プランナーとなって働き始めた方、まだ日の浅い方向けにゲーム制作においてプランナーの役割と求められる技能について、思い当たる部分を書かせていただきます。
はじめに
ゲームプランナーという職種は、ある意味 『何でも屋』 でなくてはいけません。
ゲーム制作の現場において、プランナーの作業は多種多様で、制作するゲームの内容によっても求められる能力が異なります。
では、行う作業について少し説明したいと思います。
企画立案
プランナーとして最初に思いつく業務かもしれませんが、実際の制作において、最初から企画を立てるという事は、最近では稀になると思います。
それは、プロジェクトとしてゲーム制作がスタートした時点で既にゲームとしての企画は成立していることが多いからです。
プロデュースやディレクション的な立場であれば、スタート時に企画立案として立ち会う、参加する場合もあります。
とは言え、企画を立てる、考える事はプランナーとして確実に必要なものです。
状況としては、制作するゲームのコンセプトに基づき、ディレクター等の指示で『遊び』となる部分の提案や立案を行い、ゲームを作っていく作業があります。
ですが、企画立案は思いついたことを提示すれば良いと言う訳ではありません。ゲームコンセプトやディレクターの意向、市場やユーザーの動向を調査しつつ考えていく必要があるでしょう。
仕様書の作成
仕様書は言わばゲームの設計図になります。基本的に仕様書は、ゲーム全体を見てプログラムやグラフィックが必要な部分を洗い出し、制作チームに必要な作業を認識してもらう役割もあります。
ですが、この時点で完全な仕様書を作ることは困難であり、先ずはゲームの流れと内容を認識できるように概要書(要件定義)としてまとめることが必要です。
この概要書の時点で各セクション(エンジニアやグラフィック)との打ち合わせを行い、プログラムやグラフィックスの発注ができるように準備しておく必要があります。
その後、各システムの流れや表示タイミング、計算式を含め仕様書を作成していきます。
各システムの仕様書が出来た時点で、初めて他セクションに発注する形になります。
プロジェクトにもよりますが、要件定義や仕様指示はディレクターからプランナーへ発注されることが多いと思います。
要件定義や指示書は「~な流れで」や「~な感じで」と言った曖昧な表現を提示される場合もあります。この場合に、分からないことや、どう表現したいのかは、必ずディレクターや発注者に質疑応答で確認してください。ただ請け負ってしまうとコンセプトのズレややり直しでタイムロスが大きくなってしまいます。
作成の前に意思疎通をしっかりと取っておきましょう。
また、仕様書は常に最新であることや改修を加えた事が一目で分かるように記載し、その都度、各セクションに修正の連絡をすることを忘れないようにして下さい。
設計と設定
ゲームを作る上で、基本となるデータの設計や設定はプランナーが担うことが多くなります。設計自体はコンセプトを如何に生かすかを考慮して行いますが、システムのロジックを含め理解していなければいけません。
仕様書作成の時点でロジックを認識していれば問題はありませんが、データ設計の上で少しでも疑問があるのであれば、エンジニアに相談し、問題を解消しておきましょう。
データ設計やデータ作成は、プランナー作成の場合、エクセルなどで作業を行い、そのエクセルをデータにコンバートしてゲームに適用する場合が多いと思います。
エクセル自体のフォーマットもコンバーターやデータ配列などを考慮するため、予めエンジニアに相談してください。
データ設定やゲームコンセプトに基づく作業には、運用するデータのバランスやゲームの遊びやすさ、継続性や配置などを考慮したレベルデザインが必要となります。これは、ディレクター指針の場合もあれば、プランナーに一任される場合もありますのであらゆる分野に目を向け、データ解析とユーザーの動向を見極められるよう学習して下さい。
スクリプトとビヘイビアツリー
プランナーとしてやらなければならない作業に、簡単な命令を用いて条件やシーンを設定するスクリプトや敵のAIやシーン呼び出しに用いるビヘイビアツリーを使用した作業が多く発生します。UnityやUE等で設定していくものですが、こういった作業も多いので、各ツールの使い方は習得しておく必要があります。
その他、ツール上で設定する事項はプロジェクトによって追加され、色々と存在するので、ツールについて学習しておくことが大切です。
文章や映像の構成
ゲーム内でメッセージや説明といった文章を作成することもプランナーの作業です。文章の構成は、ユーザーに分かり易く、かつ適切でなければなりません。
時としてはシナリオの構成を求められる場合もありますので、多様な作品に触れ、読解力や作文能力も磨いておいてください。
また、映像についてはカットシーンやイベントなどより効果的に見せるため、映像分野にも視野を向け、学習しておくことを勧めます。
シーンの内容に応じて、ユーザーの心理に如何に影響するのかを知ることが映像の要です。
下手(しもて)上手(かみて)と言ったキャラクター配置やカメラのPANによるアップ、ダウンとイン、アウトと言った初歩的な内容は必ず覚えておいてください。また、多くの映像作品を意識して観るようにしてみて下さい。
時として、簡単なコンテを起こす等の作業も発生します。
データ分析と管理
ソーシャルゲーム、運営でのプランナーの役割として、今まで挙げてきた作業に加え、ユーザーの動向を量るためのデータ分析があります。KPIから得られる情報を元に、運営方針に基づき改修や改善を企画します。ここではデータが全てなので、管理も含め誤ったデータ運用をなくすことを徹底してください。(二重三重のチェック)
KPIの分析については経験者やディレクターから逐次学んでいくようにしましょう。
KPIは言わばユーザーの反応です。楽しみも苦しみも、そこから見出すことができるでしょう。
その他の作業について
上記が、プランナーとして対応できる様にしておきたい内容になりますが、実際には制作の中心として、様々な作業やコミュニケーションが必要となります。
なので、各々で何ができるか、伝えるために何をすべきかを考え実行してください。
例えば、絵が描けるのであれば絵を含めて伝える、イメージに類似する例えがあるのならば、その作品や映像を引用し伝える等、理解してもらう努力を怠らないようにして下さい。
プランナーとは
プランナーとしての心構え
最初に書いた通りプランナーとは 『何でも屋』 であるべきです。
- 自分の持つ引き出し(能力や知識)を限りなく増やしましょう。
- 作業は繊細かつ慎重に、自分の行動の影響範囲を常に意識して下さい。
- 分からない事、知りたい事はとことん追求し解決しましょう。
- ゲーム制作は、第一にユーザーを楽しませる事を考えましょう。
- 常にアンテナを張り、市場の動向や流行に敏感になりましょう。
ゲーム制作のすべてを賄えるプランナーを目指しましょう!
巌さんありがとうございました!
アピリッツでは自分が得た情報や技術を積極的に共有し、それらを吸収しながら各々のスキルアップを目指しています。
アピリッツに少しでも興味を持った方、エントリーお待ちしております!