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Wantedly Journal | 仕事でココロオドルってなんだろう?

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大手新聞社を経てアプリの成長支援ツール開発会社「Repro」に転職 “人に伝える”情熱があふれる仕事へのモチベーション

~2016年より新天地で働く伊藤直樹さんが持つプロフェッショナルの意識~

Repro Inc.

2016/06/20

 今回お話をうかがったのはユーザーのアプリ利用動画を録画しコンバージョン率や定着率の改善ができるツールを提供している「Repro」という企業に勤める伊藤直樹さんです。前職は朝日新聞という既存の大手メディアに在籍していた伊藤さんが、オウンドメディア立ち上げのメンバーとして考える今後の指針とは――。

 都庁などの新宿ビジネス街の一角にあるビルの一室に「Repro」はあります。「Repro」はモバイルアプリの成長支援ツールです。アクセス分析やユーザー行動の録画など課題発見の機能とプッシュ通知やアプリ内メッセージなど課題解決のための機能を両方備えており、「Repro」を導入することでアプリの定着率や課金率の改善を簡単に行うことができます。すでに世界18カ国、1,600以上のアプリに導入されており、今年は本格的にアメリカ進出を予定している注目の会社です。

 その「Repro」でコンテンツマーケターとして1月から働いているのが伊藤さんです。IT関係の会社からの転職かと思いきや、前職は「朝日新聞で働いていました」とのこと。珍しいキャリアを歩む伊藤さんに、その経歴をまずは聞きました。

中越沖地震で感じた新聞記者の意義

「私は新潟出身で18年間地元で過ごしました。その中で昔から文章を書くのはとても好きだったんですね。その中で特に、新聞記者がかっこいいなと憧れました。実家でも毎日のように、新聞を熱心に読んでいましたし、自分だけしか行けない、知らない世界に行きたいというのもありました。ジャーナリストは、世界を飛び回ってカッコいいイメージもありましたしね(笑)」

 小学校時代から「作文など、文章を褒められることが多かったです」と語る伊藤さん。そんな彼にとって転機となる出来事は高校二年生の時にあったといいます。

「その時、ちょうど中越沖地震があったんですね。私の地元は下越地方なので、家庭はそこまで被災しなかったんですけど、新潟県内は大きな被害が出ました。その後、新潟日報という地元紙が、ずっと地震のルポ特集を組んだ。全国紙は1か月くらいで扱いが小さくなってしまいましたが、新潟日報は1面で長期間、地震後の現状をレポートしました。その取り組みが評価されて、翌年の新聞協会賞を受賞しました。自分たちが事実を掘り進めていって結果を出す。そこに新聞記者という職業の意義を感じたんです」

オールドメディアのデジタル部門で課題解決を

 その思いは大学入学後も継続する。バックパッカーとして世界各国を渡り歩きながら見識を学び、朝日新聞へと入社した。しかし大学時代に「広告系、IT系の会社にインターンしていたこと」もあって、記者以外の職種に興味を持ち、既存メディアでは比較的新しい部署への配属が決まった。

「自分で選択軸として、すごく課題解決、チャレンジングな環境を選びたいと思っていたんですね。就職活動も課題解決を軸に選んでいましたが、最終的に朝日新聞社に入社しました。その理由は新聞というオールドメディアなんですけど、デジタルに力を入れていたからです。もともとWebには興味があったので、自分の中ではすんなりと受け入れられました」

「ベンチャー企業に入って仕事をこなし続けていくのも一つのアプローチかと思ったのですが、業界全体で次のビジネスモデルが見えていない新聞業界の中で自分がインパクトを残せたら価値が出るし、モチベーションである課題解決ができるんじゃないかなと思っていました。その結果、ファーストキャリアは新聞社に選んだんです」

 紙媒体の中でのデジタル部門に配属された伊藤さん。日々朝日新聞が持つ大きな取材力に強みを感じると同時に、オールドメディアならではの課題に直面していたそうです。

「新聞社で記者部門ではなくデジタル部門を選んだのは、記者では新聞社の根本的な課題解決ができないと考えたからです。例えば、記者の方が1年間に50本スクープを出したとしても、新聞の部数増につながるかといわれると、あまり直接的なアプローチができないという課題が横たわっています。そこで自分がビジネスサイドとして“新しいお金の稼ぎ方の枠組み”を作れたら、新聞社のヒーローになれるな、と感じていたんです」

「もちろんいいコンテンツを作れば、お客さんがついてくるという前提があった上ですよ」と伊藤さんが付け加えたうえで、転職に至ったいきさつについてもこう聞いてみました。

「前職ではアプリ担当として、朝日新聞社のニュースアプリの改善に従事していました。アプリ分析ツールの導入を検討していたときに「Repro」を見つけ、Wantedlyを使って代表の平田に話を聞きに行ったんですね。初めて代表の平田に会った時に、起業に至るまでのストーリーやReproに賭けている思いなどを聞いて、その熱量に圧倒されてしまいました。 また、Reproが本当にすごいツールであり、「このツールであれば自分と同じような悩みを抱えているアプリ事業者の課題解決ができるのではないか」という思いも芽生えました。その後何度か会って、ReproのカルチャーやReproでの自分の役割が具体的にわかってきたところで最終的に入社を決めました。

 ここ近年、紙面の部数減が叫ばれるとはいえ、国内屈指のメディアからアプリ改善のためのベンチャー企業に転職する――。伊藤さんの中に迷いはなかったのでしょうか。

「もちろん、ものすごく悩みましたよ(笑)。一番の理由は、朝日新聞でやっている仕事に対して疑問を感じることはまったくなく、むしろ大好きなものだったので。先ほども言いましたが、新聞業界をいかにデジタルでマネタイズしていくか真剣に考えて、仕事に臨んでいたわけですからね」

高いプロ意識と徹底したクライアントファースト

 そんな迷いの中で下した決断だったゆえに、2016年から働く「Repro」でのモチベーションも非常に高いようです。時には社員全員でランチやディナーを食べるなど、和気あいあいとした雰囲気もある新天地ですが、伊藤さんが働く中で、2つの姿勢に共感しているといいます。まずは企業風土です。

「非常に高いプロフェッショナル意識を持って仕事をしているな、と感じます。結果を出すために努力を惜しまないストイックな環境で、メンバー全員が『世界ナンバーワン』を目指そうとしています。数多くのベンチャー企業がありますが、ここまで強い気持ちを持つ会社はなかなかないのではないかと思います」

 内的な要素と同時に、利用者に向けた徹底的なサービス意識の高さもあります。

「それは、クライアントファーストの理念です。弊社では単にツールを導入してもらうだけでなく、クライアントのアプリに合わせた分析方法などについて相談に乗っています。社長を含めて弊社にはコンサル出身の方が多いのですが、“常にお客様の視点に立って考える”という姿勢からは学ぶことが多いです」

 社内外通じて徹底的に向上していこうとする姿勢。これはともに働く未来の同僚にも求めたいものだとも伊藤さんは付け加えた。そのReproの中で伊藤さんはコンテンツマーケターの大役を務めています。ミッションを簡単に説明すると、1人でも多くのアプリ事業者にReproの存在を知ってもらうために発信する、いわば広報兼メディア責任者のような存在です。

「すべての裁量が自分にあるので、“やってみたいことがあればやってみろ”と言われ、チャレンジしています。責任をすべて背負うことになるので重圧は大きいですが、それこそがやりがいだと思っています」

 紙媒体のデジタルメディアを経由し、アプリ事業者にとって最適なサービスに携わり新たなビジネスを――。

「身の丈よりも少し上にあるくらいの仕事をすることによって、人間は成長すると思います。その仕事をこなしていくことで『伊藤になら任せてみようかな』と期待されるような存在になっていきたいと思います」

 伊藤さんの「人により良いものを伝えたい」という情熱は、アプリ開発を通じて1人でも多くの人に伝わっていくはずです。


Interviewee Profiles

伊藤 直樹
決済事業部 Business Development Manager, 株式会社LayerX
新卒で朝日新聞社 -> Reproの1人目マーケやプロフェッショナルサービス立ち上げ -> 2021年11月からLayerX。銭湯ぐらしという会社でサブスクD2C事業もやってます https://naoki11o.com/
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