ニットが運営するHELP YOU(オンラインチームによる業務サポートサービス)では現在、ディレクター(※)を募集中です。そこで、ニットの人事が4人のディレクターにインタビューし、ディレクターとはどんな仕事なのか、それぞれどんな働き方をしているのかを紹介します。
3人目として登場するのは、香港在住で、アフリカでのボランティア活動にも力を注いでいる田崎起子さんです。
※HELP YOUは、マネージャー、ディレクター、スタッフという役割が異なるメンバーでオンラインチームを構成し、クライアントからご依頼いただく業務を遂行しています。ディレクターは、実務業務を担うスタッフと、クライアントの間に立ち、プロジェクトマネジメントをおこなうポジションです。
【ディレクターのプロフィール】
田崎起子(たさき・たつこ)さん
専門学校卒業後、ファッションデザイナーとしてキャリアを積む。その後、単身香港へ渡り、貿易会社を創業。現在、アフリカの孤児のためのボランティア活動にも取り組む。2018年11月にHYのスタッフとして採用され、2019年2月にディレクターに。香港在住20年。現在、スリランカ人のパートナーと暮らす。
●田崎さんのこれまでの人生については、こちらでどうぞ。
→会社倒産の危機?! ゼロからの再出発。そして出会ったアフリカの子どもたちの支援というライフワーク
《目次》
・世界中どこにいても、収入を得られる仕事を探していた
・“人肌を感じさせる言葉”をチャットに乗せて、信頼関係を築きたい
・HELP YOUは「勉強ツール」。人生にハリをもたせてくれるもの
◾️ 世界中どこにいても、収入を得られる仕事を探していた
−田崎さんは香港に20年住んでいるそうですね。
田崎 もともと私は日本でファッションデザイナーをしていて、それがきっかけで香港に来ました。起業するチャンスに恵まれ、アパレルの貿易会社をつくり、経営は好調でした。ところが、ビジネスパートナーに裏切られて、お金をすべて持ち逃げされてしまったんです。
その後、残ってくれた社員たちのために必死で働き、なんとか会社を存続させることができました。今は、会社を中国の方に譲り、私は顧問という立場でたまに顔を出すくらいです。
−これまで、いろんな苦労があったんですね。
アフリカでボランティア活動もしているそうですが、どんなきっかけで始めたんですか?
田崎 貿易会社を経営していたとき、洋服の仕事が嫌になったことがあったんです。その頃、たまたまパプアニューギニアの裸族の写真を見て興味をもち、実際に裸族に会いに行きました。そこで、孤児の子どもたちの深刻な現状を目の当たりにして、「自分も何かしなくては」と思い、支援活動をするようになりました。
私は、アフリカの子どもたちのために孤児院、学校、病院を建てることを、生涯の目標にしています。ビジネスパートナーに裏切られた経験から、お金に対する執着がなくなり、「お金を人のために使おう」と思うようになっていました。それも、アフリカの子どもたちの支援をライフワークにしていることにつながっています。
−では、どんな経緯でHYのディレクターに?
田崎 香港でもアフリカでも、世界のどこにいても収入を得る方法はないかと探していたとき、HYのことを知りました。
2018年11月にスタッフとして採用され、2019年1月から稼働し、ディレクターになったのは2月からです。最初はディレクターになることを想定していませんでしたが、運営の方に声をかけていただき、トライしてみることにしました。
◾️ “人肌を感じさせる言葉”をチャットに乗せて、信頼関係を築きたい
−どんなバランスで、HYのディレクターとボランティア活動を両立しているんですか?
田崎 メインはHYのディレクターの仕事です。ディレクターの仕事をフルタイムでやりつつ、年に2回ほど2~3カ月アフリカに滞在して、ボランティア活動をしています。アフリカにいる間も、ネット環境がいい所を探して、HYの仕事もしています。
普段、ディレクターとして稼働している間は、10分置きぐらいにChatworkを確認して、クライアントさんやスタッフさんから連絡があったら、できる限り即対応しています。マネージャーさんからは、「そこまで急いで対応しなくても大丈夫ですよ」と言われていますが、自分の性格上、すぐに返信せずにはいられなくて(笑)。ただ、アフリカにいる間は、時差があったり、予期せぬ停電があったりと、まだまだ思うようには稼働できていません。
−これまでの経験で、HYのディレクターの仕事に生かされていることは?
田崎 経営者としての経験があるので、事業全体を見ることはできていると思います。事業の骨組みや予算、目標をどこに据えるか、どんな段取りで進めるかはわかっているつもりです。とはいえ、自分の思い通りにディレクションするのは難しいですね。
−経験がなくて不安に感じたことはありましたか?
田崎 オンラインでのコミュニケーションは、それまで経験したことがなかったので、最初は戸惑いましたね。
自分が経営していた会社では、社員は中国や香港の人で、すべて対面のコミュニケーションをしていました。言いたいことをガンガン言い合って、時々、喧嘩になることもあったり(笑)。でも、文字でのコミュニケーションになると、読んだ相手がどう感じているか、すぐにはわからないし、傷つけているかどうかもわからないので、すごく不安でした。
実は今も、文字でのコミュニケーションは苦手なんです(笑)。もっと、言葉の使い方や文章の書き方を上達させて、 “人肌を感じさせる言葉”をチャットに乗せて、スタッフさんと本当の信頼関係を築いていきたいですね。
◾️ HELP YOUは「勉強ツール」。人生にハリをもたせてくれるもの
−現在、どんな案件を担当していて、何人のスタッフを束ねていますか?
田崎 メディア系4件と、貿易系1件の案件を担当していて、25人のスタッフさんと一緒に業務を進めています。
メディア運営に関しては経験ゼロだったので、最初は大変でしたが、クライアントさんがたくさん学ばせてくれるので、今はすごく楽しいです。メディアの分野を極めて、メディア系のスーパーディレクターになりたいと思っています。
貿易系のクライアントさんの業務は、これまで経験してきた仕事に共通する部分が多いので、やりやすいです。担当の方とも気が合って、その方が香港に来たとき一緒に食事をしました。
−楽しそうですね。
田崎 今は仕事が楽しくて楽しくてしょうがない、といった感じですね(笑)。
経営していた会社には日本語を話せる人が誰もいなくて、中国語か英語でコミュニケーションをとる中で、常に自分ひとりで闘っているような感覚で働いていました。でも、HYに出合って、人と一緒に仕事をするのは、こんなに楽しいことなんだと知りました。
オンラインでのやりとりだから、“冷たい”コミュニケーションかもと想像していましたが、全然、そんなことはありませんでした。今思えば、経営者だったときは、リアルに目の前にいる社員のことすら見えていなかった。それが、今はオンラインなのに、HYのスタッフさんが何をしているかが見えるし、信頼できる。そんな不思議な感覚です。
それとHYでは、いろんなことを共有してくれます。一人勝ちするみたいな、“個人プレー”をする人はいなくて、「いいツールがあったので、お知らせします」といったように、どんどん教え合っています。懐の深さというか、「みんなで一緒にやっていきましょう!」という、HYの組織風土がすごく好きです。
−では最後に。田崎さんにとって、HYはどんな存在ですか?
田崎 HYは私にとって「勉強ツール」であり、楽しくさせてくれるものであり、人生にハリをもたせてくれるものです。
HYに出合ったことで、私は自分が “裸の王様”になっていたことに気づくことができました。日本の今の事情などを知らず、自分に見えている小さな世界の中で、すべてを知った気になっていたなと。
落ち込むこともありますが、マネージャーさんやスタッフさん、運営のみなさんと話すたびに、必ず何かヒントをもらえるというか、いい方向に導かれるというか、ポジティブな気持ちになれます。HYは私にとって、なくてはならないものですね。
〈ライター後記〉
田崎さんは、相当な努力と苦労を経験して、多くのことを実現させてきたにもかかわらず、とても謙虚です。そんな田崎さんはHELP YOUで働くことで、世界中どこにいても収入を得られるということだけでなく、学びの場を提供してくれることや、人生を楽しくしてくれるというメリットも感じているそうです。
これからも、「アフリカの子どもたちのために孤児院、学校、病院を建てる」という目標に向かって、枠にはまらないダイナミックな人生を送っていくのだと思います。何事も全力で、楽しそうに取り組む田崎さんから、元気をもらう人も多いのではないでしょうか。
HELP YOUライター:小笠原綾子