アバナードは、2016年に「アドバイザリー部門」を発足。クライアントが抱える様々な経営課題に対して、業務改革や新規事業の企画・立案など、様々な観点から「アバナードにしかできないビジネスコンサルティング」を提供しています。
今回インタビューしたのは、アドバイザリー部門立上げ期にアバナードに参画し、部門のリードを務めるシニアディレクターの工藤さん。
外資系を中心とした大手コンサルティングファームで活躍し、18年間ビジネスコンサルティングの最前線で活躍し続ける彼に、コンサルタントとしての姿勢や仕事術、今後の方向性についてお話を伺ってみました。
工藤 雄玄(くどう たけはる)/アドバイザリー TCリード シニアディレクター
大学を卒業後、外資系を中心とした大手コンサルティングファームを渡り歩き、アドバイザリー部門立ち上げに伴いアバナードに参画。テレコム、メディア、ハイテク業界を主として広く業界を俯瞰し、事業企画、業務改革、ITマネジメント変革など、幅広く豊富なプロジェクトでの経験を活かし、アドバイザリー事業をリードしている。
ビジネスコンサルタントは、今や「事業家」へ!?
— 企業変革が求められる今、ビジネスコンサルティング領域にも変化が及んでいるのではないかと思います。それを紐解くにはきっと、ビジネスコンサルティング最前線のアドバイザリー部門にいらっしゃる工藤さんに話を聞くのが一番良いはず…!ということで、まずはアドバイザリー部門がどのような取り組みをしているか教えてください。
ビジネスコンサルティングを行うアドバイザリー部門には、本当に多種多様なご要望があります。
例えば、
「従業員の生産性を向上したい」という、全社的なデジタル改革の依頼。
「検討しているビジネスの実現性を把握したい」という、事業企画やマーケティングに関する依頼。
「物流拠点の統合をしたい」というような、製造や物流改革の依頼。など
ご要望の粒度や規模はさまざまですし、業界もさまざまです。
いただいたご要望をもとにクライアント企業へのヒアリングを行い、「この会社の課題はどこにあるか」「本当に解決したいことは何なのか」など、その目的やゴールを整理して定義し、必要に応じたソリューションを提供していくのが、我々アドバイザリー部門の役目です。
ビジネスコンサルティングにおいて、私はこれまでさまざまな相談を受けてきましたが、最近では、「会社の売上や利益を伸ばす、新たな事業が欲しい」という依頼をいただくことも増えています。
— これまでのビジネスコンサルティングの域を超えているようなご相談ですね。
そうですね。
これまでは、経営上もしくは業務上の課題がどこかにあって、それを何とかしてくださいという「1を組み立て直して10にする」というオーダーが常でした。ところが、「会社の売上や利益を伸ばす、新たな事業が欲しい」というオーダーは「0から1をつくる」ということです。
ですから我々も、並走するというスタンスではなく、クライアント企業の中に入り込んで、いち事業家として共走するスタンスで仕事をするようになっています。
— そうなると、仕事の仕方は変わってきますか?
大きくは変わりませんが、より一層プロアクティブに動くことが求められてきているのは間違いありません。
ビジネスコンサルタントというのは究極のサービス業ですので、もっとも重要なのは、常に先を読んで前のめりで提案しつづけること。
コンサルタントとしてこれから生き残っていくためには、プロアクティブに動き、時には生意気になるくらいでちょうどいいのです。クライアント企業と「共走」していなければ、きっとそうすることはできません。いつまでもリアクティブな姿勢でいる方は、これから勝ち残れないと思います。
強いビジネスコンサルタントをつくる3つの姿勢
— 価値を生み出し続けるビジネスコンサルタントでいるために、工藤さんが重要だと考えているポイントを教えてください。
私は、ビジネスコンサルタントには3つの姿勢が重要だと思っています。
まずは、クライアント企業と同じ目線でいることです。
キーパーソンの行間を読み、「本当に解決したいことは何なのか」「何を求めているのか」を敏感に察知し、とことん突き詰めます。クライアント企業に対して“お客様”意識ではなく、自身が責任者になったつもりで物事に対峙する姿勢が大事です。
次に、一歩先に踏み込んだ仮説を持つことです。
プロアクティブに仮説を提案し続けて、クライアントの前に立ち、積極的に導かなければなりません。いつも一歩先、二歩先を見続けます。そしてステークホルダーに対して感動を与え続けることが重要です。
そして、ドライ&ウェットな関係を構築すること。
パートナーとして寄り添う中でも、決して迎合せず、事実に基づき中立的に振る舞うことが大事だと思っています。完全にクライアントの中に入り込んでしまうと、視野が狭くなり、パートナーとしての存在意義が薄れてしまいます。第三者的視点を見失うことなく、マーケット全体を俯瞰したものさしを持っていることこそ、ビジネスコンサルタントが存在する意義です。
これらが、私が18年間ビジネスコンサルタントとして持ち続けている姿勢です。
さらに上記3つの姿勢にプラスして、これまで多くの経験をもとに、よりエッジを効かせながらスマートさやQCDパフォーマンス(Quality: 品質、Cost: 費用、Delivery: 納期)を追求し続けることで、コンサルティングサービスとしての価値をさらに磨きをかけていきます。
価値を向上させる方程式は、「顧客満足度(Cx)× 従業員満足度(Ex)=価値向上(ROI+)」です。ビジネスコンサルティングというサービスは、決して安いものではありませんから、高単価でサービスを行っているという緊張感は、いつも持ち続けていますね。
— 工藤さんは、このようなスキルや姿勢をどのようにして身につけてきたのですか?また、どうすればそのスキルが身につくのでしょうか?
もちろん座学で勉強するというのも一つの手ですが、座学は知識が溜まるもののそれ止まり。プロジェクトで実践あるのみです。打席に立ち続けないと打率も高まりません。
「この課題にどう立ち向かうのか」「このプロジェクトはなぜうまくいっているのか」など、実際のプロジェクトに入って現場で学んでいくことでしか、現場で使えるスキルは身につきません。現場に立って、先輩やそのプロジェクトから学びを得ていくのです。
そして、先輩の振る舞いを単にコピーするのではなく、良いところのみを盗んで自分のスキルに変換していくことが必要です。
つまり、「誰と一緒に、どんな環境で仕事をするか」が、ビジネスコンサルタントとしての成長には欠かせないと思います。
自由さが、新しい価値を創る
— アバナードは、工藤さんにとって、誰とどんな仕事ができる環境ですか?
言葉を選ばずに言えば、業界のアウトローたちが集まるベンチャー企業のような感覚ですね(笑)
アバナードって、とにかく自由なのです。この自由さが、実はビジネスコンサルタントにとって非常に重要だと思っていて、挑戦し続けられる自由さが良い提案を生み、本当に価値のあるものを生み出します。
現在アバナードのアドバイザリーにいるのは、これまでどこか窮屈感を感じていたけれど、本当に面白いことをしたくて集まったメンバーばかり。レガシー企業のナレッジやリソースは魅力的だけれども、小さなところで自由に動き回るのが性に合っている人が集まっている感覚です。
上下関係も気にせず、社内政治もない。フラットでオープンな雰囲気で、なんでも意見をぶつけて切磋琢磨し合う環境なので、働きやすいと思っているメンバーが多いと思いますね。
ですから、アバナードからの提案は、あえて重箱の隅をつつくと言いますか、クライアントが本当にかゆいところに手が届くソリューションを提供することができていると自負しています。
これまでのビジネスコンサルティングでは、コンサル屋が絵を描いてベンダーに依頼すると、100あったものが50しか伝わっていないなんてことが往往にしてあったわけです。それは構造上仕方ない部分もありますが、ここアバナードにおいては、優秀なエンジニアが揃っているのでデジタルの仕掛けを構築することまで一気通貫して実現できますし、アドバイザリーが設計から開発、デリバリーまですべての工程を一貫してマネジメントします。最先端のデジタルな未来図をきちんと形にして提供できるのは、アバナードの大きな強みにもなっています。
— 最後に、今後のキャリアや展望について教えてください。
まだ漠然としていますが、コンサルティング業界で積んできた経験を踏まえて、新しいビジネスコンサルティングの世界を切り開いていきたいと思っています。
これまで長いことビジネスコンサルティングの世界にいますが、クライアント企業の中に入り込んで共走できるコンサルタントって、本当に数少ないと感じています。まずは、それをスタンダートにするような、新しいコンサルティングの在り方を、このアバナードでつくっていきたいと考えています。
それが実現できたら、コンサルティングというサービス提供の仕方自体が、今とは大きく変わっていくものと妄想しています。そんな新たなコンサルティングの道を開拓したいですね。