スタメンでは、12月1日〜25日まで note relay 2025 を実施しています🎄
今回はその企画の中で投稿されている記事を転載します。
スタメンの人や組織、事業など、リアルが詰まっている内容になりますので、ぜひ御覧くださいませ。
はじめまして。株式会社スタメンでマーケティング部長を務める伊藤と申します。主にディスプレイ広告とSEOを担当しています。
新卒でこの会社に入ってから、気づけば4年ほどマーケティングの仕事に向き合ってきました。スタメンは自社でプロダクトを持っており、マーケティング部もインハウス中心であるため、特定の領域だけではなく、複数の領域を跨いで業務をすることが一般的です。
他の会社で働いたことがないので、相対的な比較ができませんが、以下の力は、自然と求められてきたと感じています。
- あらゆるマーケ領域に興味をもつアンテナ
- はじめて取り組む領域、業務に素早く対応するための基礎思考力
ただ、知識やスキルが増えたからといって、必ずしも仕事が楽になるわけでもありません。どれだけ考えても、アイデアが一切浮かばない日や成果が出ない時期は訪れます。そんな時、「もっと考えなきゃ」と、つい内向きに思考しがちです。
でも、頭の中だけでなんとかしようとしても、考えは絡まるばかりで、むしろ思考の沼にハマっていきます。
これまでの人生を振り返ってみると、五感によって思考が整理されたり、新しいアイデアが生まれていた場面が多かったことに気づきました。
「五感を意識すれば、マーケティング力を鍛えられるのでは?」
今回は、マーケティング活動の中で役に立っている、日常的に取り入れてきた五感を起点とした思考のエクササイズについて紹介します。
本記事は、宮脇啓輔さんのnote『「頭の回転が速い」を科学する』よりアイデアをいただき、それを自分の思考とつなぎ合わせて、落とし込んだものとなります。宮脇さんのnoteも非常に興味深い内容となっておりますので、ぜひご覧ください。
五感トレーニングとは
視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚
日常生活の中で五感を意識的に使うことで、脳が活性化する、という文脈で語られることが多いと思います。今回はもう一歩踏み込んで、「それをマーケティング力にどう生かすか」を考えていきます。
ここでのキーワードは、Why・What・Howの3つです。
もちろん、2Bか2Cか、担当している業務範囲によって、どの情報に対してどの五感を働かせるかは変わります。ただ、基本的には五感で受け取った情報をWhy(なぜそう感じたか)・What(何がそう感じさせたか)・How(それをどう応用できるか)に分解して整理していくことで、思考の解像度は着実に上がっていきます。
また、その整理結果を一般化し、自分の業務にどう落とし込めるかまで考えられるとベストです。
マーケティング力の定義
「あれ、そういえばマーケティング力ってなんだ?」
先にタイトルを思いついてしまったが故に、こんな疑問が浮かんできてしまいました。
「マーケティング力とは、消費者のニーズを把握し、「売れる仕組み」を構築・実行する総合的な能力です。」
AI Overviewで出された回答がこちらでした。(このようにして、記事ページの流入が減るんですね…。)
マーケティング力とは、マクロ的には事業をグロースするための仕組みや設計を考える力、ミクロ的には事業グロースに必要な各マーケティング施策の質を高めるためのテクニカルスキルやビジネススキル(ユーザー理解、ライティング力、デザイン力、仮説検証力など)と定義することとしましょう。
今回、五感で鍛えられるのはどちらかといえば後者です。前者もおそらく鍛えることは可能なのですが、私の力不足で具体的な経験談を記載できないため、ミクロマーケティング力(以降、「マーケティング力」で統一)を中心に話を進めていきます。
SNSで話題になった睡眠の質を上げる方法
少し前に、御守一樹さんが執筆した「一撃で睡眠の質を上げる方法(費用30円)」が、Xなどで話題になっていました。耳栓で聴覚からの刺激を遮断すると、睡眠の質が劇的に上がるという話です。
私たちは、余計な五感情報を睡眠時に取り入れないためにアイマスクをしたり、部屋を暗くしたりします。聴覚だけが無防備であるという観点は盲点でした。
30円でできる回復法、という興味深いタイトルも含めて非常に示唆のあるnoteでした。
起きている時は五感をもっと活用すべきかも
五感を遮断することで睡眠の質が高まる一方、「じゃあ、起きている時間はもっと五感を意図的に使ったほうがいいのではないか?」とも思いました。
私たちは日中、多くの情報を浴びていますが、見ている媒体や情報の取得先はかなり偏っていたりします。正確には、情報の取り先を集中させすぎていると言ったほうが近いでしょう。
マーケティングを学ぼうと思えば、今は本当にいくらでも情報が手に入ります。XやYouTube、本やnoteからは、体系立った知識や成功例を学ぶことができます。これは、既存の枠組みを当てはめて考える座学的なインプットです。
一方で、街の売り場やUI、人の動きといった五感情報から拾った違和感や発見が、時に業務に効くアイデアにつながることもあります。座学と現場を往復することで、アイデアの質と再現性は高まっていくと感じています。
情報が溢れてしまう時こそ、特定の媒体から得る情報量を下げ、別のところから情報を得るという視点の切り替えを僕たちはすべきなのでしょう。
五感トレーニングをやってみよう。具体的な鍛え方
年末年始は、五感トレーニングを始めるには最適な時期です。一般消費者がお客様となる2Cの世界では、年末商戦であらゆる企業が特別な訴求を始めます。割引や福袋、ポイント還元、年末年始キャンペーンなど、あらゆる表現やデザインが一気に自分へ仕掛けられます。
年末年始に限らず、街に出れば、店内BGMや呼び込みの声、飲食店の匂い、POPの量と主張、道行く人の会話(盗み聞きはNGです)。家にいても、Web広告やLP、チラシ、特番やCMなど、五感を刺激する情報はいくらでも流れてきます。
こうした情報を、Why・What・Howの視点で整理していくだけでも、思考のストックは少しずつ蓄積されていきます。ここからは、それぞれの感覚を経て、どのようにデジタル領域への学びを得ているかについて整理します。
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視覚:なぜ目にとまったのかを分解する
視覚は、学びを得るには最もわかりやすいのではないかと思います。
- 配色はなぜこの色か
- 最初に視線が行く場所
- 文字と余白のバランス
- 写真かイラストか
これらを見て、なぜその要素・文言が目にとまったのか、なぜ目にとまらなかったのかを整理し、自分のLPやバナーの設計にどう転用できるかを考えていくと、業務への接続が一気にしやすくなります。
聴覚:音が私たちに与える影響を考える
動画広告やオーガニックSNSを媒体として担当しているのであれば、聴覚もわかりやすい感覚かもしれません。
聴覚は、雰囲気づくりと相性が良い感覚です。店内BGMのテンポは速いのか遅いのか、売り場の雰囲気と合っているのか、CMのナレーションは低めの落ち着いた声なのか、高めでテンポが速いのか。
動画広告を見るときに、一度はBGMなしで見てから、次にBGMだけを聞いてみる、という見方をすると設計意図が鮮明に見えてきます。音なしで伝わる情報と、音があって初めて機能する情報を分けて捉えられるようになると、クリエイティブの設計精度も上がっていくのではないでしょうか。
嗅覚:記憶や行動と結びついた設計を紐解く
嗅覚は、デジタルマーケティングからはやや遠い領域に見えますが、記憶や行動と強く結びつきやすい感覚です。商業施設を歩いていて、匂いにつられてテイクアウトを買ってしまった経験や、特定の匂いを嗅ぐと特定の場所や体験を思い出す感覚は、多くの人に共通するものだと思います。
出口付近にテイクアウトの店が集まっている導線や、特定のブランドが店内を一定の香りで統一している取り組みは、もう一度訪れたくなる空間を設計しているとも言えます。こうした設計を、離脱防止や再訪促進といったデジタルの文脈に置き換えて考えることで、アイデアの幅が広がります。
触覚:ファーストインプレッションを言語化する
触覚は、安心感や違和感を一瞬で判断する感覚です。手に取ったときの軽さや重さ、素材の感触、温度など、細かな要素の組み合わせで、面白いことになんか良い、なぜか不安といった印象が決まっていきます。もちろんユーザーが、良さを極限まで言語化することもありますが、要素の一部で魅了されることも多いです。
デジタルに置き換えると、UIの体験に近い形で現れます。画面を触ったときの反応の速さ、スクロールの引っかかり具合、ボタンを押したときのフィードバックなどです。
ある記事が最後までスムーズに読めたのはなぜか、逆に途中で離脱したときはどこで違和感を覚えたのか。これを触覚に近い感覚として捉え、言語化していくと、導線設計やCVまでの距離感の調整に大きく活きてきます。
味覚:最初・途中・最後の印象で考える
味覚もデジタルとは遠いですね。私は味覚を「流れ」で転用するとわかりやすいと思います。一口目の印象、食べ進めていく中盤の変化、最後に残る余韻。この三つが組み合わさって、その料理の体験価値が決まる、と定義します。
これは、記事やLP、広告の構成とほぼ同じです。冒頭の掴みだけが強すぎて途中で失速していないか、読んでいる最中に情報の山場と休憩が適切に配置されているか、最後のクロージングで温度を下げ過ぎていないか。
味わいの変化を楽しめる食事に出会ったときに、自社のコンテンツの構成を重ねて考えてみると、新しい改善ポイントが見えてきます。
整理→抽象化→実務への落とし込み→検証まで
五感トレーニングを有効活用するには、思考のプロセスとして最後まで回し切ることが大切です。私が意識しているのは、整理→抽象化→実務への落とし込み→検証のサイクル。
- なぜこの広告が目にとまったのか?どの要素がそう感じさせたのか?(整理)
- これは他の施策にも共通する構造ではないか?(抽象化)
- 自分の担当業務にどう転用できそうか?(実務への落とし込み)
- 小さく試して、手応えを確かめる(検証)
この一連のプロセスでは、感じて・発見して・理解して・実践するまでをすべて自分の意思の中で行っています。そのため、結果の良悪に関わらず、記憶に残りやすいです。蓄積されれば、一度忘れたとしても、また呼び起こすことができるというのが、蓄積思考量の良い点だと私は考えております。
学びには3種類ある
まとめに入る前に、五感トレーニングが「学ぶ」という行為において、どういう意味をもたらすのかを考えます。私の考えでは、学びを大きく3つに分けることが可能です。
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1つは、自分から取りにいく学びです。本や動画、講座、実務を通して、意図的にインプットしながら、その領域の専門知識を深めていくタイプの学び。
もう1つは、意識を研ぎ澄ませて、見える世界を広げる学びです。五感のように、普段なら流してしまう情報を拾えるようになることで、同じ景色から受け取れる情報量を増やしていくタイプの学び。
最後は、学ぶつもりはなかったが、体験を通じて得たものが勝手に抽象化され、結果として学びになるもの。2つ目は意識的に拾いにいく学び、3つ目はあとから意味づけされる学びという違いです。
1つ目だけだと、知識は増える一方で、発想が固くなりがちです。
2つ目・3つ目だけだと、気づきはあっても、再現性や執行強度が弱くなります。
この3つが回りはじめたとき、深める・広げるが持続し、スキルとして使える形で育っていくでしょう。たとえ話がうまい人は、構造と体験が両方ストックされていて、それを状況に応じて引き出しているのだと思います。
感じたことを蓄積して、使えるようにしておく
五感は、特別な才能ではなく、誰もが毎日使っている感覚です。
違うのは、それをなんとなく流すのか。思考の入り口として扱うのか。というスタンスだけだと思います。
アイデアが出ない時や思考が沼にハマった時は、考える動作から離れて、感じる動作をやってみることで、思考の幅が少しずつ広がっていくでしょう。その思考が蓄積されれば、一度は忘れたとしても、いつでも呼び起こせる状態になっていくと思います。
三島邦彦さんの著書『言葉からの自由』(宣伝会議、2024年)の「書くことは思い出すことに似ている」のセクションにて、以下の文章が書き記されていました。
「言葉は脳を触発し、思いもよらないところへ誘う。考えたことがなかったことを考え、忘れていたことを思い出す。」
三島 邦彦(2024)、第2章 言葉を書く、書くことは思い出すことに似ている。、『言葉からの自由』宣伝会議、p.46
五感を働かせることによって、これまで知ることのなかった世界を知り、時には忘れていたことを思い出すきっかけになります。旅に出よう、人と会おうという話もこれと近いですね。
もちろん、五感の使い方は人それぞれです。すべてをフルに使わなくてもいいし、ずっと気を張り続ける必要もありません。旅に出よう。街に出よう。知らないところに行ってみよう。そこで五感を研ぎ澄ませ、整理し、自分なりに出した解は、きっと実務にも生きてくる大事なパーツになるはずです。
冒頭に述べたように、スタメンのマーケティング部は、複数領域を横断することが当たり前の文化と体制を取っています。
- あらゆるマーケ領域に興味をもつアンテナ
- はじめて取り組む領域、業務に素早く対応するための基礎思考力
が求められる環境ですしこの記事の内容に共感いただいたマーケターの方が、もしいらっしゃれば、うちの文化はぴったりです。あと、多分僕とめっちゃ話が合う気がします笑
最後に…
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