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ITコンサルタントこそ大切にしたい「思いつき」と「ひらめき」

こんにちは。
アバナードでインフラストラクチャ部門の責任者を務めています小西です。

私は今後のITの世界には、ロジカルシンキング以上に「思いつき」や「ひらめき」といった直感がなによりも大事になってくると思っています。

「外資系コンサルタントの回顧録」第三回目の今回は、仕事に活かせる直感について、なぜそれが今後企業が発展していく上で重要なのかをお伝えします。

・第一回目はこちら:会社基準でキャリア選択すべきではない。会社を「乗りこなす」という考え方
・第二回目はこちら:「あなたにお願いしたい!」と選ばれる人材になるために。今すぐ壊したい、目に見えない“枠”とは

ロジカルシンキングがマッチする仕事、しない仕事

わたしはITコンサルタントのスキルセットとして、基本的なビジネススキル・コンサルタントスキルに加えて、メタファーと直感(「思いつき」と「ひらめき」)を大切に仕事をしています。

一般的に、コンサルタントという職業は、ロジカルシンキングを重視する仕事だと思われています。
しかし今後、ITコンサルタントとして生き残っていくためには、ロジカルよりも直感。「思いつき」と「ひらめき」がとても大事になってくると痛感しています。

決して、ロジカルシンキングが不要だと言っているのではありません。


念のためロジカルシンキングについて少し補足しておくと、ロジカルシンキングはなにかしらの物事に結論と根拠を結びつけていくような「分析」を主体としています。つまり、点(結論)を線(根拠)でつないで結果(なりたちや形)に意味をもたせる、といったところでしょうか。
先にもお伝えしたように、これらのアプローチはとても重要なため、決して不要なわけではありません。

また今回の記事の内容は、昨今言われている「デザインシンキング」とも異なります。

デザインシンキングはロジカルシンキングとも異なり、意見や考え方、その他要素を多くのインプット(ここでは仲間やその他対外的意見)にして、とにかく積み上げて検討するものです。

これからお伝えしていく「思いつき」と「ひらめき」については、わたしの個人的な見解として読んでいただければと思います。


まず、ロジカルシンキングが役立つのは、今後に向けて、「ああしたい」「これをやりたい」「こうなりたい」など、目的や目標が決まっている時です。
例えば「今10個しか売れていないものを、30個売れるようにしたい」という場合には、ロジカルシンキングは有効に働きます。基本的な分析に加えて、デザインシンキングを加えることによって、ヒューマンセントリック(人間主体)で斬新なものに仕上がるでしょう。

その一方で、それらだけでは対処できないシーンもたくさんあります。

わたしたちの仕事の大半はアバナード主導で提案を行うことですが、それ以外にもデリバリー(お客様主体のビジネスの構築)も多く実施しています。どちらの仕事でも準備期間をある程度持つことができ、対策を立てながら進めることが可能なのですが、
例えば、「何か良いの知ってる?良いのあったら教えてよ」とか、「〇〇が良いと思うんだけどう思う?」など、突発的な受け答えが必要なシーンでは、分析やインプットをしている時間はありません。

これに対しては、
「こんな面白い方法がありますよ」
「持ち帰って検討し、提案させていただきますね」
「私は〇〇がいいと思いますが、この線で調べてみますか?」などと、さまざまな対応が考えられますし、内容や受け答えの仕方によって効果のほどが変わってきます。

この時に意識するべきなのは、お客様はなにかしらの意思決定をしたいから質問をしている、ということです。
その質問から決定に至るまでの時間が極端に短いことも多く、一瞬でお客様の心をいかに掴むかによってビジネスの機会そのものも変わります。

こういったシチュエーションにおいては、実はあまりロジカルシンキングは通用しないのです。(もちろん、人にもよるのですが。笑)


少し前置きが長くなってしまいましたが、「ビジネスをつくる」「売れるものをつくる」という仕事においては、お客様との関係の中で生じるごくごくわずかな機会に、どれだけの爪痕を残し、深層心理に近づきながら心をくすぐることができるか。そして、そこに以前お伝えした「続きが観たくなるドラマの最後の3分間」を作り出せるかが大切になります。

それを可能にするのは、ロジカルシンキングではなく、メタファーと直感(「思いつき」と「ひらめき」)ではないかとわたしは考えます。

「思いつき」と「ひらめき」のヒント

このメタファーと直感(「思いつき」と「ひらめき」)についての奥義は記載できないのですが、エッセンスを一つ紹介します。

ポイントは、「相手の想像力にお任せする」ということです。
それは一体どういうことなのか、先ほどのケースを例にとって考えてみましょう。


「何か良いの知ってる?良いのあったら教えてよ」「〇〇が良いと思うんだけどう思う?」とお客様から質問されるシーン。これは一瞬の出来事です。

そしてあくまでもわたしは、それぞれが想像力を膨らませて、物事を考える手助けをする存在です。しかしこのシーンにおいて、質問された瞬間の主体は、質問の受け手(わたし)にあります。その形をゲームチェンジするために、質問する側(この場合はお客様)に主体を返すキラーワードを、受け答えの中に瞬時にさりげなく投げ込むのです。
これらの一瞬の物語にはメタファーを用いて、明確な形を示さず自明なものにしないという特徴があります。

ここで投げ込むべきキラーワードは、専門家としてのものではなくお客様の立場から見たキラーワードです。そうすることで、お客様の想像力にわたしの想像力が加わって、更に大きいものへと変化していきます。

それぞれが想像力を膨らませて更に大きいものにする、それを刺激するために直感でキラーワードを投げ込むのです。


…と、エッセンスをお伝えしてみましたが、これだけでは、あまりイメージできませんよね?(笑)
これを理解するには、ご自身で体験することが大切です。

(是非カジュアル面談などでお話ししてみませんか?お待ちしております)

ITの仕事も徐々に奪われていく

とてつもないスピードで変化するITの世界とマーケットに食らい付いていくためにも、「思いつき」と「ひらめき」は大事です。

ITの仕事はこの10年で大きく変化してきました。
誰でも簡単にクラウド環境をつくれるようになってしまった今は、言うなればITが一般化しようとしている時代。
特別な専門知識を必要としないシーンがどんどん増えています。

例えば、サーバーを起動させるというのは、一昔前は非常に大変な作業でした。
各装置を認識させるためのソフトウェアを読み込ませ、指令命令を直接コマンドとして打って…という複雑な作業には、ある程度経験や専門知識を必要としていたのですが、今はもうコンピューターの名前を決めて、サイズを選び、出来上がるのを待つだけでサーバー構築ができてしまいます。即席ラーメンのように、瞬時に名店の味が再現されていくわけです。

このような一般化は、間違いなく今後も進んでいきます。
いまはまだ専門知識が必要とされているシーンやケースでも、近い将来には淘汰されていくはずです。
そうなれば、専門家側にいるわたしたちがしている仕事は、どんどん奪われていくでしょう。

しかも、一夜にして変わったり新しいサービスが出来上がったりと、突然変異が起こりうるのがITの世界です。
その世界の中で生きるわたしたちは、スピーディな世界から振り落とされないよう食らい付いていかなければなりません。さらに勝ち残るためには、そのスピードよりも速く前に進む必要があります。

そのための着火剤となるのが、「思いつき」と「ひらめき」なのです。「思いつき」と「ひらめき」で可能性を広げていく過程で、それぞれの個性が掛け合わさって唯一無二になったとき、それがひとつのサービスとして立ち上がっていきます。

もしかすると、あたかもこれが一人で実施されているように見えるかもしれませんが、一人で実施できるケースもあれば、できないケースもあります。どちらであっても大切なのは、その可能性(お客様の想いや、サービスそのもの)に最も早くたどり着くこと。そしてそれをきちんと理解して、計画のためのレールを敷き、弱点を克服し、誰よりも早く先頭に立つことでもあります。

思いつきから3時間でうまれたアプリ

これから紹介するアプリも、思いつきからたったの3時間で生まれました。

ローコードによるアプリケーション制作ツール「Microsoft Power Apps」でつくった、自分がどんなSDGsに関する貢献をしたのかを可視化する「SDGsアプリ」です。

このアプリではSDGsへの貢献を自己評価することができます。

例えば、
「洗って何度も使えるマスクを利用し、使い捨てマスクの使用頻度を減らしました」とか
「コンビニでお箸をもらわないようにしたので、森林伐採等による気候変動に寄与することができました」というように、個人のSDGsの実践を見える化して、経験を共有できるようにしていきます。

これはわたしがふと思いついて勝手に作ってみたアプリでしたが、日本の反応が良かったのはもちろん、特に北米とヨーロッパ地域を中心に、グローバル拠点から「ぜひ活用したい」という反応がありました。

アバナードは今年、SDGsそのものの取り組みも加速させるという方針があります。
そこでこんなアプリを作って、まず会社で取り組んでみたら面白いのではないか、会社単位で行うことでCSV(Creating Shared Value)経営に繋げられるのではないか、などと想像してサッと作ってみたアプリが、今は何か次に繋がりそうな気がしています。さらに違う新たなビジネスにも展開していきたいと思っていることころです。

これまで経営をサポートするのは、MBAのような学位を持つ方々ばかりだったかもしれません。
しかしこれからは、ITの現場で「思いつき」から生まれたものが、企業経営をサポートするかもしれないのです。そう考えると、なんだかワクワクしてきませんか?

ひとりではなく、コラボレーションによって広がる可能性

ここまで「思いつき」と「ひらめき」が重要だとお伝えしてきましたが、わたしの経験則からいくと、残念ながら1人のそれだけでは大したことがないというのが正直なところです。
アイデアを尖らせていくためには、コラボレーションが必要だと思います。

しかも、いかにスピーディーに唯一無二なものに仕上げるかが重要な業界ですから、そういった意味でも1人ではなく複数人の力が必要です。

複数人でコラボレーションするとはつまり、多くの個性を尖らせながらまとめていくということです。間違っても削りながら形を整えてはいけません。
決して削らずに、小さくせずに、大きさをキープしながら整えていくことが重要です。

その大きさをどれだけ大きい状態のままキープできるかというところには、テクニックが必要で、アバナードが得意とするところでもあります。


わたしは、役職や立場関係なく誰の意見にも耳を傾けるのが、アバナードのすばらしいカルチャーだと思っています。そしてなによりも、会社をあげてコラボレーションを大切にしています。


そんな仕事のスタイルに興味がある方は、ぜひお声がけください。

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