プロットを崩す愚者
この世の中にプロットを書いたこと人は一体どれだけいるのだろうか。
かくいう私もまともなプロットは書いたことがない。最高で800字しか書いていないような人間だ。高校生の税の作文じゃあないんだから……。
大学一年生の時に致し方なく書いたものがこちら。R18です。
〇下河 一
1980/8/17生まれ、福岡出身。小5に東京に引っ越す。しかし、田舎者として虐められ、スケープゴートの対象と化す。中学までは凄惨なものであった。1浪して大学を卒業し、小学校教諭として職に就くも、生徒からの罵倒、保護者からのパワー・ハラスメントにより統合失調症に陥ってしまう。そんな彼は、2008年5月**日に飛び込み自殺を図るものの、無宗派であるという理不尽な理由から未来世界へ転生させられてしまう。そこは2021年、ある夏の日のことであった……。
事故時27歳 転生時27歳(40)
総合能力としてはC-。秘めた狂気は計り知れない。人並み以上に記憶し、改変するのがお好きのようだ。あと、自分には甘い。
一部 博多区編 ~事実は歪んで伝わるモノ~
彼は転生して人を見極める能力を手に入れた。そのため、昔の姿しか覚えていなくても人物を探すことができるようになった。博多の街でなんとか2人同級生を見つけ、そのあとをついていくと……。
二部 福生市編 ~福生ほど不思議な死はない~
福生小に転学して、散々虐められた因縁からその生徒たちを懲らしめてやろうと考えた。そこは今、日常的な学級崩壊、多摩地区大震災後の悲惨な状態、基地問題が揺れ動く混沌都市と化していた。――ようこそ、狂おしい自由を掲げる市へ。
三部 三鷹市編 ~思考を奪うは異形の醜女~
母校の大学ルーテルのオープンキャンパスに紛れ込んでみると、かつての親友が助教授を務めていた。事情を察した教授は、研究室へと連れていく。それで明らかになったのは、一の妻の醜悪な姿であった……。
四部 八王子市編 ~死してなお信じた者は~
妻を確かめるために、八王子の住まいに戻ってきた。なぜ僕に恋心を与えたか、なぜ僕を利用したのかを問いただすために。音をたてぬように鍵を開けて忍び入ると、それはそれは卑しき獣共が汚らしい声で呻いていた――
今ログラインを付けるとしたら「虐められていた主人公が自殺したら、自分の思い通りの世界になった話」といった感じかね。ありがちなストーリー。博多弁が変なのは許してくれ~。
まー、主人公が見えている世界が本当に真であるかも怪しい。疑い始めると主人公の世界が崩壊する。何も残らない。
とりあえず、その場のなり行きに任せてとりあえず書く。
しかし、それでは儲けが出せない。そんなことは分かっている。
実際、私の小説を見てみると、プロットを書いたらごく普通の、常人に理解できてしまうようなつまらないものになってしまうのだ。だから頑なに書かない。書かない。
……というより、直近で書いた小説の主人公が統合失調症と重度の鬱、虚ろな悲観主義者、境界性人格障害。一応、提出用プロットで飽きっぽい社会人は書いたけども。
なんでしょう、終わりの始まりなんですよね。アンハッピーセット!
とんでもなく暗い、重い、耐えきれない、死にたい。そんなことばっか書いているから筋が全く通ってないんですよね。破綻させてなんぼの設定故に。
綺麗な設定はか、書けなくはないんですよ? その代わり、私の個性を全て取り払う必要があるだけであって。それをどうしても捨てきれない私が悪いのですよ。
某お祭りに出したときのコメントで「キャラ立てがなってない」「解釈が難しい」「行動と信念が噛み合わない」「なろうに受けない」と言われながらも中間くらいの順位を取ったことがありました。それが『死に急ぐ病』という小説です。
百歩譲ってキャラ立てはへたくそ(意志の力)です。1万字書いてようやく設定らしきものは書けるかな……と思っているので。
他の意見は「お前が読むものじゃあないからな」で一蹴。自殺念慮がある人間に筋通りの事なんてできませんよ。君、自殺について考えたこともない浅はかな人間だったのかな?
私の中に「他者には到底理解できない領域まで書かなければ、それは掘り下げるに値する作品じゃない」と思う部分があるので、途中で骨折りたくなっちゃうんですよね。裸のランチみたいにばらしたい。
「好きな作品を真似て書け」ってよく言うじゃないですか。
私が好きな作品は、阿部真也の『2020年コリン星への旅』というものなのですが、そうそう知っている人もいないと思うので最初の内容だけ引用させていただきます(駒場文学に収録されています)。
頭のない死体がいたる所にあった。
マクドナルド大塚駅前店にもあったし、ドトールコーヒーショップ池袋60階通り店にもあった。
おそらく、パラリンピック頭部欠損部門に出場した選手の死体であるのだった。
たぶん。
まぁ、どういうこっちゃって思いますよね。タイトル、とは。オマージュっていうのは分かりますが。
これね、読み終わると(良い意味で)虚無感しか残らないのですが、東野圭吾の作品よりもすらすらと読めます。びっくりするぐらい読みやすいしジェットコースターのような緩急のつけ方をしているんです。物語というよりただ事象を羅列しているだけにも見えます。全然繋がりがありません。その気味悪さと心地良さが塩梅良いんですよね。シニカルな感じもよき。
ちなみに、あとがきに「人間が社会の歯車であると同時に神の被造物であるということ――この二重性を言葉を用いて問いつづけていきたいと考えています」とおっしゃっています。
これでまともな小説なのか……と考えたくはなりますが、あんまり私も人のこと言えないという。
作者コメントは↓から
http://blog.livedoor.jp/bunken_u_tokyo/archives/1917779.html#9
それはさておき、プロットを書き始めて3日経って分かったことがある。
・軸を明確にせよ
・主人公のキャラ掘りは丁寧に
・脱線しない
・あくまでもリスナーに分かるように
・理由付けを書く
・飽きさせないように転換点を複数入れる
理由って大事よね。noteでどんな風に私が書いているか載せたけれど、本当に理由がない。そのキャラがそう言ったから、としか言えない。
これです↓
https://note.com/nasu2_6326/n/n949149448e87
ちゃんと書かなきゃねぇ。儲けなきゃ死んでしまうから。頑張って回すのです。
P.S.タイトルは「彼氏が私のことをどう思っているか」と占ったところ、愚者の逆位置が出たのでこれにしました。