wevnal(ウェブナル)がプロダクト開発において大切にするのは、ビジョンに掲げる「コミュニケーションをハックし、ワクワクするブランド体験を実現」することです。
2023年、期待の新規事業としてスタートしたのがChatGPTを搭載したオンライン接客のオートメーションサービス「BOTCHAN AI」です。独自技術により、専任の接客コンシェルジュ(コールセンター)のように振る舞うAI接客を可能としました。
今回お話を聞くのは、BOTCHAN AI事業責任者の森川智貴さんです。事業立ち上げの経緯から今後の展望、そしてBOTCHAN AIの将来性についてじっくり語ってもらいました。
生成AIを搭載し、なめらかな会話体験を実現
──まずは簡単に、現在の業務内容を教えてください。
新規事業であるBOTCHAN AIの事業責任者を務めています。業務内容は、マーケティングからセールス、カスタマーサクセスのオペレーション改善、成功事例の外部発信など、入口から出口に至るまでのワークフロー全般を担当しています。
──BOTCHAN AI事業は、どのようにして立ち上がったのでしょうか?
wevnalのプロダクトはこれまで、顧客のペインであるカゴ落ちなどをシナリオ設計に基づくチャットコミュニケーションにより防ぐことで売上増加に貢献してきました。
ただ、私たちがビジョンに掲げる“コミュニケーションをハックする”という理想を考えた時に、コミュニケーションとはあまりに不確かなものであり、対応パターンも単純でないことにジレンマがある状況でした。画一的でない、よりなめらかな会話体験をどう実現するかに日々向き合い続けています。
こうした背景から、ChatGPTの登場以前の2016年頃からBOTCHAN AIの開発は進めていました。しかし、プロダクトを作り込むまでの工数があまりに膨大で、ユーザー数も十分ではない状況に苦戦を強いられ、一度は事業をペンディングすることもありました。
それが生成AIの登場により、一気にチャットボットによるなめらかな会話体験を実現できる可能性が高まったんです。こうして正式に、BOTCHAN AI事業は立ち上がることとなりました。
──立ち上げの流れの中で、森川さんが事業責任者に抜擢されたのですね。
そうですね。世の中でChatGPTが注目を浴び始めたのが2022年の11月末頃。その時期に私が生成AIを活用した提案資料を試験的に用意して、お客様からのフィードバックを集めていたんです。
生成AIを活用したプロダクトに対してどのようなメリットを感じ、反対にデメリットやリスクはどこにあると捉えているのか。生の声を収集しながら、プロダクトとしての方向性を固めていきました。
その後、BOTCHAN AIとして最初のクライアントが決まったタイミングで、ベンチャーらしく「森川に事業の責任者を任せよう」と任命されました。
お客様のペインと社会課題、両方を解決するプロダクト「BOTCHAN AI」
──改めて、BOTCHAN AIの役割と位置付けを教えてください。
ブランド体験は「認知・集客」から始まり「解約」を迎えることで一連の流れが完結します。どのファネル上であっても、ユーザーは何かしらの疑問や不安を抱えていますので、そこに対してBOTCHANの各プロダクトを導入することでCVRや継続率の向上を促すことができます。
これまでのプロダクトが各ファネルに紐づく形で機能しているのに対し、BOTCHAN AIは、ユーザー体験のほぼすべてのファネルに横断的に対応し、オンライン上での一次接客の役割を果たす仕組みになっています。
──具体的には、お客様のどのようなペインを解決しますか?
大きく2つあります。まず足元で課題解決できているのは「コールセンターのコスト削減」です。
例えば、月のコール件数が月間5,000件以上のお客様に対しては、WebサイトやLINEなどにBOTCHAN AIを設置することで30%〜50%ほどのコストカットにつながっています。
お客様の事業が成長して既存ユーザーが増えれば増えるほど、お問い合わせ対応などの業務がパンクしそうになったり、ランニングコストが肥大化したりする傾向にあります。そこに対してBOTCHAN AIは効果を発揮します。
2つ目のユースケースは、高単価商材を扱う美容クリニックや士業、金融業界での活用です。
こういった商材はユーザー側へ知識や選び方のインプットができないとなかなか購入・利用にはつながりません。そこでオンライン接客を通して、24時間365日、即座にていねいなレスポンスをすることでユーザーのリテラシーが高まり、離脱せずに無料相談などのコンバージョンにつなげるわけです。
特に高単価商材の場合は、ユーザー側にとってセンシティブ、またはコンプレックスの深い領域である可能性があるため、オンラインでのAI接客によるなめらかなコミュニケーションを行うことで、態度変容を起こしやすいのではと考えています。
実際に、BOTCHAN AIの導入前後でCVRが7.6倍、契約率が3倍に上がった弁護士事務所様などもいらっしゃいます。
──経営側からは、どのような期待がされていますか?
wevnalのミッションやビジョンと紐づく、有力なプロダクトだと認識してもらえていると思います。
日本は特に少子高齢化が進んでいて労働人口も減少しています。コールセンターは依然として1兆5000億円ほどのマーケット規模(※)がありますが、働き手が減少すれば従来のようなコールセンター体制を維持することも難しくなってきます。こういったレガシーかつ巨大な市場に対して、BOTCHAN AIは課題解決できる可能性があるので、会社側の期待も自然と大きくなります。
また、投資家の目線で考えた時に、IPOを目指す今のタイミングで新規事業を新たに立ち上げることは望ましくはないと思うんですね。しかし、マクロでのポテンシャルと社内に熱量をもって取り組む人間がいる2つの理由で、資金調達の際にも前向きな意思決定をしてくださった。そのように私は捉えています。
※ 『2023年度 コールセンター企業 実態調査』報告
「守りと攻め」のロードマップで事業を加速させる
──BOTCHAN AI事業は今後、どのような展望を描いていますか?
短期目標では「守り」を、中期的には「攻め」のロードマップを引いています。守りとは、企業の生成AI活用に対するリスク管理を意味しています。
生成AIを活用したプロダクト導入で懸念されるのが、AIの誤った回答や意図しない発言による、企業のコンプライアンス抵触の恐れやブランドイメージ棄損といったトラブルです。
こうしたリスクがあるため、まずは社内向けFAQとして生成AIを導入する企業が現時点だと多いように感じられるのですが、wevnalでは「社外向けチャットボット」としてのポジショニングをしています。
お客様からすれば当然、社外向けに生成AIを利用することへは慎重になるため、リスクの評価・軽減・回避を私たちも考える必要があります。短期的にはこの「守り」をしっかり固め、積極的に投資をしていく計画です。
中期で目指す「攻め」については、IBMも提唱する“スーパー・パーソナライゼーション”の実現を目標としています。
協調フィルタリングのような、類似パターンで分けたパーソナライゼーションではなく、個人の属性情報に加えてBOTCHANが独自で保有する「長期の会話履歴」により、N1ユーザーの真意やケースに沿ったコミュニケーションを実施できるようにしたいです。
その先には当然、BOTCHAN AIを導入しているお客様にとっては、コンバージョンの増加やアップセル、クロスセルといった売上につながる成果が得られると考えています。
最先端テクノロジーを現場で経験できる、希少な機会
──採用メッセージとして、BOTCHAN AI事業の魅力はどこにあると考えますか?
最先端のテクノロジーをビジネスに応用していける楽しさと難しさ、その両方を現場で感じ取れる国内でも希少な事業だと思っています。個人的にはそこが一番大きな魅力です。
最新技術に触れるだけではなく、お客様のために提供をして、しかも喜ばれるプロダクトにするためには課題を何度も乗り越える必要があります。
自由度の高い環境で、お客様の期待値をしっかり見極めながら、最終的にAI接客でお客様のニーズや課題を解決していく。経験したことのないチャレンジの連続だと思うので、知的好奇心にあふれて野心的に挑める人にとってはフィットする環境ではないでしょうか。
──森川さん自身も、かなりワクワクしていますか?
かなりワクワクしていますよ。自分のwevnalキャリアを振り返ると、これまで事業責任者というロールの経験がなく、プロダクトマネージャーの統括や事業責任者の隣りで伴走することが多かったんです。自ら意思決定をしてスピード感を出せることにやりがいを感じています。
事業推進における落とし穴を回避できるような嗅覚も身に付けてきたつもりなので、メンバーと共に次のステージへ少しでも早く進んでいきたくウズウズしています。
──最後に、今後の目標を教えてください。
将来に対して長期的な展望があるというよりは、今まさにバッターボックスに立たせてもらっている感覚があります。なので、お客様の課題を解決しながら、事業を成長させることにコミットをして、ホームランを打つことに集中していきたいです。
最良の選択を繰り返しながら、今まで見たことのない景色を、絶対にみんなで見たい。本当に今後が楽しみです!
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取材協力:CASTER BIZ recruiting