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2022年、デジタルエージェンシーTAMに社内でたった1人のいわゆる「ひとり広報」の渡邉由姫乃と「ひとりHR」の茶園舞穂が入社。私たち2人は20代で、いずれの職種も未経験でした。
私たちは、裁量を持って働ける環境を求めてTAMへの転職を決意。しかし、この1年を振り返ると、”自由”な環境に実際飛び込んで大変だったなと思うのも正直なところ。
そこで今回は、自由や裁量を持って働ける環境での戸惑い、そんな環境でどうしてきたのか、TAMのリアルをお届けします。
TAM PR(広報)渡邉由姫乃
大学卒業後、就職をせず、オーストラリアへ留学。コロナ禍で帰国し、2021年に人材紹介会社に入社。新規営業職/求職者向けDX企業情報のインターネット配信の司会などを経験。元々就きたかった広報職に挑戦できるチャンスだと思い、2022年5月にTAMに入社。好きな色はレインボー
TAM HR(採用広報・キャリアサポート) 茶園舞穂
2019年に大学卒業後、Web広告代理店に新卒入社し広告運用ディレクターとSNSコンサルタントを経験。社会人4年目でコーチングやHR領域に興味を持ち、転職を決意。2022年9月にTAMに入社。2022年、国家資格キャリアコンサルタントに合格。キャリア相談のプロとして、いつか教育業界に関わりたいと思っている
未経験の職種へチャレンジ。しんどさは覚悟の上で飛び込んだ
渡邉:私たちがTAMに入って、1年が過ぎました。自由な働き方に心地よさを感じる反面、時々「しんどいね」なんて雑談することもありましたね。
茶園:「自由な社風」と聞いていたのと、未経験の職種への挑戦かつ「ひとりHR」ということで苦労はあるだろうとは思っていましたが、想像以上でしたね。
選考の面談で代表の爲廣さんに「あまり手取り足取り教えられないですが、大丈夫ですか?」と聞かれたんです。「研修なんてない」ということは、選考の途中で察して、心の中で「おお、まじか」とつぶやきました(笑)。求人サイトでよく見る「未経験歓迎!新人研修、しっかりあります」とは真逆ですよね。
そもそもTAMに転職したのは、社会人4年目だった前職時代に採用や育成に関われるHRに興味を持ったこと。前職の会社で人事部に異動するか、転職するかを検討していたときにTAMと出会いました。
そんなときに爲廣さんと面談して、「TAMのHRは1人目で大変だけど、裁量が大きくて自由に動けそう。採用以外にもワークショップやイベント企画などいろんなことに挑戦できそう」と惹かれました。
前職はいわゆる大企業で、部署異動の選択をしても縦割りで作業的な仕事内容だと想像し、実はワクワクしていなかったんです。心が躍る感覚を信じて、TAMに飛び込む決意をしました。渡邉さんはどうですか?
渡邉:私も、大変なのは”覚悟したつもり”で、転職しました。
前職の会社は人材業界で、企画職に就けるという前提で新規営業担当として入社。ただ、「企画職になるのは営業として数年経験を積んでから」と言われて今後のことを悩んでいた時に、TAMなら「いつか挑戦したい」と思っていた広報職に就けることに惹かれて転職を決意しました。
そもそも、未経験で新しい職種に挑戦するのは大変なことですが、さらに私が入社する時には前任の広報担当の人が退職していて、そのことも含めて結構覚悟して決意したつもりでした。
たしかに、やりたかったことに挑戦できる喜びと、裁量を持って仕事に取り組むことで自己成長できることへの期待感を持って転職しましたが、この1年を振り返ると想像以上に辛かったかも…(笑)。
自由、裁量なんてないほうが良かった?揺らぐ心
茶園:どんなところに辛さを感じましたか?
渡邉:社内で1人のポジションという孤独感、答えやたどるべきレールがないことへの不安が、辛く感じた原因なのかなと思います。「自分で考えてやってみてください」とよく言われるし、裁量を持てる環境はたしかに求めていた。だけど、自分で道を切り拓かなければ物事が進まない環境やカルチャーは想像以上にしんどくて、何回も泣けました(笑)。
例えば、入社1週目に「来週から広報ミーティングの進行をすべておまかせします!」と言われてパニックになったのは忘れられないです。今思うと、いくら「研修なし」「自由」といえど、入社して1カ月くらいはサポートがあると思い込んでいたんでしょうね。
実際はそんなに甘くなくて、1人ポジションだろうと未経験だろうと関係ない。自分でどうしたら良いのかすら分からない状態であっても仕事を成り立たせないといけないサバイバル環境に「ポイ!」と放り投げられたような気持ちでした(笑)。
この1年間は、やっても上手くいかないことばかりで苦しいことのほうが多かった。「おまかせします」と言われると、「何でよ!教えてくれてもいいじゃん!」と思ったり、フィードバックをもらえたらもらえたでボロボロに言われたりして。「明日にでも辞める!」なんて不貞腐れる時もありました(笑)。
茶園:私も、TAMには30年間人事部が存在しなかったので、「そもそもHRって何の仕事?」と社内で認知されていなかったのはなかなか辛かったです。
「ここまでやれば大丈夫」という基準さえも自分で考えないといけないのは、なかなかしんどいですよね。裁量がある代わりに、「ここまで達成したらボーナスはいくら」みたいな数値目標が与えられるのかと思いきや、目標すら「自分で考えて」。前職の上司みたいに、大まかにでも指示をくれる人がいたら楽だったんだろうな…とは今でも思います。
しんどかったけど辞めなかった1年。TAMは「生きる力を伸ばす場所」。目に見える大きな成果にも繋がった
渡邉:「他の会社だったらもっと楽だったかも」と思ったときがお互いにあったんですね。茶園さんは、どうして続けてこれたと思いますか?
茶園:あたたかく見守ってくれる周囲の雰囲気と、直属の上司である爲廣さんが「いろいろやってみてください」と失敗に寛容で、常に背中を押してくれたからだと思います。
やるべきことばかりに気を取られて、自分のモチベーションそっちのけで「気合いでやります!」とHRの戦略と計画を話したとき、爲廣さんから「ロジカルで良いのですが、これで茶園さんはワクワクしますか?キャリアのプラスになりますか?TAMと茶園さんがWin-Winになることをしましょうよ」と言われて、ハッとしたエピソードは忘れられません。
無自覚に自分の興味分野を「会社のために」と遠ざけていたんでしょうね。もし爲廣さんに何も言ってもらえずにタスクだけこなしていたら、「私なんて会社のコマだ…」と疲弊して辞めていたかもしれません。
渡邉さんが「明日にでも辞めようか」と泣いていたのは、話には聞いていたので心配していたんです。実際、辞めずに耐えられたのはどうしてですか?
渡邉:「自分で考えて動く。そこには責任も伴う。つらくて大変だけど、それが”自分で生きていける力”に絶対になりますから」と爲廣さんから何度も言われて。TAMのその考え方が好きだし、実際「生きる力がついてきているかも?」と実感することもあって、この1年頑張れたのかなと思います。
戸惑いながらも考えてやってきた中で、メディアに取り上げてもらえる機会も出てきて、成長や成果もだんだんと感じているところです。
茶園:私もこの1年、しんどかったことも多かったのですが、そのぶん成長した実感がありました。成果としても、私もやりたかったワークショップやイベントを年間20件以上開催できて、何より社内のあらゆる人から自然と相談されたり、「感謝してます!」と言われることには大きな喜びを感じています。
なぜ「勝手に幸せになりなはれ」を行動指針に?社長の爲廣さんを直撃
茶園:ここまで私たちの1年を振り返ってきましたが、素朴にどうしてこのような行動指針や自由な企業文化に行きついたのか気になりました。爲廣さんが「人を管理しない自由な会社」を創ろうと思った背景はなんですか?
爲廣:学生時代のリクルートでのアルバイト経験が大きいですね。入って初日から指示が最小限で、その後は自分の責任として動ける環境が自分には合っていると感じました。30年前に起業を決めたときは「絶対に自由な会社にしよう」と心に決めていましたね。
茶園:実際に経営者になって、メンバーに「まかせる」ことへの不安はありませんでしたか?
爲廣:もちろん不安はありました。ですが、自分には昔から信念があって、それは「僕らみたいな知識労働者(クリエイティブクラス)は、人が能動的、自発的に動くことこそ最大の成果を得る鍵である」ということなんです。
渡邉:みんなが能動的に動けるよう、なにか意識していることはありますか?
爲廣:「会社があなたを幸せにする」ことなんかあり得ません。「勝手に幸せになりなはれ」というのは、たとえ会社が明日潰れようとも1人で生きていける力や自信を培ってくださいということ。ですから、メンバーに「人に負けない」と思えるエッジを創ってもらうこと、社内外に人的なネットワークを構築してもらうことが重要だと、耳タコで言っています。
渡邉:「会社があなたを幸せにするわけではない」というのは、その通りだと思います。ふと忘れそうになるけど、人生やキャリアって、会社の環境が100%形成するものではなくて、自分自身で作っていくものですもんね。
この1年を振り返って、自分で考えて動くことの難しさをすごく感じる日々でした。でも今は、悩みながらも前向きに、そしてTAMの広報として、渡邉という広報パーソンとしてどのようにポジションを確立していけるのか「もっと挑戦していきたい!」と思っています。
茶園:今日話していて、「少し大変そうなほうを選んだほうが楽しい結果になりそうだ」という考えで人生の決断をしてきたのを思い出しました。もし似た考えの人がいたら、ぜひTAMという生きる力を磨く道場に見学に来てほしいです!はじめは大変かもしれませんが、きっとその分だけ力がつくと信じて私たちも頑張っているので。一緒に楽しみながら泣いて、成長を分かち合えたら嬉しいです。
[文] 佐藤紹史 [編集] 岡徳之 [撮影] 蔡昀儒