「面談のとき『マーク・ザッカーバーグ(Facebook 創業者)にできて、私たちにできないはずないだろう』って話してくれたんです。その言葉がすごくかっこいいなと思って。それに、CEOの赤坂が当時の自分に投げかけてくれた一つ一つの言葉が、手厳しくも核心を突いていて。その言葉に本気さを感じたことが、エウレカに入りたい、と強く感じたきっかけです」
今回お話を伺ったのは、株式会社エウレカで、新卒でエンジニアとして働いている、山下権人(けんと)さん。
株式会社エウレカ(以下、エウレカ)は、「世界市場で通用する、ライフサービスのプラットフォームを作る」というビジョンを元に、恋愛・婚活マッチングサービス『pairs』と、カップル専用アプリ『Couples』を運営しています。2015年5月にはM&Aにより、TinderやOKCupid、Vimeoなどのサービスを運営する「IACグループ」にジョインしました。
2年前にインターンとして入社したあと、2ヶ月後に正社員として働くことになった山下さん。面談の際の涙話から、入社後の苦悩や喜びなど、怒濤のインタビューとなりました。
大学卒業後は、自社サービスで一発当ててやろうと考えていた
大学を卒業後1年間、ルームメイトと一緒にアプリをつくっていた山下さん。当時どんなことを考えていたのか、振り返ってお話いただきました。
「卒業後は、自分たちのサービスを作りながら、飲食店でバイトをしていました。そのルームメイトが、株式会社グッドパッチでUIデザイナーとして働く、小林幸弘くん。彼とは、大学の学部とサークルが同じだったんです」
「当時は就活が嫌で、1ヶ月くらいで止めてしまいました。そのあとは、就職せずにバイトをしていたので、小林くんと2人でいいサービスつくって、それで食っていけたらな…、と考えていました」
就活が嫌になってしまった…。
「そうですね。学歴コンプレックスもあったんですけど、自分が入りたい会社にはどうせ入れないし、入ったところで自分が本当に何をしたいのか分からないだろう、とネガティブに考えてしまったからですね。あとは先ほど言ったように、自分でサービスをつくってみたい、っていうのもありました。それでつくったのが、ちょっとした暇を友達と共有するためのWebサービス『Himapupepo』です」
そのサービスは、ずっと続けようとは思わなかったんですか?
「当時30人くらいしかユーザーがいなくて、これじゃご飯を食べれるわけがない、と感じたんです(笑)。で、そうこうしている間に、小林くんがグッドパッチに入社したことを聞いて。それきっかけで Wantedlyを知ったんです。Wantedlyでいろいろな会社を見ていた中で見つけたのが、エウレカでした。今思えば、後にも先にも、『話を聞きに行きたい』ボタンを押したのはエウレカだけでした」
核心を突いた赤坂さんの言葉で、ここしかないと思った
山下さんは、エウレカの募集のどこに惹かれたんですか?
「『マーク・ザッカーバーグにできて、私たちにできないはずないだろう』っていう言葉です。そこがすごいかっこよくて、夢があるなと思ったんです。あとは、写真のクリエイティブがすごい良かった。まさに『かっこいい会社』だなと思いました」
実際の面談では、どんなお話をしましたか?
「今となっては恥ずかしいんですが、『起業したいんです』って言ってしまったんです、本心でもないのに(笑)。CEOの赤坂さんも起業しているし、起業したいと志している奴ってカッコいいよね、っていう浅はかな気持ちがあったので。その話をしたあと、『その気持ちは分かるけど、すぐに起業したいやつをわざわざ雇うわけないよね?』と突っ込まれてしまいました」
確かに、その通りですね…(笑)。
「その他にも、『私が君を雇うということは、ある種のビジネスなんだ』って言ってくれて。ビジネスっていうのは、関わる両者が Win-Winじゃないと成立しないということを教えてくれました。つまり、自分自身が成長したいとかかっこいい会社で働きたいと思ったとしても、赤坂さんにとってみたら、それだけでは自分を雇うメリットにはならないから雇えない、と。そういう、当たり前だけど核心を突いた話を、何回もされたんです」
「今のは一例で。何度も凹まされながらも、赤坂さんが本気で話してくださる言葉のひとつひとつに、自分の中でエウレカに入りたい気持ちが沸々と高まっていくのを感じました。最後には、『何でもするので』や『起業もしたくないです』とか、とにかくエウレカに入りたいことをアピールしたのを覚えています(笑) 」
がむしゃらになって働いたことで獲得したMVP
その後、共同創業者の西川さんと再度面接をして、まずはインターンとして入社した山下さん。
入社当初はどんなことをしていたのでしょうか。
「当時エウレカは受託事業をおこなっていたので、受託のFacebookアプリ制作を担当していました。入社後1ヶ月はがむしゃらに仕事をして、他のメンバーの仕事も自主的に手伝っていました。それが評価されたのか、初月で社内MVP賞をいただけたんです」
「そこで、さらにエウレカにのめり込んでいったというか。社内制度で3ヶ月に一度面談をやってくれたおかげで、入社して2ヶ月後から、正社員として雇っていただきました」
正社員になってからは、どんな業務をしていたんですか?
「正社員になってからも、受託事業を撤退するまでは、引き続き受託のエンジニアをやってました。撤退後は、『pairs』チームでインフラエンジニアとして働いています。実は、インフラチームに入ってから1〜2ヶ月くらいで、再度MVPをいただいたんですよね」
え! そのときはどんな理由だったんですか?
「『pairs』の高速化を進めたことです。もともと読み込みに1秒かかっていたところを0.5秒にして、ユーザー満足度を上げたというのが理由です」
「どの部分で時間がかかっているかの分析から入り、結果的にプログラムのキャッシュ戦略を一から見直しました。サービスの核となる部分の改修だったので、ユーザー影響も大きく、自分でもとてもやりがいのあるものでした」
ちなみに、現在はどんなお仕事をしていますか?
「現在は、『pairs』のフルスクラッチでの開発プロジェクトを、初期の設計段階から担当しています。まだリリースできていない状況なので、早くやらないと、と焦っていますが…。他にも、『Couples』チームのインフラや、『pairsコラム』、『診断ペアーズ』なども幅広く手伝っています。頼まれやすい雰囲気なのか、『手伝って』とよく言われるので(笑)」
MVPを2回も獲ったり、様々なサービスの開発に関わったりする中で、これはすごかった、と思えるような出来事もたくさんありそうです。
「具体的な話でいうと、『診断ペアーズ』の新しいアプリをリリースしたときですね。通常だと、それこそリアルタイムのアクセス数が1,000だったのが、20,000〜30,000まで跳ね上がったんです」
「Facebookページでリリース告知をした後、夜の10時〜11時くらいに会社で一人で見ていたら急にバズって。常設4台くらいで回していたサーバーはすぐに落ちちゃうので、泣きそうになりながらも、一人でサーバーを20〜30台に増やしたことは良い思い出です。そのときは、コストなんか考えずに一気にあげちゃいましたが(笑)。もちろん、自分だけが作ったわけではないですけど、自分たちのチームで作ったアプリを、3万人が同時に使ってくれているという体験を目の当たりにして、すごくワクワクしましたね」
2年間を通して身についた「一つ上の視点」
ベンチャーは絶えず変わっていくもの。山下さんも同様に、エウレカで働く中でたくさんの変化を経験していったことで、分かるようになったことがあると言います。
「最初の1年間は本当にがむしゃらでしたし、評価されたいっていう気持ちもありました。だから目の前しか見えていませんでした。それが、仕事も一通りできるようになり、落ち着いてきてからは、『一つ上の視点』っていうのが分かるようになってきたんです」
一つ上の視点、つまり、プロジェクト全体を俯瞰するような視点を持てるようになったということですか?
「そうですね、例えばサーバーのアラートがきたときに、昔の自分は、サーバー周りで関わっている各所に迷惑がかかってしまうことが分からず、ただ対応するだけだったんですね」
「でも最近は、エラーが出たときには、プロダクトオーナーにまず報告したり、次回エラーが起きないようにするためにコードを見直したりして、全体がスムーズに取り組めることを意識して仕事ができるようになりました。最近では、インフラチームのメンバーも増え、自分もコードを書きつつ指示を出して事業を推進していく立場になったので、もっと全体的な視点を持てるようになりたいなと思いますね」
世界中で10億人に使われるサービスを作るために尽力したい
これだけ急成長した山下さんを内側から支えたのは、入社してからずっとやっている、3ヶ月周期の「面談」なのだそうです。
「自分が3ヶ月間でやったことに対するフィードバック、次の3ヶ月の目標設定を短いスパンで回していくんです。そうすることで、やるべきことがハッキリするし、悩みのキャッチアップも早くなる。メリットばかりですね。ちなみに、面談する側になったこともあるんですけど、『評価シート』にびっしり書くんです。人に対してコストをかけているんだな、ということが実感できた瞬間でした」
最後に質問です。今後もエンジニアとして活躍していく上で、どのようなことを目標にしていますか?
「そうですね、エンジニアとしては、皆をひっぱっていけるくらいのスキルは身につけたいです。それは、アプリケーションにしてもインフラにしても。あとは、エウレカの事業の規模をもっと大きくしたいです。IACグループにジョインしたことで、ユーザー数も売上げも規模も、どんどんグローバルに展開していく時期。会社としての目標である『世界中で10億人に使われるサービスを作る』を達成するためにも、自分が少しでも力になれたら、と思っています」
ちなみに、今回、山下さんがインターンから始めて新卒として入社したということで、インターンのメリットについて聞いてみました。
「まず、実践できる環境に飛び込むっていうことがめちゃめちゃ大事だと思っていて。インターンをちょっとでもやりたいなと思うならやった方がいいです。あと、社員さんはだいたい忙しいことが多いので、頼みやすい空気をつくるとか、頼まれたら断らずに何でもやってみるとか、そういう素直な姿勢で取り組むことが大事なのかなと思います」