東京カメラ部株式会社 / 代表取締役CEO
なぜSNSが分断の震源地となるのか 解決のヒントを探る1冊
日経BOOKプラスさんでの連載2回目が公開となりました。 今回は、『ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を操作する』 (ジョナサン・ゴットシャル著/月谷真紀訳/東洋経済新報社)です。昨年読んだ本の中で、かなりオススメの本です。特に、昨今のインターネット上での 炎上 陰謀論 ポスト・トゥルース(脱真実) 社会の分断 について問題意識をお持ちの方には、原因や解決策について考える上で、多様な視点を提供してくれる貴重な本だと思います。 なお、この本で驚いたことの一つは、 学術界は「イデオロギー上のバイアス」が顕著であり、「集団分極化」が生まれていて、「禁じられた問いを発すると、寄ってたかって非難し、発言の機会を与えず、キャンセルし、排斥する」。その結果として、このバイアスが進み、科学に対する大衆の信頼を損なわせている。 と、自らも学術界に身をおくジョナサン・ゴットシャルが、社会の分断を防ぐプレヤーとして学術界に期待を寄せつつも、学術界には厳しい課題があることを指摘していた点です。これはなかなか勇気がある発言ですよね…。正直、わたしにはとてもできません。 最後にタイトルにSNSが入っているため補足です。 最近SNSは社会分断の原因のように言われ悪役視されることが多いように感じていますが、SNSによって救われた、救われている人を多数知っている私には悪とは思えません。SNSはあくまでもツールに過ぎず、我々の使い方の問題であると思うのです。 もちろん、SNS側でできる工夫がないとは思いませんし、そうした努力をプラットフォーマーには続けていただきたいと願っています。しかし、我々はそこまで馬鹿じゃない。課題はありますが、新しいツールを使いこなす、それだけの知性、理性、感性をわたしたちは持っていると信じています。