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この記事は2022年6月14日に弊社エンジニアブログに掲載した内容を転載しております。
2022年3月、出前館のCPOにキムヨンジェ氏が就任しました。CPOが見据える出前館プロダクトの課題と今後のビジョンとは?
目次
- 自己紹介
- 出前館のプロダクト課題
- 出前館が目指すプロダクトとは
- 出前館が目指す今後のビジョン
- プライベートについて
- 出前館の面白さとやりがい
- 最後に
自己紹介
―まずは自己紹介をお願いします。
出前館CPOに就任したキムヨンジェです。私は出前館のプロダクトメーカーとしてユーザーに価値を提供するプロダクト、サービスとビジネスを成功させるプロダクトを作ることを目指しています。
出前館に来る前の4年間は、NAVERとLINE+で LINE全体の50を超える AI技術を活用した様々なプロダクト、サービスを作りました。一般的に知られているものでいうと、LINE ClovaというAIブランドのAIスピーカーに入るサービスとファームウェア技術を作りました。そのサービスを考えて実装し、ユーザーに届けるソフトウェアパイプリングを作って、それをエンジニア的に効率的に改善する業務を行いました。
それ以前は、中高生向けの教育SNSサービスを作っていました。韓国では業界No.1のサービスとして君臨したスタートアップで、5年間CPOを務めました。日本との関係でいうと、NICTという総務省所管の国立研究開発法人で国立研究員もしていました。
出前館のプロダクト課題
―出前館のプロダクトはどんな課題を抱えていると考えますか?
たくさんの課題があります。まずはマーケットの競争が激しくなっている中で、ビジネスの成功を導き出さなければいけないという課題。成功に至るには、レガシーなシステムが多いので、新たなサービスを消化できるように刷新する必要があります。システムのアーキテクチャという表現が個人的に好きなのですが、アーキテクチャ的に改善を続けていくというのが、一番大きな課題です。
ユーザー体験においても、美味しいものが食べたいというのはすごく基本的なニーズなので、我々のサービスもそういったニーズを満たすことができる方向で発展しなければいけないと思っています。今は単に商品を注文する機能に近いですが、その機能に留まらず、本当に欲しいものが欲しいときに提供できるようにするサービス。そして、その過程をユーザーにとって気持ちの良い体験にすること。それを実現させなければならないという課題を抱えています。
出前館はユーザーが大きく3つに分かれます。商品を注文するお客様、加盟店、配達員。その中でも加盟店、配達員に対しては、その地域の経済を活性化するという責任を我々は負っています。サービスの安定性を含め、加盟店や配達員にどうすればより多くの利益を与えられるのか。会社としては効率を高めながら、そういった利益をどのように提供すればいいのか。それを解決するのが一つの課題だと思います。
―2022年の重点的な課題をお聞かせください。
2022年の課題は、個人情報・情報セキュリティ、デリバリー(配達)の完璧さ、リテールに重点を置いています。
個人情報はデリケートなので、それ自体でセキュリティの重要さは伝わるかと思います。デリバリーについては、AI技術をより積極的に提供して時間予測への高度化を図ります。調理時間、配達員がお店まで行く時間、商品をピックアップしてユーザーへ届ける時間、すべての時間を正確に予測できるようにすること。そしてそのお店に配達員が長く待機しないようにすること。最終的には、お客様が注文したものを希望した時間にもらえるようにすること。それがデリバリー領域で達成しなければいけないことです。
リテールについては、今の出前館はフードデリバリーに最適化されています。在庫情報を取り扱うことによって、フルフィルメントまで達成しなければなりません。どれほどの在庫があり、その在庫がどれくらい消費されるのかを予測して、ユーザーに品切れのないショッピング体験を提供すること。それが達成したい課題です。
出前館が目指すプロダクトとは
―出前館がプロダクトとして追求すべきことは何ですか?
最終的には文化になりたいと思っています。出前館を使うこと自体が一つの文化としてできるようにすることが、出前館が追求するプロダクトの方向性だと思います。会社としては「ライフインフラ」というビジョンを持っているのですが、個人的にはすごくワクワクする言葉です。
日常生活で、欲しいものを欲しいタイミングで気持ちよくもらえるインフラの役割を出前館が果たすこと。出前館を利用すること自体が、日常の中で自然なことになること。それが追求すべき方向だと思います。
私が考える"文化になる"という観点としては、今の出前館はまだその表現に至るまでにはなっていないですが、もう少し色んな角度からの視点やひらめき、アイデアを加えて、柔軟な対応力でウィットに富んだサービスになるといい。欲しいものを早くゲットしたくて、食べたいものが早く食べられるといった過程の中で、楽しさを経験できること、そして、サービスからもそういったウィットや楽しさを経験してもらえればなと思います。
―具体的にはどんなプランを考えていますか?
私はエンジニアという性格上、「アーキテクチャ」の話を一番よくします。アーキテクチャは構造という意味。エンジニアリング的な話に限らず、サービスを作る人であれば誰もが出前館の構造・アーキテクチャへの理解と知識を持っている状況へ推進したいと思っています。
アーキテクチャはシステムの図になります。絵を描きながら、みんなで共感をしていく過程にあると思います。みんなでアーキテクチャへの知識ができたら、サービスを企画する段階からリリースまで、お互いの理解度も高まってくる。私が達成したいプロダクトチームは、アーキテクチャについて、みんなが同じレベルで理解しているチーム。今のチームで達成したい目標です。
出前館が目指す今後のビジョン
―出前館で今後どのようなことを行っていこうとしていますか?
クイックコマースの実現です。スマホで注文してスマホを閉じる前に届けてもらうというのが、クイックコマースの最終的な目標です。そのユーザー体験を達成するためには、色んな条件が満たされないといけません。
例えば、在庫への確信が持てないといけないし、処理されるすべての時間について事前に予測できるAI技術も作り、実際に配達する人にも満足してもらえるように適切な保障をする必要があります。
それらを全て満たした上で、フードも含めて欲しいものを希望するときに届けてもらえる、正常な良い状態で、どこよりも安心安全に利用できるサービス。そういった経験を提供することが目的であるビジョンです。
プライベートについて
―ところで、ヨンジェさんは週末や休日はどんなことをして過ごしていますか?
個人的には開発が好きなので、「プログラミングから離れてしまうと死ぬ」と思うくらい重要だと思っているのですが、子どもが二人いて、週末には子どもと一緒に時間を過ごしたり、おもちゃを片付けたり、片付け終わると疲れて寝たり、その3つのどれかをやっていて、最近はプログラミングの時間が減っているので、すごく悩んでいます。
趣味としては読書が好きで、書店に行って長い時間を費やして本を選んでいます。色々な本を読みますが、主にエッセイの本を読んでいます。他の人の人生について本を通じて読むのが好きなんです。
出前館サービスも、サービスメーカーとしては、さまざまなユーザーの観点を持つサービスを作りたいので、トレードオフの一番上にあるサービスだと思います。フードを注文する人の欲求、加盟店の欲求、配達員の欲求。その3つの中でトレードオフを続けながら作っていくわけですから、出前館というサービスを作る魅力は、色んな人の欲求についてバランシングしながらトレードオフをサービスとして作っていくことであると思います。
「アーキテクチャは正解がない」「すべてのアーキテクチャはトレードオフである」という表現があるのですが、アーキテクチャという言葉の考え方がこのサービスに拡張されている状況であります。
出前館の面白さとやりがい
―出前館でCPOとして仕事をする上で何が一番楽しそうだな、面白そうだなと思いますか?
人々の生活について責任をとるという意味で、出前館は単に広告するサービスや広告で売り上げを出していくサービスよりもずっと責任が重いサービスだと思います。ユーザーの生活に関係していて、その分、重い責任を持っているサービスなんですね。
そういった責任のあるサービスを作りながら、実際に人々が出前館というサービスに頼って、暮らしの質が良くなったといったようなフィードバックをいただいたり、時にはユーザーから直接意見を聞いたり、「どのように改善すればユーザーが今よりももっとこのサービスを使いやすくなるのか」ということを、ユーザーと一緒に考えること。それが、私がこれから出前館のサービスを作っていきながら経験できる、一番楽しいことだと思います。
そして、このサービスを通じてユーザーの暮らしの質が向上できること。それが一番やりがいを感じることかなと思います。
最後に
―これから出前館で働いてみようと考えているエンジニアに向けて、メッセージをお願いします。
エンジニアは個人としての成長が第一です。個人の技術的な成長、それが私にとっては第一の価値です。サービスと関係は少ないのですが、一つの固有な技術を作ったら、できれば最大限オープンソースとしてリリースできるようにしたいと思っています。
先ほども話したように、出前館はユーザーからのバランスを取ることがかなり重要です。バランスを取りつつ、良いアーキテクチャとしてサービスを実装していくこと、その経験をすることが、一緒に仕事するエンジニアが得られる経験だと思います。