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「転職すれば市場価値が高まる」は幻想。シニアエンジニアと【市場価値】について考えてみた。

「市場価値の高い人材になりたい!」

昨今転職が盛んになる中で「市場価値」が強調される場面も多く、自身の市場価値について考えたり、時には「自分はこのままで大丈夫かな?」と不安を感じたことはありませんか?

市場価値が高い人材を目指すと言っても、そもそも「市場価値」とは何で、「市場価値が高い人材」とはどんな人を指すのでしょうか。年収、役職、それとも、独自のスキルや専門性の高さ......?

今回は、そんな“そもそも論”について、スマレジ開発本部CTO室に所属する3名のシニアエンジニアと一緒に考えてみました。

エンジニアに限らず、どんな職種の方にとっても、参考になる考えがきっとあるはず。読者の皆さんにとって新たな気づきとなれば幸いです。

エンジニアとして長いキャリアを積んできたメンバーだからこその視点と、それぞれのキャラクターが垣間見える、三者三様の意見をぜひお楽しみください(^^)

それではどうぞ!

今回、お話を伺ったのはこの3人!

シニアエンジニアが遭遇する、キャリアの分岐点

ー市場価値と言えば「転職」が1つのキーワードになりますよね。今回の対談の前提として、まず皆さんの転職活動時のエピソードを教えてください。

🟥 I(以下、いっしー)
会社や組織、プロダクトが成長していく過程を楽しいと感じるので、受託開発ではなく、成長性のあるサービスを扱う自社サービス企業に行きたいと思っていました。ステップアップ目的もあったので、働き方や年収などの条件面も見ていましたね。特に、スマレジの「マイホリデー制度(※)」は魅力的でした。

▽(※)マイホリデー制度についてはこちらでご紹介しています!

マイホリデー制度で叶える、自分らしい働き方と休み方、そして生き方。 | 株式会社スマレジ
5月からスタートした、株式会社スマレジの第16期。この5月から、今までにないあたらしい休暇制度が始まりました。その名も マイホリデー制度 です! 「マイホリデー制度」は、国民の祝祭日とスマレジ社の就業規則で定められた休日を、希望日に振り替えることができる制度です。 国民の祝祭日が年間で約15日、スマレジ社の夏季休暇と年末年始休暇が合わせて8日あるため、年間で約22日の休暇を自由に設定できます。
https://www.wantedly.com/companies/smaregi/post_articles/260105

🟦 U(以下、Uehi)
前職ではマネージャーをしていましたが、もともと任された領域を深堀したくなる性分なんですよね。逆に言えば、自分の管轄外になった領域については、どうでもよく感じてしまったり......(笑)。そんな傾向もあって、当時はチームビルディングや1on1といったピープルマネジメントを極めたくなってしまい、技術的な部分からはどんどん遠のいていました。

ただ、元々はプレイヤーとして評価してもらってマネージャーになったこともあり「本当にこれで良いのか?」という気持ちもあって。いわゆるゼネラリスト的にマネージャーとしてもプレイヤーとしても活躍できるポジションの方が、自身の価値を活かせるのではないかと考えました。

🟨 K(以下、川ちゃん)
前職は金融系のSIerでリーダーをしていたので、タスクの管理や、他チームとの調整業務、メンバーマネジメントが主な業務でした。自身の技術的な専門性やITスキルがアップデートできていないことに不安を感じていましたね。

技術面でゴリゴリやっていきたい気持ちはありつつも、今の自分のスキルだけでは不十分である自覚があったので、これまでの経験を総合的に活かしつつ、技術に触れられる環境を求めて転職活動をスタートしました。

市場価値は、自分のために高めるべきもの?

ーそれでは本題に入っていきたいと思うのですが、皆さんの考える「市場価値」の定義や概念についてお聞きしても良いですか?

🟦 Uehi
市場価値って、要は「誰かの役に立つんですか?」の対価だと思うんですね。もう少し直接的な言い方をすると「あなたにこれだけのお金を費やすので、ぜひ助けてください」と言ってもらえるかどうか。なので、僕自身は自分のために市場価値を高めたいというよりも、役に立てる存在になるために、どういうキャリアを積んで、どういう人間であるべきかを考えるようにしています。

ーニーズに応えられてこその「市場価値」ということですね。

🟦 Uehi
もともと“人の役に立てるか”という自分軸が強いので、自分のやりたいことだけを考えた仕事選びはしないです。それだと、自分が役に立てるかが分からないので。

実際今スマレジで働く中でも、お客様はもちろん、チームメンバーや他部門の皆さんにちゃんと価値を提供できる自分でありたいと思っているだけ。多分、承認欲求が強いんでしょうね(笑)。

🟥 いっしー
僕は、市場価値って転職活動をするにあたって意識する概念だと思うので、普段から市場価値を気にしすぎている人はあまり印象が良くないですね。そういうタイプの人に限ってどこか業務が疎かだったり「もっと先にやることあるんじゃないの?」なんて思ったりもします(笑)。

ーなるほど。となると、いっしーさんご自身も市場価値について普段はあまり意識していないですか?

🟥 いっしー
そうですね......。どちらかと言うと考えていない方だと思います。当たり前ですけど、市場価値って“市場”に出る前提じゃないですか。つまり、転職する気満々の時に考えるものだと思っていて。なので、普通に転職活動をしていない時は、その会社の中での価値を重視しますね

🟨 川ちゃん
僕も、市場価値については転職活動時にぼんやり考えたくらいですが、「求められるものに対する能力やスキルの価値」と認識しています。

組織に属していると「会社としてどういう人材になって欲しいか」をある程度提示されますよね。例えば僕の前職の場合、マネージャーの役割を求められていたので、技術面で秀でることよりも、マネジメントスキルが高いことの方が価値が高いと見なされていた。でも、僕としては技術に触れたい気持ちがあり、“この組織の中では求められるものに応えられない=価値を発揮できない”と感じたので、転職に至りました。

ー少し見方を変えると、例えばマネジメント能力が求められる環境下で、それを提供することに価値があるなら、マネジメント能力を伸ばしてみようという発想にはならなかったんですか?

🟨 川ちゃん
それはおっしゃる通りで、その点は少し自分中心的な発想なのかもしれないです(笑)。ただ、求められるものと自分の想いの乖離が大きすぎたというのもあって、当時は自分がやりたいことに視点を移しました。そういう意味では、組織が求める価値には反した形になりますね。

ただ、結果的に自分が好きだったり興味があったりする領域の方がスキルが高まりやすいでしょうし、求められるものに応えられる存在になれるのかなと思います。

市場価値が高い人には、“Hope”の視点がある

ーシニアエンジニアの皆さんの視点で、市場価値が高いなと感じる人はどんな方ですか?

🟦 Uehi
先ほども「他者の役に立てるか」みたいな観点をお話したのですが、それを整理しやすいフレームワークとして、Will/Can/Hopeというものがあります。よく言われるのは、Will/Can/Mustの3つなのですが、“他者が本人に期待していること”としてHopeが入ります。

個人的には、市場価値が高いのは、Hopeに対してWill/Canを調整できる人だと思っていて、Willだけだと自己満足だし、かと言って求められていない部分にCanだけを提示しても役に立てない。だから、3つのバランスが大事なんです。

ーそれで「他者の役に立てるか」を重視されているんですね。

🟦 Uehi
人に求められたら燃えるじゃないですか(笑)。少なくとも僕は燃えるタイプで。全然それまで詳しくなかった領域でも、人から任されたらめっちゃ勉強します。

🟥 いっしー
求められることにモチベーションが上がるのって、一番良いですよね(笑)。

🟦 Uehi
頼られたら嬉しくてしょうがないです(笑)。

ーUehiさんご自身はスマレジに入社してみて、ご自身の市場価値は客観的にどうなったと感じますか?

🟦 Uehi
自社開発企業で働くこと自体が初めてだったので、そもそもユーザーのニーズに応えていく開発に挑戦できたことだけでも「他者の役に立つ」という観点で価値が高まった部分はあると思います。

あとはやっぱり、スマレジはエンジニアの裁量権が非常に大きいので「どういう優先度で、いつ何をしたユーザーのお役に立てるのか?」といった上流工程を理論レベルで会話できる。そして実際に自分たちで手を動かして、それらを形にできるのは非常に価値あることですよね。

「あえて今はしない」を、根拠を持って判断できること

ー川ちゃんさんは、どんな方を市場価値が高いと感じますか?

🟨 川ちゃん
僕も先ほど話した「市場価値とは?」について、まさにUehiさんが言っていたWill/Can/Hopeのことを言いたかったんですよ〜。この3つが乖離してしまったことが自分の転職のきっかけにもなっていたんだなって。Uehiさん、言語化していただいてありがとうございます(笑)。

🟥 🟦 🟨一同:
(笑)

🟨 川ちゃん
皆さんがおっしゃるように、結局は「他者に貢献できること」に集約されるとは思うのですが、もう少し具体的なところで言うと、何か目的があった時に自身の知見を総動員して、的確な意思決定をしたり、計画立てて仕事を進めていける方は価値が高いなと感じますね。

例えば何かの改善検討があったとして、「何を改善するか」を決めるだけでなく、最終的なメリットを踏まえて「あえて今はしない」という判断をも下せる方。技術的な知見を“持っている”だけではなくて、スキルを自身の手足のように使いこなしながら目的を達成できる方はすごいなと思いますし、自分も目指したいところですね。

ー実際に、スマレジでそれを体現できているなと感じる方はいますか?

🟨 川ちゃん
僕の直属の上司がまさにそうですね。意思決定もしつつ自分も手を動かして、やりたいことを次々に実現する。純粋に尊敬しますし、市場価値が高い方だなと感じます。

会社に稼がせる。その視点はあるか?

ーいっしーさんが考える「市場価値の高い人」はどんな方ですか?

🟥 いっしー
「市場価値を高めたい」の背景には、高い年収や評価をもらいたい人もいれば、やりたい仕事がある人など、色々なタイプの方がいますよね。どのタイプであったとしても、なりたい姿や状態を実現するためのアウトプットができる人こそ、市場価値が高いと思います。

例えば、自社サービスをやりたいなら、自社サービスを開発するためのスキルが高いことはもちろん、そのプロダクトを通じて会社が利益を上げていくために何が必要かを考えられる人。「とにかく新しい技術を使いたい!」とか、小規模な開発フェーズなのに「サーバー何百台でやるためには......」といった手段にフォーカスするんじゃなくて、今やるべきことをちゃんとやって、きちんと会社に稼がせる、みたいな人の方が市場価値が高いと感じますね。

ースマレジ開発部全体として、その視点はあると感じますか?

🟥 いっしー
そうですね。プロダクト視点な方が多いので、「プロダクトが成長するためにどうしたら良いか」を考える力が全体的に強いなと思います。課題解決力が高いというか、目指す姿に対してきちんとアウトプットを出している印象です。

「転職すれば市場価値が高まる」は幻想。今の自分が“貢献”できることを極めよう。

ー「市場価値」について色々と深堀りできたところで、最後に読者の方にメッセージをお願いします。では、いっしーさんからどうぞ!

🟥 いっしー
市場価値を高めるには「選択」と「集中」が求められるのかなと思います。今日のキーワードとしてWill/Can/Hopeがあったと思うのですが、自身のWillやCanをしっかり認識した上で、Hopeに合った技術を身につけていきたいですよね。

言ってしまえば、全科目60点の人って結局60点の評価にしかならないんですよ。でも、Hopeにあたる部分が80点なら、それ以外が0点だったとしても、きっと80点の評価になる。エンジニア業界って、とんでもない“バケモノ”がいるので(笑)、きちんと「選択」と「集中」をした上で80点、90点を目指していかないとなかなか戦っていけない世界です。自分がやりたいことを明確にした上で、そこで何が求められているのかを考え抜くことが大事なのではないでしょうか。

🟦 Uehi
転職さえすれば市場価値が上がる、ということは絶対ないです。それよりも、自分ができる役割を全うできることが、どんな環境からも求められる人材であると思います。

「転職する」「現職に残る」という2つの選択肢が浮上した際には、自分の力で変えられることがあるのか、それとも自分ではどうにもできないことなのか、をしっかり見極めた上で「自分ができること」をまず全力でやってみるのが良いと思いますね。

🟨 川ちゃん
世の中や企業の動きは流動的なので、ぼんやりでも転職を考え始めたなら、まずはHopeの目線で今どんな人が求められているかを的確に捉える必要がありますね。その上で、客観的に自分はどの程度の立ち位置にいるのか、何ができるのかを考えてみる。もし足りないものがあるなら、自らキャッチアップしていくようなアクションが必要だと思います。

誰しもその時々の環境の中で、自分が貢献できる部分は必ずあるので、それが自分のやってみたいことやなりたい姿と天秤にかけながら、転職するのか現職に留まるのかを考えたら良いと思いますし、場合によっては現職の方が自身の価値を高められる可能性だってあります。行動しないと見えてこない部分もあるので、自分を客観視し、情報を集めて、アクションを取ってみることをおすすめしますね。

いかがでしたか?今回は、シニアエンジニアならではの視点で「市場価値」について考えてみました。

転職経験が豊富なことでも、ステータスが高いことでもなく、他者が求める“Hope”に対して自分ができることを着実にこなせる人こそ、市場価値が高いーー

簡単そうに聞こえて、実行するのはなかなか難しいものですが、転職活動時に限らず常に意識していきたい観点だと気づかされました。

今後もさまざまなテーマで、スマレジエンジニアの考えをお届けできればと思います。次回もどうぞお楽しみに!

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