「教育とは、人を豊かにすることであり、社会を豊かにすること」
そう定義づけ、時代や社会の変化に合わせた「教育の再設計」を掲げるトモノカイ
家庭教師や塾講師の紹介支援から学生向けメディア運営、中高向けのカリキュラム支援まで、多角的な事業を展開しています。2000年の設立以来、業績も右肩上がりで成長中です。
今回は代表の徳岡に、教育事業のやりがいや面白さ、トモノカイが実現したい未来について聞きました。
高等教育の普及率に反して広がる格差。幸せになれる教育を
――現在の教育に感じている問題を教えてください。
時代の変化に対して、教育がうまく機能しなくなっていると感じます。
文部科学省の調査によると、2019年度の大学・短期大学進学率は58.1%と過去最高数値を記録しました。現代は、過去のどの時代と比べても、高等教育を受けている人の比率や総数が多いんです。
にもかかわらず、精神的にも経済的にも豊かさの格差は、かつてないほど広がっている。これは、世帯所得の格差を示す「ジニ係数」からも明らかです。
もちろん、技術の発展とともに最低限の生活水準は上がっているとは思いますが、多くの時間とお金を教育に投資しても、万人が幸せになれるとは限りません。
――せっかく長い時間をかけて教育を受けても、実際の生活によい影響が出ない人たちもいると。
そうなんです。そもそも、教育って何のためにあるのか。私は「自分のよりよい人生につながるもの」だと考えています。
しかし、ある仕事で出会った小学校低学年の子が「努力なんてムダ」「人生なんて何の価値もない」と言っているのを聞いて、大きな可能性を秘めているはずの子どもが未来に希望をもてていないことに衝撃を受けたんですよね。
――人生に対して、諦めを感じてしまっているような言葉ですね…。なぜそうなってしまうのでしょう?
努力をしたり、お金をかけたとしても、それに見合った「教育の対価」を得られないのが要因だと考えます。つまり、時代の変化に対して、教育がうまく機能しなくなっているということです。
グローバル化・IT化が進むなかで、英語学習やプログラミングの勉強が求められています。もちろん、それらのスキルを習得することを否定するつもりはありませんが、人々が本当に豊かになるための教育とは思えなくて。
英語やプログラミングをマスターしたからといって、だれもがイーロン・マスクみたいになれるわけではないですよね。
先ほどの小学生の「努力なんてムダ」という発言の背景には、こうした社会的な事情があると考えます。だからこそ私たちは、既存の教育では実現できない、グローバル化・IT化によってもたらされた「教育の負の部分」を解決していきたいと思いました。
「&の精神」で教育現場と協力し、理想と現実にとことん向き合う
――トモノカイが、教育を通じて実現したいことを教えてください。
目指したいのは、21世紀において人々が精神的にも経済的にも豊かになれるような教育を大衆化していくこと。
特定の超エリートが際立って活躍するための教育では、万人を満足させることはできないと考えます。また「子どもたちには無限の可能性がある」というビックワードを唱えるだけでも意味がありません。
真の意味で、精神的に経済的に豊かにはなるためには、個のもつ才能を開花させ、社会に価値を届け出す力を身につけさせる必要があります。トモノカイでは、境遇や今の能力に関係なく、今の時代を幸せに生きていくための教育を届けていきたいんです。
――壮大なテーマの実現に向けて、トモノカイが具体的に取り組んでいることは何でしょうか?
教育の問題を考えたとき「受験」「学校」「補助教育」など、様々な切り口があります。理想の教育を掲げた学校運営というのも一つかもしれません。しかし、日本全体・世界全体への影響を考えたならば、我々は別の解を選んでいます。
まずは、学校や塾、家庭といった個々の現場と手を取り合って、一つずつ課題を解決していきたいと思っています。トモノカイの強みである現役大学生のネットワークや、独自に開発した学習プログラムを活かしながら進めているところです。
――実際に、トモノカイでは多角的な事業を展開されていますよね。
トモノカイは家庭教師の紹介事業からスタートしました。今でも思い入れのある主力事業の一つですが「教育の再設計」を実現するためには、個々の領域だけでは限界点もあります。
とはいえ、やみくもに新規事業を立ち上げているわけではなく、相乗効果を生み出せるように意識していますね。
教育現場とビジネスは相反する面も多くあります。利益だけを求めても現場にとって本当に必要なサポートはできませんし、理想だけ語っていても事業としてサステナブルではありません。
理想と現実を「&の精神」でつなぎ、両輪からやり抜くことが求められます。だからこそ、いち民間企業として、学校や塾など異なる立場の人たちと手を取り合って変化を目指しているというのが、現在の取り組みです。
「きれいごと」を現実に。社会を変えていく意欲をもつ人と仕事がしたい
――今後の具体的な展望について聞かせてください。
だれもが自分の可能性や才能を見つけ出し、社会に価値発揮することで豊かになれる。そんな教育を、私たちは当たり前にしたいと思っています。またこれを「きれいごと」で終わらせるのではなく、現実にしていきたいですね。
そのために注力しているのが、トモノカイの柱となる3つの事業領域です。
1つ目は、補助教育を充実させる「Personal Education」。家庭教師による学習サポートだけでなく、より個人に寄り添った支援を行います。
2つ目は「講師求人」で、講師と塾のマッチング精度を高め、塾を一緒につくり上げていきます。
3つ目が、大学生メンターのサポートやカリキュラムの開発支援を通して、中高生の学習意欲を向上させ、学校をよりよい教育の場にしていく「放課後支援」です。
またほかにも、各高校に次期学習指導要領として2022年度から導入される「探究」という科目に対し、深い学びにつなげられるような教材の開発も進めています。
ゆくゆくは、競争の側面が強い受験の新しい仕組みをつくるなど、教育業界全体にゲームチェンジを仕掛けていきたいですね。
――教育業界の未来を、どんな方と一緒につくっていきたいですか?
現実と向き合いながらも社会を確実に変えていきたいという意欲をもつ人は、きっとこの仕事を楽しめるのではないでしょうか。
格差が広がってしまった今の時代。だからこそ、その問題から目をそらさず、社会の変化に合わせた理想の教育を実現することがトモノカイの使命です。
いわば資本主義の「その先」にある未来を設計する仕事だと思っていて、日々やりがいを感じながら取り組んでいます。
教育、ひいては世の中全体に対して、ただ迎合するのではなく「どうしたらもっとよくなるか?」と価値を追求していける人と一緒に仕事をしたいですね。
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