件で計10種類の製品が不良であれば、良品率は99%(=1−10/1,000)となります。
一方、キャディは発注案件ごとに良品率を見ているので、このケースで言うと、5つの案件を不良と認識するので、同じ内容でも100件の案件に対する良品率としては95%(=1−5/100)と低く出ます。
サプライパートナーからも厳しいと言われることがあるくらいですが、「カスタマーへの影響度合いで考えていますので」と真摯にご説明していくとご理解いただけます。
また、一般的にオンラインのマッチングプラットフォームは「需要側・供給側の間で問題が起きても知らないですよ」ということがあると思います。実際に「仲介だけして後は知らないっていうサービスなんじゃないの?」というニュアンスで質問を受けたこともありますが、キャディでは決してこういったスタンスは取りません。「きっちり納品まで責任を持ちます」と宣言しています。
Q&Dとしてはアカウントセールスなどカスタマーと対面するメンバーが、自信を持って「これだけ真剣に高い基準で取り組んでいます」と常に言えるようにしたいんですよね。今はカスタマー側のグループと一緒に動いてはいないんですが、今後協力して製品・サービス両方の品質を上げていければと考えています。
── どうやって良品率を上げていくものなんですか?
最初は、品質不良や納期の問題を個別に解消しながら、私たちとしても課題の解像度を上げていきました。切削加工は製法そのものの特性から加工精度を比較的高く保ちやすいのですが、人手での作業が多く入る板金加工は工程管理からしっかりやっていく必要があるなど、製品カテゴリーによっても注力するところは変わってきます。
また品質の問題といっても、サプライパートナーの生産工程中の課題に限らず、発注に際してどのような情報がサプライパートナーにインプットされたかといった点や、仮に不良があったとしても生産後の納入前段階でどう検知するか、など考慮する点や解決のアングルは様々です。個々の問題に個別対応していては、再現性のない改善の繰り返しになったり、こちらは良くなったけど別のところで問題が出たりといったことになりかねません。
そのため、不良や納期遅延の多寡や発生原因を継続的に追ってデータを蓄積していき、仕組みの面から原因を解消していくことが欠かせません。品質は、職人的な要素として捉えられがちですが、キャディでは、品質をサイエンスするということを大事にしています。品質不良には必ず原因があり、それは構造的に解決可能なものである、と。
だからこそ、カスタマーとキャディ、キャディとサプライパートナーそれぞれの接点を含めて、バリューチェーン全体の構造やその中の依存関係を捉えながら課題解決に取り組んでいます。
── 社内のプロセスも関係してくるとすると、開発チームとの連携もあるのですか?
開発チームもプロダクトの作り込みを進めているところなので、こちらからやたらめったらフィードバックするなんてことはしないですが、開発チームから意見を求められてフィードバックする機会は増えてきています。
カスタマーやサプライパートナーが現状の発注状況や案件のステータスを一覧で把握したり、変更依頼ができるような仕組みを構築中で、これができるとサプライパートナーの業務効率もかなり上げることができると思います。
私としても、今まではできなかったことをテクノロジーで実現できる未来に期待しているので、こういうやり取りができるのは素直に嬉しいですね。将来的にシステムで製品の管理ができる仕組みを提供して物流オペレーションを支援するなど、やりたいことはたくさんあります。
QCDの向上に取り組むということは、その先でバリューチェーン全体としての生産性をどう高めるかという問題になってくると思います。この生産性の向上をテクノロジーの力で支援していきたいですし、今私が取り組んでいることはそのべースになると思っています。
キャディならではのSCM(サプライチェーンマネジメント)を作り上げ、日本の生産性を引き上げたい
── Q&Dの将来構想はどういったものでしょう?
今QCDの中で特にQ(品質)とD(納期)を見ていますが、僕はどちらかというとSCM(サプライチェーンマネジメント)という視点で取り組むようにしています。
C(価格)やそれを構築する各要素を見ずにQとDの部分だけ見ていては、必ずしも顧客の希望に沿えない場合も出てくるでしょうし、間違った方向に進みかねません。
特にQ&Dで取り組んでいることは、個別最適で自グループの目標ばかり追いかけていては、カスタマーの最適発注もサプライパートナーのポテンシャル解放も実現できないので、バランス感覚をもった組織にしていきたいと思います。
また、これはまだ構想レベルですが、最終的にはサプライチェーンやQ&Dに関する情報やナレッジがバラついている状況を改善して、誰もが簡単にリアルタイムにアクセス可能な独自のSCMの仕組みを構築していきたいと考えています。
── そんなQ&Dにはどんな経験の人がフィットしそうですか?
製造業の品質関連の職種や、私のように品質保証専門でなくてもそれに関わる経験をしてきた方が活躍できるグループだと思います。そうでない場合は、加工や工程についての理解が高いレベルで必要になるため、サプライパートナーサクセス本部の別グループで一定の経験を積んだ後に、Q&Dに移籍してきてもらう方が良いのではと思っています。
そのうえで、品質など生産面のプロとしての視点はやはり大切ですが、それだけではなく、先ほど話したように、顧客視点もしっかり持てる方、ブランド構築の目線が持てる方と一緒にやりたいですね。
加えて、サプライパートナーへの面でのアプローチや将来的なSCMの可視化といった展開を考えると、目の前の課題を解決するだけでなく、今後同じ課題が発生しないようにしたり、課題解決の再現性が高まるような「仕組みづくり」が得意な方には、大いに活躍いただけると思いますね!
── 土生さんがキャディで働くうえで大事だなと思うことを教えてください。
非常に高い目標に対して圧倒的スピード感で成果を出すことがまず一つですね。大手企業ほどのリソースは無い中で、その何倍ものスピードで進めていかないといけませんから。
そのために大切なこととして、自分の経験だけで着地点を決めないこと、目指すべきゴールとその先を常に見続けることだと考えています。キャディの目指すレベルは非常に高いですが、そのギャップが分かれば、むしろエネルギーが沸いてきます。
あとは、関係者をとにかく巻き込む、自らも採用活動に参加する、自分だけじゃなく他のメンバーの成長にもコミットする、も挙げられますね。
特に巻き込み力は重要です。多かれ少なかれ、社内は皆似たような状況にいますので下手に遠慮していては何も進みません。みんながそれぞれ良い意味で図々しさを持って高い目標に向かって走っているので、少し強引に巻き込んでも怒る人はいませんよ(笑)。
── 最後に一言お願いします!
キャディの事業は日本に閉じるものではないですが、とはいえ、日本にはもっとポテンシャルがあると感じます。それが埋もれているのはもったいない。日本全体の生産性を引き上げていかないといけない。仕組みを変えていくことが必要です。それがやりたくて私はキャディにいます。共感してくださる方、ぜひ一緒に取り組みましょう!
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